他の作品を書いていたのも有りますが、
今回で中学編を終わらせようと一から書き直してました。
次回から高校編スタートです。
ちなみに、今作のヒロインは真由美さんを予定しております。
原作では小悪魔なのに達也さんにあしらわれていた彼女ですが、
今作では雫限定で小悪魔なドSです。
可愛く書けるように頑張ります。
夕日に照らされた司波家のリビング。
その中央で、私は達也さんにしからーーちょっとした注意をされて、る。
「さて・・・とりあえず、このバカについて確認して置かなければいけない事がある」
「・・・・・・・・・・・・バカ・・・って・・・・・・・・・」
「なにか文句があるのか? 雫。言いたいなら今のうちに言っておくといい。言えなくなってから後悔しても遅いぞ」
「なにも、な・・・です・・・ゆる・・・ゆるし・・・(ガクガクブルブルビクビク)」
こ、殺され・・・る、の?
転生者でも・・・死ぬの、は・・・怖いんだ・・・よ・・・?
「まぁまぁ、お兄様。このおバカさんも反省してはいないでしょうが、怖がってはおりますから、少しくらいは手加減してあげてもよいのでは?」
「そうだよねぇー。このバカにしては珍しく命乞いしてるのを隠そうとしてないし。ちょっとぐらいなら手加減してあげるべきですよ」
・・・さすがに、これはヒド、い・・・。
二人とも・・・ぜんぜん、フォローしてない、し・・・バカじゃ、ない、もん・・・。
「まぁ、雫がバカだということは今更確認の必要もないんだが」
止め・・・刺され、た・・・。
「別の件で確認したい事がある。雫、ひとつひとつ確かめていくぞ。
まず一つ目は、超簡易魔法式製品を取り扱っている北方グループの子会社「マウンテン」は北山の「山」から取ったな?」
「・・・う、ん・・・」
「次だ。
マウンテンの製品に書かれているロゴマークの「ノース」は北山の「北」から取ったな?」
「・・・・・・う、ん・・・・・・」
「次だ。
超簡易魔法式の開発者「ルイ」は雫を「涙」と書いて「るい」と読ませたな?」
「・・・・・・・・・う、ん・・・・・・・・・・・・」
「最後だ。
お前ーー正体を隠す気はあるんだろうな?」
「え・・・と・・・・・・」
これには、ちょっと、迷う。
答えは決まって、る。けど・・・答えた、ら、怒られそうな、気がす、る・・・・・・。
で、でも・・・頑張って、みる・・・・・・。
「そ・・・そ、の・・・・・・・・・・・・隠さないと・・・ダメ・・・な、の・・・・・・?」
「深雪、雫に抱かせるために地下室から重石を取ってきてくれ。こいつには口で言うより体に教え込んだ方が早い」
「承知しました、お兄様。数は五個もあれば十分でしょうか?」
「大丈夫だよ、足りなくなったら深雪の魔法で氷を作ればいいんだもん。石と違って冷たさも有るから拷問にはピッタリだよ」
「こらこら、ほのか。女の子が物騒な事を言うんじゃない。
拷問なんて言い方じゃなくて教育と言っておけば、とりあえずは収まるんだからな」
「そうよ、ほのか。雫のせいで私たちまで被害が及んだら大変でしょう?」
「あ、そうか。ごめんなさい達也さん、うっかりしてました! 雫一人を痛めつけるだけで良かったんでしたね。これからはそうしますね」
「・・・・・・・・・・・・!!!!!!(ブンブンブンブンブン!!!)
必死に頭を振って、命乞いを、して、みる。
このままだ、と・・・殺され・・・る・・・!
しばらく間、氷の視線で、私を見下ろして・・・ううん、はっきりと見下してる達也さん、は・・・やがて大きくため息を吐い、てーー
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・反省したか?」
「・・・・・・・・・・・・!!!!(コクコクコクコクコク!!!)」
全力でうなず、く。
それでも達也さんは満足してな、い。
おもむろに、私を見下し、てーー
「よし。それじゃあ言ってみなさい。
『ごめんなさい』と」
「!!??」
そ、それ、は・・・・・・。
「どうした? お前がよく使ってる言葉だぞ。今更なにを躊躇うことがあるんだ?」
「そうよ、雫。貴女いつもお兄様にむかって「ごめ、な・・・さい」って言ってるじゃない」
「うんうん、そうそう。涙目で達也さんを見上げて、まるで子犬みたいになって謝ってるよね~」
「・・・・・・・・・!!!(ブンブンブンブン!!!)」
そ、そんな事・・・な・・・くはない、けど・・・。
あれ、は、不可抗力、で・・・条件、反射、でしか、なくて・・・!
だから、私、は、「ごめんなさい」なんて言葉、は、使わない・・・もん!
ひねくれ者は・・・ごめんなさい、は・・・言わ、ない!
「どうした雫? 謝らないのか? じゃあ反省しているとは思えないな」
「そ、そん・・・な・・・・・・!」
「そうね。お兄様に謝らないのに、反省してるなんてとうてい思えないわ。雫、貴女にはやっぱりお仕置きが必要みたいね」
「ひ、ぅ・・・・・・」
「うん、私もそう思う。雫ってたまに調子乗るときあるし、この機会にきつーくお仕置きしちゃおうよ! 一生忘れられないようなのを♪」
「ひゃ、う・・・・・・」
い、いや、ぁ・・・・・・。
「ご、ごめ、ごめ・・・な、さ・・・・・・・・・ぃ・・・・・・なんて、言わない・・・もん!」
「言っているわよ」
「言ってるじゃない」
「言っているな」
三人からの視線が、何故、か・・・可哀想な物を見る目、に・・・なってるのは、なんでだろ、う・・・?
そんな中、達也さんだけは、絶望した様な表情、で、頭を抱えてぶつぶつ言いだし、た。
悩み事・・・か、な・・・?
「・・・・・・どうする? ここまでバカだというのは、さすがに予想外すぎだぞ・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・本気でどうすればいいんだ、これ・・・・・・?
少佐や師匠に頼ってどうにかなるレベルなのか・・・・・・? 超簡易魔法式の影響で四葉の力は弱体化しているし、トーラス・シルバーは商売敵だ。ミスト・ディスバージョンやグラム・ディスバージョンなんか使い所がまったくない・・・。フラッシュ・キャストやエレメンタル・サイトどころか『再成』でさえ役に立たないし、マテリアル・バーストなんて一体何に使えと言うんだ・・・?
神の如き魔法などと煽てられていたが、平和利用が全然出来ないナマクラじゃないか・・・・・・!」
・・・? なんだろう。よくわかんない単語ばっかり・・・。
もしかして、達也さん・・・は、
「厨、二・・・?」
「殺していいか?」
「ひぅっ! ご、ごごごごめんなさい・・・!」
こ、こわ、怖かった・・・!
今までで、一番、怖かった!
あれ、絶対に、本気だった・・・!
目が、ぜんぜん、笑って、なかった・・・!
むしろ、完全に、殺す気しか、なかった・・・!
他の感情が、なにも、なかった・・・!
これは、もう、しゃべっちゃ・・・ダメ・・・。
しゃべった、ら・・・・・・殺され、る・・・!
「・・・どう致しましょうか、お兄様。叔母様のお力を持ってしてもこれは・・・。むしろ、なぜここまであからさますぎる名前で今の今までバレずに済んでいたのか解りかねます」
「・・・おそらく、あからさますぎて誰も本気にしなかったんだろう。当然だな、エクストラだってこんなに捻りのない名前は名乗らない。・・・と言うよりも、小学生でもないのにどうしてこの程度の発想しかできなかったんだ、あのバカは・・・」
「仕方がないのかもしれません。なにしろ、あの雫ですし・・・」
「・・・・・・その一言で納得できてしまう辺り、あれはあれで大物なのかもしれないがな。・・・・・・しかし・・・よく考えてみれば、俺はアイツに負けたのか・・・・・・」
「しっかりなさって下さい、お兄様! 猿と人間では考えることが違うのは当たり前です!たまたま木から実を採る技術で負けただけではありませんか。大丈夫です、これから挽回していきましょう!」
「・・・深雪・・・。・・・ああ、そうだな。弱気を見せてすまなかった。次は必ず勝ってみせるよ。俺も猿に負けたままでは終われないからな」
「その意気です、お兄様! 深雪はお兄様の勝利を信じております!」
「・・・・・・(ビクビクビクビクビク)」
部屋の隅で蹲る私を無視して会議・・・? か、なんだかは、進んでいるみた、い・・・。
でも、内容は、よく・・・ううん、ぜんぜんわかんない、い・・・。
え、と・・・・・・ひょっと、した、ら・・・・・・
「もしかして、達也さんは・・・・・・ラノベ作家さ、ん・・・・・・?」
「深雪、そこにあるCADを取ってくれ。シルバーモデルの最新型。ミスト・ディスバージョンに特化した試作品だ」
「お待ち下さい、お兄様。ここは深雪にやらせては頂けないでしょうか?
・・・・・・ニブルヘイムを最大出力で使います」
「ひぃ・・・! ご、ごごごごご、ごめ、ごめ、ごめ、ごめん、なさ、いぃ・・・・・・!?」
なんだか、よく、わかんないけど・・・すごい魔法を食らわされ、る・・・!?
なんで、こんな目にあう、の・・・!? 私が、なに、した・・・の・・・!?
「・・・・・・おい、雫。『精神構造干渉』で感情の一部が消えている俺にも怒りは有るんだ。その上で聞いてやる。お前は『どっち』を選ぶ」
「ど、どどど・・・どっち、と、は・・・・・・?」
「来年の高校受験で俺たちと同じ魔法科第一高校に進学して俺の庇護を受けるか、それともーー」
ぐっ、と達也さんが拳を握りしめ、た。
ごぎ、っていう、スゴく嫌な音が、した。
「・・・・・・!!! しししししします! しますから、お願いですから、たたたたた助け・・・・・・!!!」
呂律が回らな、い・・・!
怖くて何も、考えられ、ない・・・!
なんで、私・・・こんな地獄に、転生させられた、の・・・!?
「・・・よし。なら、明日から受験勉強開始だ。お前の今の成績だと百二十パーセント以上の確率でウィードにもなれないから、殺す気で教えてやる。死ぬ気で学べ」
「は、ははははははいぃぃぃ・・・!」
こ、こわ、こわ、こわ・・・・・・!
「・・・さて、一応話は付いたな。これで暫くは時間が稼げるか。
ーーおい、ほのか。いい加減に起きなさい。もうそろそろ帰らないとご両親が心配してるぞ」
「・・・ふぇ・・・? ・・・はっ! す、すいません、達也さん! お話の内容が深すぎて、思わず眠ってしまいました! 次からはちゃんと聞きます!」
「いや、いいんだ。大した内容じゃなかったからね。ただ、進学先の学校を第一高校に決めて、雫も来るらしいから一緒に受験勉強をしようと言っていただけさ」
「第一高校に、ですか? じ、じゃあ、私も行きます! だから、その、あの・・・私にも勉強を教えては頂けないでしょうか・・・?」
「勿論だよ。俺に教えられる範囲だったら、喜んで」
「達也さん・・・! やっぱり優しいんですね!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ほのか、それ、絶対に騙されて・・・・・・・・・
「ーー雫」
「達也さんは、優しい。これ、絶対(ガクガクブルブル)」
・・・なんで、ほのかと私で、こうまで扱いが、違う・・・の・・・?
こうして、マホーカだいいちコーコーっていう学校を目指すことになった私に、は・・・翌日じゃなくて今夜から、山と同じくらい大量の問題集が送られてき、た。
入っていた手紙にはーー
「お前の部屋なら入りきるだろ?広い部屋でよかったな。明日までに半分は終わらせておけ」
ーーって、書いてあった・・・。
・・・・・・前の中学校に、戻り、たい、な・・・・・・
つづく