次のスペチケは趣味と実益を兼ねてハスさんにしようと思っとります。あのくらいの膨らみがええのですよね。
それにしても運営さん、ロータスレイクの設定引っ張りおる。
次回からは久々にそのイベント周りの話にしましょう。
とりあえず散々混乱した二人にして一人は。
「ふぅ……」
「……新しい世界が見えました」
一時間ぐらい自分の体の状況を確認すると、汗やその他の体液を拭い去った。
「というか俺の体どうなってる?
ああ、そうでした。団長さんが私の中に居るってことは団長さんの体はそのままってことですよね。
……ひとりでに動いてるとかないよな」
二人にして一人になったリンゴちゃんは団長の部屋へと向かった。
「おお、愛しのマイボディ……」
団長の体は普通に自分のベッドで眠っていた。
当然だが幾らゆすっても起きる気配はない。
「それで、どうするよこれ。
とりあえず原因を突き止めた方が良いと思います。
……だよなぁ」
傍から見たら一人で会話をする変な人だが、困ってるのは本当だった。
同じ体に同居しているとはいえ、心の中で会話できるというわけではないらしい。
「なんかの呪いか魔法だろうか……。こういうのはとりあえずパープルチューリップちゃんに聞いてみるのが一番だ。と言うか昨日彼女に相談しに行って、帰って寝たらこうなってた。他に考えられん。
そうですね、そうしましょう。
流石に呪いを掛けられるほど恨まれる覚えはないし……ないし……」
と、リンゴの体をぶるぶる震わす団長だった。
「団長さん、リンゴちゃんがこちらに来てませんか?
お二人ともそろそろ食堂が閉まっちゃいますよ」
その時、気配りができる女、サクラが部屋の外から声を掛けてきた。
「リンゴちゃんよ……。
あ、はい、どうぞ」
二人の思考はまさに以心伝心だった。
小声で短いやり取りを終えると、団長はリンゴボディの主導権を借りた。
「ああ、サクラさん」
そして彼女にして彼は何食わぬ顔でドアを開けた。
「どうかしたのかしら?」
「実は団長さんは体調が優れないらしく、ベッドから動けないようなんです。
とりあえず今日の日程は私に任されました」
「あらあら? それは大変ねぇ……あとでお医者様を呼ばないと」
「はい、私からチューリップさん達の診療所に連絡しておきますので、サクラさんはお構いなく、と団長が」
「わかりました。どうやら、かなりお加減が悪いみたいね」
団長の対応に、ただ事ではないと察したサクラは神妙に頷いた。
「どうやら団長さんは皆さんに心配かけたくないらしく、とりあえず今日は療養の為に寝ているそうです。
うつる風邪かもしれないから、他の人との接触は最低限にしたいと」
「ええ、私もそれが良いと思うわ」
「それじゃあ、私は食堂に行きますね。お気遣いありがとうございます」
団長は丁寧に腰を折ると踵を返し、にまにまと内心笑いながら食堂を目指し歩き始めた。
だが。
「ところで、団長さん。それは新しい遊びですか?」
ふと、何気なく背後から投げかけられたサクラの言葉に、心臓を鷲掴みにされたような気がした。
「え、う、うそ、なんで分かったんですか!?
ば、バカ、狼狽えるなリンゴちゃん」
動揺して二人は一人の体を動かそうとして奇妙なダンスみたいな動きをし始めた。
「ああ、やっぱり。
話し方や態度で何となく怪しいなとは思ったんですけど、歩き方は決定的でした」
と、サクラは柔らかく笑ってそう言った。
「歩き方ってお前、重心とか足運びで見破ったってのか……」
「ウメちゃんと試合する時、間合いとかは全部体で覚えてるので案外足元を見てた方が動きが読めるんですよ。
それでも偶に予想外な一撃が飛んでくるのがウメちゃんの凄いところでして」
「お前が何を言ってるのかわからない……。
それナデシコちゃんが修行に心血注いでようやく会得した奥義なんですがそれは」
「流石に初見の相手とかは分からないんですよ?
あ、でも、援護する時に味方の動きを把握するにはとても役立ちます」
つまり彼女は複数人相手にそれを行っているということらしかった。
なまじ剣士としてそれなりの技量を持っているリンゴ団長は眩暈がした。
「信じられん……この体はリンゴちゃんそのものだってのに」
「ああ、気配はリンゴちゃんそのものなので少し迷いましたけど、やっぱり団長さんだったんですね。
姿かたちを変える魔法か何かかと思ったのですけど、何かありましたか?」
「カマかけたのか……。
……団長さん、もうサクラさんには話しておきましょうよ。
そうだな……」
渾身のイタズラを見破られた団長は少し拗ねた様子でリンゴの言葉に頷いた。
「朝起きたらリンゴちゃんの体に入ったなんて、信じられません……」
「いやね、お前のあれも余程信じられないんだが」
ぴくりとも動かぬ団長を前に事情を話したサクラは驚いた様子だったが、疑う様子も無かった。
「では、団長さん。確認の為にひとつ。
私の学生時代、団長さんが来てから何度かウメちゃんと試合しましたが、私は何試合目でウメちゃんに負けたか覚えていますか?」
「三試合目だ。あの時は俺はウメちゃんにお前の癖を教えたが、二度と通用しなくなったと嘆いていたぞ。なんならもっとくわしく話そうか?」
「……いいえ、間違いありません」
当人たちしか知りえず、まずリンゴも知りえないだろう情報を確認して、サクラも唖然としながら確信を抱いたようだった。
「わかりました、では皆には事情をぼかして説明しておきます」
「いや、あいつらがどんな反応するか興味がある。包み隠さず説明しておけ。
え、いいんですか、団長さん?
わかってないなぁ、リンゴちゃん。
えッ、あッ、ああ!! なるほど!!」
まるで二重人格者が片方の人格と会話しているかのような姿を、サクラも不思議そうに見ていた。
§§§
「と言うわけで、ここに居るリンゴちゃんの中には団長さんがいらっしゃいます」
チューリップ診療所に遣いをやって、その間にサクラが皆の前でそのように説明をしたのだが、当然ながら皆は半信半疑だった。
「リンゴちゃんも大変ね……」
「サクラさんまでまた団長のヘンな遊びに付き合わせて……」
「団長も何を考えてるんだか」
「どうせ何も考えてないんでしょ」
と、ちっとも信じていない様子のいつもの四人組だった。
「だんちょ!! ズルいじょ!!
なんで私の中に来なかったんだ!!」
「俺もお前の中だったら遠慮なんかしなかったんだがなぁ」
逆にあっさり信じてるランタナに、団長は笑いかけた。
「リンゴ、いつまでもあのバカに付き合う必要は無いんだぞ」
「あははは、だそうですけど、団長さん。
うむ、クロユリの奴め、自分が俺を疑うなんて生意気だと教えてやろう」
半眼で呆れているクロユリにリンゴは近づくと、おもむろに服の中に手を突っ込んだ。
「き、きゃあ!?」
「ははは、きゃあだってよ!! どれどれ、リンゴちゃんよ、実はクロユリはここが弱いんだぜ。
むはっ……とと、残念ですけど団長さん、それって前に教えてくれたから証明になりませんって。
おっと、そうだったな、あっはっは!!」
「や、やめッ、わかった、信じる、信じるから!!」
リンゴの躊躇いの無い恥辱を受けて顔を真っ赤にして蹲るクロユリ。
そして周囲の面々は、リンゴの豹変に慄いていた。
「ほ、本当に団長なの?」
目を見開いてキルタンサスがそう言った。
「ああ、ちゃんとリンゴちゃんも居るがな」
「何と言いますか、団長さんって本当にネタの提供に枚挙が無いですね」
普段言葉が止まらないリシアンサスも開いた口が塞がらない様子だった。
「俺も何でこんなことになったのか分からなくてな。だから正直不安で不安でしかたがないんだ……」
「大丈夫ですよ団長さん。
ここには私たちが居ますから、不安がらなくてもいいんですよ。
だからちゃんと私たちを頼ってくださいね」
「う、うわぁぁん、プルメリアちゃーん!!」
妙にわざとらしい態度でそんなことを言ったと思ったら、プルメリアが優しくそう答えたのを良い事に彼女に抱き着くリンゴイン団長。
自分が女性の体をいいことに、これでもかと体に触りまくっていた。
それはもう、非常にだらしない表情をしながら。
「うーん、私は詳しい訳じゃないんですが、これって生霊が憑依しているってことなんでしょうか?」
「ペポちゃん、何か分かるの?」
「いえ、私は専門家じゃないので。
でも生霊の憑依って語弊があるかもしれませんが、呪いみたいなもので、取り憑かれた人に悪いことを起こすんですが……」
ペポとサクラは、リンゴを見る。
「ぐっへへ、お前たちも信じさせてやるぜ……」
次のターゲットを四人組に選んだリンゴは、手をわきわきさせながら近づいていく。
「きゃ、きゃー!! リンゴちゃん、正気に戻って!!」
「リンゴちゃんにエロオヤジが乗り移ってるわ!!」
「っていうか、それってもう完全にエロオヤジじゃない」
「なんてことなの……」
恐れ戦く四人組だったが、その直後、唐突にリンゴが血を吐いた。
「ああッ、誰もが思ってても口にしなかったことを言ったな、言ってしまったな!! リンゴちゃんの趣味がオヤジ臭いからって、リンゴちゃんの心は乙女で傷つきやすいことには変わらないんだぞ!! 彼女が魂からのオヤジだろうと、彼女は俺の同志なんだからな!!
――――ぐはぁああ!?」
と、当人が最大のダメージを与え、更に自ら吐血するリンゴだった。
「わ、私、そんな風に思われてたんですか……。
ち、ちが、違うぞリンゴちゃん!! うぐぐ、普段から血を失ってるから眩暈が……こうなったら、女の子成分を補充するしか!!」
手負いの野獣と化したリンゴの前に、立ちはだかる秩序の番人が存在した。
「団長さん、そろそろお戯れは終わりにしましょう」
「おのれ、サクラ!! やっぱりお前が最後に立ちはだかるか!!」
「団長さん。女の子成分を補給すれば、リンゴちゃんは元気になるんですよね?」
「なッ、何をする気だッ、おい、止めろ、近づくな!!!」
「えーい」
むぎゅう、とリンゴはサクラに抱きしめられた。
「うぎゃあああああぁぁぁぁ、巨乳が、巨乳があぁぁぁ!!
っふ、ふへ、私サクラさんに抱きしめられて、もう死んでもいい」
サクラの献身によって邪悪な魂は封じられ、リンゴは昇天しかけていた。
この上なく頭の悪い光景だった。
「これは完全に呪いですね……」
ペポの呟きに、大よそ全員が同意するように頷いた。
§§§
「うう、うわぁああん、目を覚ましてよご主人!!」
イヌタデはうんともすんとも言わない団長ボディに縋り付いていた。
「ボクは女の子より男のご主人の方が良いよぉー!!」
てな感じて理性では分かっていても、彼女は納得できていないようだった。
「しくしく……こうなったら」
「おいこら、何しようとしてやがる」
ズボンをがさごそと弄ろうとしていたイヌタデの頭にげんこつが落ちる。
きゃいん、と涙目になるイヌタデを部屋の隅に退かし、リンゴは駆けつけてきたパープルチューリップに道を開けた。
「……ううむ、興味深い」
「いや、興味深いって。これってあれだろ、植物状態ってやつ。
花騎士の騎士団長が植物状態とか笑えないんだが」
ちっとも反応を示さぬ団長を見下ろし、パープルチューリップは思案に耽る。
「あなたはリンゴさんの作り出した団長という名の人格ではないかと疑っていましたが、どうやらそうではなさそうですね……」
「何らかのショックでリンゴちゃんが二重人格になって、俺はそれだと?
でも少なくともそれだと、私の知らないことを知っているのはおかしいですよね?」
「……人間の精神は神秘に満ちています。
子供が前世の記憶を持ち、当事者しか知らぬ情報を話すと言ったこともあるそうです。
残念ながらその事例に出会ったことはありませんが」
そう語る彼女に、リンゴに宿る団長の精神は付いて行けないと首を振った。
それは最早、神に迫る領域の話だからだ。
「単刀直入に聞くが、昨日、君は俺に不安や悩みを和らげるおまじないを掛けると言ったな。その結果がこれなのか?」
「……私に心当たりがあるとすれば、それに間違いはないでしょう。
しかしそれがこのような結果を招くとは、おまじないの実行担当の協力者も予想していなかったはずです」
「これはこれで面白いし、相手がリンゴちゃんだから殆ど混乱も無かった。可及的速やかに元に戻してくれるってなら別に君を責めたりはしないよ。チューリップ団長にも言ったりしない。認可された治療なら“おまじない”なんて言わんだろうしな」
「それは……お気遣い感謝します」
その気遣いをなんで普段から女の子に出来ないんだ、というのを飲み込み、パープルチューリップはリンゴを見やる。
「とりあえず協力者に連絡を付けるので、今日一日は不便をおかけします」
「頼むぜ、ホントに。
よろしくお願いします」
「しかし、私が思うに、このような結果になったのはお二人だからだと思いますよ。
私は幾度かの実験を行いましたが、本当におまじない程度の効果しかもたらされませんでした。
それだけお二人の心の結びつきが強いのだと思いますよ」
「そりゃあなぁ……。
私と団長さんは一心同体ですから」
二人にして一人は、自信に満ちた笑みでそう言った。
「仮に元の別々の体のままでも、リンゴちゃんが手足を失うなら俺はその部位を切り落とすだろう。彼女の後に俺は別の補佐官を持つつもりも無いし、命が絶える時は一緒だ。彼女を失う無様と無能を晒すなら、その時が俺の死ぬ時だ。
……団長さん、ぐすん」
神妙な顔でそう言ったと思ったら涙ぐむという二人にして一人は、やっぱり傍から見て奇妙な光景だった。
「……ふぅ、あなた達におまじないなんて必要なかったのですね」
余計なお節介でした、とパープルチューリップは首を横に振った。
§§§
「団長さん、リンゴちゃん、近隣から害虫報告がありまして、即応できる部隊が我々しか無いとのことで……」
パープルチューリップに団長の体を任せ、リンゴが部隊の訓練場に向かうとサクラを始めとした全員が整列して彼女を待っていた。
「なに、俺たちだけだと?
あれですよ団長さん、最近ジョルン湿地帯辺りの害虫が増加傾向らしく、バナナオーシャンと共同で大規模な討伐作戦を行うので。
……ああ、あれか。うちの騎士団は大本がリリィウッドだが他国籍の団長も多いしな。小回りが利くのに妙なところで大回りなんだよな」
とは言え、そのうちお呼びがかかるだろうと、のんびりと今日も訓練をしようとしていたら、害虫の出現である。
「防衛に回っている騎士団も出払っている、か。ふん、行きがけの駄賃だ。狩り尽くすぞ。うちのバカ犬を呼んで来い」
と、リンゴは彼女なら絶対に見せないような楽しそうな笑みを浮かべた。
「ハンティングの時間だ。連中に人間様の行儀を教えてやろう」
仕事の開始だ。
リリィウッド近郊。
「周囲の地形の把握に努めろ。クモ型害虫のクモの巣を見つけ次第延焼に気を付けて焼き切れ。
森林戦は団長さんが最も避けている戦場です、皆さん頭上に注意を払ってください」
リンゴは地図を見ながら二人分の指示を飛ばす。
「この周辺で待ち伏せに適した地点はこの辺りでしょうか」
「ではその地点に移動するぞ。敵の領域で動き回るのは愚かだからな。
退路の確保もしっかりしませんとね。ルートはどうしましょうか」
「三パターンほど想定しています。こちらをどうぞ」
「パーフェクトだ、サクラ」
打てば響くようなサクラの応対をリンゴは褒め称えた。
「イヌタデの索敵が終わり次第、ランタナ達に招待させろ。そのまま俺たちはランチの準備としゃれ込もう」
「御代はいか程に致しましょうか」
「命を頂戴しろ。その代わり最高級の持て成しをするんだ。
思わず昇天するほどの、ですね?
くくく、分かってるじゃないかリンゴちゃん」
団長不在で少し不安を抱いている花騎士も居る中で、リンゴちゃんとその中に居る団長はいつも通りだった。
その姿を見て、ああホントに団長はここにいるんだな、と思う面々だった。
索敵、陽動、待ち伏せ、バックアタックは何の問題もなく作戦通り進んで行った。
普段何倍も凶暴で強い害虫を相手しているこの部隊からすれば、警戒網を抜けてきた程度の小集団など木端も同然だった。
あっさりと追い詰め、殲滅も間近になった頃。
「あ、そうだ、ちょっとやってみたいことがあったんだ。
どうしたんですか、団長さん?」
残り数匹程度の害虫を包囲しているのを見て、リンゴはそんなことを言い出した。
「おいかっしー、ちょいと借りるぞ」
「えッ」
本日の団長護衛班の部下からするりと剣を抜き取ると、殲滅の準備を終えていた各班の面々の横を抜けてリンゴは害虫に向かって歩いて行く。
ギョッとする部下たちを尻目に、害虫たちが最後の抵抗とばかりに無遠慮に近づいてきたリンゴに襲いかかった。
「はは、窮鼠猫を噛むならもっと決死の覚悟でやれよ」
その害虫を、頭から剣でかち割って、返り血を浴びながらリンゴは言った。
「……なんだこれ」
次に飛び掛かってきたカマキリ型害虫が繰り出す左右の鎌を受け流し、袈裟懸けにその胴体を引き裂く。
「なんだこれは!! ははは!!」
一矢報わんと針を突出して突貫するハチ型害虫を突き穿ち、串刺しにして地面に叩きつける。
「これが花騎士か!! 世界花の魔力か!! これに比べたら元の体なぞ、出涸らしも同然じゃないか!!」
ただ切っ先に魔力を行き渡らせ、刃の保護と切れ味を良くしただけで強固な外皮を持つ害虫の体を引き裂いて行く。
普段団長もやってることを、花騎士の体で行うだけで魔力の効率も密度も段違いだった。
「羨ましいなぁ、俺の下の聖槍が使えなくなるんじゃなかったら、ずっとこのままでも良かったかもしれん。
満足しましたか? 団長さん。
おっと、すまんすまん」
まだ動いている害虫を本来の体の持ち主が魔力光線で処理すると、同居人は礼を口にした。
「お疲れ様です団長さん、でも危ないことはしないでください。
その体はリンゴちゃんのものなんですよ」
「いやぁ、悪い悪い。でも一度でいいからやってみたかったんだ。花騎士たちの先頭に立って、勇猛果敢に虫どもに斬りかかる。騎士団長なら誰だってそうしたいって夢見るもんだからな」
と、リンゴの中の彼は虚しそうにそう言って笑った。
その言葉に、返せる言葉をサクラたちは持たなかった。
古来より魔力の適正は男性よりも女性の方が優れている。
男性の方が筋力が有るのと同じで性差に過ぎず、花騎士と他の一般女性を男性と比べても意味の無いことだが、それでも夢想してしまうのだ。
「ありがとうな、リンゴちゃん。長年の夢が叶ったよ。
いいえ、気にしないでください。
ああ、でも、無理に魔力で身体能力をかさ増ししたから、明日筋肉痛かもな。
え、えええぇぇ!?」
その言葉の通り、翌日リンゴは全身筋肉痛でダウンした。
一方団長はあっさり元の体に戻ってちゃっかりその痛みから逃れていたのだが、彼は一日中リンゴを背負って行動したので、彼女はそれはそれで良かったらしい。
そしてこれは余談だが、二人の精神が一人に同居するという異常を何とか元に戻したニゲラは、ノーカン、あれはノーカンだから、と憔悴した様子で呟いていたのをアルテミシアが聞いたとかなんとか。
そろそろみんなガルシンのノルマをクリアした頃でしょうか。
私は初期は勿論ヴァルンホン(ロリ)を選び、お気に入りの子はリコちゃん(ロリ)です。
皆さんのお気に入りの子は誰でしょうね。