彼と彼女はそうして対等になる   作:かえるくん

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 お待たせしました。

 14話目です。どうぞ。


陽乃はよくわかっている

 あれから急ぎ足でドーナツショップまでやって来た。店内には結構な人がいた。学生は帰宅するタイミングだから仕方ない。店内を見渡して本を読んでいる陽乃を見つける。その姿はかなり様になっていて、なかなかに注目されているが陽乃は知らぬ顔だ。さすがっすね、陽乃さんや。そんなことを思いながら陽乃の所へ行き正面に座る。ふ、周りの連中よ、その反応にはもう慣れたさ。

 

「お待たせしました」

「お、来たね。お久しぶり」

「どうも、つってもそんな期間あいてませんけどね。電話もしたし」

「それもそうね。ま、とりあえずおかえり?」

「ただいま」

「どうだった京都」

「かなりいいところでしたよ」

「それはそれは、楽しめたみたいだね」

「ええ、とても」

 

 軽い挨拶を交わした後ちょっとした雑談を続ける。それに一区切りうち、俺は飲み物とドーナツを買うために一度席を外れる。会計を終えて席に戻ってきたタイミングで陽乃が言う。

 

「じゃ、修学旅行の話を聞こうか」

「そうですね。先にいっておくと今日はまた別の相談があるんでよろしく」

「修学旅行であの後なんかあった?」

「まあそれはそうですが、相談はまた違うことです」

「えー、修学旅行終わったばっかりでいきなり? 八幡京都でお祓いでもしてきてもらった方がよかったんじゃない?」

「なんか憑いてますかね」

「ほら、証拠に目がとんでもないことに…」

「うるせ、ほっとけ」

 

 ちょっと、脱線してるよ。

 

「で、修学旅行は?」

「そうですよ、あの電話の後からですね……」

 

 陽乃にあの後あったことを由比ヶ浜とはさっき和解したことを告げる。

 

「あははは、そこでその方法が真っ先に思い付いちゃうあたりがほんと八幡だよね」

「う、そんな笑わんでも」

「くくっ、でもさー八幡。嘘はいけないなー、この陽乃ちゃんは誤魔化せないぞ♪」

「嘘なんて…」

「雪乃ちゃん達の事を計算にいれ忘れたっての、嘘でしょ」

「それは」

「忘れてなんかない、いれなかったんだよね」

「……」

「だっていれちゃうと八幡のやり方できなくなっちゃうもん。だから意図的に外したんでしょ」

「………」

「じゃないとやる前から思い付いた策を愚策なんて言ったりしないよ。愚かな策、八幡はそれをわかっていたからそう思ったんじゃない?」

「…否定できませんね」

「私が思うに、八幡さ、そろそろ限界なんじゃない? 今まではなんの支障もなかったかもしれないけど、今じゃ周りに人が増えすぎたよ」

「でも俺のやり方はこうだし、流石に止めるわけには…、目的もあるし」

 

 自分を切る方法は俺の専売特許だ。それをやめるとなると身動きできなくなるに等しい。

 

「私は止めろなんて言うつもりはないよ。八幡のやり方は八幡にしかできないし、必ず必要な場面が訪れるから。それにそれをやってのける八幡はすごいって思うよ」

 

「でも、不必要にその方法を使うのはまずいと思うのよ。修学旅行の件は緊急とはいえ他にもいろんなやり方があるわけじゃない? まあ八幡の思考回路には既に染み付いちゃってるから真っ先にそれが浮かぶのは仕方ないけどさ」

 

「これからは柔軟性を身に付けるといいよ。この先も無闇に使い続けると予想外の厄介事を産み出しちゃうかも知れないから。今回はそこまで大変じゃなかったけどさ。八幡もそれは望まないでしょ?」

「まあ、そうだな。要は無駄に俺の方法を使い過ぎるなってことか?」

「そうね、使い分けって言うのかな。今はこの方法しかないってときとか、ここは試すチャンスだってときとかは使って、ここで使ったら不必要に周りを禍根を残すだけだなって時は別を模索するみたいな感じ?」

「なるほど」

「第一、八幡が本領を発揮しだすのは事態が窮地に追い込まれているとき、もう打つ手がほとんどないってときだからね。奥義や諸刃の剣みたいなものだよ。普段からそんなものぽんぽん使わないでしょ。そんなことしてたらあっちこっちに反動がすごいよ」

「俺の方法ってそんな扱いなの…。でも確かに序盤で使う機会はないかも。にしても陽乃は止めろとは言わないんだな」

「だから言ったでしょ、必要だと思ってるって。それに八幡の強味だもの。それを止めろって、私から仮面と処世術を奪うようなものよ」

「そんなもんか?」

「まあ今回は緊急だったから仕方ないとは思うけど。でも本当によく嘘告白なんて方法思い付くわよね。私じゃ候補にも上がってこないもん」

「ちなみに陽乃だったらどうした?」

「うーん、先生が呼んでたとか、緊急の用があるから来てとかいって無理矢理どっちかを連れ出して、その後戸部くんを説得するかな」

「おお、そんな方法もあったか。さっぱりだったわ」

「いや、結構普通だと思うよ…。八幡の方法を思い付く人の方が圧倒的に少ないって」

「そうか? まあ、確かに使い分けは大事そうだな。今回はあいつらの機嫌を損ねるだけで済んだけど、今後はどうなるかわからないし」

「そうそう、無駄に八幡の立場を危うくする可能性だってあるもの。精神的ダメージはなんとかなっても社会的ダメージはどうにもならないことが多いし」

「リスクリターンの計算は得意なはずだったんだけどなー」

「ダメージは予想外のところから来たり、想像以上に大きくなることがあるからね。利益と一緒で」

「ま、今回はこれがわかったってことが大きなリターンだということにしよう」

「なんか丸く収めてるところ悪いけど八幡まだ雪乃ちゃんと和解してないよ」

「そうなんよなー、でも今ちょっと」

「え、なに?」

「ほら、最初に言った相談事、あれ絡みでちょっと対立ぎみというかなんというか」

「へー、どんな?」

 

 陽乃に生徒会選挙に関する今日のやり取りを話す。

 

「へー、雪乃ちゃんが立候補ね」

「正直今のあいつに生徒会長が務まるとは思えない。文化祭の二の舞になりそうで」

「そうね、想像に難くないわ」

「それに今回は自分から立候補したわけじゃないし」

「あの子が自ら進んでやったことなんてあるのかな」

「部活とかは?」

「そういえば奉仕部って雪乃ちゃんが言い出したのか、静ちゃんが始めさせたのか、どっちかな」

「てっきり雪ノ下が作ったのかと」

「あの子がそんなことするかなー」

 

 なんとなく今までのことを思い出してみる。てか基本奉仕部ってのが受け身なんだよな。積極性の欠片もない。

 

「あ、あれは?文実は、立候補したんじゃないか?」

「え、そうなの?私てっきりクラスで推薦さたからかと」

「陽乃がやってたからじゃないのか?」

「それでちょっとやろうと思っていたけど言い出せなかったところで、推薦されて乗っかったのかと思ってた。相模ちゃんだっけ?の依頼もほいほい受けてたし気になってたのかなーとばかり」

「えー、ならもしかして」

「そうね、その可能性もあるよ。実際規約や現状についても詳しかったんでしょ?」

 

 もしかして雪ノ下は生徒会長になりたいのか? そう考えられなくもない、確証はないが。

 

「でもその場合だとだいぶ楽になるな。したい奴がいるならそいつがやればいい。ただ問題なのは…」

「雪乃ちゃんの性格というか技量というか……」

「あいつほど立ち位置や評判は適しているのに、内側が全然あってないやついないぞ」

「といっても雪乃ちゃんに足りないのって大きいのが1つだけなのよね」

「あー、確かに。だいたいの要素がそこにたどり着くな」

「そうそう、あれよね」

「ああ、あれだな」

 

 

「「謙虚さだな(ね)」」

 

 

 それさえあればなんとかなると思うんだよな。まず人を見下さなくなるから、周りと無駄に険悪になることはないだろ。それから自分の限界も認めることになるから抱え込みすぎることもない。そして自分の考えが絶対ではなくなるからもっと柔らかくなるはず。

 

「とはいえ、あいつがちゃんと意思表示をしないと背中は押せないな。依頼を利用しているだけだ」

「逃げ道や言い訳の元ができちゃうもんね」

「自ら言い出して逃げた奴が一人いたがな」

「そういえばいたね。流石に雪乃ちゃんがあそこまで愚かだとは思わないけど」

「ま、あいつがやりたいかどうかはまだわからないからな。そうじゃなかったときのことも考えないといけない。ちなみにどれくらいの確率でやりたがってると思う?」

「そうねー、7~8割ってところかなー」

「えらい高いな」

「生徒会長は私やらなかったからね。最近は私の後ろを追っかけるのも止めたみたいだし、そこに至ってもおかしくはないかな」

「なるほど」

「あとは姉の勘よ」

「なんか妙に説得力があるなそれ」

 

 その後色々なことを話し合ってみたがこれといった案は出なかった。なんというか、今の俺と陽乃が雪ノ下と話してもなんとかなる気が全くしないんだよな。

 

「あー、もう無理だって」

「ちょっと私も考えてるんだからがんばってよ」

「世の中ドーナツみたいに甘かったらいいのに」

「八幡それ全然面白くないよ」

「じゃあドーナツ見たいに人の考えの向こう側が覗ければいいのに」

「それされたら私も八幡も何もできなくなるわね」

「そうだ、やっぱなしで」

 

 なんかぐだぐだしてきたな、俺が。これは俺がどっかで妥協すべきなのかもしれない。だいたい意欲のあるやつがいたらもう出てきてるに決まっているんだ。それが出てこないってことはいないってことだろ。なら不安だがやってもいいって奴に頼むしかない。

 

「なあ、俺ちょっと慎重になりすぎてるか?」

「それはあるかも。所詮、高校の生徒会長ってだけだからね。多少の失敗はなんとかなるし、取り返しのつかないことになるなんて滅多にないでしょ」

「だよな。でもなんでか不安が拭えないんだよ」

「もしかして相模ちゃんの件が尾を引いてるんじゃない? かなり危ないところまでいったし。あれは、本当ごめん」

「別にいい、済んだことだし。そうなると厳しく考えすぎたかな。もう雪ノ下に任せてもいいか? でもやっぱあいつはあいつで不安だわ」

「一色ちゃんを説得するのは?」

「俺は一色のことよく知らないから何とも言えないが、方法としてはなしじゃない。今度一色と話してみるか」

「一色ちゃんってどんな子なの?」

「えっとな、ザ・可愛い女子高生って感じだ」

「なにそれ…」

「ほら、自分の魅せ方を熟知してるやつ。クラスの男を片っ端から引っ掻けそうなやついるでしょ」

「あ、それで無理矢理立候補されちゃったわけね。私だったら女子もまとめて掌の上に乗せるけど」

「陽乃は次元が違うだろ。武器の数が桁違いだ」

「ふふん、それほどでも」

「わー、すごいすごーい」

「ちょっと、持ち上げるなら最後までちゃんとやってよ」

「その先にいい未来が見えなかった」

「なによそれ……」

 

 また明日の状況を見てまた考えるかな。もしかしたら先生が何とかするかもしれないし、由比ヶ浜がどう動くかもわからん。

 

「ちょっと様子見するか。あと一週間はあるし、今は一色と話すことくらいでいいだろ」

「そうね、焦っても浮かばないし。私も何か考えてはみるけどあまり期待はしないで」

「俺も今回は全部丸く収める自信がこれっぽっちもない。というか一色へのダメージをなくす方法が見当たらない」

「確かに会長になるにしてもならないにしても傷はつくわね」

「まあその辺も本人に聞いてみないとな」

「お疲れ様」

「ほんと、俺この前まで京都いたんだけど……。あ、そうだ」

 

 俺は鞄をあさり、小さな紙袋を取り出す。

 

「これ、修学旅行のお土産。流石に一万円分じゃないが」

「それ冗談に決まってるでしょ。ほんとにそれだけ買ってきたら困るって」

「あんま期待するなよ」

「わー、きっとすごいんだろうなー、楽しみだなー」

「おい、もう返せ」

「嘘、嘘だって。ジョークよ、悪ノリよ」

「はぁ」

「空けていい?」

「もう陽乃のものだし好きにすればいい」

「おや、久しぶりの捻デレ」

「ほっとけ」

 

 陽乃は開封し始める。俺はそんな陽乃から視線をはずし他所を向く。自分の贈り物を相手が開けるところって見辛くない?

 

「これは、ヘアピン…。ちりめん細工ね」

 

 そういう陽乃の手には俺が買った3本のヘアピンがあった。それぞれにちりめん細工の花飾りがついている。どれも明るい色の花だ。

 

「どうしてこれを?」

「どうしてって、似合うかなーと思って?」

「私には可愛いすぎない?」

「そうか? 陽乃が普段そういうの着けてないだけで似合うと思ったんだがな。慣れないのか?」

「昔からあまりこういうのってつける機会なかったのよね。いつもおとなしめのやつとかだったから。ど、どう?」

「おぅ、予想以上にいいと、思う」

「そう…。あ、ありがと」

 

 少し沈黙が流れる。……ちょっと誰か助けて。急に空気がおかしくなった。からかうつもりだったのに言葉出てこなかったよ。ワンポイントで印象って結構変わるんだな。

 

 

 

 ……にしても気まずい。陽乃が下向いたままちょっともじもじしてる。いつものあの感じはどこ行っちゃったの? そのヘアピン性格改変効果でもあるんじゃね? やばいって、言葉に出来ないけどやばい。

 

 しばらくそんな右にも左にも傾かない状況が続いていたが、全く想定外の形でそれは傾いた。

 

「あれ? 比企谷?」

「あ? ………折本か?」

「超ナツいんだけど!レアキャラじゃない?てか、なんか印象変わった? ウケる」

 

 いや、全然うけません。ついていけてないです。ほら、俺よりついていけてない陽乃の目が点になってる。さっきから陽乃がキャラ保ててないよ。

 

「あれ? 比企谷って総武?」

「そうだが」

「へー、いっがーい!頭良かったんだー!知らなかった。全然人と話してなかったもんね」

「そうだな」

 

 お前は全く変わってないんだな。あ、折本の目線が陽乃へ向けられた。

 

「彼女さん?」

「いや、…友達だ」

「え、友達? 年上でしょ?」

「そうだが…、なあ陽乃、あれ、おーい、いい加減戻ってこーい」

「…は! あれ? 何事?」

「おい、大丈夫か?」

「5秒頂戴……、よし、で、どちらさん?」

「まあ、分かりやすく言うとだな」

「うん」

「……黒歴史の1ページだ」

「あーなるほど、だいたい理解したわ。八幡、どんまい」

 

 おい、台詞とはうらはらで目が輝いてるぞ。て、俺ほったらかしで話始めちゃったよ。何をそんなに盛り上がってるの? とりあえず陽乃のコミュ力に脱帽。

 

 俺はそんな二人をボケーっと眺めていると、急に話をふられた。

 

「にしてもあの比企谷がこんな美人さんと友達とかびっくりなんだけど」

「そうか?」

「しかもタメ口でしゃべっちゃってるし」

「そういえばそうだな。いつからだ?」

「さー? もうこの先それでいいよ」

「じゃ、そうするわ」

「あ、そうそう。比企谷さ、葉山くん知ってる?」

「葉山って、あの葉山?」

「総武に葉山くんってたくさんいるの?」

「いや、一人しか知らん」

「葉山隼人くんなんだけど、サッカー部の」

「ああ、そいつがどうした?」

「うちの学校に紹介してって子たくさんいるんだよねー。あ、この子とかもそう。仲町千佳、私の友達」

 

 へー、あいつ外でも有名なんだな。

 

「お前だったら友達に葉山の知り合いくらいいそうだけどな」

「うちの中学から総武に行った人あんまりいないからそんな友達いないんだよね。でもこんな美人さんと友達の比企谷なら知ってそうじゃない?」

「まあ、一応。でもあいつ誘っても来ないと思うぞ」

「確かに隼人は普通に誘っても来ないわね」

「それ暗に自分が言えば来るってことだよな」

「もちろん、たぶんすぐ来ると思う」

「やめろ。俺の経験上あいつと関わるとあんまりいいことないんだ」

「そうね、今違うことで手一杯だし」

「だな。ということで諦めてくれ」

「ということって、全然そんな内容じゃなかったと思うんだけど…。そっかー、残念だなー。まあ仕方ないね」

「おう、すまんな」

 

 ふと時計を見るとだいぶ時間がたっていたので、陽乃と話して今日はもう解散することにした。俺がテーブルの上を片付けていると、まだ近くにいた折本が口を開いた。

 

「なんというか、比企谷って思ってたより面白いんだねー、知らなかったんだけど。マジ激変じゃん」

「そりゃあの頃からだいぶたったからな」

「私結構誤解してたかも…」

「んなもんだろ、あの頃がやばかったのは事実だしな。あんま思い出したくないからほじくり返すなよ」

「なにそれウケる。それじゃ、私達は帰るね。陽乃さんもありがとうございました」

「全然いいよー。面白い話聞けたし」

「じゃ、比企谷またねー」

「おう、またがあるとは思わないが」

 

 折本が出ていった後、しばらくたって俺達も店を出る。

 

「あいつからなに聞いたんだ?」

「中学の時どんなんだったかとかかな?」

「たいして聞くことなかっただろ」

「うん。全然だった」

「う、自分で言っといてなんだけどそれはそれで…」

「ま、いいじゃない。折本ちゃんも八幡が面白い人って気付いたみたいだし」

「そうか? 自分じゃよくわからんな」

「私は今の八幡は好きよ。前までのもよかったけどね」

「そうか、ありがとな」

「あれ、照れないんだ」

「今まであんまり言われたことなかったからな。噛み締めてんだよ」

「なにそれ…」

「…、なんか後からじわじわ来そう。来る前に帰ろ。また今週のどっかでな、連絡するから、じゃ」

「え、あれ、逃げた?!」

 

 俺は急いでその場を離れて帰路につく。そのため俺が陽乃の少し赤みの増した顔に気付くことはなかった。

 

 急いだせいか心臓が少しうるさかった。

 

 

 

 

 




 今回は久しぶりに長めだったかな? そんな変わらんか。

 とりあえず仲町ちゃんに台詞がないのは許してください。

 ではまた次回に。

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