ジェダイの騎士が第四次聖杯戦争に現れたようですが……。 作:投稿参謀
結局の所、異常なまでに目立つヴェイダーは、周りに気付かれない石ころ帽子的魔術で何とかすることになった。
さらに問題はあり、アイリスフィールとヴェイダーだけ飛行機に乗せて切嗣とルークは別ルートで日本に向かおうすればルークがパパと一緒がいいと駄々をこねた。
この際のルークの「キリツグは意地悪だからヤだ!」と言う言葉に、本人はちょっと傷付いていた。
結局、切嗣に他人の子供の面倒を見るのは無理と言うアイリスフィールの意見もあって……当人がしょぼくれていたが事実である……全員で切嗣が新しく用意したルートで日本に向かうこととなった。
出発の日、イリヤスフィールが最初に泣きついたのが父母ではなく『初めての友達』であるところのルークであったため、ヴェイダーがフォースでもって死んだ魚の様な眼で何かしようとしている切嗣を抑える破目になったり。
密輸船がボロいわ、狭いわ、臭いわ、ムサいわ、ルーク泣き出すわで……アイリスフィールはそれでも楽しそうだったが……大変だったりした。
そんなこんなで……。
* * *
冬木市のとあるホテル。
切嗣は、先んじてこの町に潜り込んでいた助手の久宇舞弥と合流していた。
さらに別の経路で運び込んだ銃器類を確認してから、切嗣は舞弥に向き合う。
「舞弥……実は折り入って頼みがある」
「はい、切嗣。分かっています。サポートはお任せください」
「……ああ、いや。そうじゃないんだ」
深く深く息を吐く切嗣に、舞弥は首を傾げる。
その上でこの聖杯戦争で愛する妻を裏切らねばならない、切嗣の不安に思い至り彼の首に手を回すが……。
「おばちゃん、なにしてるの?」
「?」
突然、子供の声が聞こえた。
声のする方に首を向ければ……さりげなく懐の銃を取り出せるようにしつつ……そこには案の定子供がこちらを見上げていた。
4才くらいの、金髪に青い目の白人の子供だ。
銃器の置かれた部屋の中に似つかわしくない存在だが、舞弥は冷静にその正体に思い至る。
「切嗣。この子が例の……」
「ああ、セイヴァーだ。それで舞弥、頼みたいことと言うのは……」
「こ の 子 の 世 話 だ」
「……………………は?」
極めて感情の薄い、と言うより感情が育っていない女、久宇舞弥は極めて珍しいことに目を丸くしたのだった。
* * *
アイリスフィールとダース・ヴェイダーが表向きのマスターとサーヴァントとして動き、切嗣が裏で二人を援護……と言う名の暗躍……することになっているのだが、ここで困ったのがルークをどうするかである。
聖杯戦争に参加させないのがヴェイダー参戦の条件であるからアイリスフィール組と共に行動できないし、切嗣にルークの世話は色んな意味で無理である。
かといってまさか託児所に預けるワケにもいかない。
* * *
「と言うワケで、消去法で舞弥に任せることになったんだ」
「は、はあ……。それは構いませんが……」
切嗣の説明に困惑しつつも、舞弥はルークの方を見る。
そこではルークが何か、青と白の丸っこいデザインの機械にしがみついていた。
電子音のような音を出しながら、単眼のようにも見えるカメラと思しいレンズを動かしている。
「あの機械は……?」
「ああ、ヴェイダーの宝具で、彼が自分の整備をさせるために呼び出したそうだ」
定期的に義肢や胸の生命維持装置の調整をしなければいけないと言うヴェイダーが召喚した、その機械に視線をやってから、切嗣はもう一つ息を吐く。
まだ戦ってもいないのに既に疲れた様子である。
「まったく、サーヴァントと言うのは僕が思っていた以上に何でもアリらしい」
「はあ……」
……もちろん、その
それでも切嗣がR2-D2を自分の宝具だというヴェイダーの説明を信じたのは、ヴェイダー自身がルークに宝具として召喚される場面に居合わせたからだ。
「まあ、見た所無害そうだし、ロボットに何が出来るとも思えない。……注意するに越したことはないが、まあルークの面倒の助けにはなるだろう」
これは切嗣の間違いである。
ピキャピキャと電子音と立てながらルークと遊んでいるアストロメイクドロイドは、『見た目に騙されてはいけない』という言葉をこの上なく体現しているのだから。
このR2-D2こそ、無害な機械などではなく、ドロイドの域を超えた知性と感情を持ちヴェイダー……アナキン・スカイウォーカーと共に数多の戦場を駆けてきた歴戦の勇士であることを、切嗣たちは知らない。
つまり、面倒を見ると言う名目でルークの監視役……つまりいざと言う時にルークを害する役……になった舞弥を、さらに見張る『逆』監視役として、ヴェイダーはR2-D2をルークの傍に置くことにしたのだ。
* * *
夜……冬木港のコンテナ置き場。
幾つものコンテナが積まれたここに、ダース・ヴェイダーとアイリスフィールの姿があった。
アイリスフィールは緊張した面持ちであり、ヴェイダーは逆に慣れた様子だ。
「……来たか」
ヴェイダーたちの前方の空間が歪み、人影が現れた。
「よくぞ来た、と言うべきか。今日一日この街を練り歩いたが、誘いに乗ったのはあなたたちだけだ」
青い装束に白銀の鎧、星の光のような美しい金色の髪だ。
「正直な所、このようなやり方に戦術的な価値を見いだせないが……マスターの意向だ」
そして、そのサーヴァントは……美しい女性だった。
鎧でも隠し切れぬ、女神が地上に顕現したが如き豊満でそれでいて締まる所は締まったプロポーション。
大人の女性のそれでありながら、凛と整った容貌。
全身から放つ清廉で神々しいなまでの気配。
闇のように黒い装甲服とマントに身を包み、禍々しくも圧倒的な気配を放つヴェイダーとは、正しく好対照と言える。
……そして何より目立つのは、手に持っている……それだけで、周囲を飲み込みかねないほどの存在感を放つ、一本の長槍であった。
「なるほどな。……英霊などと大層なことを言うだけのことはあるようだ」
ヴェイダーは彼女の立ち振る舞いと気配からタダならぬ敵であることを見抜き、ライトセイバーを起動する。
現れる真紅の光刃に、女性サーヴァントは合点がいったとばかりの顔だ。
「ほう、貴公はセイバーのサーヴァントか」
「いや違う。私は
「では……?」
「私はシスの暗黒卿ダース・ヴェイダー。これが真名……と言っていいだろう」
その名乗りに、目の前の敵サーヴァントはもちろん後ろのアイリスフィールも……そして狙撃銃のスコープを覗き込む切嗣も怪訝そうな顔になる。
その全員に答えるように、ヴェイダーは声を出す。
「別によかろう。誰も知らぬ名なら、弱点が漏れる心配もない」
「……確かに。シスの暗黒卿なる物も、ダース・ヴェイダーなる英雄も、耳にしたことはない」
女性サーヴァントは冷静な様子だが、油断は全くなく、手に持った長槍をヴェイダーへと向ける。
「こちらも名乗りたいところだが、無粋を承知でクラス名でもって代わりとしよう。私はランサーのサーヴァント。……その首級、貰い受けるぞ。シスの暗黒卿!!」
……彼女の真名はアルトリア・ペンドラゴン。
またの名をアーサー王。
ブリテンの偉大なる騎士王が、
ディルムッドが不参戦! この人でなし!!
そしてFate/GOはやったことありません!
だってスマホ持ってないし! ……スマホ持ってないし!!
……地味にノチの展開が凄く変わりそう。