貧乳派団長とリンゴちゃん   作:やーなん

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今週のイベントで今回の話と矛盾が出てしまい、書き直しの憂き目に遭いました。
おかげで投稿が遅れてしまいました。
それでは、本編どうぞ。



クリスマスプレゼント

「リンゴちゃんよ、ついにこの季節が来てしまった」

「はい、団長さん」

 リンゴ団長は執務室の窓の前に立って、雪降るリリィウッドの街並みを見ていた。

 

「準備は出来ているだろうな」

「はい、こちらに」

 リンゴは白い大袋の中からある物を取り出した。

 

 

「クリスマス、つまり、女児の部屋に合法的に不法侵入して寝顔を見つつ、プレゼントを配る日!!」

「あどけない女の子たちの寝顔を想像しただけで、むっはッぁ!?

 ヤバイ、超ヤバイですよ、団長さん!!」

 団長は興奮しているリンゴの持つサンタ服上下の完成度に満足しつつ頷いた。

 合法的に不法侵入とはこれいかに。

 

「そう言うわけで、そう言うわけで!!

 今年も例の内部調査を行うぞ!!

 今のうちに俺の部下たちが誰がどんなプレゼントを欲しているか調べるのだ!!」

「よっしゃぁ!! 燃えてきましたよ!!

 神様、こんな日を作ってくれてありがとう、ありがとう!!」

 わはははは、と二人の笑い声が執務室に響く。

 

 バカ二人は今日も平常運転である。

 

 

 

 

「とは言ったものの、こういうサプライズ的なものは当人たちにわからないようにするべきなのだが。

 これは去年もやってしまった為、最古参の連中には意味が無い。

 とりあえずクロユリとサクラは特に慎重に調べなくてはなるまい」

「そうですよねぇ、どうやって聞き出しましょう」

 二人は誰かが聞いてしまうかもしれない為、雪降るリリィウッドの街並みを歩きながら相談をしていた。

 

 

「こればっかりは身内を使ったら感づかれそうだしなぁ。

 個人的なことだし、色々忙しいし今回はシルビア隊は借りれないだろうな」

 団長は腕を組んで唸った。

 

 シルビア隊とは、魔女狩り隊の公称である。

 彼女らは正確にはその一部隊で、部門別で内部監査や内偵調査などを専門としている部隊がある。

 その性質上、所属メンバーはチューリップ団長しか全貌を知らない。

 

「何か良い手はないでしょうか」

 白い息を吐きながら、リンゴも頭を捻る。

 

 

「おッ」

 そんな時だった。

 二人が歩く道の前方を、横切っていく見知った二人組を見かけた。

 

 

「ポインセチア!!」

「その声は、団長さん!?」

 名前を呼ばれ、ポインセチアは振り返って団長の姿を確認すると、笑顔を浮かべた。

 

「ポインセチア!!」

「団長さん!!」

 外国での運命的な再会に二人は駆け出した。

 

 

「近づくなロリコン!!」

 が、当然のように隣にいたホーリーが先回りして団長に回し蹴りを放った。

 

「よっと」

 だが、その軌道は見え見えだった為、あっさり団長に足を掴まれてしまった。

 

「あ、ッ、この、放せぇ」

「おい見ろリンゴちゃん、こいつホーリーって名前のくせに黒いパンツだぜ!!」

「えッ、マジですか!! むはッ」

「ちょ、見るな、見るなぁ!!」

「どうした、このまま通行人の皆さんにもサービスしてやれよ」

 ほれほれ、と掴んだ足を上げてホーリーを翻弄する団長。

 彼女は必死に両手で下着を隠そうとして涙目になっている。

 

「どうどう、どうどう」

「私は馬じゃないわよ!!」

「はっはっは、お前なんて飼い主に逆らう暴れ馬みたいなもんじゃないか」

「誰が飼い主ですって!!」

「どれ、飼い主様がどれだけ成長したか見てやろう」

 くるりん、と団長は掴んだ足を引っ張って、ホーリーを後ろから抱きしめると、無遠慮にその両胸を鷲掴みして揉みしだき始めた。

 

「きゃ、きゃああああ!!!」

「まーた成長してやがるなこいつ。

 少しはポインセチアを見習ってこの無駄な脂肪を落としたらどうだ、うん?」

「やッ、やめて、お願い……」

 余裕が完全に無くなったとみると、団長は無造作に、余りにも無造作にポイッとホーリーを放した。

 

「ゆ、ゆるざない……」

 涙声で怒りに震えるホーリー。

 微塵も女扱いされていないその仕草に、屈辱を感じていた。

 

「かもーん、ホーリーちゃん。悔しかったらメテオ止めてみろ」

「あ、あそこにミニスカ美少女が!!」

「えッ、どこどこ!? ――――ぐへぇ!?」

 よそ見をした瞬間を狙ってホーリーはマウントポジションを取り、怒りのままに団長をタコ殴りにし始めた。

 

「死ねッ、死ねッ、害虫と一緒に滅んでしまえ!!」

「ぐへッ、ぐへッ」

「まあまあ、ホーリーちゃんもそれくらいにしとこう」

 ふーッふーッ、と息を吐く暴走トナカイをポインセチアは引きはがした。

 この二人のこれくらいのやり取りは最早いつも通り過ぎて、優しすぎるポインセチアも止める気にならないのだ。

 

「へッ、いいパンチをするようになったじゃないか」

 と、何らや口元の血を拭って起き上がる団長。

 しこたま殴られたのに全く堪えていない。

 

「それで、どうでした?」

 リンゴは鼻から出た淑女をいそいそと拭き取りながら彼に尋ねた。

 

「イチゴ、キウイ、リンゴ、パイナップル、メロンの五段階評価でいうなら、……リンゴだな。

 ま、キウイちゃんのメロンには到底及ばんな。

 俺的にはリンゴちゃんのリンゴの方が好みなところ」

「生、半熟、固ゆででは?」

「半熟」

「把握しました、メモメモ」

 リンゴちゃんは団長が確認した情報をメモ帳にしたためた。

 

「こ、こ、この変態!!」

 彼らの隠語はあからさまで、現在進行形で辱められていることがホーリーには分かった。

 暴れ馬の如く飛び掛かろうとしたが。

 

「おっと、これ以上団長さんを殴るなら、このリンゴちゃんを殴ってください!!」

「り、リンゴちゃん!! どうしてそこまで」

「団長さん、私たちは一心同体。

 団長さんの感じている痛みさえも分かち合いたいのです!!

 決して、ホーリーさんにのしかかられたいなんて、思っていません!!

 そのまま上下左右に暴れて……むはッ」

「う、うおぉ、俺は猛烈に感動したぞ、我が半身よ」

「団長さん!!」

 ひし、と往来で友情を確かめ合って抱きしめあうバカ二人だった。

 

「……」

 ホーリーは悟った。

 このバカどもの相手をする方がバカなのだと。

 

 

「いいなぁ、皆仲良しで」

 と、すっかりそんなアホな光景を眺めてにこにこしているポインセチア。

 

「そういや、どうして二人ともリリィウッドに居るんだ?

 あっちの部隊がこっちに来てるなんて聞いてないが」

 そして急に真面目な態度で団長は言った。

 

「あんたには関係ないでしょ。

 さ、ポインセチアも行こう、こんなのと一緒に居たらバカがうつるわ」

「なんだか落ち込んでる様子だったが?」

 さっさと行こうとしていたホーリーだったが、予想外の指摘を受けて一瞬硬直した。

 

「なあポインセチア、お前だけのサンタに何でも話してみろよ」

 そのキザったらしい物言いにホーリーはイラッとしながらも、不満は飲み込んだ。

 落ち込んでいたのは事実だったからだ。

 

「うーんと、実はね。私たち、リリィウッドでサンタ任務の募集をしているって聞いたからやってきたんだけど……」

「ああ、子供たちにプレゼントを配るあれだろう?

 あれって人気あるからな、もう募集人数いっぱいだったんだろう?

 毎年気合を入れたサンタルックしてるのにそれは悲しいよな」

「団長さん、この際だから二人に頼むって言うのはどうでしょう」

「ああ、俺も今それを考えていたところだ」

 それは名案だと、にやにや笑う二人だった。

 

 

 

 

 

「クリスマスにプレゼントを配りたいから、そのアンケートを私たちにやってほしい、とか(もっと)もらしいこと言ってたけどさ」

 手渡されたアンケート用紙を見下ろしながら、ホーリーは不満を口にする。

 

「どうせ夜這いする為の口実かなんかだと思ってるんでしょ」

「もう、せっかく頼まれたんだから、そんなこと言わないの」

「分かってるよ。さっさと終わらせよう」

 部下の為にプレゼント配るということが悪い事なわけはない。

 彼が部下思いなのは知っているし、嘘でもこんなこと頼まないだろう。

 

「せっかくリリィウッドまで来たんだし、気分だけでもサンタになろうよ」

「……そうだね」

 前向きな幼馴染の言葉に、彼女も頷いた。

 どうせこれからやる事なんてないのだから。

 

 

 リンゴ団長の部下たちは、その大半が訓練中だった。

 その為、頼まれたアンケートは案外すぐに終わりそうだった。

 

「お忙しいところすみませーん、アンケートにご協力くださーい」

 とりあえず、二人は一人離れて休んでいたクロユリに話しかけた。

 

「なんだそれは、アンケート?」

「はーい、ご協力お願いしまーす」

 人当たりの良い笑みを浮かべてホーリーがそう言うと、クロユリはペンとクリップボードを受け取った。

 

「クリスマスプレゼントが貰えるとしたら何が欲しい、だと?

 私はそんなもの貰えるほど幼いつもりはないのだがな」

 とか言いながらも、律儀に彼女は要望を書いていく。

 

「ほら」

「ありがとーございまーす」

 アンケート用紙を受け取りながら、思わずその内容を確認したホーリーは硬直した。

 それを横から見たポインセチアは、あちゃあ、と内心呻いた。

 

 名前:クロユリ

 要望:お前が直接聞きに来い。

 

 自分の差し金だと分からないように、と団長に念を押されているのに、初っ端からバレバレだった。

 

 

 

「すみませーん、アンケートお願いします」

 気を取り直して、今度は丁度お昼時になった為、訓練を終えたサクラたちにアタックする事となった。

 

「あらあら。どんなアンケートかしら?」

「はい、ウインターローズからの需要調査らしいです」

「あの国は毎年クリスマスに力を入れてるものね」

 相変わらず見本のような気品のある笑みを浮かべながら、彼女はさらさらとアンケート用紙に記入していく。

 

「みんな、アンケートだって」

 彼女は周囲の面々に呼びかけている合間に、ホーリーは記入欄を見た。

 

 名前:サクラ

 要望:団長と御揃いのサンタ服一式

 

 それを見て、あッ(察し という言葉を表情にしたらこうだろうという顔になったホーリーだった。

 邪なアホサンタの計画は早くも頓挫の様相を呈していた。

 

 

 

 お次はまだまだ訓練中だったランタナ分隊のところへ二人は赴いた。

 

「おらおらぁ、気合入れろぉ!!」

 丁度壁をよじ登る訓練をしているようだった。

 天辺に居るランタナが部下たちに発破をかけている。

 

「あッ、わッ!?」

 その時、キウイが手を滑らせて落ちそうになった。

 が、寸でのところでその手をランタナが掴んだ。

 

「まだまだ諦めるな、どうしてそこで諦めようとしたんだ!!」

「だって、落ちるかもって思ったら、怖くなって……」

「こんなところで落ちてどうする!! 人生から転げ落ちるつもりか!!」

 それを聞いてハッとなるキウイ。

 

「ファイトぉ!!」

「いっぱぁぁつ!!」

 暑苦しい訓練風景だった。

 勿論、彼女らは大真面目である。

 

 

 

「えッ、アンケート?」

「うんうん、サンタさんに何を貰いたいかってヤツなんだけれど」

「サンタさんかぁ。まあ、全花騎士のロリっ子代表みたいな私にはプレゼントくれないわけないもんね」

 とかなんとか言いながら、ランタナは快くアンケートに答えた。

 

「皆も、ほら、アンケートだってさ」

「なになに? サンタさんに何を貰うかだって!!

 あ、でも、今年の私いい子だったかなぁ、ダメな子だったからプレゼント貰えないかも……」

「サンタさんですかぁ。サンタさんは季節限定ですけど、絵本にはそんなの関係ないので題材としては持ってこいなんですけど、いささかありきたり感がぬぐえませんよね。

 別にオリジナリティを求めてるわけじゃないんですけど、どうせならバナナオーシャンらしさを出したいものです。

 とは言えサンタさんが子供たちにハッピーを届けるというのは夢があって素晴らしい事には変わりません!!

 あ、何が欲しいかのアンケートでしたっけ?

 とりあえず画材セットあたりを所望しましょうか!!

 こういうのって自分で道具を選んだ方が良いんでしょうけど、専門の道具はなかなかにお高い!!

 ここはひとまずサンタさんのその手腕にお願いしてみたいものですね!!」

 リシアンサスが喋りながら書いているうちに、勝手に意気消沈したキウイもアンケート用紙を差し出してくる。

 

「うーん、こういう風に突然何が欲しいかって言われると悩んじゃいますね」

「ただのアンケートですけど、プレゼントが届いたらって夢があっていいですもんね」

 プルメリアとペポの分も受け取ると、二人は次の場所へと移動を開始した。

 

 

 二人が最後に訪れたのは、仮宿舎だった。

 本日は休暇の面々を訪ねに来たのである。

 

「サンタさんに欲しいものですかぁ」

 一足先に食堂で昼食を取っていたニシキギや他の隊員たちにもアンケートを求めた。

 

「あ、だったら、ベルガモットバレー名物のバンジージャンプとか良いかも!!

 危険な名所を回ってみるツアーとか有ればいいなぁ」

 このプレゼントは部隊全員の要望の中でもダントツに高額な要望として、団長を悩ませるのだった。

 

 

「あとはイヌタデちゃんだけか」

 ホーリーは部隊の名簿にチェックを入れて、そう呟いた。

 

「イヌタデちゃん元気かなぁ。

 団長さんが別の部隊に行っちゃった時、凄く落ち込んでたもんね。

 団長さんの所に行けて本当に良かったよ」

「あの子もあんなののどこがいいんだか」

 優しい笑みを浮かべるポインセチアに、ホーリーは唇を尖らせる。

 

 ウインターローズはその過酷な環境から、指揮を取れる団長は限られる。

 リンゴ団長は国籍こそウインターローズだが、それ以外の全てを捨てているようなものだった。

 そんな彼が自国に戻ってきてもあっさり騎士団に復帰できる辺り、人手不足は深刻だった。

 

 彼は当時騎士団本部の顧問のような形で外国から来た団長の補佐や花騎士の指導などに当たっていたのだ。

 花騎士になったばかりの二人も、当時のリンゴ団長と他国の花騎士に交じって訓練に励んだものだった。

 

 部隊を家族に例えるなら、ホーリーにとって彼は自分たちの幼い頃を知っている上に、親友の貞操を狙っている嫌な父親というポジションだった。

 

 全ての国の騎士団に籍を置いたことのあると豪語する彼は、直接二人を指揮したことはなかった。

 一週間の半分はいずこかへと姿を消していたからである。

 そんな感じで二年ほど故郷で活動した後、別の国に行ってしまった。

 

「本当ならもっと早く出ていくつもりだったが、ポインセチアが可愛かったから長居しちまったぜ」

 なんてほざいてもいた。

 

 

「ああッ、二人とも、どうしたの!!」

 すると、廊下の向こうからイヌタデが妹と共に姿を現し、二人に気付いた。

 

「イヌタデちゃん!!」

「ポインセチアちゃん!!」

 がしッ、と感極まって抱きしめあう二人。

 どこかの誰かのように邪魔されたりはしない。

 

「わん!!」

「妹ちゃんも!! お久しぶり~」

 胸元に飛び込んでくるもこもこを抱き留めるポインセチア。

 

「俺も俺も」

「私も私も」

 そしてどこからか湧いて出てきた団長とリンゴちゃん。

 

「がるるるるるぅぅ」

 が、ホーリーの鉄壁の守りにより阻止された。

 

「イヌタデ、お前に決めた!!」

「わん!!」

 団長の指示により、花騎士は一瞬にわん子へと切り替わった。

 

「ちょ、きゃあ!?」

 イヌタデに飛び掛かられて、廊下を転げまわるホーリー。

 二人はもみ合いながら右往左往している。

 

「ひゃッ、やめ、やめてぇ!!」

 そのままホーリーは顔を舐められたり首筋を甘噛みされたりされる。

 

「うっひょぉ!! 私も揉みくちゃにされながら舐められたり噛まれたりしたいぃ!!」

 興奮しているリンゴの横で、団長はポインセチアを抱え上げてくるくる回っていた。

 

「あははは、あはははー」

「もう、団長さん、私はもう子供じゃないよぉ」

「子供じゃない? 子供じゃないって? ホントかな? どれどれ確かめて……」

「こんのぉ、エロ親父ぃ!!」

 そこは執念でホーリーが起き上がる。

 イヌタデはまだまだ嬉しそうにがっちり抱き着いたままである。

 

「わん! わんわん!!」

「うん? 仕方がないなぁ」

 団長はポインセチアを下すと、今度はイヌタデをホーリーごと抱え上げてくるくる回りだす。

 

「やめッ、やめて……」

「速度あーっぷ!!」

「ひゃあああぁぁ!!」

 そんな感じで終始振り回され続けるホーリーだった。

 

 

「じゃあなぁ~」

「それじゃあまた~」

 リンゴを抱き上げてくるくる回りながら去っていく団長。

 ちゃっかりアンケート用紙を回収していった。

 

「……いつか必ず抹殺してやる」

「まあまあ」

 復讐に目を燃やすホーリーを宥めるポインセチアだった。

 

「あなたも相変わらずあの変態に良いように扱われて!!

 ちょっとは不満とか無いの!!」

「不満? どうして?」

 イヌタデは妹を抱き上げて、首を傾げた。

 

「山でお母ちゃんに育てて貰ったボクをみんなが人間として扱おうとしてたけど、団長だけだよ。ボクを犬として扱ってくれるのは。

 ボクは前々から不思議だったんだけど、どうして人って犬を人間みたいに扱おうとするのかな?

 わざわざ服を着せたり、調理に手間をかけて同じ物を食べたり、高いお金でお葬式したり」

 イヌタデは純粋に思っていることを口にした。

 彼女は人間が動物を人と同等に扱おうとしていることに戸惑いを覚えていたのだろう。

 どこかズレている世間知らずのイヌタデに、ホーリーは嘆息した。

 

「人間社会じゃ、人間を犬のように扱っちゃダメなのよ。

 あのド変態の問題は、犬扱いしても良いからってそうしてることなのよ」

「それくらいボクだって分かってるよ!!

 でもボクはそっちの方が嬉しいかなって」

 もじもじしながらそんなことを言うイヌタデを見て、ホーリーはもう手遅れだと悟った。

 

「あの男ぉ、純粋なイヌタデちゃんをこんな風にして……」

「まあまあ、イヌタデちゃんが幸せそうだからいいじゃない。

 それより、アンケート書かなかったけど大丈夫なのかな」

「アンケート? ああ、クリスマスプレゼントね!!

 私は団長さんに新しい首輪が欲しいってさっき言ったからいいんだ」

 にこにこと笑みを浮かべながらそんなことを言うイヌタデ。

 

 そんな彼女を見て、ホーリーはイヌタデを犬として扱い続けないといけないのはどちらが飼われているのかわからないなぁ、と思うのだった。

 

 その後、イヌタデは二人と一緒に遊んでこの日のお話は幕を閉じるのだった。

 

 

「アンケート……プレゼント」

 屋根裏部屋に潜んでいたオトギリソウは、自分にお声が掛からずがっくりしていたそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




スキミアちゃん、君もか(血涙
アプリコットちゃんも、大きいんだね……(吐血

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