貧乳派団長とリンゴちゃん   作:やーなん

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「わぁーっはっは!! 前書きはこのランタナが占拠した!!
作者のつまんない話なんてカットカットカットぉお!!
これからはずっとこの私が『今週のランタナ』のコーナーとして有効活用させて貰うのだ!!」
「今回出番なかったからって何やってるのランタナちゃん……」
「おやぁ、そこにいるのはペポじゃないか~。
はッ、もしや主役の座をを狙ってここまで追ってきたなぁ!?」
「言いがかりです!!
というか、こういうの嫌いな人もいるからさっさと終わろうよ」

「あ、そうだ、実はペポに重要な話があったんだ」
「え、なに、すごく不安……」
「実は……」






「後書きも占拠した!!」
「なんて理不尽!?」



希望の船よ

 これはハナモモ団長がやってくる、少し前の多国籍遊撃騎士団の出来事である。

 

 

「はぁ、どうしてこんなことに」

 ナズナは独房にて一人さびしく、ここ数日を過ごしていた。

 

 別にお金にがめつい彼女が横領をしただとか、そう言った理由で独房に入れられているわけではなかった。

 

 先日、ブロッサムヒル周辺でクジラ艇と古代害虫の戦闘が発生し、激闘の末に町のど真ん中に不時着するという事態が発生した。

 害虫に対抗できる事実上初の航空兵器であるクジラ艇の発覚は、スプリングガーデンに大きな衝撃を(もたら)した。

 

 現在、スプリングガーデンに存在する国家の戦力は、ある程度均等であることでバランスを保っていた。

 そうすることによってどこかの国が害虫に滅ぼされれば、明日は我が身となる。

 国同士で連帯感を持ち、助け合い、積極的に交流を図って戦力の増強し、国同士の(いさか)いを禁じて、害虫に対抗しているのだ。

 

 クジラ艇はその関係に一石を投じるのに十分すぎたのである。

 多国籍遊撃騎士団の母体はリリィウッドであり、それによりパワーバランスの崩壊を恐れた。

 どこかの国が突出して戦力を保有しても困るのは全体であるし、上層部が野心を持たないとも限らないのである。

 

 今現在、各国の首脳陣が集まり、協議の最中であった。

 各国の騎士団の上層部も同様で、ナズナ団長は現在呼び出しを受けていた。

 そしてナズナは開発責任者として、身柄を拘束されているのである。

 

 

「やぁ、ナズナさん。特別スイートルームの居心地はどうだい?」

 そんな声が投げかけられて、ナズナは顔を上げた。

 そこには微笑みを湛えるチューリップ団長が居た。

 

「……最悪ですね」

 ナズナは何とか強がって笑みを返した。

 

 

「状況はどうなっていますか?」

「うーん、最悪の一言かな。

 ナズナ団長は国家反逆罪で捕まりそうになってね、助けに入った僕らも同罪。

 こりゃあもう、反旗を(ひるがえ)すしかないってことで、リリィウッドの地下で開発中の試作量産機を使って一斉蜂起。

 俺はこうしてナズナさんを助け出しに来たってわけっすね」

「く、クーデター……」

 ナズナは眩暈がした。

 想定していた中で、最悪のパターンだった。

 

「試作量産機の装甲やバリアはワンオフ機であるクジラ艇には大きく劣るけれど、それは害虫相手の場合さ。

 人間相手なら、上空ってこともあって、あと数日もなく王政府を鎮圧できると思うよ。

 まあ、結果的に良かったじゃないか。この際だからうざったい元老院どもを排除して、女王陛下の元に権力を集中させよう。

 伝統や格式なんて建前で既得権益や利権、派閥争いに明け暮れるバカな貴族どもを排除して、リリィウッドは生まれ変わるんだ」

「そんなの間違っています!!

 確かに、私も貴族の人たちの頭の固さにはどうかと思います!!

 けれど、現政権に反逆して、クーデターを起こす為にクジラ艇を作ったわけじゃありません!!」

 ナズナは声を挙げて立ち上がり、鉄柵越しにチューリップ団長に訴えた。

 

「でもさ、仕方ないじゃないか。

 この間の国家防衛戦での、元老院どもの醜態を見ただろう?

 連中、自分の国が脅かされているっていうのに、誰が責任を取るだの、利権がどうだの、そんな話ばっかりさ。

 あいつら、議事堂の中まで害虫が雪崩れ込んできても同じことやってるのかね」

 くつくつ、と皮肉っぽく笑う彼に、ナズナは背筋に寒いものを感じた。

 

「今ならまだ間に合います、そんなことやめましょう!!

 リリィウッドの人たちも、故郷が戦火に塗れることを望んでは無いはずです!!」

「俺たちだってこんなことしたくないですよ。

 ですけど、そうしないと俺たち全員のクビが物理的に飛ぶっていうんだから、それを粛々と受け入れろってことですか?

 冗談じゃない!! ナズナさん、あなただって分かっててアレを作ったんでしょう?

 あれだけの兵器を秘匿しておいて、叛意が無いなんてどう説明するんです?」

「それは、花騎士の皆さんが証明してくれます!!

 私たちは断じて、害虫と戦うため以外にクジラ艇を使用するつもりなんて無いと!!」

 ナズナが声高にそう主張すると、入り口の方から足音が聞こえた。

 

 

「死色の魔王よ、戯れはその程度にせよ」

 現れたのは、キンギョソウ団長だった。

 

「小悪魔の戯れにしても、悪趣味が過ぎるぞ」

「あ、はい、そっすね。

 でも実際、ナズナ団長の首が飛ぶってことになったら、俺は一人でも実行しましたよ」

「そのような世界の選択がなされぬように、我が動いたのだ」

「え、もしかして、今の冗談……?」

 ナズナが二人に尋ねると、二人はこくりと頷いた。

 

「お、驚かせないでくださいよぉ……」

「いやいや、ごめんごめん」

 チューリップ団長はそう言って牢屋の鍵穴に鍵を差し込んだ。

 

「でも、そうならない未来が無かったわけでもないでしょう?

 実際俺は、政府が横暴なことをしたら思い知らせてやろうと思ってたし」

「それでもリリィウッドの騎士団長ですか……」

「俺の忠誠は女王陛下と国民に対してさ。

 断じて貴族の馬鹿どもじゃない」

「……止めなかったんですか?」

 ナズナはもう一人の同郷の騎士団長に問う。

 

「戒めの法は説いた。

 されど、害虫を一掃する機会でもあった」

「どちらに転んでも良かったってことですか?」

 ナズナはこの男が改革派の若手筆頭であることを思い出した。

 彼ならば、現状に不満を持つ貴族や花騎士を扇動するくらいするだろう。

 

「備えはするべきであった。ただそれだけのことだ」

「……それで、改めて外の状況を教えてください」

 とりあえずナズナは不満を飲み込み、牢屋の外へ出て現状を問う。

 

「それがね、うん、状況が変わったみたいなんだ」

 チューリップ団長は困ったようにそう言った。

 

 

 

「あ、あれは!!」

 ナズナが外に出て空を見上げると、クジラ艇は古代害虫と戦闘中であった。

 

「一応、修理だけさせておいてよかったよ。

 でもまさか、こんな短いスパンでやってくるなんて」

 状況が変わった、とはこのことなのだろう。

 ナズナは苦々しげに空を見上げるチューリップ団長を見やった。

 

「王政府や上層部は一端協議を止めて、連中についての報告を求めてきた。

 スプリングガーデンはあの化け物の脅威に明確に晒されているってことを認めざるを得なかったってことっすかねぇ」

「然もありなん。あのような大悪魔が召喚されればな」

 あの化け物の異様さには、キンギョソウ団長も溜息を吐くしかないようだった。

 

「我は我が眷属の神託によって危機を知った。

 被害が出ていない事だけが精霊の祝福であろう」

「……よく修理することを認めてくれましたね」

「あれが積んでる武装とかシステムとか、説明しなきゃならなかったからね。

 まあ、あんなの作った方も完全に把握していないオーバーテクノロジーの塊だから、入るの怖がっちゃって中を抑えられていなかったみたいでね。

 彼女たちが独断で戦闘行為をしているみたいなんだ」

 チューリップ団長はそう言いながら手を振って合図をした。

 

 すぐさま、周囲から魔女狩り隊の面々が集結する。

 全員、戦闘用の武器を手にした物々しい様相だった。

 

「ご苦労、引き続き見える形の護衛をよろしく」

「はい、団長様!!」

 そのまま彼女らは団長やナズナたちの周囲に張り付いた。

 

「あの、この物々しさは何ですか?」

「ナズナさん、観光とかの飛行船の利権を握ってるのは誰かな」

「そりゃあ、各国の貴族に決まって……」

 そこまで言って、ナズナは気付いた。

 害虫と対等に戦闘可能な航空兵器は、彼らの既得権益を侵害しうるものであると。

 

「ナズナさんの、政府に秘密にしてアレを作るってのは正しかったと思うよ。

 連中から邪魔されたと思うし」

「いや、歯牙にも掛けられまい。現世に現れてなければ、荒唐無稽な代物だ」

「……それもそうか。

 とりあえず、今の所こっちを狙ってくるバカな奴はいないけど、今後いないとも限らないし、用心しないと」

「だから中を公開したんですか?」

「どの道、上層部に求められたら開示しないといけないしね。

 俺たちは公人だから、私的に利用するわけにもいかないし」

 と、後に思いっきり私的に利用する男がそんなことをのたまった。

 

「とにかく、これからが大変だ。

 どうにかこれまでの経緯をお偉い方に説明しないといけないんだからね」

「そうですね……」

 ナズナはため息を吐いて、これからの苦行に想いを馳せた。

 

 が、彼女らの想像はいい方向で裏切られることになった。

 

 

 

 

「驚いた。何とかなってしまったよ」

「……我もだ」

 上層部の会議が終わり、報告を求められていた団長たちは解放された。

 

 結果、御咎め無し。

 これまで通り、害虫の脅威に対抗せよ。

 今は人類同士でいがみ合っている場合ではない。ただし定期的に報告と監査を行う、という至極真っ当なものだった。

 

「俺は人類ってのはもっとバカで愚かだと思ってた。

 明確な脅威が目の前に現れているからかもしれないけど、自分が死ぬ寸前まで頭の固い戯言をのたまうばかりだと」

「それは言いすぎですよ」

 と、ナズナは疲れた様子のチューリップ団長にそう言ったが、内心概ね同意だった。

 彼女も別に、上層部に期待しているわけではなかったのである。

 

「やあ、二人とも。大変だったな」

 二人は貴族の対応を行うキンギョソウ団長と別れ、護衛を伴ったまま議事堂を出ていくと、部下を引き連れたリンゴ団長と遭遇した。

 

「出頭命令が来たと思ったら、とりあえずあとで書類で出せ、だとよ。

 こっちはリリィウッドを跨いでやってきたってのによ」

「ご苦労様です」

 申し訳なく思ってナズナは彼らに一礼した。

 

「気にするなって、害虫をぶっ殺すためならどんな手間も惜しまない。

 空の上のデカ虫も、ついさっき決着がついたみたいだしな」

 ブロッサムヒル出身が多い彼の部隊の面々は、安堵の表情をしている者が多かった。

 

「そっちはどうだった?」

「思いのほか上層部が物わかりがよかったおかげで何とか」

「だろう? 俺が前々から例のヤツについて上に話しておいた甲斐があったってもんだ」

 リンゴ団長のその言葉に、二人は驚愕した。

 

「聞いてないっすよ、先輩!!」

「秘密だって言ったのに、上に話してたんですか!?」

 二人が狼狽えるのも当然だった。

 なにせ、彼の行動で二人はいろいろと空回りをしていたことになるのだから。

 

「これでも騎士団上層部からは覚えがよくてね。

 一部のお偉いさんにはあらかじめ話を通しておいたんだよ。

 当然だろう、俺たちは別に仲良しこよしの集まりじゃないんだからな」

 リンゴ団長の射抜くような視線に、二人の背筋は寒くなった。

 この男がベテラン団長だというのは、なにも指揮能力や実績だけではない。

 それ以外にも精通しているからこその、ベテラン騎士なのだ。

 

「俺があちこちでわざわざ他の騎士団が行かないような場所の害虫退治しているのはな、貴族たちの利権を守るためでもある。俺は連中の番犬なんだよ。

 なんで俺が未だに団長やれてるかわかるか?

 出世欲も無く、自分たちに忠実で、仕事は迅速で確実、たまに上層部のジジババの話に付きあってやったりすれば、誰だって顔は売れる。

 そして彼らの困りごとを引き受けてやれば、俺は彼らの孫同然って面ができるわけだ」

 嫌でも上には恩を売っておけ、って師匠の教えでな、と彼は言う。

 

「無論、俺だってむやみやたら盲目的に仕事しているわけじゃない。

 俺は番犬だが獰猛でな、不実な輩には噛みつくのさ。

 それは友人であってもそうだ。ここに来る前にリリィウッドの本拠地に立ち寄った時、お前が馬鹿な真似をしないように止めてくれって、何人ものお前の部下に頼まれたぞ」

「あいつらが……」

「お前が部下を期待も信用していないのも知っている。

 だがお前の部下たちはそうじゃなかったみたいだな」

 リンゴ団長は、唖然と驚くチューリップ団長に優しく笑いかけた。

 

「別に拳を振り上げることを否定するつもりはないぞ。

 やりたきゃやればいい。だがそうした拳は鋼鉄が相手でも振り下ろさなければならないんだ。

 俺はお前の教導をした時、お前は団長に向いていないと怒鳴ったな?

 お前は自分の行動によってどのような痛みを伴うか分かっていないからそう言ったんだ。

 お前は痛みを理解していながら、他人の痛みを理解しようとしていないからな」

「……俺が、間違ってたんでしょうか」

「それは俺たちが決めることじゃない。

 だが、少なくともお前の周囲はそれを望んじゃいなかった」

 彼がそう言うと、チューリップ団長は周囲の部下たちを見やった。

 

「わ、私たちは団長にどこまで付いて行きます」

「使い潰されても構いません!!」

「誰が相手だろうと、戦います!!」

 彼の部下たちは必死にそう主張したが、上司の表情は強張るばかりだった。

 

「お前はこんなかわいい子たちを自分の都合で殺せるのか?」

「……本当に、あなたには敵わないなぁ」

 チューリップ団長は深く溜息を吐くと、ゆっくりと肩の力を抜いた。

 

 

 

「俺が異世界出身だって、ナズナさんは信じてくれましたよね」

「ええ、そもそも害虫が異世界の脅威ですから」

 そう、なんでも無いようにその話を受け入れたナズナの視野の広さはチューリップ団長も認めていた。

 

 リンゴ団長と別れた二人は、戦闘が終わって着陸したクジラ艇に向かって歩き出していた。

 

「俺の故郷には、害虫は居なかった。

 人類は栄華を極めていたけど、心まで豊かじゃなかった、

 時々、故郷が害虫で滅ぼされた部下の話を聞く度に、代わりに俺の故郷が滅べばよかったのに、って思うようになったんです」

「それは不謹慎ですよ。

 あなたは故郷を捨てたかもしれませんが、滅ぼされたわけじゃありません。

 彼女たちの痛みをあなたは知らないのですから」

「そうかもしれません。

 だけど、餌なら向こうの方がいっぱいあるし、わざわざこっちで暴れ回らなくてもって思うんです。

 あの古代害虫の親玉が居て、俺に故郷を差し出せばこの世界から引いてやろう、なんて取引持ちかけられたら、俺は喜んで引き受けると思います」

「……」

「そんな顔しないでください。

 俺が害虫なら、故郷の人間なんて食えたもんじゃないって、こちらから願い下げですって」

 そう言って冗談を口にして笑うようにチューリップ団長は言ったが、ナズナは彼の奥底に潜む怪物の姿を目にした気がした。

 

「俺は最近、害虫は人類の脅威であり続けていた方がいいんじゃないのかなって、思うんです。

 人類の社会は極まると、必ず弱者は淘汰され、いなければ作り出される。

 俺はこの世界がそうなってほしくないんですよ。リンゴ団長に言ったら怒られそうですけど」

「それはまた別の被害者を作り出すことと同じことです。

 あなたは優れた団長さんですけど、騎士団長には向いていなかったんですね」

 ナズナはどこか悲しげにそう言った。

 

「俺はこっちに来るまで、ただの学生でした。

 自分にここまでやれる才能があったのは驚きですけど、俺が部下を指揮して戦うのは向いていないというのは同感です。

 だけど害虫たちは、俺に一つのことを教えてくれた」

 チューリップ団長は、ギュッと拳を握りしめる。

 

「誰かと争ったことも無い俺に、黙って見ているままでいることがどれだけ愚かであるかということを。

 殴られそうになったら殴られる前に殴らなければいけないということを」

 彼の言葉を聞いて、彼の部下たちの表情も沈む。

 彼も彼なりに、部下の死に直面し、(いた)んでいた。

 そしてそれは別に、この世界に生きる者にとって特段珍しいことではないことだった。

 

「誰彼かまわず殴りかかろうとするなんて、害虫と変わらないじゃないか。

 俺はお前たちを従えるようになって、いい気になっていたんだ。

 また別のお前たちを生み出そうとしているのを分からずに」

 チューリップ団長の独白は続く。

 

「俺はあの飛空艇で何かを正したかったんじゃない。

 自分が、自分が正しい側だと思って、強大な力を振るいたかっただけなんじゃないのか?

 何かと理由を付けて、誰かを巻き込むのもわかろうともせずに」

 悲しき自問自答。

 だがそれは、誰しも持っている感情だった。

 

「少なくとも俺は、忠誠を誓った臣民に負担を強いようとした。

 バカな貴族たちを倒しても、敬愛する女王陛下の負担が激増し、国が混乱するのは少し考えればわかることだったのに。

 くそッ、俺は何をしてたんだッ!!」

 感情のままに、彼は頭をかきむしる。

 彼の想像は、少なくとも今回の騒動でどこかの歯車のかみ合わせが悪ければ、どこかで起こったかもしれない事だった。

 

 軍事力のバランスが崩壊し、スプリングガーデン中に混乱が巻き起こる可能性は少なくなかった。

 その事実が、ナズナの気を重くする。

 

「今はともかく、希望の船が飛び続けることができることを喜びましょう」

「……そうだね」

 なにはともあれ、何事も無かったことだけは事実だった。

 表面的には丸く収まった、それだけが救いであり、脅威に晒された人々は奇跡的に無傷だった。

 

「笑いましょう、喜びましょう。

 私たちが不安そうにしてたら、皆さんも不安になります」

「ええ」

 二人の耳には、クジラ艇の勝利に歓喜する民衆の声が遠くからも届いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 リリィウッドの地下に存在するドックに、クジラ艇の量産化の為の実験機が鎮座していた。

 完成度は九割以上。

 これが飛び立つ日も、ほど近い。

 

 未だ眠る空飛ぶクジラに手を当て、チューリップ団長は想いを馳せる。

 

「お前が飛び立てば、俺が見ているこの夢も醒めるのか」

 風の魚号、と船体に塗られた文字をなぞりながら。

 

 

 

 

 

 

 




「今週のイベント後半さ、私たち出てたじゃん?
あれってこっちと連動しているから、私がだんちょに怒られた後にペポペポやってたってことじゃない?
私全く反省してないわー!!」
「夏祭りも戦わないって言ってたのにクロユリさん、戦ったことになったもんね」
「私もイベントは旬のモノだってわかってるけどさ、生後性ってあるじゃない?
それってどうなのって思うわけよ」
「それを言うなら整合性だと、ランタナちゃん。あと、本編終わったよ」
「あ、ホントだ!! いやぁ、出番なかったから暇だったわ!!」
「一応、団長さんは部下を引き連れていたから、画面には映っていたでしょ」
「そんなのエキストラじゃん!! この小説のメインヒロインたる私の扱いじゃないじゃん!!」
「タイトル確認しようね、ランタナちゃん」

「あ、そうそう、どうせ居座るなら、これをやってって作者に言われたよ」
「ああ、前回のチューリップ団長の好みはだれかっていう。
あれって問題に誤りがあったらしいですね。正しくは貞淑ではなく、清楚だったとか」
「清楚、私の為にある言葉だな……」
「では答えの発表に移りますね」
「露骨にスルーされたぁ!?」

じゃかじゃかじゃかじゃかじゃかじゃかじゃん!!



「正解は、アカシアさん、らしいです。
なお、個人の主観であることを明記します、だそうです」
「面白みのない答えだなぁ」
「正直、どうでもいいですしねぇ」
「もっと幅の広くて持ってる人の多そうな金レアにすればいいのに」
「露骨にダメだし!?」


「では、残念ながら今週のランタナのコーナーもここらでおしまいです。
ぐすッ、うおぇぇえええん、皆が寂しいって言っているのが聞こえるよぉ」
「嘘泣きは止めようよ」
「てへッ、評判がよかったらまたやるかもね!!」
「そんなことないと思いますけどねぇ」

また次回!!

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