ジェダイの騎士が第四次聖杯戦争に現れたようですが……。   作:投稿参謀

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ふと思いついて、パッと書いた話。


ジェダイの騎士が第四次聖杯戦争に現れたようですが……。

 遠い昔。遥か銀河の彼方で……。

 

 

 

 ではなくて。

 

 割と近場の太陽系第三惑星地球の、欧州某所のとある城で……。

 

  *  *  *

 

「これは……いったいどういうことなんだ?」

 

 サーヴァントを召喚する儀式を終えた衛宮切嗣は愕然として呟いた。

 

 全ては完璧だったはずだ。

 召喚するサーヴァントが切嗣と相性が悪いであろうセイバーであることを除けば、儀式は滞りなく行われた。

 チラリと愛妻であるアイリスフィール・フォン・アインツベルンを見やれば、自分と同じように硬直している。

 

  *  *  *

 

 彼には父がいた。

 闇に囚われ、果てない憎しみと苦しみの中にいた父が。

 だが父は、彼の存在によって、ついに光の中へと戻ってくることが出来た。

 

 父は救われたのだ。

 

  *  *  *

 

 完全に想定外の事態ではあった。

 しかし、目の前にいる存在の発する清浄な気配と……濃密な魔力が、相手が人間ではないことを如実に物語っていた。

 

 切嗣は理解する。

 自分はアーサー王の召喚には失敗したものの……サーヴァントを呼ぶことには成功したのだ。

 

  *  *  *

 

 彼には妹がいた。

 血を分けた、たった一人の双子の妹が。

 意見を違えることはあれど、妹は彼にとって掛け替えの無い存在だった。

 

 故に、全身全霊を懸けて守ると心の内で誓っていた。

 

  *  *  *

 

 アイリスフィールは困惑していた。

 

 聖杯戦争のためにアインツベルンが用意した遺物。

 これを触媒とすれば、ほぼ確実にブリテンの騎士王……かの大英雄アーサー王をセイバーとして召喚できるはずだった。

 

 しかし、目の前の存在が。それを否定する。

 

 触媒による優先を上回るほどに、召喚したマスターと因縁のある英霊……というのも考え辛い。

 幾ら考えても、答えは出なかった。

 

 ……もし、この場に銀河の平和を守る騎士たちの、偉大な長老がいれば、こう言ったかもしれない。

 

 フォースに導かれたのだと……。

 

  *  *  *

 

 彼には母がいた。

 自分と妹を生んだ直後に亡くなった母が。

 顔を見たことも声を聴いたことも無いが……それでも、彼女が偉大な存在であることは分かっていた。

 

 何故なら、父が愛した女性だから。

 

  *  *  *

 

「とにかく……」

 

 切嗣は目の前のサーヴァントに声をかけた。

 早急に、目の前の存在の正体を把握する必要があったからだ。

 不足の事態だからこそ、とにかく情報が必要だった。

 

「君の真名(しんめい)とクラスを教えてくれ」

 

 切嗣はサーヴァントが……英雄が嫌いだ。

 それは、彼が戦場を地獄であると考え、故にこの世の地獄へと人々を駆り立てる英雄と言うシステムを憎んでいるからに他ならない。

 

 英雄や、英雄を崇拝する人々の側にも言い分があろうと言うことは分かっている。分かっていて、決して理解しようとも受け入れようとも思わない。

 

 故に自分が聖杯に懸ける願いのために、サーヴァントを上手いこと『使い潰す』算段であった。

 

 魔術師としては異例中の異例と言っていい切嗣だが、こと『自分の価値観以外を認めない』という意味では、この上なく魔術師らしかった。

 

 ……しかし、彼自身自覚していないことだが、眼前の『英雄』たる存在に対し、切嗣は不思議と嫌悪を感じていなかった。

 目の前のサーヴァントが、あまりにも『英雄』らしくないから、かもしれない。

 

 サーヴァントは、不思議そうな顔をして佇んでいたが、やがてゆっくりと口を開いた。

 

  *  *  *

 

 ジェダイの騎士アナキン・スカイウォーカー……シスの暗黒卿ダース・ヴェイダーと惑星ナブーの女王パドメ・アミダラの息子。プリンセス・レイアの兄。

 

 闇の中で、それでも残された『新たなる希望』。

 

 銀河を暗黒の支配から救った、最後のジェダイの騎士。

 

 最早、剣持つ騎士(セイバー)などでは収まらぬ、救世主(セイヴァー)とでも言うべき銀河に並ぶ者なき大英雄。

 

 …………彼の名は『ルーク・スカイウォーカー』

 

  *  *  *

 

「ここどこ~! おじさんたちだれー!」

 

 た だ し 4 才 の !!

 

「うわあああん!! パパー! パパーーー!!」

 

 大声で泣き出したルークに、切嗣とアイリスフィールは、只々唖然とするのだった。

 

  *  *  *

 

【クラス】セイヴァー

【マスター】衛宮切嗣(泣きたいのはこっちだよ……)

【真名】ルーク・スカイウォーカー(ただし絵本『ダース・ヴェイダーとルーク(4才)』の)

【属性】秩序・善(多分)

【ステータス】不明

【宝具】不明

 

 参戦…………………?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そのころ、遥か銀河系の彼方では……。

 

 ダース・ヴェイダー「息子が浚われたので、迎えに行くついでに犯人をなます切りにしてきます」

 皇帝「よかろう、死の小艦隊を動かすがよい……なんなら、デス・スターも貸そうか?」

 ヨーダ「そういうことなら、協力を惜しまん」

 オビワン「私も行こう。……あ、ちょっと待って。アソーカやレックスにも声をかけるから」

 

 




正直、すまんかった……。

最後のオチが書きたかっただけです。

一応、分からない方に説明すると、『ダース・ヴェイダーとルーク(4才)』とは、スターウォーズを題材としたパロディ絵本で、ヴェイダーがシングルファーザーとして育児に奮闘する話。
続編として、『ダース・ヴェイダーとプリンセス・レイア』『おやすみなさい、ダース・ヴェイダー』などがあります。

すごく子煩悩なヴェイダーやら、
子供たちに振り回される銀河の皆さんやら、
レイアとハン・ソロがキスするの見て絶叫するヴェイダーやら、
優しいお爺さんにしか見えない皇帝陛下やら(ダークサイドどこ行った)
絵本ながら見どころのたくさんある作品。

……つまり、私はいい年してこの絵本が大好きなんです。

ちなみにFateの方はニワカもいいトコ。

続きは未定です。

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