彼と彼女はそうして対等になる

彼女は思いの外図太い

　１５話目です。今回は短め。

　タイトル思い付かない。そして駄文化が否めない(白目)

　とりあえずどうぞ。

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　昼休みの教室。ちなみに比企谷はベストプレイスにいるため不在。

「おーい、結衣、さっきから元気ないけどどしたん？」

「あ、優美子。別になんでもないよ、あはは…」

「いや、大丈夫に見えないから言ってるんだし。何かあったん？ ヒキオとまだ仲直りできてない感じ？」

「え、優美子知ってるの？」

「まあ、ヒキオから聞いたし」

「え、ヒッキーが？」

「うん、いろいろ話聞いてもらったときにね」

「そんなことがあったんだ」

「で、どうなん？ 手、貸す？」

「ヒッキーとはちゃんと仲直り出来たよ。私にもいけないところあったから…」

「そう、なら他にあるん？」

「ちょっと部活がね……」

　由比ヶ浜は三浦に昨日のことを話す。途中で加わった海老名も由比ヶ浜の話を真剣に聞いていた。

「……、それで私どうしよっかなって考えてるんだ」

「へー、そんなことが。ヒキオまた大変じゃん」

「優美子知ってたんだね…」

「その下りさっき結衣とやったし。その件は今はまだいいし。で、結衣はどうしたいとかあんの？」

「私は部活がなくなるのが嫌かな」

「なら雪ノ下さんを止めるしかなくない？」

「でも、まず雪ノ下さんが何考えてるのかもわからないよね」

「確かに、ゆきのんがどういうつもりなのか…」

　眉間にシワをつくって由比ヶ浜が近づく。すると、三浦は閃いたように言う。

「ならさ、聞いちゃえば？ どういうつもりなのって？ 考えてもわからないしそうするしかなくない？」

「でもゆきのん話してくれるかな……」

「そんなの結衣次第じゃん。そんなこといってるならその程度なんじゃない？ 結衣っていつも何も考えずに突っ込むじゃん。それは悪いところでもあるけど、いいところでもあるってあーしは思うよ」

「直接聞くのが無理でも、近くにいれば見えてくるとかあるんじゃない？」

　由比ヶ浜はしばらくうんうんと悩む。そして顔をあげる。

「私、ゆきのんの手伝いする。きっとゆきのんのことだから言えないことでもあるんだと思う。意味もなくあんなこと言い出したりしないはずだから。それをゆきのんの口から聞きたい。だから、まず近くでゆきのんをちゃんと見る、それから思ったことを話してみる」

「そう、結衣がそうしたいならそうすればいいし」

「うん、結衣がんばって」

「二人ともありがとう」

「別に、当たり前のことだし」

　三浦は照れくさそうにそっぽを向く。それを他の二人が微笑ましく見ていた。

　そんな彼女らと、少し離れたところで騒いでいる彼らの集団の一波乱はもう少し先の話…。

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　放課後、現状確認と方針を確認するため部室へと向かうため教室を出る。しばらくすると、後ろから由比ヶ浜がやって来た。

「ヒッキー、待って」

「あ？ どうした？」

「私、ゆきのんの手伝いすることにした」

「お前反対じゃなかったっけ？」

「そうだけど、それよりゆきのんが何考えてるのか知りたいから。近くにいようと思って」

「そうか。で、最終的には？」

「うーん、ゆきのんの気持ち聞いてから止めるかどうか決めるつもり」

「なるほど。いいんじゃね？ 俺は一応他の方法探してみるけど」

「うん。わかった」

　その後は特に言葉を交わすことはなく部室へと歩みを進めた。部室に着くと既に雪ノ下は到着していて、何かを書いていた。

「よう」

「あら、こんにちは」

「やっはろー、ゆきのん。何してるの？」

「選挙の演説を考えてるのよ」

「へー、随分とやる気だな」

「ええ」

　軽く言葉を交わし、俺達は定位置に座る。

「とりあえずこれからの方針なんだが、雪ノ下は今やってんのを進めるのでいいか？」

「構わないわ」

「で、由比ヶ浜が…」

「ゆきのんを手伝う！」

「え、いいのかしら？」

「うん。私じゃ何か方法考えるとか出来ないし…」

「そう、ありがとう」

「で、俺が他を模索」

「思い付きそうなの？」

「ぶっちゃけ全くだ」

「やはり、私の方法には反対かしら」

「あー、お前次第？」

「それはどういう…」

「自分で考えろ。ということで、確認は済んだから解散でいいか？」

「え、ええ。いいわよ」

「じゃ、先帰るわ」

　そう残して部室を出る。これでしばらく集まる必要はないだろう。さて、俺もとりあえずやることやりたいんだが…。一色呼びに行かないといけない感じ？ 嫌だよ？

　そんなことを考えながら廊下を歩いていると前からちょこちょこしたのがやって来た。

「あれ、先輩？」

「良いところに来たな。ちょっと話があるんだが」

「あの、昨日言ってたやつは…」

「もう終わった。軽く確認しただけだからな」

「そうですか。どんな感じですか？」

「雪ノ下と由比ヶ浜は昨日言ってた方法で。俺は他を探す」

「やっぱり先輩は反対なんですか？」

「一応？」

「なんですかそれ」

「詳しくは後で話す。とりあえず場所を変えるぞ」

　俺は一色を連れてベストプレイスにやって来た。話をする前に近くの自販機で飲み物を買う。俺はもちろんマッ缶。

「ほれ」

「わ、なんですか」

「俺だけ飲むのもなんだし」

「別にいいですよー」

「もう買った後だから、いらんかったら後でどうにかしろ」

「そこまで言うなら貰っときます」

　俺はいつものようにベンチに座る。一色は立ったままだ。

「で、話なんだが」

「ごめんなさい！好きな人がいるので！」

「……は？」

「……え？」

「何言ってんの？」

「…え、何って話があるって」

「だから選挙の話を」

「こ、告白じゃない？」

「なんで俺がお前に告白しなきゃいけないんだよ…」

「だってこんなところに連れてきて話があるって」

「俺、昨日お前を認識したばっかなんだけど」

「えー、まあ、そうですけど…。ほら、ここってそういうことする場所で有名ですし」

「え、ここって告白スポットなの？」

「はい、私も何度かここで」

「初耳だ…」

　俺、１年半も告白スポットで飯食ってたの？ よく遭遇しなかったな。何か今度からここに来づらいんだけど。もしかして俺がいたからできなかったパターンとかあったのかな。そうだと申し訳ないな。

「とりあえず、誤解させてすまん？」

「いえ、その、逆に謝られると私恥ずかしんですけど」

「…さっきのは忘れよう」

「すいません」

「で、さっきの話なんだが」

「一応ってやつですか？」

「そう。何か雪ノ下が生徒会長をやりたがっている可能性があってな。そうだった場合はあいつがやればいいが、確証がないから一応俺は他を探している」

「そうなんですか。でもやりたがってるなんてよくわかりましたね。もしかして先輩…」

「いや、違うから。なんですぐそういう方にいっちゃうかな」

「だって二年生の三本指に入る可愛い先輩二人と三人で部活やってるのに…」

「だからなんだよ。しかもわかったのは俺じゃなくて雪ノ下の姉だ」

「姉って、あの雪ノ下陽乃さんですか？」

「あのって、あいつそんな有名なの？」

「文化祭ですごかったから一年生の間でもかなり有名ですよ。そんな人をあいつ呼ばわりって、どういう関係なんですか？」

「友達だが」

「…先輩何者ですか」

「別に特になんでもねーよ。で、本題なんだが、お前へのダメージを回避する方法が全くないんだ」

「あー、そういうことですか。それは別にいいですよ」

「別にって？」

「既にこうやって立候補させられた時点で無傷で済むなんて思ってません」

「そうか、ならなんで相談に？」

「そりゃ、なるべく生徒会長なんて仕事したくありませんから。どうしようもなくなったら仕方ないですけど。雪ノ下先輩になら負けても全然いいので、むしろそっちの方が私的にはグッドです」

　特に顔の表情を変えることなく一色はそう言う。

「ほーん、そんな性格っつうか外面してるだけあってなかなか図太いんだな」

「やっぱりばれてますね」

「お前もうちょっと上手くできないの？」

「無理ですって。男子に好かれればだいたい女子には嫌われますから」

「そんなもんか。ま、男女関係なく上手くできない俺がいうことじゃなかったな」

「え、先輩って友達多いんじゃないんですか？」

「なんでそうなるんだ。全くそうは見えないだろ」

「でもさっきの話で…」

「逆に俺嫌われものだぞ？ 文化祭で悪い噂広まりまくったし」

「先輩って、あのヒキタニって人ですか？」

「まあ、正確にはヒキガヤだが」

「そうだったんですかー」

「その話ももういいだろ。ただお前既に名前は表に出てるから一応演説とか考えてた方がいいと思うんだが」

「取り下げはやっぱできませんかねー」

「雪ノ下がなることになって取り下げたら印象悪くないか？」

「そうですか？ぶっちゃけ変なノリで起きた事態ですしそんな心配しなくてもいいんじゃないかなーって思ってるんですよ。それに私に不利益な噂が流れたときは無理矢理立候補させられてたことを…」

「怖っ、それ最初からやれば？」

「しませんよ。そこまで大事にしたくないですし」

「お前がもうちょっと深刻そうにしてれば早いうちに取り消せただろうに」

「そんなの絶対にやですよ。負けたみたいじゃないですか、それ相手の一番喜ぶ反応です」

　なんか一色の心配は要らなさそうだ。侮ってたわ。周り気にせず葉山にアピールしてるだけはあるんだな。ぶっちゃけすげぇ。

　そうなるとますます雪ノ下がやる方法が良くなってきたな。もうこれ俺何もしなくていいんじゃね？ どうにでもなるような気がしてた。結局俺が難しく考えすぎてただけだったのかも知れない。雪ノ下のそばには一番適任の由比ヶ浜がいるし。

「話付き合ってくれて助かった。もう大丈夫だ」

「いえいえ、元は私のことですから」

「やっぱり雪ノ下がやる方法がいいかもしれない。とりあえずそう思っててくれ。決まり次第取り下げられるかどうか判断してその後を考えるでいいか？」

「はい。全然大丈夫です」

「じゃ、そういうことで」

　話を終え一色と別れて、俺は家へ帰った。

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　木曜の放課後、俺はまた陽乃に会いにとある喫茶店に来た。今回は俺が早かったので席に座って本を読んで陽乃を待っている。

「やっほー、八幡」

「おう」

「待った？」

「そんなに。いつもは俺が待たせるから気にするな」

「確かに、そうする」

　俺の正面に陽乃は座り、適当に二人して注文を済ませる。

「早速、どんな感じ？」

「一色とも話したんだけど、もう雪ノ下に任せようかと思ってる」

「雪乃ちゃんやりたいって言ってた？」

「いや、それはまだ聞いてないが。一色もなんだか大丈夫そうだし。なんせ他に何も浮かばないからな」

「いいんじゃない？ もともと案出せばいい程度の依頼だったんだしさ」

「今回はちょっと、いや、だいぶでしゃばり過ぎたな。仕事嫌いなはずが、らしくない」

「まあ八幡そんないってるけどなんだかんだ真面目だからね。結局、私も八幡も今回は出番なしかな」

「そうだな」

　店員が頼んだ物を持ってきた。それを飲み食いしながら適当に話をする。

「というかさ、そのくらいだったら電話で済ませてもよかったね」

「言われてみれば…。最近陽乃と会うのが完全に日常に組み込まれてきたからかな。電話で済まそうなんて思いもしなかったわ」

「そ、そう。私も八幡とこうしてるの好きだから全然いいんだけど」

「おう。………そのヘアピン使ってくれてるんだな」

「もちろん。結構気に入ってるのよ。改めてありがとう。周りにちょっと騒がれたけど」

「なんだそれ」

「ほら、私今までこういったのつけたことなかったからさ。友達にね、いろいろと…」

「まあ、気に入ってんなら何よりだな」

　そんなこんなでしばらく他愛のない話を続ける。そうし始めて十数分だった頃、突然俺達の席の側に誰かが近づいてきた。顔を上げるとそこには……、

「ヒッキー？」

「姉さん……」

　雪ノ下と由比ヶ浜がいた。

「あ、雪乃ちゃんじゃん。ガハマちゃんも」

「よう、お前ら。…何してんだ？」

「選挙の話し合いをしていて…、で、何故あなたと姉さんは一緒に？」

「まあ、いろいろと？」

　別に隠していたわけではないが、ないと思うんだが、変な返答になっちゃった。

　……陽乃は、なんか楽しそうだな。

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　ということで、次でたぶん生徒会選挙の話は終わると思います。面白い展開にはちょっとできませんでした。

　１５話ということで、おそらくもう折り返し地点を過ぎているのではないかと思います。３０話いくかなー、ちょっと予想できない。

　あと、一色ちゃんはおそらくもう出てこないかも。

　ではまた次回。