貧乳派団長とリンゴちゃん   作:やーなん

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前回を読み直して、作者は思いました。
二次創作は、小説はエンターテイメントでなければならないと。
決して原作キャラをオリキャラの相槌を打つだけの装置にしてはいけないのだと。
そう言うわけで、チューリップ団長の話に少し工夫を凝らしました。




短編連作 追憶編その7

『嘘吐きの1000ゴールド 出題編』

 

 

 チューリップ団長にとって、初対面のリンゴ団長は軽蔑に値する人間だった。

 

 そもそも彼は職業としての教職者を毛嫌いし、失望さえしていた。

 その上で、各地を団長として転々とし、その合間に教官として活動しているリンゴ団長に良い印象を抱けるはずも無かった。

 それで更に女癖も悪いし度々女関係で問題を起こしているわけなのだから、彼にとって最低クラスの人間だと認識されるのは当然のことだった。

 

「後ろからいきなり襲ってくるなんて卑怯ですよ!!」

 だから最初、彼の教導で模擬演習の最中に後ろから殴られて倒されダメだしされた時、そのように彼が反発するのも当然のことだった。

 

「卑怯? 卑怯とはなんだ?

 害虫には指揮官型と呼ばれるタイプが居るって士官学校で習わなかったか?

 つまり、害虫は戦術の重要性を理解しているわけだ。

 ボーっと後ろで突っ立ってるバカな指揮官を後ろから殴りつけるくらいにはな。

 それでどうなんだ? 勝手に背後を安全と思い込んで奇襲されて、卑怯とか叫んじゃう害虫以下のおつむのお前は」

 しかしニヤニヤと軽薄な態度でチューリップ団長の不明を指摘する彼の目はちっとも笑っていなかった。

 

 ドロドロと汚濁で濁り切った無数の感情が入り乱れた眼だった。

 そんな目の人間を、彼は人生で一度たりとも遭遇したことはなかった。

 冷徹な視線の前に萎縮した彼に、リンゴ団長はこう言った。

 

「お前、この四人の中から切り捨てる順番を決めろ」

 その瞬間、彼の中の血が沸騰したように怒りが沸き起こった。

 殴りかかり、あっさりと叩き潰されてから己の弱さを指摘され、敬愛する四姉妹の長女に諭された後、リンゴ団長は告げた。

 

「なあ、お前は騎士団長には向いてない。今すぐ辞めた方が良い」

 それは後から見ればリンゴ団長の優しさだったのだろうと分かったのだが、当時の彼には分からなかった。

 

「あんたにそんなこと言われる筋合いはないッ」

「でも、■■■だろう? 異邦人であるお前にとって」

 それは、あまりにも的確に彼の図星を突く一言だった。

 本当にあっさり言うものだから、彼はぱくぱくと魚のように目を見開き口を開閉した。

 それで彼は理解させられたのだ。

 

「お前にゃ、自分が戦いで死ぬという認識すら無い。

 戦いに身に置く者が、命を奪う命令をする者が、相手に殺されるって思わずに戦いに挑む。

 こんな阿呆は話は無い。戦いは、ボードゲームの盤上の出来事じゃないんだよ。

 お前はきっと死に際に喚き散らし、こうなったのは周りの所為だと無様に怒鳴り散らすだろう。

 そうなるのが嫌なら、いい加減に理解しろ。目の前の、現実にな」

 リンゴ団長は、あらゆる意味において軽蔑に値する人間だった。

 

「……生意気言ってすみませんでした。

 改めて、ご指導をお願いします。先輩」

 だが、そんな男一人だけだったのだ。

 彼としっかり向き合った教職者は。

 

 

 

 §§§

 

 

 

「団長さん、大丈夫ですか?」

 友人の話だ、と切り出したチューリップ団長はしかし、それきり口を閉ざしてしまったのでプロテアは心配になってそう尋ねた。

 

「ああ、いえ、心配なく。

 ただ、この話は俺も全体像を把握しているわけではなくてですね、その上だいぶ昔に聞いた話でうろ覚えなんです。

 だからどう切り出せばいいものかと」

 そこまで言ってから、団長はぽんと手を叩いた。

 

「そうだ、プロテアさん、ちょっと趣向を変えましょう。

 この話には正直者と嘘吐きが存在します。

 俺は客観的にどちらがそうであるか判断できる材料を削り取り、二人の主張を提示します。

 プロテアさんはどちらが正直者であるかを当ててください」

「それは面白そうですね、やってみたいです」

 暗い話に感じさせないようにしようとする彼の努力に微笑みながら、プロテアは頷いた。

 そして、団長が問題を提示した。

 

 

「それでは、プロテアさんは学校の先生です。

 あなたは問題が発生したので放課後、二人の生徒を教室に待たせ、話を聞くことにしました。

 二人は10歳程度の少年であり、それぞれこのような主張をしました」

 

 少年Aの主張

 :先日、少年Zに1000ゴールドを預けたが、返してくれない。

 

 少年Zの主張

 :そんなお金なんて身に覚えがないし、知らない。

 

 

「プロテアさんはとりあえず、どこでその1000ゴールドが受け渡されたのかを尋ねることにしました。

 少年Aの話で地図を書くと、それは学校の裏あたりの通学路でした」

 

 少年Aの主張

 :この十字路のこの辺りで、お金を預けました。

 

 少年Zの主張

 :そんな場所には行っていないし、理由も無く行かない。

 

 

「プロテアさんはお互いに真逆の主張をして敵意に満ちた言い合いをする二人を仲裁しながら、質問を続けます。

 その時間はいつ頃で、目撃者は居るのか? と」

 

 少年Aの主張

 :学校が終わってから少し経ってからで、目撃者は居ない。

 

 少年Zの主張

 :自分はいつもすぐに家に帰る。寄り道はしない。

 

 

「これ以降、幾ら話を聞いても二人の主張は平行線でした。

 ですが、やがて少年Zはこんなことを言いました」

 

 少年Zの主張

 :実は、その1000ゴールドは家の棚の中に隠しました。

 

「しかし、その話を聞いたプロテアさんは少年Zの自宅の棚の中を彼の母親に探してもらいましたが、その1000ゴールドは見つかりませんでした。

 さて、プロテアさんはどちらの主張を信じますか?」

 団長は不安げに、すがる様な視線でプロテアに尋ねた。

 

 真実:

 1000ゴールドは発見されなかった。

 

「その話だとつまり、少年Zは少年Aの主張を認めたと言うことですよね?」

「はい、どちらが嘘吐きかはともかく」

「いくつか質問をしてもいいですか?」

 彼女はこの段階で既に直感的にどちらが嘘吐きか察していた。

 その直感を確かなものにする為に、そう言った。

 

「ええ、ですがプロテアさんは先生と言う立場でしか俺からの回答を受け取れないということを忘れずに」

「では、この少年二人の関係性はどうなんですか?

 お金の貸し借りをするほど、親しかったのでしょうか?」

「なるほど、ではこうなりますね」

 

 真実

 :二人はクラスメイトであり、客観的に見て交流はあるようだった。

 

「……」

 その返答を聞いて、プロテアは眉を顰めた。

 彼女に与えられた先生と言う視点は何の役にも立たないと知ったからだ。

 

「二人の性格を教えてください」

「わかりました、ですがどちらがどんな性格かは教えません」

 

 真実

 :少年の片方は軽薄でお調子者であり性格的に信用できない。もう片方の少年は控えめな性格で目立たないタイプである。

 前者が嘘吐きであり、後者が正直者である。

 

「なるほど」

「なお、嘘吐きが常に嘘を吐いているとは限らないし、正直者が常に正直であるとは限らないものとします」

 あまりにも判断材料にならない為か、団長はそんな助言を出した。

 混乱を招くような言葉だが、プロテアはむしろ確信を抱いた。

 

「大体は判りました。

 最後に一つ、よろしいですか?」

「もう分かったんですか? どうぞ」

 団長に促され、彼女は問う。

 

「私の質問以外での先生の判断材料は、先ほど団長さんが述べた事柄だけでしょうか?」

 真剣に、それが一番大事な質問であることを確信しつつ。

 

「ええ、恐らくその程度だったんじゃないんでしょうか?」

 団長は皮肉っぽく力ない笑みを浮かべそう言った。

 

「そんな……」

 やはり、とプロテアは確信した。

 この問題で一番残酷なのは、どちらかの嘘吐きの少年ではないのだと。

 

 そもそも団長は、どちらが悪いのか、と問うてはいなかったではないか。

 

「さあ、プロテアさん。

 どちらを信じてくれるんですか?」

 そう言った団長の言葉は挑発的でありながら、どこか切に願っているようでもあった。

 

 

 団長からの命題

 :どちらの少年を信じますか?

 ただし、チューリップ団長はこの一件の全体像は把握していないが、どちらの少年が本当の主張をしているかは100%正確に知っているものとする。

 

 1.少年Aを信じる。

 

 2.少年Zを信じる。

 

 

 

 次回、解答編につづく。

 

 気軽に返答してみてください。

 でも、間違いばかりだったら作者が泣きます。

 

 

 

 

『ハナモモの追憶 転変編』

 

 

「とりあえず、全治一週間ってところですね。

 まったく、恐ろしく的確に後遺症が残らないように痛めつけるなんて!!」

 ハナモモ団長が診療所に運ばれ、それに付き添ったハナモモは処置を終えたホワイトチューリップがそんな風に怒っているのをどこか遠くの景色のように見ていた。

 

 彼女の脳内にはリンゴ団長の言葉が山彦のように反芻されていた。

 彼女は己の団長が眠る病室に入ることなく、廊下の長椅子で項垂れていることしかできなかった。

 

「いつまでそうしているつもりなの?

 もうそろそろここを閉める時間なんだけど」

 そして幾ばくかの時間が過ぎると、病室から出てきたレッドチューリップがハナモモに声を掛けてきた。

 ハナモモが顔を上げて窓の外を見ると、夕日がもう沈みかけていた。

 

「そこに居られても邪魔だから、早く帰りなさい」

「でも……」

「リンゴ団長に言われたこと、そんなに気にしているの?

 当人だってたくさんの女の子にちょっかい掛けているのに」

 レッドチューリップは呆れ顔だった。

 

「でも、団長さんはあたしのせいで……」

「バカね。男たちに自らを奪い合わせるなんて、女の本懐じゃない。

 自分を争ってでもモノにしたいって思わせるほど魅力的なだけよ、あなたが」

「そんな……あれってそう言う話じゃ」

「男はバカなのよ。女一人奪うのにいちいち理屈をこねくりまわすの。

 どうせこねくり回すなら下半身の方がよほど正直だわ」

 そんな品の無いことをいう彼女に、ハナモモは何だか適当なことを言ってさっさと追い返したいのではないかと思い始めた。

 

「開き直りなさい、ハナモモちゃん。

 自分は誰かに争われ、奪いたいと思われるほど魅力的なんだって。

 毒婦だろうが魔性だろうが結構じゃない。我がままじゃなくて誰かを振り回さない女なんてつまらないだけよ」

 しかしそれを聞いて、ハナモモの脳裏に浮かんだのは従姉妹のモモの姿だった。

 己の魅力と言うものをキッチリと理解し、男をその気にさせては袖にするということを何度もしている彼女のことを。

 

 彼女のことは敬愛しているし、羨ましいと思っていたが実際に自分がそうなったらちっとも楽しくなかったし、嬉しくも無かった。

 

「あなたが恋して射止めるんじゃなくて、相手に奪いたいと思われる女になりなさい。

 そうすれば男は自然に、女性に試される男になりたいって思うようになるのだから」

 それが男女の駆け引きってものよ、とレッドチューリップは語る。

 

「男女の駆け引き……ですの?」

「そう、それが楽しくてたまらないって思っているうちは、私も結婚なんて出来ないかもね」

 そんな小悪魔めいた笑みを浮かべる彼女は、どこか己が慕う従姉妹と重なって見えるハナモモだった。

 

 その日はそんな感じで言いくるめられるように帰らされたハナモモだったが、当然翌日も診療所に出向くことになった。

 そもそも団長不在で業務が滞っている状態だったので、否が応でも顔を合わせねばならなかった。

 

 ところが、である。

 

「あー、えーと、今ちょっと一時的な面会謝絶なのよ」

 受付で対応に出たレッドチューリップが、歯切れの悪い口調でそう言った。

 

「団長さんが、どうかなさいましたの?」

 まさか悪化するような怪我でもあったのかと、ハナモモが驚愕していると。

 

「おや、ハナモモさんもいらしたのですね」

 病室に繋がる廊下の奥からベルゲニアが現れたのである。

 彼女を見てレッドチューリップがばつの悪そうな表情をしている当たり、彼女もハナモモの胸中を察していた。

 団長の仕事でけっこう頻繁に顔を合わせる二人だったが、今ハナモモが一番会いたくない人物に違いなかった。

 

「あの、申し訳ありませんけど、この書類を団長さんに渡しておいてくださいませッ」

 持ってきた書類をレッドチューリップに押し付け、ハナモモは脇目も振らず去って行った。

 

「やはり、ハナモモさんも今の団長殿にお会いするのはつらいのですね。

 書類は私が代わりに団長殿にお届けします」

 昨日のことの顛末を聞いていたベルゲニアは痛ましそうにその整った小顔を歪ませる。

 しかし彼女の全く意図しない理由でハナモモが逃げ出したなどと、神ならぬ彼女には分からぬことだった。

 

「……青春ねぇ」

 そんな甘酸っぱい人間関係を直感と経験で何となく察したレッドチューリップは、にやにやと第三者特有の空気を吸って楽しそうにしていた。

 

 

 そして更にその翌日。

 

「やっぱり、団長さんにはベルゲニアさんのような方が一番なんですわ……」

 すっかり自信を無くしたハナモモは、とぼとぼとキンギョソウ団長の執務室へと向かっていた。

 その手に異動手続きの書類があった。

 

 彼女の頭には、モモにせっかくくれた機会を不意にしてしまったことに対する謝罪の言葉をどのように述べるかでいっぱいだった。

 だからだろう、目的の人物が前から歩いてきたことに気付かなかったのは。

 

「おっと」

「きゃうッ!?」

 キンギョソウ団長は立ち止まったが、彼女がぶつかることを何となく察していたキンギョソウが前に出てハナモモの両肩を掴んで止めた。

 

「あ、キンギョソウ団長さま。申し訳ございません、ちょっと考え事をしておりまして」

「うむ、構わぬ」

 ハナモモが軽く頭を下げると、彼は大仰に頷いて見せた。

 

「丁度良かったですわ、これを団長さまに渡したくて」

「どれどれ」

 彼はそれが異動願いだと気付くと、彼女の表情を伺った。

 

「なるほど、目の前の困難から目を背け、逃げ出すか」

「ちょっとそんな言い方……」

 片側半分だけの仮面を撫でながらそんなことを言う団長を、キンギョソウは睨んだ。

 

「事実は変わるまい。どのようにこの世を踊ろうともな」

 ハナモモは、特に言い返さなかった。

 自分に団長の補佐の役割が務まらなかったのが悪いのだと、下唇を噛んでいた。

 

「そしてそんな者は、もはや花騎士ではあるまい。

 であらば、それにふさわしい仕事があるというものだ」

 キンギョソウ団長は、にやりと笑って目の前の小さな少女を見下ろした。

 

 

 

 §§§

 

 

「ここが、僕の異動先か……」

 怪我が完治したハナモモ団長は、キンギョソウ団長に指示された勤務地にたどり着いた。

 彼が顔を上げると、このリリィウッドを象徴する百合の花の形をした世界花が見える。

 そう、ここは王城だった。

 

 ここが彼の勤務先だった。

 普通の騎士団長は王城に勤めているものなのだが、普段は城下町の支部にばかりいたのでハナモモ団長の緊張はひとしおだった。

 彼が王城に入るのは、それこそ騎士団長になって叙勲された時ぐらいだったのだ。

 

「よくぞ来てくださいましたね、騎士団長殿」

 彼を出迎えたのは、まだまだ若い甲冑姿の男性だった。

 この男は城下町全般を管轄とする衛兵隊の隊長である。

 

「諸君、整列!!」

 衛兵隊長の号令に従い、彼の部下である衛兵たち百人以上が綺麗に並んだ。

 

「よく聞けお前たち、この度は害虫と最前線で戦う騎士団長殿が見識を広める為にしばらく我が部隊に身を置いてくださるのだ!!

 お前たちも害虫と戦う花騎士に負けぬように、己の職務を全うするように。以上!!」

 はいッ、と衛兵たちの返答に衛兵隊長は頷く。

 彼が解散を宣言すると、十名程度の一部隊だけが残った。

 

「団長殿には彼らの指揮をお願いしたいのですが」

「分かりました」

 団長は今日から部下になる面々を見やる。

 

 女女女女女女男男男男。

 

 女性に比べて男性の割合がガチャで金レアを引く確率と同じくらいのスプリングガーデンでは、中々見ない比率だった。

 

「そして今日から、お前たちに新しく仲間が加わる。

 団長殿には彼女も指揮下に加えて頂きたく」

「はい、分かりました」

 とりあえず新入りが入るらしい部隊の指揮を任された団長は、入れという衛兵隊長の指示の後に入って来た人物に目を丸くした。

 

 恐らく特注と思わしき小さな板金鎧に身を包む、そんな顔以外の露出を一切禁じた格好で動きにくそうにしたままやってくる、そのちんまい姿が妙に愛らしい少女だった。

 

「は、ハナモモちゃん!?

 どうしてここにッ!? 花騎士の仕事はどうしたの!?」

「今、花騎士は休業中ですの」

 普段の可愛らしい服装からは想像もつかない無骨な格好に身をやつす彼女は、憮然とした様子でそう言った。

 

「どうして、ハナモモちゃんまで来たのさ!?」

 正直、彼は今回の異動は左遷だと思っていた。

 

 ほとぼりが冷めたら戻ってきてもらうとキンギョソウ団長は言っていたが、騎士団長が花騎士も連れず衛兵隊に派遣されるなど降格以外のなんだと言うのか。

 それは自分の招いたことなので甘んじて受ける所存だった。

 だが、彼は己の補佐官までやって来ているとは想像もしていなかった。

 

「別に団長さんは関係ありませんわ。

 それとも団長さんは、アタシ抜きでどうにかやってけると思っているんですの?」

「それは、そんなことないと思うけど」

 ごにょごにょごにょ、と言葉が尻すぼみになる団長。

 その姿に男らしくないと憤りを感じつつも、ハナモモは平静を装った。

 

「ごほん、感動の再会はそれくらいにしてもらえないだろうか?」

「あッ、すみません!!」

 衛兵隊長がわざとらしい咳払いをしてそう言うと、団長も慌てて前を向いた。

 

「部隊ごとに巡回のルートは違いますので、それについてはこいつらに聞いてください」

「はい」

「それじゃあ、お前たち。団長殿に他の細かいはおいおい説明して差し上げろ」

 衛兵隊長はそれだけ言って、後のことは部下に任せて去って行った。

 

「ええと、よろしくお願いします」

 団長は衛兵たちに向き直り一礼すると。

 

「あんた、あの鬼団長と決闘した奴だろ? 度胸あるなぁ」

「俺も広場で見てたぜ、俺より若いのに大したもんだな」

「俺も俺も、見てた見てた!! やっべぇよな、あの団長」

「あれだけボコボコにされてよく生きてたな、あんた」

 さっそく男衆に囲まれ、なぜか一目置かれている様子に彼は目を白黒させていた。

 

「ちょっと男子-、団長さん驚いてるじゃない!!」

「まったく、あいつらいつもあんな調子なんだから」

 そんな彼らにぶつくさ言う女衛兵たち。

 これがこの部隊のいつもの様子らしかった。

 

 そんな中で、ハナモモは一人の女衛兵が一歩引いたところから自分を見ているのに気付いた。

 

「こんなに小さな子が、花騎士になれるなんて……」

 彼女から、少なくない負の感情が見て取れた。

 

「ああ、あの子のことは気にしないで。

 衛兵隊には騎士学校出てるのにあんな風に未だに花騎士になるの諦められない奴が結構いるから」

 と、ハナモモの肩を叩いて笑いかけて別の女衛兵がそう言った。

 ハナモモとその彼女は視線が自然に合わさると、彼女はぷいっと顔をそむけた。

 

 ハナモモは思った。

 思ったより大変そうな職場だなぁ、と。

 

 

 

 続く。

 

 

 

 

 




我慢できず11連一回やったら水着ホーリーちゃんが来ました。
ああ、あんなに立派に育ってしまって。
ルドベキアちゃんもそうでしたが、控えめだった子が成長してしまうのは悲しいですが感慨深いものです。

作者はロリコンで貧乳派ですが、成長を否定しているわけではないのです。
スカートが一瞬だけ捲れる様子のように、儚いからこそ尊く美しいのです。

うん? チェリーセージちゃん? キャラ設定にそぐわない? うッ、頭が……。

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