正直何書くか決めてなかったので行き当たりばったりですご、頑張ります。初三人称視点ですが、上手くかけるよう頑張ってみます…。
場面はまず葉山と八幡、折本と仲町のダブルデートを目撃した日の夜からでございます。
では、三浦優美子の誕生日を祝って!!
クリスマスにはあの人へのアイを
総武高校に通う一人の少女が自室で憂鬱そうにしていた。
彼女の名を三浦優美子という。なぜ彼女がそのようにブルーな気持ちであるか、それは今日の夕方まで遡る。
優美子は放課後、友人である海老名姫菜と共にウィンドウショッピングをしていた。と、言うのも時は12月中旬。クリスマスに備えて女子高生はそわそわし始めるのだ。
その時、彼女の想い人である葉山隼人という少年が、他校の女子2人と男子ひとりを連れダブルデートのようなものをしていたのだ。勿論、彼はそのどちらとも付き合ってはいないし、その数刻後に彼は彼女らにとても酷いことを言い放つのだが、それはまた別のお話。
「…隼人、どっちかと付き合ってたりしてんのかな」
そんな事実を知りもしない優美子にいつもの威厳は感じられず、まるで寂しがり屋の小動物のようであり、どこか哀愁を感じた。なかなか寝付けず、彼女が意思を手放したのは3時頃だった。
夜が明け、優美子は学校へ向かった。ただで寒い登校が、昨日のことでより寒く感じられた。
寒そうに身を縮こませながら教室に入って、いつものメンツがクラスにいるか確認をする。いつもはいるはずのメンツ達は、どうやらいなかったらしく退屈そうに自席に座り携帯をいじり始めた。その顔に未だ威厳は感じられない。
暫くすると、グループのお調子者、戸部翔がやって来た。
「およ、優美子じゃーん!!おっはよーっす!」
「…おはよ」
翔はすぐに優美子に違和感を感じるが、それと同時に自分にはどうすることも出来ないとも感じた。故に彼は隼人に任せようとしか考えていない。
「あれ、優美子だ。やっはろー!今日早いね、どうしたの?」
翔の次に来たのは由比ヶ浜結衣であった。結衣は空気を読むのが上手で、上手なあまりに自分の意見が如何に空気を壊すか分かってしまい、結果として周りに言動を合わせ続けた少女である。最近は自分の意見も前面に出そうと頑張っている様子を垣間見る。
しかし、持ち前の優しさと阿呆さは変わらず挨拶の直後の言葉は前者から来たものか、後者からかは分かり得ない。
「…別に、なんとなく」
そう優美子は結衣に伝えた。だが、ここで初めて優美子は気づく。それは、いつもより10分ほど家を出ていることを、だ。普段かなり遅刻ギリギリにくる彼女だが、今日ばかりは早めに来ていた。その理由は恐らく今から教室に入ってくるであろう少年、葉山隼人にあるのだろう。
「やあ、おはよう。みんな」
教室に入ってきて、一直線にいつもの定位置へ行く。彼にはその自覚があるが故に、その『いつも』を壊さないようにそこに…トップカーストに就くのだ。最早それは一種の仕事のような義務感を彼に感じさせていた。
「隼人くんおはよーっ!!ってべー。さっき一緒に朝練してたわー」
「お、お前ら真面目だな」
「それな」
翔は場を盛り上げようと冗談を言い、それに合わせいつの間にかいた大和と大岡が喋る。一見いつも通りに見える彼らだが、3人は隼人の異変に既に気づいている。彼らは隼人を中心として繋がっているが故に無意識のうちに意識が隼人に向いてしまうのだ。それを半年以上続けていれば、自然と小さな異変にも気づけるようになる。
「ちょちょ隼人くーん、ちょっちこっち来てくんね?」
翔がそう言って優美子から隼人を離す。かなり踏み込んでやろうと腹を括った翔。教室の隅まで来たところで翔は隼人へ問う。
「ぶっちゃけ、優美子どったの?」
あまりにもぶっちゃけすぎというかストレートすぎたと思うが、そこが翔の良い所だとしよう。
その問いかけに隼人は苦笑を浮かべた。
「別に何でもないさ。ちょっと昨日すれ違っただけだよ、人の往来が凄くてお互い話せなかったけど」
「っべー、そういう事ね。なるほどなるほど」
そう言われた翔だが、実際いまいち納得はしていない。が、隼人の言うことはある程度信じるある種信者的な面があるので、彼自身特に気にしていない。
その後、チャイムが鳴りHRを行った後に授業となった。その間も時々優美子は心ここに在らずと言った様子で周りのイツメン達は心配を、表には出さなかったが、一応していた。
時は過ぎて早放課後。男子4人は部活へ向かったが、優美子は葛藤しながら結衣と姫菜と喋っていた。そして、彼女はある決心をする。
「あんさ、結衣」
「どうしたの、優美子?」
「あーし、ヒキオに話あんだけど」
ヒキオとは同じクラスにいる比企谷八幡という少年を指し、そして彼は昨日の隼人とは別のダブルデートの少年のことである。優美子は八幡から情報を得ようとしていた。しかし、八幡を想い人とする結衣がそれをよしとする訳がなかった。ましてや、今奉仕部はかなり危ない状態、崩壊寸前だ。
「え、ヒッキー?…なんで」
「まあ、色々あんの。あいつ今どこにいるの?」
「もうしばらく経ってるから…多分奉仕部の部室かな…」
よしとしてないが、しかし結衣は優美子の秘めた優しさを知っているし、何より優美子は結衣の恋を応援している側なのだ。だから、恋愛感情は少しもないはず、そう無理矢理に納得した結衣は何も聞かず場所だけ伝える。
事実、優美子に八幡への恋心がある訳では無い。
「そか…じゃさ、一緒にそこ行こ」
この時点でイツメンの中で最も察しが良いと言える人物、姫菜は優美子が何をしたいか既に気づいていた。勿論、気づいた理由は昨日一緒に優美子といたからでもある。
気づいていながらも、彼女は優美子や結衣について行こうとはしない。修学旅行のことを、若干引きずっているようだ。
「それじゃ、私は家のことしないといけないから帰るね」
「あ、うん!ばいばい、姫菜」
「じゃね。きーつけて帰んなよ」
あははと笑いながら玄関へと向かう彼女の背中を見送り、残ったふたりは顔を見つめ合う。
「それじゃ、行こっか」
「うん」
教室を出て奉仕部の部室に向かう。その間、会話はない。優美子の機嫌がよくはないことを察した結衣は、会話するべきでないと感じ、優美子もまた会話をしたくなかった。
そうして部室についた頃には、もうすぐ冬至であることもあって、既に夕日が寒さに対抗するかのように輝いていた。
結衣が1度深呼吸して、元気にドアを開ける。
「やっはろー!!ヒッキー、いる?」
「…おう。どした」
早く用を済まして欲しかった、この心のざわつきを収めたかった結衣は入ってすぐに八幡を呼ぶ。案の定というか、彼は雪乃ー奉仕部の部長ーとは反対の定位置で本を読んでいた。
「優美子が話あるんだって」
「…三浦か、わかった」
いつもはこういう時に渋る八幡だが、この時ばかりは違った。彼は面倒事はすぐに解消したかった。面倒事が発生している時点で手遅れな気はしない訳では無いが、言い出したらきりがない。
結衣が入ってくるのと入れ違いに八幡が廊下へ出る。
「それで、なんの話だ?」
「とぼけんなし。昨日、隼人と居た子たちは誰なの?」
「二人居たろ、どっちのことだ?それともどっちものことか?」
その言葉に優美子は首肯する。ため息をついた八幡はけだるそうに話し始める。
「ありゃ片方が俺の中学の同級生で、もう片方がそいつの高校の友達で葉山に目付けてただけだ」
「だけ…って、その後どうなったし!」
「その後は…流石に遅くまで遊んでんのはダメってことで早々解散になった」
八幡は嘘を言った。勿論、優美子には八幡が嘘を言ったことや言ったことそのものが嘘であることを気づくことは出来ない。八幡が嘘をつくのを見たことある訳では無いから万に一つも彼女が八幡の嘘に気づくわけがないし、彼らがデパートで見られたあとにすぐ帰った可能性だってあった。
なぜ八幡が嘘をついたのかは、別に隼人の為でも優美子の為でもなく、その後のカフェでの一件を広めたくなかっただけである。
「…そ。それなら、まあ、いいかな」
「もういいか?」
他にも聞きたかった事があったはずだったが、今の優美子は隼人に彼女がいないことを喜んでおり、そんなこと忘れてしまっていた。
それくらい、優美子は隼人のことが好きなのだ。それはもはや愛していると言っても良いほどに。
八幡に礼を言ってすぐに家に帰った優美子は、すぐ自分の部屋に入った。昨夜なかなか寝付けなかったことと安堵感より、部屋に入るなり寝てしまった。
その時、彼女は夢を見た。
もし、もしもクリスマスまでに隼人と優美子が恋人関係になっていたとしたら。
『ねえ、隼人。最初はどこに行く?』
恋人関係に照れているのか、いつもよりしおらしい彼女が問う。そんな彼女を見た隼人は何を思ったか、優美子をさらに落としにかかる。
『そうだね…そこにつくまでのお楽しみかな。人多いから、手繋ごっか』
そう言って優美子の手を握ってリードする。優美子は一瞬ドキリとしたがすぐに違和感に駆られる。
なぜこんなにも自然なんだろう。なぜこんなにも女子慣れしているのだろう。なぜこんなにもあっさりしているのだろう。
ほんとはもっと動悸が激しくなるはずじゃ。ほんとはもっとお互い恥ずかしくなるはずじゃ。ほんとはもっとロマンチックになるはずじゃ。
『秘密とか、まじで?そんなこと言われたらちょー期待するよ』
その違和感も一時のもので、優美子は今のシアワセに身を委ねる。
「優美子、起きなさい。晩御飯よ」
「……うん」
母親に起こされ、曖昧に返事をする。
さっきまでどんな夢を見ていただろう。
すぐに夢の内容を思い出した優美子は嬉しいとか恥ずかしいとかより第一にこう思った。
さっきまで…私は隼人と何をしていたのだろう。あれは、デート…なのだろうか。
そう不安になりながらも彼女は晩御飯に向かった。
時は過ぎて、優美子と隼人、翔に姫菜の4人は生徒会が海浜と合同企画をしたらしいクリスマス会に来ていた。子供たちがケーキを運んできたのはとても可愛かったし、海浜の出し物もとても良いものだった。
クリスマス会が終わったのは、7時過ぎで冬の空に布が被るのに充分過ぎる時刻だった。
翔は嬉嬉として姫菜を送っていくわと言ってすぐどこかに行ってしまった。結衣は、どうやら手伝いが残っているらしい。結果、隼人が優美子を家に届けることになる。
隣を歩く隼人は常に微笑みを崩さない。優美子が隼人を凝視しているのがばれる。隼人は一瞬驚いた顔をする。隼人はすぐに微笑み直す。隼人が首を傾げる。優美子は首を横に振る。隼人は一層笑って前を向く。
すべての動作がプログラミングされたものに見えた。ああ、そうだ。彼は何時でも演技をする。演技をする理由は誰も知らないし、知っても理解はできるはずがない。
人の往来が激しいところに来た。隼人は当然のように優美子の手を握って言った。
「ごめんね。はぐれないよう、手つなぐよ」
「あ、うん…」
優美子は哀しかった。
なぜ私はこんなにドキドキしないのか。私は隼人が好きなんじゃ、愛してるんじゃないのか。手を握られて、自分の心配をしてもらって嬉しいはずじゃないのか。
そんなことしか考えられなかった。そんなことを考えながら、隼人の方を向く。そして、気づく。隼人の顔が若干赤い。人の熱気に暑くなっただけかもしれないただ、体調を崩しているだけかもしれない。しかし、優美子にはそうは見えなかった。
隼人が恥ずかしがっている。隼人が照れている。隼人が私相手に緊張している。
そう思った途端に優美子は彼が愛しくなった。
心臓が強く脈打った。隼人のことがさらに好きになった。手を繋いでもらっていることが嬉しくなってきた。
コロコロ変わる乙女心は秋の空よりも変わりやすいもので、どの季節の空よりも儚く美しいものではないだろうか。
冬の空の下、彼女の青春ラブコメは続いていくのだろう。
えっと、その…ですね。今回小説にあてれる時間が少なくてですね…優美子生誕祭1話しか書けなさそうです。優美子ファンの方すみません…。
自分が書きたいこと書いてると途中で脱線してしまい収集がつかなくなってしまうことが多々あります…。
次は雪乃ですかね。1月3日、雪乃の誕生日に会いましょう!!