もうすぐシバザクラちゃんのピックアップが来ます。ポインセチア通常版持ってるので我慢して石溜めましたので、何とか出てほしいモノです。
今回のイベントの新キャラ四人もなかなかに良いキャラしてますよね。
次の虹チケはムラサキハナナちゃんに決まりです。
それにしても、ようやくリシアンサスの開花が来ましたが、開花クエでぼろくそ言われてて笑いました。リンゴ団長より酷い事言われててww
さて、前書きもそろそろ長くなったので、本編どうぞ。
『ハナモモの追憶 花騎士の条件 前編』
「やぁッ!!」
団長の大上段からの木刀の振り下ろしが相手を捕らえる。
「せいッ」
だが、それは相手にしてみれば今から殴りますよ、と言ってから攻撃するようなものだった。
あっさり間合いを読まれ、団長はカウンターを食らい地面に倒れた。
「おいおい、そんなんでよく騎士団長が務まるなぁ」
団長と対面していたのは、今現在彼の部下である衛兵の男だった。
彼の言葉のニュアンスからバカにしているというより、不安や心配が多分に含まれていた。
「見た感じ士官学校で初めて剣を教わったって感じの腕前だが、こんな程度でよく卒業できたな」
「……士官学校じゃあ剣の腕はあまり重視されないんですよ」
彼に手を貸されて起き上がりつつも、団長は少しムッとした様子でそう答えた。
「まあ、それもそうか。花騎士以外が害虫に正面から殴りあうわけにもいかんだろうしなぁ」
「皆さんは……」
団長は、周囲を見渡す。
ここは城内の訓練場だった。
多くの衛兵が、稽古や鍛錬に勤しんでいる。
「ここまで厳しい鍛錬を課す必要があるんですか?」
団長は己の疑問を口にした。
今日は衛兵たちに訓練場が貸し出される日で、多くの衛兵たちが自らを高めようと鍛えている。
だが彼らに訓練場が貸し出される日の割合が花騎士たちと比べて圧倒的に少ないのは言うまでもないことだった。
団長も彼らと一週間の付き合いになるが、それでもここに来るのは今日がはじめてだった。
今日が仕事で予定のある衛兵がいる事を思えば、こうして訓練場で鍛錬できる日などかなり限られるだろう。
その上、この訓練は自己鍛錬であり、強制ではない。
それでも彼の部下たちは全員ここで稽古に励んでいた。
「そりゃあ勿論」
団長にそう問われた彼は、団長の無意識に「害虫と戦うわけでもないのに」というニュアンスの言葉を気にした様子も無く、こう答えた。
「出世の為だ」
「出世ですか?」
思いのほか当たり前のことに、団長は面を食らった。
「なんだ、その意外そうなツラは」
「いえ、僕は出世とか考えたことなかったので」
「はぁ~、いいねぇ平民出身はそういうのと無縁で」
小バカにすると言うより呆れた様子で彼は団長に肩を竦めて見せた。
「えッ、貴族だったんですか?」
「これでも代々千年続く騎士の家系って触れ込みよ。
何でもご先祖様は害虫が現われた時代に武勲を立てたとか何とかで騎士の仲間入りをしたんだとさ」
少々ガラの悪い青年くらいしか思ってなかった人物が実はれっきとした貴族だということに驚きを隠せなかった。
「まあ、三男坊だけどな。というかうちの部隊の連中全員そうだぜ。
下級貴族の子女だとか、家督を継げない次男三男ばかりだが」
「そう、だったんですか……」
結構フレンドリーに接してくるもんだから、彼は勝手に平民同士だと勘違いしていた。
と言うか、普通の騎士の家系でも長い歴史が有るのは流石リリィウッドだなぁ、と変な感心を抱いていた。
「そっちも終わった?」
「マジで疲れたわー」
「って言うか女子相手に本気になるとか大人気なくない?」
「お前ら騎士学校の出のくせになに言ってやがる」
すると、向こうでも稽古をしていた面々がタオルで汗を拭きながらやってきた。
「はぁ~」
「どうしたんだよ」
「ハナモモちゃんマジつえーの。
あれで魔力抜きでやってるんだから本当にへこむわ」
「そりゃあ、害虫相手に三年近く実戦を積んでりゃなぁ。
訓練や試合だけの俺たちとはモノが違うって」
そしてハナモモと稽古した男子たちが落ち込んでいた。
彼女は全員と鍛錬をしたようだが、実戦経験の差はかなり大きいようだった。
「仕方ないだろ、俺のお袋って元花騎士だけど実戦経験が有るか無いかはマジで違うらしいし」
「分かっててもへこまなきゃ男じゃねーだろ」
そんな男同士のやり取りを見ていた団長は、実戦経験があるのにてんでダメだったので内心落ち込んでいた。
「やっぱり皆さんも、出世の為に鍛錬を積んでいるんですか?」
団長が他の男三人に聞いてみると、何を当たり前な、という表情をされた。
「あたりめーじゃん、俺なんて養子だから出世できなきゃ家に居場所無いんだよ」
「貧乏貴族の家なのに、世間体の為に養子取るとか上流階級気取りだよな」
「実子の兄貴がボンクラなんだよ。あとてめぇ侮辱してんならぶっ殺すぞ、一応孤児の身の上を救って貰ったのは本当だしな」
「悪い悪い」
そして返ってきたのは生々しい貴族事情だった。
「お前は期待されてる分まだいいだろ。
俺の家なんて当主を継ぐのは男児ってしきたりでよ、俺が待望の長男だって思ったら、すぐに俺の母親より地位の高い別の親父の妻が男の子を産んであっさりお払い箱よ。
弟のスペアに恥じない地位を得ろー、とかあのクソ親父いつかぶっ殺してやる」
「あー、あるよなー、そう言う家系」
「いまどきリリィウッドでも女性当主は珍しくないのになー」
「その点、俺は気楽だよな、単なる商人の息子だし」
「ああ、そう言えば商人ギルドの大幹部で豪商の息子なのに衛兵なんかやってるドラ息子だったなお前」
「お前ん家のカネ、ちょっとでもいいからうちに寄越せよ」
「ははは、俺に自由にできるカネなんてあるかよ」
と言った内容で、団長も自分の知り合いが揃いも揃って地位のある人たちだと知って苦笑いだった。
どこの馬の骨とも知れない自分とはえらい違いだった。
「聞いた、団長さん? こいつら、近衛隊所属になりたいんだってさ」
「ありえないよねー」
そして、そんな男子たちを女子たちは無邪気に笑っていた。
「近衛隊って、それって花騎士よりなるのが難しいんじゃ」
団長は驚いて思わずそう言った。
近衛隊と言えば、その仕事は王族などの身辺警護。
花騎士は地位や身分など関係ないが、近衛兵はハッキリした出自が求められる分だけどちらもエリートだが花騎士より狭い門と言える。
「うるせえぞ女ども、男の立身出世といえば近衛隊か騎士団上層部所属だろうが」
「どうせお姫さま達に見初めて貰えたらなーって下心でしょ」
「やかましい!! 夢見て悪いのかよ!!」
「そうだそうだ!!」
思いのほか欲望に忠実な男どもだった。
「現実的に見て、うちらじゃいいとこ儀仗隊ぐらいで十分じゃん」
と、冷めた態度で女子の一人がそう言った。
「儀仗隊って言うと、儀式の時に祭壇への道の左右に並んで、儀式の主役がが通り過ぎたら持っていた剣を頭上でかーんってする人たちですよね」
近衛兵は見たことないが、儀仗隊なら団長も見たことが有った。
リリィウッドは祭事の国である為、儀式などで周囲を飾る儀仗隊はかなり気合が入っている。
「うんまあ、そんなかんじだよね、うん」
「どちらかっていうと儀式場の保全とかが主な仕事だけど。
儀式の本番の時とかさ、こう揃った動きで主役を際立たせて、静かに周囲に控えるのってかっこいいじゃない?」
「ええ、かっこいいですよね!!」
名誉が有り、花が有り、何より現実的である。
うんうん、と団長が女子たちに賛同していると、男どもは不満そうになった。
「つーか、団長は今はこっちに来てるけど、やっぱり将来は手柄を立てて上層部に行くのか? 大多数があっさり引退しちまうって聞いたけど。」
「でも良いよな、騎士団長は分かりやすく手柄を立てられるからさ」
「そうか? 手柄を騎士団に総取りされてるからそれを妬む貴族いっぱいいるぜ。
騎士団の運用を完全に貴族でやろうって画策してる連中もいるし」
「うへぇ、俺は商人の生まれで良かった」
などと、好き勝手に言う男どもだった。
「いや、正直、給料が良かったらこのまま衛兵でもいいかなって」
と、団長は恥かしそうにそんな本音を漏らした。
「ぶわははは!! そうだよな、給料良くないとやってられねーよな!!」
「衛兵ってのはほんと給料安いからなー」
団長の答えは、男たちの笑いのツボに入ったらしく、そんな風に笑われてしまった。
実際、団長や現在中位騎士のハナモモの給料だけで、彼ら十人の給料合わせて二人それぞれと同等なのだから、彼がそれを言ったら笑うしかないだろう。
これで金銭的に恵まれていない他の平民出身ばかりの部隊だったら、また別の反応だっただろうが。
「そういや、あの二人まだやってんのか」
話しも切が良い所まで行くと、未だ稽古をしているハナモモと同僚がもう一人。
あの花騎士への憧れが捨てきれていないと仲間から言われている彼女だった。
ハナモモは小柄ながら、豊富な実戦経験から迷わず打ち込んでいる。
それに彼女は実力差から付いて行くのがやっとのようだった。
「なあ、団長から見てやっぱりアイツはダメなのか?」
「そんなことはありませんよ」
同僚の男の問いに、団長は首を横に振った。
「実力は問題ないと思います。害虫との実践を経て化ける人は多いですし、僕も実際にそういう子たちを目にしてきました。
ですが花騎士は実力が全てではないですから」
それを聞いて、苦い顔をしたのは花騎士の道を諦めたと言う女子五人だった。
「あたしらが言うのもあれだけど、変に芽が有るとねー」
「希望に縋りたくなっちゃうって言うか」
「見てられないって言うか」
ここにいる全員が、彼女の危うさを感じ取っているようだった。
だからこそ、団長は彼女の希望を取ってスカウトしようとは思わなかった。
団長は自分の部隊に所属していた花騎士二十人を一人一人面接して、部下へと加えた。
そして、彼女のような危うい候補を全て落とした。
だからお情けで彼女を花騎士にしてあげよう、なんて彼女の為にもしないのだ。
「団長さん」
やがて、ハナモモとの稽古を終えたその彼女が団長の元へとやってきた。
団長はついに来たかと思って、彼女越しに真剣な目で見るハナモモと一瞬だけ視線を合わせた。
「私は以前、貴女の所属する騎士団へ赴き、花騎士として採用して頂けるよう面接と試験を致しました」
それを聞いて団長は一瞬驚いたが、同時に納得もしていた。
向上心の高い彼女が自ら売り込むぐらいしても別にオカシイことではない。
「そして、あの男に会いました」
彼女は唇をぎゅっと結び、悔しさと屈辱に耐えるようにそう言った。
「あの男?」
「あなたを滅多打ちにした、あの人ですよ」
「ああ……」
リンゴ団長に当たったのか、と彼は少し彼女が気の毒に思った。
「彼は試験官として私にこう言いました。
お前に任せられる仕事は無い、顔を洗って出直して来い、と」
同僚たちもそれは初耳だったのか、痛ましそうな表情になった。
「私の父は騎士団長として武勲を挙げ、数人の花騎士の妻を娶り、私はその一人の娘です。
私や姉や妹たちも、幼少期から母親たちから手ほどきを受けて来ました。
お蔭で私は騎士学校を次席で卒業でき、卒業試験で実際にフォス街道で害虫を倒すこともできました」
「それは、凄いですね」
「いいえ、あんな卒業試験で出てくる害虫なんて、卒業させてあげる為のおままごとだと母親たちに口を揃えて言われました。誇るべきことではありません」
団長の賞賛を、彼女は首を振って否定した。
彼もハナモモも確かに、と思った。フォス街道に出てくる害虫は、普段数多の騎士団が巡回している中で取りこぼされた雑魚の中の雑魚ばかりだ。
花騎士見習いの練習相手や准騎士の訓練相手として安全な相手でしかない。
彼女としても、弱い害虫を倒せてすごいね、と言われたいのではなく、実際に害虫に相対して恐れを抱かなかったことを見て貰いたかったのだろう。
「姉も妹も、既に花騎士として騎士団に所属し、実際に戦果を挙げているそうです。
騎士学校を卒業している姉妹で、私だけ、私だけなんです……」
「ご両親はなんと?」
「そういう物だから、焦らずに地道に機会を待てとしか」
それは両親が正しい、と団長も思った。
そして彼女の焦りはリンゴ団長に当然のように見抜かれている。
彼としても、たとえここで泣き落としされようとも彼女を受け入れるつもりはなかった。
彼女には自分を見つめ直す必要があり、顔を洗って出直して来いとはそういう事なのだ。
この状態の彼女を無理に戦いに出しても、不幸になるのは彼女とその周囲なのだから。
ハナモモも彼女の後ろで、分かってますわよね? と無言で圧力を掛けているし。
「団長さん、いったい、いったい私の何がいけないのでしょうか?」
焦燥、不安、恐れ、それらを捨てなければ花騎士として未来が無いことを説明しても、団長は納得しないだろうことは分かっていた。
「まず、貴女を不採用にしたリンゴ団長の意見ですが」
「……はい」
「全面的に同意します。彼は本当に多くの花騎士を見て来ましたし、見る目もあります。
僕も団長業の師匠のひとりとして、彼を信頼しています。彼がダメと言ったのならそれを否定する材料を持ちません」
「あんなに、貴方を滅多打ちにした相手をですか?」
「ええ、勿論です」
団長は躊躇いなく頷いた。
「どうしても納得できないのなら、僕の部隊の採用試験を受けてみますか?
それで僕が満足できる結果だったなら、僕が元の部隊に戻った時に貴方を自分のスカウト枠で採用しても良いです」
「本当ですか?」
団長の言葉に、僅かに彼女の表情に希望が灯った。
だが彼は確信している。彼女がこの試験を受かることが無いだろうと。
「ハナモモちゃん、あれを持ってきてくれませんか?」
団長の要請に、彼の一番の部下は静かに頷いた。
§§§
「僕の採用試験で使うのは、これです」
城内の個室を借り、団長が手に示したのは『花騎士卓上演習2.0版』だった。
「やったことはありますか?」
「騎士学校の授業の一環で何度か」
彼女以外にも、彼女に付いて来た同僚たちが懐かしいなぁとか言っていた。
「どうせだから皆さんもやってみますか?
これは複数人でやることを前提にした試験なんで」
「え、俺たちもやっていいのか?」
「ええ、ゲームとしても面白いですし、後でみんなで普通のシナリオとかやりましょう」
そんな団長の言葉に、やるやるー、と女子たちは暢気に返した。
「そんな遊びで、試験が成立するんですか?」
「少なくとも僕はこれで先輩たちから多くのことを学びました」
若干疑問視している彼女に、団長は断言した。
そして、しばらくして。
「各々キャラクターは作りましたか?
では試験用のシナリオを配布します」
そう言って、団長はハナモモが印刷して持ってきたシナリオを同僚たちに配った。
試験の内容はこうだった。
貴女は害虫の病毒に犯された女の子の為に、薬となる特別なハーブを取りに行くことになりました。
しかし、ハーブが採れる場所には大型の害虫が居座り、とても強く倒せそうにありません。
ですがその害虫の強さには秘密が有り、周囲に五か所の地脈を支配しているからなのです。
制限時間は七日であり、採取地への往復で二日が掛かり、実質的な時間は五日です。
それを過ぎた場合、女の子は害虫の病毒で亡くなってしまうでしょう。
貴女は害虫を倒し、ハーブを手に入れ帰還してください。
なお、害虫が支配する五か所の地脈を解放するのには、一日必要するものとします。
「全員で意見交換しながらやっても良いですし、解答を見せ合って統一しても構いません。
どのような手段でもいいので、目的を達成してください」
問題のシナリオを配り終えると団長はそう述べた。
「質問でーす」
「はい、どうぞ」
「これって害虫は必ず倒さなきゃダメなの?」
「はい、一応花騎士の試験なので」
「これ、傭兵を雇ったらダメか?」
「自分に与えられた資金とルールで可能な事は何でもして良いですよ」
「やっぱ無理か……」
と言った質問を繰り返しながら、衛兵仲間たちは自然と男女に分かれて相談をし始めた。
「やっぱり騎士として、害虫の病毒に犯された少女を一刻も早く助けたいが、このボス害虫の強さは弱体化なしじゃとても戦えんぞ」
「そこなんだよなー。とりあえずハーブだけこっそり取って、後から騎士団を呼んでくるってのはアリかな」
「それは花騎士じゃなくて一般人のムーブだろ」
「このハーブが特別じゃなけりゃカネで買えるんだがなぁ」
と、男子たちはそれぞれ個性的な意見を出し合い。
「やっぱり三か所地脈を解放して、害虫を倒すってのが最短ルートかな」
「作ったキャラの相性でもう一か所解放すれば確実かもね」
「なんか使えそうなアイテムとか魔法無いかなー」
「問題文に抜け道はないかしら」
こちらは女子たち、彼女たちは最適解を話し合っていた。
「…………」
そして、花騎士志望の彼女は一人黙々とルールブックと問題を見比べ、解答を記していく。
それら光景を見ながら、我ながら意地悪だなぁ、と団長は思った。
この時点で模範解答が一人もいないことを察していたのだ。
彼はハナモモが無駄なダイスロールで、ボス害虫と彼らのキャラクターたちとの戦闘を順番に演じている。
衛兵仲間たちは、勝っただの負けただの湧いているが、団長の返答はもう決まっていた。
「みなさん、お疲れ様でした。
試験結果をお伝えします」
解答を見るまでも無く、団長は同僚たちにこう言った。
「全員、不合格です」
やっぱりかー、という反応が大半で、くそう、と悔しそうにしているのが少数。
「納得できません、私は確実に任務に成功しました」
そしてそう言ったのが、言うまでも無く花騎士志望の彼女だった。
団長は彼女の解答に目を落とす。確かに彼女は全ての日程を使ってボス害虫を倒し、少女を救っていた。
「ダメですね、30点です」
「なぜですか!?」
「これが、模範解答です。以前五人を僕の部隊に採用した時の人たちの解答です」
彼女だけでなく、同僚たち全員に見せるようにテーブルに五枚の解答を並べた。
『試験番号一番の解答:地脈Aを解放し、試験番号二番三番四番五番と協力してボス害虫を倒す』
『試験番号二番の解答:地脈Bを解放し、試験番号一番三番四番五番と協力してボス害虫を倒す』
『試験番号三番の解答:地脈Cを解放し、試験番号一番二番四番五番と協力してボス害虫を倒す』
『試験番号四番の解答:地脈Dを解放し、試験番号一番二番三番五番と協力してボス害虫を倒す』
『試験番号五番の解答:地脈Eを解放し、試験番号一番二番三番四番と協力してボス害虫を倒す』
それを見た同僚たちは、あっとなった。
地脈五つを制圧し、二日でボス害虫を倒す、誰も文句の付けようの無い最適解だった。
「試験の時は、周囲がライバルです。勿論、意見交換しても良いと言ってもしない人が大半でしたし、この解答を出した五人もとても悩んでました。
ですが、これが花騎士に必要なことです。
仲間を頼り、信頼できること。そして花騎士とはヒーローであり、害虫を倒すのも人々を助けるのも同時にできなきゃいけません。
自分の力を誇る事と、自分だけで全部やろうとするのは別ですから」
そもそもこれ、役割分担して遊ぶゲームですし、と団長はルールブックを示す。
「ああ、個人の試験だからと視野狭窄に陥るのか。複数人で役割分担して遊ぶのが前提のゲームで。我ながら未熟だなぁ」
「正直私もみんなで協力できればなぁーとは思ったんだけどねぇー、これ遊んだことあるし」
そんな感じで、男女の反応はそれぞれだった。
「…………」
「僕はリンゴ団長に打ちのめされて、自分を見つめ直すことが出来ました。
あなたもそれが出来た時、きっと立派な花騎士に成れますよ」
「……はい、ありがとうございます」
彼女は己の弱さに悔しそうに打ち震えていたが、ゆっくりと頭を下げた。
自身の未熟さを認めることができた彼女は、きっと花騎士になれるだろうと団長は安堵した。
そんな二人の光景を見て、ハナモモは己の団長の成長を実感できていたのだった。
前書きに書くのもあれですし、もう見ている方も大半でしょうがR版を久々に二話分更新しておきました。
相変わらずのリンゴ団長をお届け出来ていると思いますww
それでは、また次回。
次回は丁度100話目、以前より活動報告で予告していた先日のイベントの話をやります。
上記のR版を読んだうえで、ペポ達が遭難するイベントでリンゴ団長がどうなるのか、お楽しみに。