俺ガイルキャラ生誕祭!!   作:Maverick

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途中材木座くんが空気の材木座ssとなった後編です。

反省も後悔も未練もありません。

誠也の家で材木座の開店祝いをする場面です。

前回同様サブタイが話題となったアニメ映画のパロディですが本編とは全く関係ありません。

どうぞ!!


夢の形

俺が八幡に相談を持ちかけ既に1年がすぎた頃、遂に店を開く1日前となった。

この日はお世話になった八幡と誠也とその2人の連れの四人客にラーメンを振る舞う契をしていた。しかし、開店前に店を汚すわけにも行かないということで誠也の家に来訪した。…つまり、誠也の親にもラーメンを振る舞うことになるのだな。

 

「して姫菜さんはなぜここに?」

 

「中二くんはろはろー。ってもう流石に中二病からは脱却してるか」

 

「ま、まあ流石にこの年になれば俺とて大人になる」

 

「あ、そういや姫菜は八幡と同じ高校だったんだな。姫菜は俺の嫁」

 

インターホンを鳴らして誰かが出てきたと思えば、あの海老名姫菜ではないか!!しかも誠也の嫁だと!?彼女については、2年次の体育祭前にお互い実行委員会にプレゼンしていたから印象に残っていたのだ。

しかし、誠也の嫁が姫菜さんとは…世界は狭いものだ。3人で雑談しているとインターホンが鳴った。どうやら八幡が来たらしい。姫菜さんは玄関へお出迎えに、誠也は二階にいる親を呼びに行った。

 

「よお、材木座。今日はよろしく」

 

「ああ、任せておけ。ところで、お前の横にいる雪乃嬢そっくりの女は誰だ?」

 

「それ八幡の知り合いみんなに言われるけど自覚ないんだよね…まあそれほど美人ってことか」

 

そう溜息をついた女は自己紹介をする。

 

「はじめまして…だったかな?私は鶴見留美、八幡とは結婚を前提に付き合ってるわ」

 

「鶴見留美…はて、何処かで…ああ、今年の4月くらいに気持ち悪いくらいの笑顔で」

 

「材木座」

 

楽しそうに話してたなーと言い続けようとしたけど八幡怖いから言わない。そんな目で我を見るな!!つい一人称が我になってしまったではないか!

 

「気を取り直して、俺は材木座義輝。八幡の友人だ」

 

そう自己紹介した後、階段から3人ほど降りてくる音がした。恐らく誠也と御両親だろう。皆はドアの前から離れ、入ってくるのを待ち構えた。

 

「お、いらっしゃい。留美ちゃんも久しぶり」

 

「お久しぶり、竹田さん。お子さんは?」

 

「姫菜の実家でお泊まり」

 

「大丈夫なのか?それ」

 

入ってきた誠也に挨拶をした留美さんはすぐに子供のことを聞いた。…なるほど、子供好きと見た。

 

「大丈夫だよ。姫菜の御両親も孫大好きだから。それよりも、俺の両親紹介するわ」

 

「はじめまして、竹田美代子と言います。以後お見知り置き下さい」

 

「はじめまして、竹田正義だ。よろしく」

 

「よろしくお願いします」

 

みんな揃ったところを見て俺はラーメンを作り始めようかなと席を立つ。暫くキッチンを借りると姫菜さんに告げ、俺はキッチンに向かいながらも手順の確認をしていた。

 

 

 

 

 

材木座がいつの間にかフェードアウトしていたが…どうでもいい。大方ラーメン作りに行っただけだろうし。リビングに集まった大人達は思い思いの相手と会話をしている。と言っても男性陣と女性陣で別れているだけだけど。

 

「えっと…八幡くんだったかな。誠也がお世話になってるね」

 

「いえ、そんなことありません。こちらこそいつも迷惑ばっかりかけている気がするほどです」

 

「ははっ、敬語じゃなくていいさ」

 

それは流石に無理があるな…と思いながらどう断ろうとぐるぐる考えていたのだがいい案が思いつかなかった。

 

「気にすんなよ、八幡。親父はいつもこんなんだから」

 

「えっと…じゃあ適度に外すって感じでいっすか」

 

「ああ、誠也の友達とは仲良くしたいからね。それで頼むよ、私のことも正義さんと呼んでくれ」

 

「うっす」

 

こんな感じでファーストコンタクトをとった俺と正義さん。その後も会話をしていて、一段落ついたと思った俺の肩に硬い何かが来た。横を見るとそこには紫がかった、しかし綺麗な黒髪が視界いっぱいに広がった。

 

「どした、留美。海老名さんにどんな辱めを受けたんだ?」

 

「なんで私限定なのかな?比企谷くん」

 

「お、流石にヒキタニくんじゃないんだな」

 

「そういえば姫菜ちゃんの高校時代を知らないな、美代子さん」

 

「もう、正義さん。ダメですよ、そういうのは本人がいないところの方が多くの情報を得られます」

 

美代子さんが思った以上にブラックで俺と留美が怖がっている。てかなに、人心掌握術でも習得してんの、この人。それとも心理学マスター?

肩に顔を埋めると言う器用なことをしていた留美がこちらを向く。となると上目遣いになっているのはもはや自明の理である。何が言いたいのかと言うと…めっちゃ可愛いですありがとうございます。

 

「姫菜さんが私をいじめてくる」

 

「おい、海老名。表出ろ」

 

留美がなんかいじめられたらしいから海老名さんにお仕置きしないとなぐふふ、とか思ってないよ?ちょっと高校時代のノリで軽く返しただけだよ?海老名さんの高校時代より膨らんだ胸を見てるわけじゃないよ?ほんとだよ?

 

「あはは、流石の比企谷くんもさん外すほど怒ってきちゃった」

 

「あ?八幡、てめえ俺の姫菜に何するつもりだ。あぁん!?」

 

「なんだと、海老名さんだって俺の留美に何したかわかって言ってんのか。ごらぁ!?」

 

多分誠也もこれが軽いノリだって分かってやってんだろうな。目が若干笑ってるし。それに気づいてないのは恐らく留美だけだろう。もう少しやるか…。

 

「んだと、おら!?んなもん関係ねぇだろ!?」

 

「関係あるからこーして言ってんだろうが!?おい」

 

「その理由言ってみろよ、ああっ!?」

 

この瞬間俺は竹田が何をしようとしているか察する。大学のサークル内とかでよくやってた事だ…今更だけどガキすぎんだろ。いや、今もやってんだから過去のこといえねーわ。アイコンタクトをとって俺たちは同時に口を開く。

 

「「俺の留美(姫菜)が世界一可愛いからに決まってんだろーがっ!!」」

 

完璧だ。我ながら感動するレベル。あの海老名さんが顔を赤くして照れている。やーい、やーい。照れてやんのー…バカみたい。

 

「八幡のバカ」

 

「誠也さん!恥ずかしいです!」

 

「いえーい、うまく決まったな!」

 

「だな、お互いこれを覚えてることに驚きだけどな」

 

正義さんと美代子さんが大笑いしていて、俺と竹田はハイタッチ、留美と海老名さんは二人とも頬が真っ赤だ。なんとシュールな光景だろう。それはラーメンが出来て俺たちを呼ぼうと意識を移してきたであろう材木座の顔を見ればわかる。

 

「ラーメン出来たんだけど、食べる?」

 

「食べるに決まってんだろ。まず誰?」

 

流石に普段大の大人4人と子供2人だけのダイニングに大人7人は無理だということで二回に分けることになったのだ。

 

「ああ、とりあえず誠也と御家族の分、4人前を作った」

 

「俺たちか、それじゃ行きますか」

 

「先に頂くよ、八幡くん」

 

「どうぞ、どうぞ」

 

こうして4人がダイニングへ座ってしまい、リビングには俺と留美だけ。と言ってもLDKだからすぐそこに喋りながら食べている4人いるけど。

 

「ねえ、八幡?」

 

ダイニングを気にしているのか小声で話しかけてくる留美。肌や唇には艶というかハリがある。俺とは違って若いからなあ…俺がもう29だったかな?留美は24で、今年度で大学院を卒業する。就職先もかなりの大企業で、ホワイト企業である。俺、超安心。

 

「どうした?」

 

「なんで材木座さんは明日から店を開くの?」

 

「ああ、そのこと。簡単だ、明日があいつの誕生日だかららしい」

 

勤労感謝の日に店を開くとは…まあ、ある意味感謝しなければいけない部分はあるからあながち間違いでもないと思うけど。

 

「へえ…そういえばさ、八幡」

 

「次は何?」

 

「私の会社、八幡の家からの方が近いからさ、同棲したいな」

 

そう言った留美の顔は赤かった。俺の顔も赤いのだろう、しかしここは冷静に大人らしく。

 

「今ここでする話じゃないな。帰り、それについてはにゃそう」

 

うん、無理。緊張せざるを得ない。俺が噛んだ事に笑いながら分かった、と返してくれた留美にお礼を言って雑談を続けた。

 

 

 

 

 

うむ、この調子なら明日も問題ないな。ラーメンはうまく出来ている。従業員も雇ってあるし、借金はゆっくり借り換えしながら返していけば良いだろう。人生まだまだこれからだからな。

 

「義輝!ラーメン美味いぞ!!俺の友達にも勧めとくわ」

 

「ほんと、これなら女の人も食べやすいよ。由衣たちにも教えておくね」

 

「ええ、私たちみたいなご老体にも優しいラーメンね」

 

「ああ、私はもう少し濃くても良いがな」

 

そう口々に感想を言ってくれる竹田家の皆さん。その言葉を聞けただけで心が暖かくなる。店は少し路地に入ったところにあり、目立ちにくいが俺はリピーターを大切に体も心も温まる店にしたいと思っている。そのために従業員は真剣に選んだ、サービスの質を重視したために非正規雇用はしないと決めたし、大丈夫だろう。

 

「店には調味料を色々置いておきますから、次来た時はお好みで…それに、これからメニューも増やそうと思っています」

 

「それはそれは…とても楽しみだ」

 

ラーメンをすする音がこの空間を支配する。この音にはどこか温もりを感じる。故に俺はこの音が好きだ。

 

「「「「ごちそうさまでした」」」」

 

皆が汁まで飲んでくれた…感動して泣きそうになる。しかし、気持ちを切り替えて次は八幡と留美嬢のラーメンだ!!まだ試作段階だが八幡にはギタギタなやつを食わせてやるぞ!!

 

 

 

 

 

次の日、朝8時に俺を含めた従業員4人は店に集まっていた。

 

「いよいよですね、義輝さん」

 

「ああ、皆今日から忙しくなるかもしれない。忙しくならないかもしれない。しかし、俺はどんな手を使ってもこの店を切り盛りしてみせる。俺に力を貸してくれ!」

 

「安心しろよ、義輝!ちゃんと近くの会社に勤務してるやつとか息子に来いって言っておいた。少なくとも10人くらいは来るさ!!」

 

「ありがとう…よし、最後の確認だ!その後調理及び外の飾り付けに入る!よろしくお願いします!」

 

「「「よろしくお願いします!!」」」

 

遂に今日、俺は店を開く。

高校時代から10年間密かに夢見てきた自分の店、これは俺だけでは開店できなかったに違いない。俺が八幡と戸塚とラーメンを食べていなくとも今俺はここに立っていただろうか?いや、立っていなかっただろう。俺の夢はそこから始まったのだ。

ここまで来た以上、後戻りは出来ない。今は大切な仲間がいる。執筆も暫くしてないが、この際この店を繁盛させることの方が大切だ。俺のやりたかった事とはなんだったのだろう。10年経ってしまった今ではあの頃のことを明確に思い出すことが出来ない。しかし、俺が今やりたい事を聞かれたら間違いなくこの店を人気にすることだ。

そして、やはり俺の夢は誰にも邪魔をさせないし、間違っていない。




最後材木座さんかっこよすぎ。

次は12月12日の三浦さんの誕生日ssですが…正直何書こうか全く決めてません。

ですので、なにか希望みたいなのありませんかね?リクエスト的なやつです。

それがなければ…恐らく何かしらのifストーリーを書くことになりますね。

では、三浦さんの誕生日にまた会いましょう!!

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