貧乳派団長とリンゴちゃん   作:やーなん

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二年半の金チケ、いつの間にかバイカモちゃんをクリックしてました。
サオトメバナちゃんにしようと思ったのに、これは不具合ですね!!

ちなみに、ここ最近のガチャ事情。
クレソン、カウスリップ、と見事に物欲センサーに踊らされてますわ(血涙



長い長い後日談
ここ最近の短編集


『悩んだ末に……』

 

 

 

「うーむ」

 その日、団長は悩みに悩んでいた。

 

「どうかしたんですか、団長さん」

 見かねたサクラがしかめっ面で考え事をしている彼にそう言った。

 

「いやな、これを見てみろよ」

「あら!!」

 団長の目の前には、花騎士を召喚する鉢植えとキッチリ三百枚の虹色メダルが揃っていた。

 

「いつもは異動で編隊するうちの騎士団で、召喚に頼るなんて珍しいですね」

「しかも!! 好きな子を選べる!!

 誰が良いかなぁ、と。もう丸一日悩んでいるのだ。

 ハギちゃんも良いな、クコちゃんも大変よろしい」

 ウッキウキでそう話す団長。もう好みの子を呼ぶことしか考えてないようだった。

 

「私としては戦力が整えられるのならそれでいいのですけど」

「なんならウメちゃんを呼んだっていいぞ?

 お前ら二人が居れば向かう所敵なしだろうからな」

「うーん、私は団長さんが好きな子を選ぶと良いと思いますよ」

「もういっそのこと師匠で良いんじゃなかろうか」

 うふふあはは、と二人は笑って雑談を続けた。

 

 

「と言うわけで、誰を呼ぶか決めました!!」

 団長は皆を集めてそう宣言した。

 彼が誰を呼ぼうかと悩みまくっていたのは周知だったので、もうさっさとしろよ、みたいな視線ばかりだ。

 

「そーれ、じゃらじゃらー」

「団長さん、早く早く!! 一体どんな子を呼ぶんです!!」

「まあ落ち着けリンゴちゃん、女の子は逃げないぞ」

 鉢植えに虹色メダルをくべるごとに、鉢植えの色が金色から七色に輝き始める。

 新たな女の子の登場を待ちわびるリンゴもテンションが高い。

 

「BBBBBBBBBBBB」

「おいバカ止めろ」

 Bボタンを連打し始める玉ねぎ頭にチョップをくれてやる団長。

 やがて、団長が三百枚の虹色メダルを投入し、七色の輝きが最高潮に達した直後、リンゴの全身が突如として光り出した。

 

「えッ!?」

 と、困惑するのもつかの間。

 リンゴは光に包まれると、すぐそばで七色に輝いている鉢植えの上に転移した。

 光がほどけると、天女のような恰好をしたリンゴが信じられないと言った様子で団長を見た。

 

「だ、団長さん、どうして、どうして私なんかを呼んだんですか!?」

「これが俺の決定だ。

 お前ら、なにか不満はあるか?」

 団長が部下達にそう言うと、彼女らもまさか彼がこんな選択をするとは思わず、ぽかんとしていた。

 

「やかましいのが増えないのなら私はそれでいい」

 終始冷めた様子で一連の出来事を見守っていたクロユリはそう言った。

 

「良かったわねぇ、リンゴちゃん」

 対してサクラは困惑している当人を笑顔で祝福していた。

 

「そんな、だって、団長さん、私なんかより可愛い子なんて、いっぱい居るのに……」

「リンゴちゃんは十分可愛いじゃないか」

「そうじゃ、そうじゃなくて!!」

 リンゴは自分を選んでくれたという言葉に表せない嬉しさを感じていたが、同時になぜという疑問と困惑で満ちていた。

 

「分かってないなぁ、リンゴちゃん、我が同士よ。

 君は他人の美しさに優劣を付けないくせに、自分をいつも下に置く。

 俺からすれば、俺の部下達の可愛さに比べられるようなものは無い。

 だから俺は君を選んだのさ」

「だ、団長さん……」

 ぽろぽろと涙を流して感動しているリンゴ。

 

 勿論、こんな歯に浮くようなキザな台詞で感動しているのは彼女だけで大半が、この女たらしの嘘吐き野郎が調子の良い事言ってやがる、みたいな視線を送っていた。

 

「ははーん、もしかしてだんちょ、日和(ひよ)ったなぁ。

 リンゴちゃん選んどけば安牌だもんね。新しい子と仲良くなれるか分からないし」

「ああ、そういうことだったんだ」

「そこ、うるさいぞ」

 図星を突かれた団長は、余計なことを言ったランタナと納得しているペポを横目で睨んだ。

 

「それ、ひょいっとな」

 団長は視線をリンゴに向けると、彼女の羽衣をするりと抜き取った。

 

「これでリンゴちゃんは空に帰れないな。

 俺たちと一緒にいるしかない訳だ」

「わ、わだじ、だんじょうざんにいっじょうづいでいぎますぅ!!」

「むはっはっは、リンゴちゃんは天使じゃなくて天女だったのだ」

 感極まって団長に抱き着くリンゴを、彼は抱き上げてくるくる回り始めた。

 

 こんなアホどもに付き合ってられない、と部下たちは自主的に解散し始めた。

 

「ああやって女の子をたらしこんでるのね」

「本当に、罪なお人よねぇ」

 楽しそうにしている二人を呆れて見ていたキルタンサスとサクラが最後に解散すると、踊っていた二人の影が重なるのだった。

 

 

 

 

『ランタナとペポの恐怖体験』

 

 

 薄暗い仮宿舎の多目的室に、ぼう、とろうそくの火が灯る。

 残暑の残る本日は、夏ということで怪談大会と相成った。

 

 正直並の怪談より恐ろしい恐怖体験を去年したペポたちだったが、それはそれ、これはこれだった。

 それを恐怖の現場でやるものだから、彼女らもいい度胸をしていた。

 

 皆が怪談でキャーキャー盛り上がっている中で、ペポだけはジッと不気味に皆の話を聞いていた。

 そしていよいよ最後、ペポの番となった。

 

「これは、実際に経験したお話なんだけれどね」

 と、自分の前に置かれたろうそくの火を見つめ、ペポは話し始めた。

 ペポが実際に体験した恐怖体験ならシャレにならんと、皆は息を潜めて耳を傾ける。

 

「何年か前、ランタナちゃんに連れられてバナナオーシャンにあるキルク遺跡に真夜中に行くことになったの。

 何でも、そこには魔女と呼ばれたキルクの亡霊が出るって噂になってて、それを聞いたランタナちゃんが行きたいって言い出してね、仕方がないから私も付いて行くことになったの。

 ランタナちゃんを一人にしたら危ないもの。ほら、本当にキルクさんが居て、怒らせちゃったら大変だから」

 霊感少女ゆえに若干ずれたことを言うペポだったが、それを突っ込む者は居なかった。

 

「私達は夜を待ってから、キルク遺跡に向かったの。

 別に真夜中に出発しなくても良かったと思ったんだけれど、ランタナちゃんがその方が雰囲気が出るからって。

 私はしょうがないなぁ、怖いなぁ、ってランタナちゃんに付いて行ったの」

 ふいに、カタン、と風のせいか窓が揺れた。

 

「私は危ないから帰ろう、って何度も言ったんだけど、ランタナちゃんは聞く耳を持ってくれないし。

 私が困っていると、丁度キルク遺跡周辺を巡回をしてたらしい花騎士の人たちに見つかっちゃったんだ。

 何をしているんだ、って問い詰められて、私はイタズラを咎められる子供みたいな心境で、肝試しに来たんだって話したの。

 そしたら、その人たちは仕方ないなぁ、って表情で私たちに付き添ってくれることになったの。

 その頃の私たちは花騎士として新人で、実力も無かったから渡りに船だったんだ。

 そのことをランタナちゃんに話したら、ラッキーだね!! って快諾してくれて、私もほっとしたんだ」

 ペポの吐息で、ろうそくの火が不規則に揺れる。

 怪談はいよいよ、大詰めに入ろうとしていた。

 

「私達がキルク遺跡周辺に入ると、ランタナちゃんははしゃぎまわって色々なところへと走り回って行っちゃって、私も追いかけるのに必死だったの。

 ふと、ランタナちゃんが立ち止ると、視線を感じる、みたいなことを言い出したの。

 私は別にそう言うのは感じなかったんだけど、ほら、私って幽霊とか見えるから、それがかえって不自然だと思って、変だなぁ、怖いなぁ、って、私が思っていると、その時!!

 

ガサガサガサガサ!!

 

 って、草むらの方で何かが動いたの!!」

 普段ならまず声を荒げるところが想像できないペポが、恐怖に満ちた表情で叫んだ。

 

 ペポのの言動に呼応するかのごとく、がたがたと窓が揺れ、本棚から雑誌が落ちる。

 悲鳴を上げる聴衆たちの声が止むのを待ってから、ペポは再び話し始めた。

 

「害虫だ!! って巡回中だった花騎士の人たちが叫んだんだ。

 幸い、飛び出してきたのは小型の害虫だったんで、私とランタナちゃんでどうにか倒すことができたのね。

 でも、それでランタナちゃんったら白けちゃって、もう帰ろうって言い出したの。

 もう我儘なんだから!! って、私は憤慨したけど、内心良かったって思いながら、巡回の花騎士さん達にお礼を言ったんだ。

 ランタナちゃんも、ありがとねー、って余りにも軽く言うんだからちゃんとしなきゃダメだよって叱ったの。

 そしたら、ランタナちゃん。

 

「って言うか、ホントに巡回の花騎士の人たちなんて居るの?」

 

 って、彼女たちとは見当違いの方を見ながら言ったの」

 話のオチに、キャーキャーと怖がる面々。

 

「以上が私の体験した怖いお話でした。おしまいおしまい」

 ペポが怪談を終えると、怪談大会はお開きとなり、満足した面々は解散と相成った。

 

 全員が還ったのを見届けると、ペポは廊下の方を向いてこう言った。

 

「みんなー、全員満足して成仏してくれましたよー!!」

 ペポの声に、十字架や御札を手に、数珠を口で咥えた団長を筆頭に彼の部下たちが恐る恐るドアを開けて彼女を見た。

 

「もう大丈夫なのか?」

「はい、って言うか、そんなに警戒しなくて大丈夫ですよ。

 皆さん、ただ怪談がしたいって未練があってとどまってただけですから」

「幽霊が怪談をしたくて成仏できんってのがまず理解できんのだが」

 ここ最近、この仮宿舎では夜になると話し声が聞こえるようになった為、ペポが幽霊たちと交渉して怪談大会の開催となったわけである。

 

 ちなみに、窓が揺れたり雑誌が落ちたりといった演出は、団長たちの仕込みだった。普通逆だろ、と思いながら皆は一丸となって怪談大会を成功に導いた。

 

「ちなみにあの話、マジなのか?」

 団長は、皆が聞きたくも聞きたくなかったことを言った。

 

「え? ……害虫に突然襲われて、怖かった話ですよね?」

 ペポはやっぱりずれたことを言った。

 最早、彼女の視界に幽霊が映るのは日常なため、そもそも価値観が共有できていなかった。

 

「私のズッ友が一番ホラーな件について」

 ランタナもそんなことを口にした。

 少なくとも、それには同意できた団長たちだった。

 

 

 

 

『ランタナ分隊VS極限害虫』

 

 

 それは、あまりにも唐突だった。

 偶々害虫退治で別行動をしていたランタナ分隊の前に、唐突にそいつは現れた。

 

 その巨体を見た瞬間、全員がヤバいと直感した。

 

「じょ、冗談じゃ!! これはマズイって!!」

「ここは任せて!!」

 ランタナがふざける余裕も無く叫んだその直後に、その怪物の一撃が面々を襲う。

 すんでに割って入ったペポが攻撃を引き付け、回避したことで初撃は事なきを得た。

 

「よっしゃ、ペポがいないいないばぁであいつを煽ってるうちに総員撤退じゃー!!」

「煽ってないってばぁ!!」

 パーティに一人いると便利な挑発回避持ちを囮に、ランタナたちは即座に撤退を決定した。

 

「なんでこんなところに、あんな怪物が居るんですぅ!!」

「早く本体に合流しないとバッドエンド直行ですよ!!」

「うわーん、私がもっと強かったらぁ!!」

 他の三人も阿鼻叫喚のまま散り散りとなって逃げ出した。

 

「とりあえず、ここはやり過ごして皆が来るまで持ちこたえるべ」

「何やってるの、ランタナちゃんも逃げないと!!」

「いやぁ、ペポを置いて逃げるとかそんなのランタナさんのキャラじゃないし、ええい、不幸だー!!

 くらえ、男女平等害虫差別無しのランタナアターック!!」

 が、その時、無慈悲にも敵のスキルが発動。

 あっさりと範囲攻撃に巻き込まれランタナは倒れた。

 

「ま、マモレナカッタ……」

「まだ全滅してないってば!!」

「でもこのパーティ構成じゃ無理だって……あ、これって私が新しい能力に覚醒して撃退できるパターンじゃね?」

「それ団長さんの前で言ったらすごく怒られるからね!!」

「いや、だって、現実逃避したくもなるじゃーん」

 相手はトップクラスの花騎士が何人も必要な強敵だ。

 遊撃と奇襲を前提とする分隊員たちでは分が悪い。

 

「とにかく、ランタナちゃんだけでも逃げてよ!!」

「残念だけど、このゲーム戦闘中に逃げるなんてコマンドないのよね、そのお願いは聞けんなぁ!!」

「それを言ったらキャラロストも無いじゃない!!」

 そうこう話しているうちに、余裕も体力も無くなっていく。

 

「くっくっく、いいのかなぁ、害虫さんよぉ?

 私達を倒したら、私たちのだんちょが黙ってないぜ!!」

「ついに小物みたいなことまで言いだしたよ!!」

「マジギレしただんちょはめっちゃ怖いぞ!!

 だから勘弁してくださいお願いします!!」

「命乞いまで!?」

 花騎士のプライドまでポイしだした親友の涙ぐましい姿に、ペポもちょっとどうかと思うのだった。

 

「ランタナちゃーん!! 本隊を連れてきたよー!!」

「偶々近くに居て助かったですぅ」

「いよっしゃぁ、反撃開始だぜぇ!!」

 その時、リシアンサス、リムナンテス、キウイの三人が団長たち本隊を連れてやってきた。

 

「よぉ、俺の部下たちを可愛がってくれたらしいな」

 先頭に立つ団長は、ボロボロの二人を見て既にマジギレモードだった。

 

「丁度コマっちゃん当ての標本を何にしようか考えてた所だ。

 お前ら、あれをだるまにしてなぶり殺しにしろ。ちゃんと付け根を切り取れよ」

「わーっはっは!! ほら、だんちょはもうお怒り!!

 お前はもう終わりだよ、ぷぎゃー!!」

「なんていう変わり身……」

 味方が来た途端煽り始めるランタナに、ペポもげんなりだった。

 

 

「テレッテー♪ 私の勝ちだ!!」

 ランタナは本隊の面々が十割コンボを決めて敵を惨殺するのを見届けて、Vサインである。

 ペポはもう疲れてツッコむ気力も無かった。

 

 

 

 

『一番好みなのは……』

 

 

 リリィウッドで夏の風物詩と言えば、天華祭である。

 今年は例年には無い試みとして他国の出店などが許可されるなど、伝統に縛られたこの国にも変化の兆しが見えていた。

 

 そしてこの祭りの目玉と言えば、花火である。

 戦いで散って行った花騎士たちを弔うと言った目的で打ち上げられるのだが、

 

「うんしょ、これで、よし」

 花火を保管している倉庫に、小さな人影が蠢いていた。

 

「これだけあれば……」

 その人影は、手提げ袋に花火を入れてその場を去ろうとしていた。

 勿論、彼女は花火の打ち上げ作業員とかではなく、窃盗である。

 首尾よく盗みを終えた彼女は、倉庫から出た瞬間、足を引っ掛けられた。

 

「ほー、どうせ害虫どもの仕業かと思ったら、犯人は子猫ちゃんか」

 ころころと転がる花火を見下ろし、足を引っかけた張本人は窃盗犯を見下ろした。

 小さなメイド服の女の子だった。

 

「だ、誰、あなたは!!」

「俺? 俺はこの国で飯を食わせてもらってる騎士団長さ。

 花火がいろんなところから盗まれてるって聞いて張ってたわけだ。

 どうせ害虫がやったんだろうと思ってたが、ふーむ」

 その騎士団長は、値踏みするかのようにメイド少女を見下ろした。

 

「人の物を盗るなんていけないなぁ、これはちょっとおしおきしないとダメかな?」

「ひう!?」

「他の所で盗んだ花火はどこだ?

 報告に上がるくらいだ、どこかに隠してるんだろう?」

「そ、それは……」

「もしかして、服の中とかかなぁ?」

「い、いやぁ、やめてぇ!!」

「ぐえっへっへ、良いではないか良いではないか~」

 わきわきと両手の指を蠢かせ、尻餅をつくメイド少女に迫るロリコン。

 どう見ても性犯罪の現場だった。

 

「え……」

「うん?」

「えっちなことすれば、見逃してくれるの?」

 メイド少女は、悲壮な覚悟を決めたような表情で、泣きそうになりながらそう言った。

 

「…………そこにある花火を置いて失せろ。

 一応は害虫の所為ってことにしておいてやる」

 団長は興醒めと言った様子で、低い声音でそう言った。

 メイド少女は尻を蹴とばされたような錯覚さえ受けて、飛び跳ねるように逃げ去って行った。

 

「……イヌタデ」

「はい、ご主人!!」

 ずっと草むらに潜んでいた忠犬は、逃げるメイド少女を静かに、着実に追って行った。

 

 

 

 

「はぁはぁ、早く、あそこに向かわなきゃ」

 ハゼランたちから逃げたメイド少女は走っていた。

 目的地は、郊外に建てられた慰霊碑。

 そこに戦死した花騎士たちの名前が刻まれている。

 彼女は恩ある花騎士の為に行動していた。

 だが。

 

「ハァーソレソレッ!!」

「アドッコイィ!!」

「嘘ッ、害虫!?」

 運悪く、害虫に絡まれてしまっていた。

 

「ハァーソレソレッ!!」

「アドッコイィ!!」

「ワッチョイワッチョイ!!」

 花騎士ならざるメイド少女は害虫たちに追い詰められてた。

 

「ワッチョイワッチョイ!!」

「だ、誰か、助けッ」

「ワッチョイワッチョイ!!」

「うん? ええ!?」

 そこで彼女は気付いた。

 どさくさに紛れて血走った目で鼻息荒く自分を視姦しているロリコンの存在に!!!

 

「い、いやーー!! 変態!!」

「くくく、ばれちゃ仕方がない。いけ、イヌタデ!!」

「オッケーご主人!!」

 颯爽と現れたイヌタデにメイド少女は助け出され、その後やってきたヘリオトロープたちと共に害虫は撃退された。

 

 

「いやぁ、話には聞いてたけど、マジでこういうことがあるとはなぁ」

 メイド少女の事情を聞いて、勝手に協力することにした団長。

 オミナエシたちがオシロイバナから花火を調達するまでに、秘密裏に部下たちを招集しだした。

 

「部隊召集の名目はいかがしますか?」

「花火泥棒の害虫討伐で良いだろう。

 何か問題があれば害虫が悪い、政治が悪いのも就職が出来ないのも全部害虫の所為だ」

「ご随意に」

 いち早くやってきたサクラは小さな女の子の為に骨を折るのに躊躇いは無いようだった。

 メイド少女はこのロリコンにサクラが従っている様子に驚いていた。

 

「やーい、だんちょのロリコーン、あんな小さな女の子によくじょーしたんだな!!」

「この間の公式生放送でやってだろう?

 登場人物は全員18歳以上だって。だから許されるのだ。

 おやおやぁ、そう言えばここにも将来性のない胸のロリガキが居たなぁ!!」

「はっはっは、ランタナはすぐに大きくなるから良いのだ。

 なぜなら!! この小説の目次には独自設定のタグがある、つまり私はまだ成長性が残されているということだぁ!!」

「もしそうなったら、誰かのようにキャラ設定にそぐわないって運営に上奏してやんよ」

「チェリーセージちゃんのことかぁああ!!!」

 この低レベルな争いは、花火を持ってくるまで続いた。

 

 

 花火の特等席はヘリオトロープらに任せ、団長たちは巨大な慰霊碑の前にやってきていた。

 無数の花騎士の名前の刻まれたそれは、墓石のように幾つも乱立していた。

 その中の一つの前に立つ団長は、いくつかの名前を指でなぞった。

 

「この件は、俺が責任を持って次の団長会議で検討しよう。

 桃源郷出身者と共闘した騎士団も少なくないしな」

「ところで、団長さん。今回出会ったあの子たちで一番誰が好みです?」

「そりゃあ勿論、あのメイド少女に決まってんだろ!!」

「ああ、やっぱり!!」

 楽しそうに笑うリンゴと団長に、いつも通りか、とみんなは呆れるのだった。

 

 

 

 

 




虹色メダルがたまったので、虹リンゴちゃんを選びました。
リンゴちゃん可愛いです。

本編完結ということで、設定資料集に出てる子は持ってなくても出そうかなと考えとります。
それでは。また。


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