「永島だったよな?」
「はい。御幸先輩。自分はストレートに自信がありますが変化球もあまり打たれないと思いますよ。」
「へぇー。自信あるんだな?」
「そりゃあそうですよ。10種類以上投げれる変化球の中でもキレのある最高の変化球を使ってましたので。」
「わかった。ならサインを確認するぞ。」
「はい。」
そう言ってサインの確認を確認しマウンドに戻って言った。
1球目は最近練習で試合に使えるレベルまであがったSFFだった。
打席に立っている打者には打ち頃にに見える真ん中高めだったがボールを打とうとしたタイミングでボールが沈み空振り
2球目はインコース高めにボール球のストレート
3球目はアウトローギリギリへのシンカー
4球目はアウトローから少し外れたボール球になるシンカー
5球目はド真ん中にストレート。これはファールにされる。
6球目は緩急のスライダーをインコース低めへ。だがこれもファールにされた。この先輩の意地を感じた。
7球目。その意地に答えようと御幸先輩のサインに首を振りフォークを要求。
そのフォークは真ん中にいったように見えるが御幸先輩が捕球しようとした時にはボールは御幸先輩の股の下を抜けていた。
これで三振だ。
side沢村
「沢村君。彼のピッチングは見ておきなさい。」
「えっ?」
「彼がなんで貴方達の代の日本代表のエースピッチャーになれたかがわかるわ。」
「それってどういう意味だ?」
「見てなさい。」
そう言われたので俺は永島のピッチングを見ていた。
あんなの俺には投げれない。変化球もストレートもあの自在に操れるコントロールも。でも最後の球には驚いた。捕手が取れない球を投げたのだ。
「あれはなんだ?最後のボールは?」
「あれが彼の伝家の宝刀フォークボールよ。周りは高速フォークと呼んでいるわ。」
side永島
「あれが彼の伝家の宝刀フォークボールよ。周りは高速フォークと呼んでいるわ。」
「ハッキリ言うとあれはフォークじゃ無いですよ。ねえ御幸先輩。」
「そうだな。なんだよ。あれは完全にVスライダーじゃねえか?回転あるしよ。でも落ち方はフォークって」
「いやー高島さんが言っていたように伝家の宝刀なんで。でも仕組みは簡単ですよ。御幸先輩。」
「どういう事なの?」
「いやー俺って背が高いじゃないですか?確か今は189cmなんですよ。そして俺のフォークは腕が1番高い所にあがったらボールを放すんです。すると角度がつくんでフォークのように落ちるんですよ。」
と俺は伝えた。
そしてしばらくして見学が終わった。
とりあえず家へ電話すると近くのコンビニへ行きなさいと言われてので向かう事にした。
待つこと10分
目の前には3年ぶりに会う幼馴染の春乃がやって来た。
「もしかして春乃?」
「ごめんね。少し遅くなっちゃた。久しぶりだねたっ君。青道の野球部の見学に行ったんでしょ?」
「そうだよ。なんで知ってるの?」
「昨日の昼頃にたっ君のお母さんから私のお母さんに電話があったんだ。明日たっ君が青道の見学に行くから!泊めてあげてって。」
「なるほど。だからお泊まりセットを持つように言われたのか。」
「うん。それと今日家の近くでお祭りがやってるの。一緒に行こう。」
「おう!行くか!」
そう言って俺は久しぶりに再開し幼馴染の家へ向かって荷物を置かせて貰った。
・・・あれ?ここは?
「お母さん!なんで私の部屋なの?」
「そうですよ。春香おばさん!なんで男女で同じ部屋なんですか?」
「そうよ。私達は年頃の男女なのよ。間違いがおこったらどうするのよ。」
「間違いって何がおこるのかしら春乃?」
「えっ・・・えっと。」
「なんか春乃が困ってるな。」
「そうね。春乃は弄るのは楽しいでしょ?」
「おばさんも昔から変わりませんね。」
「私は私だもの。変わらないわよ。」
「私は少し変わって欲しいよ。お母さん。」
「で春乃。間違いって何かしら?」
「その話はもういいでしょ!たっ君も止めてよ。」
「そしたら俺にこのイジリが来るだろ?」
「昔からそだよね。助けてくれてもいいじゃん。」
「だってねえ。おばさん。」
「あら。わかってくれるの?匠君。」
「はい。」
「「弄られてる時の春乃は可愛い」」
「わかってるじゃないの。匠君。成長したわね。」
「いえいえ。伊達にU-15の日本代表エースピッチャーはやってませんよ。」
「なるほど。」
「それは関係ないよね?たっ君。」
「それが関係あるんだよ春乃。」
「そうなの?私もソフトボールやってたけど関係ないと思うんだけど?」
「ピッチャーはいかにバッターを弄り倒すかが大切なんです!」
「それはどういう意味なのかな?」
「おばさん。近い。簡単に言うと敢えて狙い通りの球を投げたり外してみたり予想外の変化量をさせてみたり。ですよ。」
「できるの?」
「俺はU-15日本代表エースピッチャーですよ。同じ変化球でも変化量の違うものを覚えるのは当たり前です。」
「なるほど。それが匠君の弄る極意なのね。」
「はい。昔見たお笑い番組のエ○タの神様で思いついて練習しましたよ。」
「まさか。そんなところがヒントになんて。やるわね匠君。」
「いえいえそれ程でも。」
そんな感じで会話をしてその後に祭りへ行き翌日実家へ帰ったのだ。
携帯の番号とメアドを交換して。
しばらくして俺は青道高校に合格した。
その1か月後に春乃から合格したと連絡があり後は入学式ヲ待つだけとなった。