貧乳派団長とリンゴちゃん   作:やーなん

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先ほど天啓が下りました。
人生ゲームをするストーリー四人組みという内容です。
阿鼻叫喚、一喜一憂しているさまが思い浮かぶようです。
そのうちネタにしよう。



下僕と飼い犬

「はい、そこで茶殻が均等になるようにまぜるのですです」

「おう……こうか」

「はいですです。これでばっちりですますです」

 リンゴ団長はヘリオトロープに紅茶の入れ方を教わっていた。

 何気に紅茶がマズイと言われたのを気にしていたようだ。

 

 ですとますがゲシュタルト崩壊しかけていたが、基本的な事は習得できたようだった。

 

「ううむ、ポットの材質やカップの色まで気を付けねばならんのか」

「お紅茶は視覚でも楽しむ物ですますから。

 団長様は筋がよろしいので、ヘリオと一緒にメイドを目指しませんか!!」

「うーん、それは遠慮しておくわ。

 俺はもう既にストレリチアお嬢様の下僕だからな」

 彼はそう言うと、ヘリオトロープは少し残念そうに肩を落とした。

 

「うう、世界初のメイド団長の誕生ならず、ですか」

「俺の友人にメイドは自由だって語ってくれた人が居るんだがな、そう言う意味じゃないだろきっと……」

 メイドとは一体何なのか、哲学の領域に思考が行く団長だった。

 

「とりあえず、基本的なことは教えたのですです。

 分からないことがあったら、いつでも聞いてくださいですです。

 ヘリオはここでお掃除の続きをしていますのですです」

「うん、ありがとうですますです……」

 口調が移った団長ですますです。

 

 

「お、王子役が決まったのですますか?」

 彼が現場に戻ると、どうやら王子役が決まったようですです。

 皆さん、集まって色々と打ち合わせをしているようですますです。

 

「ああ、団長さん、いつもよろしく」

 こちらを発見したハリエンジュは礼儀正しく一礼したのですです。

 

「ああ、先日はチェリーセージちゃんに悪いことをしたのですます。

 こちらからちゃんと謝罪するのですよ」

「その件については聞いているよ、気にしないでくれ。

 それより大丈夫かい? なんだかいつもと口調が違うようだけど」

「自分でもちょっと混乱してるですよ……」

 ですですますですですますますですですですますます。

 

 

「リンゴ団長に代わりまして俺が正式に謝罪しますね。

 正式に護衛を引き受けておいて途中で帰るなんて由々しきことですから」

 と、ヘリオ崩壊を起こしたリンゴ団長は目を回していたので休息を取る事になり、代わりにチューリップ団長がやってきた。

 

「別に証文も何もない、口約束の同行者だったに過ぎなかったのだろう?

 それで身内に予想外の出来事が起きて、引き返すなと言うのは狭量が過ぎるさ」

「仰る通りで」

 正論なので、彼は恐縮したように頭を下げた。

 

「そう言うわけですので、こちらも形だけでも謝罪をば。

 リンゴ団長も気にしておられたので」

「ああ、わかっている」

 これで双方の面目は立った。

 

「ところで、我が騎士団との契約期間終了が間近なので、契約更新につきまして輸送代の見直しをお願いしたく」

 そろばんを弾いていきなりそんなことを言いだすチューリップ団長。

 彼との会話の最中、全く気を許さなかったハリエンジュは、やっぱりこうなったか、と内心呟いた。

 

 アカシア隊は要するに、騎士団と言うより傭兵団に近い。

 輸送を専門にするか、戦闘を専門にするかの違いはあるが。

 なので、国からのバックアップはほとんど受けられない。それがアカシアの望んだことだからだ。

 主な収入源である輸送代は死活問題に直結する。

 二人の間には、周囲が自然と離れていくような雰囲気の戦いが既に勃発していた。

 

「すぐに終わらせよう、代役の務めを果たさないといけないからね」

 普段の物腰の柔らかさはどこへやら、好戦的な笑みを浮かべて彼女は戦いへと赴いた。

 

 

 

「あいつも容赦しねぇなぁ」

 見えない火花を散らせつつ価格交渉を行う二人を見て、リンゴ団長は思わず呟いた。

 ヘリオ崩壊は収まったようだった。

 

「いかがでしょうか、お嬢様」

「まあ、飲めるようにはなったかしら。

 このストレリチア様を満足させるにはまだまだね。

 それよりようやく代役が決まったのだから、この私の演技を見せてあげなくちゃ」

 教わったばかりの紅茶を飲み終え、ストレリチアはテーブルセットから立ち上がる。

 

「では、他の代役も決めませんと」

「どうして? 代役が必要なのは主演だけでしょう」

「お言葉ですが、お嬢様とハリエンジュちゃんは初心者ですので。

 実力の見合わない劇団員たちと一緒に練習すればかえって彼らの足を引っ張ることになりましょう。

 最低でも、通して演技をこなせるようにならなければ、お話にもなりますまい」

「なるほどね、確かにその通りだわ。

 では早くの代役の人選は任せるわ。私は台本を読み込んでおくから。

 時間は残り少ないから、早くね」

「仰せのままに」

 下僕は恭しく例をすると、既に呼びかけておいた立候補者たちを呼び寄せた。

 

 

「とりあえず、配役は異国の王子、姫、魔王、女王、兵士AとB、魔王の手下AとBってところか。

 ああ、ナレーターも居たな。とりあえずそれから決めるか。誰かやりたい奴は居るか?」

 団長が候補者たちに問いかけるが、シーンと沈黙が返ってきた。

 

「おや、誰もやりたがらぬのか?

 ではこれはわっちが引き受けようかの」

「わかった、シロタエギクちゃんがナレーションな。

 王子と姫役は決まっているから、次は魔王でも決めるか」

「ちょっと待ってくださいまし!!

 あたし、お姫様役をやれるって聞いて黙々とお手伝いをしていたんですのよ!!」

 そう主張したのは、ハナモモだった。

 

「はいはーい、私もお姫様役やりたいでーす!!」

 それにオンシジュームも便乗する。

 それ以外にも、お姫様役をやりたいという声は多数上がった。

 

 実際舞台に上がれるのは、練習用の端役ではなく主演だけなのだから、どうせやるならそちらの方が良いのだろう。

 

 

「なるほどな、お前たちの言い分は大いにわかった」

 うんうん、と頷き、団長は笑みを浮かべた。

 

「だが、却下だ。ストレリチアお嬢様に意見するとか資産が100億ゴールド足らないわ!!

 身の程知らずのおバカさん達め、可憐で美しく高貴なストレリチアお嬢様の練習台に成れるだけ光栄に思いやがれ」

 忠実な名誉下僕はあっさりとその意見を切って捨てた。

 

「どうしても姫役になりたいのなら、今夜枕を持って交渉に来るんだな!!」

 考えてやるぜ、とゲス顏で言う団長。

 早速のセクハラ発言に候補者たちはドン引きしていた。

 

「うん、分かった、じゃあ今日枕持って団長の所に行くね!!」

「……悪かった、俺が悪かったから、そんな純粋な笑顔で俺を見ないでくれ」

 眩しい笑顔でオンシジュームが言うもんだから、逆に団長は肩身が狭くなった。

 

 

「気を取り直して、そうだな、魔王役をやりたい者はいるか」

 彼の声に、すっと幾人かが手を挙げた。

 

「じゃあ、右から順番に王子に遭遇した時のセリフか、やられた時の捨て台詞をやってみろ。

 セリフは好きにしていいぞ、どうせ喋る案山子だしな。雰囲気さえ出れば誰でもいい。

 時間を掛けるなら俺が独断と偏見ですっぱり決めるぞ」

 と言うことで、候補者たちが順番に端役を演じることになった。

 一通り演技を見た団長は、

 

「ナズナさんに決定だ。次、女王」

 と、淡々と作業を進めていく。

 女王役はアカンサスに決まると、いよいよ端役どころかモブの兵士と魔王の手下役である。

 

「兵士役、二人だが誰かやりたいか?」

 団長がそう言うと、皆微妙そうな表情になった。

 

「じゃあくじ引きで決めるか。

 リンゴちゃんよ、カモーン!!」

「はい、どうぞ」

 モブ役は前もって渋ると分かっていたのか、用意のいいリンゴがくじ引きを作って持ってきた。

 

「さあ、祈れ」

 ここまできたら罰ゲームを決めるノリで、団長は意地の悪い笑みでくじを差し出した。

 

 

「兵士AとBはサンゴバナちゃんとランタナで、魔王の手下AとBはハナモモちゃんと…」

 そうして決まった四人の最後の一人に目を向ける団長。

 四人目は、犬っぽい花騎士が荒く細かい息遣いで彼を熱く見つめ返していた。

 

「イヌタデの妹な」

「え、ちょ、どうしてそんないじわるするのご主人!?」

「ハイ解散、よろしくな、妹ちゃん」

「ワン!!」

 姉より異様な存在感を示すモコモコなわんこに彼は役を託した。

 

「あたし、お姫様がよかったですのにぃ」

「まあまあ、仕方がないよハナモモちゃん。

 可愛らしさなら負けないけど、あっちのお嬢様の方がお姫さまっぽいし」

「ねぇねぇ、だったら私に代わってよ、私魔王の手下でもいいからやってみたいし!!」

「いいえ、任された以上しっかり勤め上げて見せますわ!!」

 と、ハナモモは自分のとこの団長とオンシジュームに決意表明した。

 そう言うところが可愛いなぁ、と微笑ましくロリコン団長はイヌタデ妹を抱いて見ていると。

 

 

「ご主人!! どうして妹ばかり構うのさ!! ずるいよぉ」

「おやぁ、野良犬がきゃんきゃんうるさいぞ」

 彼が目を細めてそう言うと、ハッとしたイヌタデはもそもそと赤い首輪を取り出すと、自分でそれを首に嵌めた。

 

「お手」

「わん!!」

 素早く団長に差し出した手に手を乗せるイヌタデ。

 

「伏せ」

「わん!!」

 四つん這いになって彼女は団長を見上げた。

 

「お前どうしてここにいるの? 故郷の犬ぞり隊で元気にやってるって聞いたぞ」

「わん!! わん!! わん!!」

「え、ポインセチアちゃんとホーリーに俺と会ったって聞いただと?

 俺がお前に会いに行かないもんだから、自分から来たって?

 仕方ないだろ、任務で怪我して入院してたんだ。

 あの二人もお見舞いに来てくれてたぞ。お前知らなかったのか?」

「くぅ~ん」

「まあ、あの二人も気を使ったんだろ」

 と、二人は謎の意思疎通を遂げていた。

 

「だ、だ、だ、団長さん!! こ、公衆の面前で犬プレイだなんて、興奮してきました!!」

「ほれ、鼻紙」

「あ、どうも……」

 きらっきらに目を輝かせながら鼻血を垂れ流す同士に、彼は常備している鼻紙を差し出した。

 

「犬プレイだなんて失礼な。俺は単にこいつを人間扱いしていないだけだ」

 平然とそんなことをのたまう団長。

 そんな彼に期待に満ちた視線を送る人間わんこ。

 どっちもどっちである。

 

「いいか犬っころ、こっちはリンゴちゃん、我が同士だ。

 匂いを覚えろ、そして服従しろ、いいな?」

「わん!! くんくん」

 イヌタデは即座にリンゴに纏わり付くと、彼女のあっちこっちを嗅ぎまわった。

 その間のリンゴの様子は彼女の名誉の為に控えさせてもらう。

 

「わん!!」

「よし、いい子だ。“外せ”」

「はい!!」

 イヌタデは首輪を外すと、立ち上がって人の言葉で返答した。

 しつけは完璧の様子だった。

 

「じゃあ、帰っていいぞ。

 あ、妹ちゃんは置いて行ってな。これからお嬢様の舞台の稽古をせねばならん」

「そ、そんなぁ!?」

 涙目になるイヌタデ。

 

「私だってご主人のお役にたてるよ!!

 私と妹が居れば、ご主人が怪我する事なんて無かったと思うし!!」

 と言って彼に擦り寄るわんこ。

 

「うんまあ、なぁ」

 彼女とその妹はワンセットの花騎士として扱われている。

 そう、このモコモコも花騎士扱いされているスーパーわんこなのである。

 

 ウインターローズの山で犬に育てられたというイヌタデが犬っぽいのは伊達ではなく、その感覚は野生の犬に近い。

 よって、追跡や偵察、犬ぞり隊の指揮を任せて右に出る花騎士はそうそう居ないだろう。

 

 団長の目算では彼女とその妹が居れば大規模な偵察や追跡部隊が半分に減らせるレベルだと言っても過言ではない。

 彼女たちの危機察知能力があれば、霊峰で害虫に奇襲を受けるなんて無様は晒さなかっただろう。

 

「ご主人!!」

「わかったわかった、引き継ぎをちゃんと終えてからうちに来い。

 うちの部隊もだいぶ落ち着いてきたし、お前が居てくれれば心強い」

「ホント!? 妹だけとか言わないよね!?」

「妹ちゃんも姉ちゃんが居た方がいいもんなぁ?」

「わん!!」

 団長の腕の中の妹ちゃんは、元気よく吠えた。

 

「う、ううぅ、妹よぉ!!」

 それにどんな意味が込められていたかは不明だったが、イヌタデは感極まって妹を抱きしめた。

 

 

「そう言うわけで、お前らも仲良くしてやれよ」

 そう言って、団長は白い目でこちらを見ている部下たちにそう言った。

 

「次にお前たちは、団長ってそういう趣味があったんだ、と言う」

「団長ってそういう趣味があったんだ……ハッ!?」

「違うぞ、俺は犬っぽいから犬のように躾けてやろう、なんて考えただけで、実行しようだなんて思ってはいなかった」

 団長は過去を悔やむようにそう言った。

 ちなみに、考えたし結局実行に移したんだ、と部下たちの眼は言っていた。

 

「お前たちも聞いたことはないか?

 SMプレイで相手を支配しているのはMの方である、と。

 俺も彼女に支配される愛の奴隷に過ぎないんだ」

 とキザったらしくのたまう団長。

 部下たちは集まって軽蔑の視線を向けたままである。

 

「ないわー、ないわー」

「モノは言い様よねぇ」

「ちょっと分かるかも……」

「えッ」

 彼にちょっとだけ熱っぽい視線を向ける同僚に戦慄する仲間たち。

 チームワークに混迷を(もたら)しながらも、場面は移行する。

 

 

「リンゴ団長って犬の扱いも長けてたんだねぇ。

 どうだい、うちの負け犬どもの面倒を見るかい?」

 そこに現れたのは、交渉を終えてきたチューリップ団長だった。

 

 彼の視線の先には、美味しそうなサンドイッチの乗った皿を前に待てを指示をされた犬のようにジッとそれを見ている魔女狩り隊の面々が居た。

 

「あれってどういう儀式だ?」

 その異様な光景の前に、リンゴ団長は彼に尋ねてしまった。

 

「あれは我が魔女狩り隊における最大の罰則。

 ――――サンドイッチの刑だよ」

 その光景を見る前にサンドイッチの刑と聞いたら、男と男の間に女が挟まれる文字を想像するところだった。

 この世界にもそういう文字が存在するということにして欲しい。

 

 

「あれのどこが刑罰なんですか?」

「彼女らが貴族どもに、借金やら何やらで奴隷同然の扱いを受けた連中を俺が引き取ったり買い取ったりした連中だってのは知っているよね?」

「ええ」

 リンゴは頷いた。

 奴隷という言葉はスプリングガーデンから公的には消えて久しいが、名前や形式は変わって需要は存在し続けている。

 彼女らはその供給を満たす存在だった。

 

「あくまで引き取ったり買い取ったりしただけで、その状態は継続されているわけだね。

 僕の故郷ではね、奴隷がサンドイッチを食べると数日ぐらいで高熱を出して死ぬんだ。

 大雨の日に田んぼを見に行ったり、殺人鬼と同じところに寝られるかって出ていく原理と同じでね」

「ええッ、そうなんですか!?」

「だからああしてサンドイッチを目の前に置いて我慢させているのさ。

 もしそれで目の前に置いてあるサンドイッチを食べようものなら……」

 チューリップ団長の視線が横にずれる。

 

「ねぇねぇ、早く食べちゃいなさいよ。

 もしもの時の為にちゃーんと私が診てあげるからねー」

 と、笑顔で彼女らを煽っているのはイエローチューリップだった。

 彼女らがこんなアホみたいな罰則を受けている最大の原因だった。

 だが恨めしそうに彼女たちはイエローチューリップを見ることしかできない。

 

「あれを食べてしまったら、黄姉さんの恐怖の診察及び投薬治療が待っているのさ」

「そんな、なんて惨いことをするんですか……」

 悪魔のように笑うチューリップ団長に、恐れ戦くリンゴちゃん。

 

「ふむ、俺もこいつがおいたをした時は、玉ねぎ料理を検討するか」

「ご主人、正直ボク、玉ねぎ全く平気なんだけれど……」

「犬って玉ねぎ食うと死ぬだろ、つまり解雇ってことだ言わせんな恥ずかしい」

「そんなぁ」

「ちなみに、妹ちゃんは別な」

 再び涙目になるイヌタデ。

 だがリンゴ団長は気付いていた。先ほどより彼女の頬が上気していることを。

 

 

「おすわり」

「わん!!」

「回れ」

「わん!!」

「よしよし、いい子だ」

「くぅ~ん」

「モテモテですね、団長さん」

 イヌタデで遊びながら稽古の様子を見ていると、その様子を呆れてみていたペポがそう言った。

 

「お、どうしたペポ。お前も遊ぶか?」

「いえ、そう言うのはランタナちゃんの方がいいと思います。

 ランタナちゃんは動物に好かれますし」

「確かにな」

 二人は謎の動物を連れて遊んでいるランタナを思い出して苦笑する。

 

「それにしても、嫉妬かペポよ。

 ようやくお前も俺の魅力に気づいてきたか」

「そんなことより、私より理想の美少女が見つかったみたいじゃないですか。

 そっちに行かなくていいんですか」

 と、少し拗ねた様子のペポは、丁度お昼時で焼きたてのパンを配っているシロタエギクの方を見た。

 

「ああ、うん、確かにな。

 シロタエギクはうん、まあ、俺にとって完璧に理想の美少女なのかもしれない」

「そうでしょう」

「だけどな、少し話してみて分かったんだが、その、な……。

 どうしてかな、彼女と話してると、学生の頃に亡くなったばあちゃん思い出してしまうと言うか、その……実を言うと全くそういう対象に見れなくなってしまったというか、自分の浅ましさに嫌になるというか」

 そう語った団長は何だか複雑そうだった。

 

「難儀ですねぇ」

 年を取らない理想の美少女が目の前にいるというのに、高尚すぎる精神性故に欲望の対象にできないという。

 見た目は好みでも、若すぎてもダメで、年を取りすぎていてもダメときた。

 結局彼は、そういうところが人間らしいのかもしれなかったが。

 

「うん、やっぱり俺にとって理想の美少女はペポってことだな。

 俺の眼に狂い無し、そういうこった」

「もう、そういうことにしておいてあげますね」

 これで女癖が悪くなかったらなぁ、なんて彼女が思っていると。

 

「わん!!」

「うん?」

 彼の指をかぷっと甘噛みするイヌタデ。

 その可愛らしい嫉妬と自己主張に、団長はもう片方の手で彼女の頭を撫でた。

 

「甘噛みはしつけのなってない証拠だ、後でたっぷりしつけてやらないとなぁ?」

 彼の言葉に、甘噛みしたままのイヌタデの頬がさらに赤みを帯び、目が潤んで息遣いが荒くなる。

 

 

「……えい」

 何を思ったのか、ペポは団長の腕に噛みついた。

 甘噛みとかそう言うレベルではなく、かじりついていた。

 

「あぎゃああぁぁぁ!?」

 あまりの痛みに、団長の悲鳴が周囲に轟いた。

 

 

 それはそれとして、この後もいろいろあったそうだが、劇の公演は問題なく間に合ったそうである。

 

 

 

 




ヘリオちゃんのキャラクエやって、ですますがゲシュタルト崩壊したのは私だけではないはず。

さて、そろそろR版のネタを消化にはいるか。

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