幼馴染のA   作:ニャン吉

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プロローグ

「○○○。俺!絶対に中学で日本一の投手になって青道高校の野球部に入るから!○○○も青道に入れよ!○○○が東京に引っ越すのは寂しいけど絶対に行くから!」

「うん。私は青道高校に入るよ。だからたっ君も日本一の投手になってね!私!東京で待ってるから。」

 

 

・・・あれから3年が経ち中学で最後の大会

「全国大会決勝!

1-0の好ゲーム!

今年から行われるU-15野球世界大会の日本代表に選ばれた投手と野手の大会

日本代表エースで3番打者の永島匠と日本代表4番打者でショートを守る大澤優人の今大会最後の直接対決!

最終回2アウトランナー無し!

この2人の勝負で全てが決まります。」

こうして俺の中学野球最後の大会は優勝で終わった。

この後に行われた世界大会でも決勝でアメリカと対決。

日本の打線は爆発!

俺もエースとしてしっかりと相手を抑え

8対0で俺達は優勝した。

 

そんなある日のこと

俺はあの時の約束を果たす為にスカウトが来なくてもいいように勉強をしていた。

「たくみ!青道高校のスカウトの人が来てるわよ!」

よっしゃ!そう思いながら俺は返事をして階段を降りて行った。

 

「初めまして。永島匠君。私は青道高校野球部副部長の高島です。」

「初めまして。」

「今回私達の青道高校野球部は貴方にスカウトをと思い来させていただきました。」

「はい。」

「全国大会でのピッチングと世界大会でのピッチングを見させていただきました。貴方の最速140㌔を上回る一試合平均130㌔台後半のキレの良いストレートにキレの良い変化をするフォークにスライダー、チェンジアップにシンカー。そして1番素晴らしいと思ったのがエースとしての流れを引き戻すピッチング。準決勝のキューバ戦。私は貴方の底力を見た気がします。6回まで別の投手が投げていましたが捕まり2点リードされて尚満塁。後2、3点は覚悟がいる場面で貴方はリリーフ。その後貴方は強気のピッチングでノーヒットに抑えチームに勢いを与える。そして最終回遂に打線が爆発して3-2の逆転勝利。この姿を見て将来の青道のエースを貴方に見せて欲しいと私達は思いました。ぜひ青道高校野球部に来てください。」

「えーと。元々行く気だったのですが1度練習の見学をしたいのですがいいですか?」

「本当にですか!わかりました。日程は今後お電話しますのでお願いします。」

 

・・・本日!練習の見学当日!

新潟から電車で東京へ向かっている。

そんな中で俺は高島さんを見つけた。

「高島さん。お久しぶりです。」

「あら。永島君。久しぶり。同じ電車とは偶然ね。」

「そうですね。・・・えっと、隣にいるのは?」

「そうね。紹介するわ。沢村栄純君。永島君と同じ投手よ。そして沢村君。これは永島匠君。貴方達と同級生でU-15野球日本代表エースピッチャーをやっていた子よ。」

「なぬ!エリート!俺は負けねぇ!」

「そ、そうね。・・・うるさい子でごめんね。それと沢村君は面白い球を投げるわよ。」

「へぇー。それと高島さん。沢村の親みたいですね。」

「やめてちょうだい。こんなにうるさい子は嫌よ。」

「おい!うるさいとはなんだ。」

とこんな感じの賑やかな雰囲気のまま青道高校野球部の部室前に到着した。

今、選手達はフリーバッティングをしていた。

俺はその設備に流石だなと思っていると隣で沢村と高島さんと一緒に会話をしていた。

「どう?これが我が校が誇るグラウンド設備よ。あっちには雨天練習場もあるしグラウンドもAとBの2面あるわ。それにウチの半数は寮で生活しているわ。」

そんな話を聞いていると隣で沢村がキョロキョロしだした。

「別にときめいてなんかねーぞ!ちょっと驚いただけだ!

第一こんな金かけなくても野球はできんだよ!

どーせ選手だってうまい奴ばっか集めてんだろ?

永島みたいによ!

だったらうまくて当たり前じゃねーか・・・

ていうか!

こういう何でも揃ったエリート集団には死んでも負けたくねぇ。」

と言い切った。

「沢村。」

「なんだよ。永島!うまくて当たり前なんてふざけんなよ。初めからうまいわけないだろ!」

「いいのよ。永島君。確かに沢村君の言う通りウチの部員の約半数は他県出身者・・・いわゆる野球留学というやつだわ。確かに野球留学に対する批判は多い。けど私はそうは思わない。」

沢村反応してるよ。

「俺もそう思いませんね。

今の高校野球は日本が世界一だって言われてんだぜ。

知ってるだろ?

プロの選手だって沢山メジャーに挑戦してるだろ?」

「そうね。彼らは誰よりも上手くなりたい。

その一念だけでわずか15歳の少年が親元を離れより厳しい環境で己の能力を磨き鍛え上げる。

私はね。

そういう覚悟を持った選手達を心の底から尊敬してるわ。」

とせっかく高島さんが感動的な話をしているのにAグラウンドの方から

バッティングピッチャーを批判する声が聞こえる。気分悪い。

「沢村君。永島君。彼のバッティングは見ておいた方がいいわ・・・

高校通算

42本塁打を誇る怪物

東清国

一応今年のドラフト候補生よ。」

と高島さんが教えてくれた。

見てみると確かに良いバッティングしてるよ。

あのお腹が勿体ない。

と思っているとチャレンジャー沢村の一言

「あんな身体でプロ行くって!?

マジでありえねえ。

絶対止めた方がいいって。

見てみろよあの腹!

ただのオッサンじゃねーか!

なぁ!永島!」

えっ!俺かよ。

怒ってるよ。あの人。

と思っているといつの間にか一打席勝負する事になった。

「永島君。貴方も沢村君の後にマウンドに立ちなさい。」

「いいですね。ドラフト候補生のレベルがわかるってことですよね。」

「まぁそういう解釈でいいわ。誰か永島君とキャッチボールしてくれないかしら。」

「俺がやります。」

「丹波君。お願いね。永島君。彼は丹波秀一郎。ウチの次期エース候補よ。」

「えっと。お願いします。丹波先輩。」

「よろしく。始めるぞ。」

こうして俺は丹波さんとキャッチボールを始めた。

少しして沢村が三振をとって戻って来た。

「永島君。貴方の番よ。丹波君もありがとね。」

「丹波先輩。ありがとうございます。」

そう言って俺はキャッチャーの下へ向かった。


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