皆さんはどうでしょうか?
それでは本編どうぞ。
「団長さん、団長さん」
団長は後ろから呼ばれる声に振り返った。
「ペポじゃないか。どうしたんだ?」
彼は自分のお気に入りの花騎士の姿を認め、体を向き直らせる。
「見てください、新しいオモチャを手に入れたんですよ!!」
普段セクハラばっかりするせいであんまり見れない満面の笑みを湛え、ペポはそう言った。
「新しいオモチャ? これが?」
ペポが手にしているものは、何かの古びた雑誌のようだった。
そこまで分厚いまでもないが、本と言うには薄すぎる代物だった。
「これのどこがオモチャなんだ……ッ」
だが、その雑誌のタイトルを見て、団長は驚愕した。
それは、彼が学生時代に雑誌に投稿した短編小説が載せられている代物だったのだ。
「新しいオモチャは、あなたですよ。団長さん」
黒歴史を掘り起こされ震える団長に、無邪気な笑みのままペポはそう言い放ったのだった。
…………
……………
………………
「という、夢を見たんだ」
「ぶわっはっはっはっははははは!!」
朝食の時に食堂でそんな夢を見たと語る団長は、ランタナは腹を抱えて大笑いされていた。
今の話に彼女の琴線に触れるものが有ったのか笑い転げているが、ペポは微妙そうな表情だった。
「夢には無意識の願望が現れるとパープルチューリップちゃんに聞いた。
つまり俺は、今の状況が最高ってことだな!!」
「人聞きの悪い事言わないでください!!」
まるでSMプレイの内容を暴露されているかの様な言い方に、流石のペポも声を挙げた。
「私にそんな趣味は無いですからね!!」
「そうだよね、ペポはドMだもんね」
「そうそうランタナちゃん、私はドMだから……ってそうじゃなくて!!」
お手本のようなノリツッコミをかますお笑いコンビ、ペポとランタナ。
「まあまあ落ち着け、別バージョンどころか開花も来る気配も無いからってぴりぴりすんな」
「本当にそんな理由で文句を言っていると思います!?」
「大丈夫だじょ、ペポよ。そう、運営のオンシジュームちゃん推しは終わったのだ!!
これからはランタナが微笑む時代よ……」
「もう、ランタナちゃんはややこしくしないでよ!!」
「わかってる、わかってるじょ、ペポ。
国家防衛戦の時に口調が安定してなかったのを怒ってるんだな!!」
「確かになぜかランタナちゃん相手に敬語だったけど!! そうじゃなくて!!」
二人にいじり倒されるペポ。
周囲はまたかと呆れた様子で我関せずだった。
そのまま散々二人にいじり倒されるペポだった。
朝っぱらから肩を落として疲れ切っていた。
「さて、ランタナ。
今日は団長の定例会議だが、任せていた資料は出来ているな?」
「ふッ、誰に物を言っている。このランタナに隙など無いわぁ!!」
と言って、ランタナは大きめの封筒を取り出した。
「うむ、では支部に向かうぞ。
お昼は好きなもの食わせてやるよ」
「え、マジで!? デザートも!!」
「はいはい、デザートもな」
そんな風に仲良い親子みたいに食べ終わった食器を一緒に返しにいく団長とランタナ。
「そう言うわけでこいつを借りてくから、分隊を任せたぞ」
「あ、はい……」
「リンゴちゃんも、夕方まで帰らないかもしれんから任せたぞ」
「はい、お任せください」
ペポに、リンゴに、団長は声を掛けて、ランタナを伴って仮宿舎から出て行った。
「……定例会議には補佐官も連れて行かないのに……」
ペポはその二人の後ろ姿に少しだけ口を尖らせ、そう呟いた。
§§§§
「ランタナちゃん、どうして!!」
ペポの悲痛な声が、ランタナの背中に突き刺さる。
「どうして故郷を裏切るの!! バナナオーシャンが嫌いになっちゃったの!?」
「故郷?」
ペポの叫びを受け、ランタナは振り返る。
「ランタナぁ? 誰それぇ。私、ブラックチューリップ!!
そう、私はリリィウッド出身だったんだよぉ!!
出身地を偽って騎士団に入り込んでたってわけだぁ!!
じゃんじゃじゃ~ん!! 今明かされる衝撃の真実ゥ!!」
ランタナは衝撃的な顔芸を披露しながら、ペポを嘲笑った。
「いやぁ、本当に苦労したよ。電波な花騎士を演じて、つまらない共闘までしてさぁ。
私の言うこと全部信じちゃうんだもんねぇ。全部この機密文書を手に入れる為だったっていうのに。
親友? ズッ友ぉ? 楽しかったよ、お前との友情ごっこ!!」
「そんな、そんなことって……」
騙されていたと知ったペポは、涙を流しながら拳を握る。
「お友達をそんな風に裏切るなんて、わたくし許せませんわ!!」
そんな彼女の横に、怒りに震えるハナモモが並び立った。
「義によって、助太刀しよう。
あのような卑劣な輩の未来など無いと知れ!!」
キンギョソウまでも、ランタナに相対する。
「させません!! 彼女がリリィウッドに戻ってくれば、私は姉妹のカースト最下位から脱出できるんですもの!!」
「お姉ちゃん!!」
ランタナの味方をするように、ホワイトチューリップが三人の前に立ちはだかる!!
――では、行動順番を決めてください。
「私が最初だぁ!! そおれ……ファンブル!! 転倒!!」
びたん、と戦闘が始まった途端に両手を前にしてすっころぶランタナ。
「ぷぎゃー!! あんなロールプレイしておいてファンブルかよ!!」
悲壮な感じの雰囲気をポイして、ペポはランタナを指差しげらげら笑った。
「次俺ー、必殺技【カボチャ爆弾】を使いまーす。効果は広域攻撃。
お化けカボチャの爆弾で攻撃。ホワイトチューリップとランタナに攻撃」
「その必殺技はもう見ている!! が、転倒しているので判定できないぃ!!」
「じゃあ私が必殺技破り、指定技能は?」
「霊感だ」
「じゃあ召喚魔法で代用して、出目八以上か……はい、無理した」
哀れ、ランタナとホワイトチューリップはペポの取り出したお化けカボチャバクダンの前に吹っ飛ばされる。
「じゃあ、次俺行きますね。
スターレイン撃ちます」
「ちょ、今私転倒してて回避できないんだけど……」
「発動は成功、召喚魔法で避けてください」
無慈悲なホワイトチューリップが呼び寄せた隕石が全員に降り注いだ。
「召喚魔法……こっちも出目八以上で回避成功……あ、ファンブル、転倒しまーす」
びたん、と隕石を回避しようとしてすっころぶペポ。
「六面ダイス二個で五以上が出る確率は83.3%です。おや、これなら殆ど失敗しないじゃないですか。1足りないなんてこと、まず無さそうですね」
「ぐぬぬ」
憎たらしい表情で煽るランタナを、ペポは憎々しげに睨み返す。
「あぎゃーー!!」
「このやろー!!」
転倒している二人は勿論直撃。
「うげ!? ファンブル!!」
そして魔法を撃った当人もすっころび、隕石が直撃。
見事な自滅だった。
「わたくしは6以上で成功。よし、成功した」
「我は必殺技【未来予知の竜眼】を発動する。
効果は絶対成功。予知能力で回避を成功させます」
ハナモモとキンギョソウは難なく隕石を避けきった。
「じゃあ次は私ですわね、必殺技【おしおきですわ!!】でランタナちゃんに攻撃。
効果は大ダメージ。ロッドに魔力を集中させ振り下ろすと同時に炸裂させます」
「ちょ、マジ、1ターンで私沈んだぁ!!」
ハナモモの必殺技が炸裂し、無防備なランタナは戦場からぶっ飛ばされていった。
「あー、これ目的達成無理ですねー。降参します」
「私も戦闘は続行しない」
――はいー、では戦闘終了ですね。ラストシーンです。
「ぐふッ、もはやこれまでか……」
「ランタナちゃん、バナナオーシャンに帰ろう。
どうしてもって言うなら、私もそちらに行くから」
唐突にキリっとしたシリアスな表情で、ペポは倒れたランタナに手を差し伸べる。
「とんだお人好しだね、ペポ。馬鹿馬鹿しい。……君なんて裏切者にできないよ」
「じゃあ私はランタナちゃんを連れてリリィウッドに戻ります」
ホワイトチューリップは重傷を負ったランタナに肩を貸し、闇夜の奥へと消えて行く。
「さよなら、ペポ……」
ペポとその仲間たちはその後ろ姿を見守る事しかできなかったのだ。
………
…………
……………
「はい、これにてシナリオ【バナナオーシャンの海は赤く染まるのか?】を終了します。
お疲れ様でしたー」
ナズナがそう〆ると、テーブルを囲んでいた団長たちも、おつかれー、と口にした。
団長たちは、『忍び花』と言うTRPGで遊んでいた。
全員が花騎士という表の顔を持つ忍者という設定で、表向きの任務とは別にそれぞれに設定された本来の目的を探り合って、各々の目的を達成するという代物だった。
今回のシナリオはバナナオーシャンの騎士団本部から機密文章が盗まれ、それを奪還するのが全員共通の任務だった。
しかし、上記の通りNPCのランタナが裏切者で、プレイヤーの目的によって彼女の味方が一人配置されていた。
「ランタナてめぇ、何だこの目的は!!」
今回シナリオを作ったランタナに、ペポのキャラを操作していたリンゴ団長は裏目的が掛かれたシートを突きつける。
そこにはこう書かれていた。
ペポの目的:
あなたは実は今日、寝坊しかけていた。
急いで任務にやってきた為、実はあなたはノーブラである。
表の任務を達成するのが本当の目的である。
所謂、シナリオの根幹に関わるようなものでもなければ、秘宝を持ってるとかでもない、見た者が脱力するどうでもいいダミーだった。
「ふっふっふ、だんちょがペポ使うって言うから、ロールプレイしやすいようにネタを提供しておきました」
「ノーブラの女の子のロールプレイなんて出来るかボケ!!」
「あっはっは!!」
リンゴ団長のツッコミにランタナは可笑しそうに笑う。
「あ、ハナモモちゃん、今回の功績で中位騎士に昇格だ」
「そのキャラもだいぶ使い込んだねぇ。
俺の白姉さん負けっぱなしだからまだヒラ騎士だよ」
「貴殿は常に日が堕ちる側よな」
リザルト処理をしている三人もワイワイがやがやしている。
彼らはこんな感じでいつも定例会議にかこつけて遊んでいるのだった。
「そうそう、中位騎士で思い出したのですが、ランタナさんはまだヒラ騎士でしたよね」
「ぎく」
今日のシナリオのゲームマスターをしていたナズナは、サブマスターのランタナに目を向ける。
ランタナは気まずそうに目を逸らした。
「なんだお前、まだ昇格試験受けてないのか。
分隊長なんだから、早く昇格しておけっつっただろ」
「えー、だってぇ」
リンゴ団長の物言いに、ランタナは渋るような表情を作った。
花騎士にも階級が有り、部下を率いるようになる中位騎士、部隊を任されるようになる上位騎士と、大まかに決められていた。
余程の有事でもなければあんまり重要視されないが、人事の指針になるので部下を持つ花騎士の昇格は推奨されている。
「勉強が嫌なのは分かるがな、これもお前の為なんだぞ」
「もぉ、だんちょったらお父さんみたいなことを言う~」
「お前なんかもう俺の娘みたいなもんだろうが。
だったら素直に俺の言うことを聞け」
と、片づけをしながら団長は説教臭くそう言った。
その言葉に微妙に照れが混じっていることを、同僚たちは悟っていた。
「ぶーぶー!!
あ、そうだ、ぱぱー、お小遣いちょうだーい。お小遣いあればやる気出るかも~?」
「仕方ないなぁ、このバカ娘は。
あとで給料からさっぴいとくからな」
あはははは、と二人は笑いながら金貨をあげたり貰ったりしていた。
「さて、さんざん先延ばしにしてた議題だけどさ、何か思いついた?」
休憩を挟み、代表してチューリップ団長が口火を切った。
「今度ロータスレイクでやる花祭りの出し物なぁ。
食べ物とかは他の騎士団がやるんだろう?」
「ええ、うちは規模が大きいので、それなりの物をやれと」
「上層部のいつもの無茶ぶりですねぇ」
「我らが常に未踏の極点へと至れる故だろう」
と、団長たちは頭を悩ます。
「ロータスレイクは踊りが強く根付いた文化があると聞いています。
舞踊などはどうでしょうか?」
案を考えていたのか、ナズナがそんな提案をしてきた。
「うちで踊りがうまいのってポピーさんぐらいだし、踊りの本場で半端なのやっても笑われるだけだよ。
なにより、うちの騎士団の特色が何も出せてない」
チューリップ団長は即座にその提案を却下した。
やるからには彼に妥協はないようだ。
「そうですかぁ……」
「はいはーい、ランタナに良い考えが有る!!」
落ち込むナズナと入れ替わりに、茶菓子を貪って居座っていたランタナが手を挙げる。
「演劇なんてどうでしょう、この間やったし!!」
意外にまともな発言に、団長たちも思わずおおとなった。
少なくとも、踊りよりは現実味は有った。
「おいおい、学芸会じゃないんだぞ」
「でもまあ、演劇ならダンスより学芸会レベルでも許されるとは思いますよ」
怪訝そうなリンゴ団長に対し、ハナモモ団長は肯定的だった。
「ほかに意見が無いならそれで」
「異議なし」
「……マジかよ」
他二人の団長も、頷く。
「大丈夫? ランタナの意見だよ?」
ランタナも勿論某攻略本のネタみたいな言い方で、殊勝な態度で自分の意見を採用するのか聞き返す。
「丁度今、こっちにカルセオラリアちゃんが来てたよね。
彼女に脚本を書いて貰えば演技が拙くても何とかなるかもしれない」
「おッ、それいいな。
何かアドバイスを貰えるかもしれん。おいランタナ、呼んで来い」
「くッ、団長め……新しい幼女に目を奪われよって。
さては散々使い倒して、ぼろ雑巾のように捨てるつもりなのね!!」
なんて言いながらも、律儀にランタナはカルセオラリアを呼びに行くのであった。
「ええと、お呼びとのことですが一体何のご用件でしょうか、だんちょー様方」
きっと詳しく説明せずに連れてきたのだろう幼年学校の背負いカバンが似合いそうな花騎士カルセオラリアは、困惑した様子で団長たちの顔を見回した。
「実はね……」
代表してチューリップ団長が彼女に説明する。
「なるほど。そういうことですか」
事情を聴いたカルセオラリアは納得したように頷いた。
「ですが、ここでわたくしが脚本を書くよりだんちょー様方が書いた方がよろしいと思いますよ。
その方が騎士団らしさも出るでしょうし、何よりわたくしに依頼するとお金を貰わないといけませんから」
「ううむ、ここは我が闇に閉ざされた暗黒文章が紐解かれるときか……」
「あ!! 何か既に存在する絵本などを題材にするのもよろしいかと!!」
やる気になっているキンギョソウ団長を見て、慌てて彼女はそう言い直した。
「そう言えば、春祭りもロータスレイクに伝わるは眠り姫の伝承に関するお祭りのはず。
それを題材にしてみるのも良いかもしれません」
「キンギョソウ団長に書いて貰うかは別として、俺はオリジナルの脚本が良いと思うな。
皆でテーマとか出し合ってさ。その方が面白そう。
と言うか余計な出費は許せませんよ」
ナズナとチューリップ団長はそれぞれ違う意見を述べる。
「じゃあ多数決で良いだろう。
オリジナルの脚本でやりたい人ー」
リンゴ団長がそう言うと、三人の手が上がった。
この場に居る団長の過半数だった。
「じゃあ、次は誰が書くかだが……」
「くッ、鎮まれ、鎮まるのだ我が右腕!!」
「だんちょが書けばいいじゃん」
露骨に自己主張し始めた某団長など気にせず、ランタナがあっけらかんとそう言った。
「は、はぁ、何言ってんだお前」
「だって、団長ってば小説とか書いてたんでしょう?
だったら演劇の脚本くらい楽勝だって!!」
「ふざけんな、小説と脚本は別物だぞ!!
みんなもそう思うだろう?」
リンゴ団長は話題を逸らす為に他の団長に意見を求めたが。
「別にいいんじゃない? 俺やハナモモ団長は無理だし、ナズナ団長は忙しいし」
「ふッ、目覚めの時を見守るのも良いものかもしれん」
「僕はリンゴ団長さんの書くお話読んでみたいです」
「あ、私もです!!」
彼に味方は居なかった。
多数決によりリンゴ団長が脚本を書くことになった。
「くッ、ランタナめ覚えていろよ……」
「ふっふっふ、この団長サーの姫たる愛され系美少女ランタナの前にはいかなだんちょと言えども無力!! これぞ逆ハー総受け展開よ!!
今日も虹レアに昇格した私を求めて爆死する団長たちの姿が見えるようだ!! イベントピックアップはもうすぐ終わる、間に合わなくなっても知らんぞー!!」
「じゃあお前を主人公な」
「ごめんなさい、許して下さい!!」
ランタナの素早い変わり身の結果、何とか主人公化は免れたようだった。
「まあまあ、わたくしでよろしければ脚本を書くお手伝いをしますから」
「え、マジで!? 手取り足取り教えてくれるの!? やるやる!!」
リンゴ団長の変わり身も早かった。
「それで、テーマはどうするよ?
それぞれお題を出すような感じか? 突拍子もない無茶振りするなら考え直してもらうが」
リンゴ団長がそう言うと、なら、とナズナが手を挙げる。
「ラブロマンスなんてどうでしょう!!」
ドヤ顏に集中線が見えるような迫力で彼女は言った。
「お、おう……わかった」
無茶振りには違いなかったが、突拍子もない訳でもないので渋々団長はメモを取る。
「あ、それならお姫様が出てくるモノにしてあげてください。
この間の演劇で、ハナモモちゃんお姫様役をやりたがってたので」
「ふむふむ、なるほど、分かった。でも彼女の気を引きたいならもうちょっとわかりやすくした方がいいぞ」
「そ、そう言うのじゃないですって!!」
リンゴ団長の指摘に顔を赤くして否定するハナモモ団長。
「あ、それじゃあ悲恋モノにしてくれません?」
そして二人のお題を台無しにしかねないテーマをぶっこむチューリップ団長。
唖然とするその二人に、彼は意地悪な笑みを返した。
「オーケー、悲恋モノな。でもなんで悲恋なんだ?」
「そりゃあもう、不幸な恋愛を見て相対的に優越感に浸りたいからっすよ!!」
と、どこぞのド畜生シスターみたいなことを言い出した。
「最後は我だな。ふむ、懲悪勧善などどうだろうか」
「懲悪勧善な、分かった。とりあえず破綻した話は書かずに済みそうだ」
意外にまともなお題を出すキンギョソウ団長。
とりあえず闇鍋みたいな内容にしなくても良い、と安堵したリンゴ団長。
「俺が書くんだから、ある程度出演者の裁量はさせてもらうからな!!」
「ええ、それは勿論」
「あの、ハナモモちゃんをあまり酷い役には……」
「大丈夫だ、彼女には恋愛の厳しさを教えてやろう」
チューリップ団長の合意を受け、にやりとした笑みを彼はハナモモ団長に向けた。
それだけでものすごく不安になるハナモモ団長だった。
そして定例会議が終わって、解散となったのだが……
「あ、ランタナちゃん、これ次の中位騎士試験の参加用紙ね。試験は二週間後だから」
「ふむ、ならば我は教材を送ろうか」
「あ、この間ハナモモちゃんもその試験受けたので、出題した問題を教えてあげますね」
「――――うえぇぇ。こんな逆ハー展開嫌だぁ!!」
何だかんだで団長たちに可愛がられているランタナだった。
今回団長たちとランタナがやっていたTRPGは、シノビガミという忍者モノのオマージュです。
個人的に一番好きなシステムです。
決して、真ゲスなランタナをやりたかっただけではありません。(大嘘
後編はもう少々お待ちを。