いやね、自分結構葉山好き…というか嫌いになれないんですよね。
まあ、そういうことで今回もこんな駄作を開いていただきありがとうございます。
今回の場面設定はかなりぶっ飛んでますんで必ず読んでください!
まず、葉山と八幡は同じ弁護事務所…といっても葉山の親の会社ですが…で働く同僚となっており、年齢は28歳となっています。葉山の嫁はいませんがそのうち政略結婚とかされそうですね(誰と、とは言いませんが)。
八幡ですが、既に結婚しており嫁は一色となっております。作者が一番好きなカップリングなので許してください…。
では、葉山の誕生日を祝って!!
やはり葉山隼人と比企谷八幡の関係は間違っている
「なあ、比企谷。今日飲まないか?」
昼時、俺が愛妻弁当(笑)を食べてると葉山が話しかけてきた。
同じ弁護事務所に入っている葉山がいきなり話しかけてきた、その事実に俺は驚く。今までも何度か話しかけられたことはあるが、その殆どは業務連絡だったんだが…どうしたんだ?
「理由を聞いてもいいか?」
「あ、あまり言いたくないんだが…まあいいか」
そう悲しそうな笑顔を浮かべて俺の横に座って漏らした言葉には、同情せざるを得なかった。
「実は…今日は俺の誕生日なんだ。これまで毎年ひとりで宅飲みしてたんだが、去年の宅飲みで少し寂しく感じてね。だから今年は誰かと飲みたいと思ったんだ。それで一番気兼ねなく飲めそうだったのが君だったから、こうやって頼んでる」
「なるほど、まあそれは悲しいことではあるな。来年はいい女見つけておけよ」
一年に一回、葉山と飲むのも悪くないだろう。そう思うほどには俺も成長…学習したんだ。
直接了承の意は伝えなかったが、伝わったらしい。葉山の顔が幾分か緩んだ。
「ああ、ありがとう。にしても意外だな、こんなにあっさり了承するとは」
「まあ、あれだ。ほら、もうアレしてアレだから」
「何だよ、それ。そういえば、いろはに連絡しておかなくてもいいのか?」
比企谷いろは、旧姓を一色いろはと言う。察せるかもしれないが彼女とは4年前、俺がプロポーズして結婚した。
いろはが大学を卒業してから1年間同棲して、いろはの23歳の誕生日にプロポーズ。その後は夫婦円満…とは縁遠くも和やかで楽しい日常を過ごしている。
「それ…もそうだな。今すぐ電話したいんだが…場所、移動するか」
「そうか、いろはによろしく伝えておいてくれ」
おいおい、どこ行こうとしてんだよ、こいつ。俺は結婚生活5年目の悲しい現実を突きつける。
「俺未だにあいつに友だちいないとか疑われてるから、お前から説得してくれ。というわけで付いてこい」
「…君たち、もう結婚して4年経ってるんだろ。子どもも1人いるじゃないか」
そんなもんあの天上天下唯我独尊の我が家最強のいろは様相手には通用しないのです。もうアラサーと言っても問題ない歳なのに未だにあざと可愛いとか反則だろ、何されても基本負けるわ。
「ったく…いいから付いてこい。今日行かねーぞ」
「わ、悪かったよ…じゃあトイレ前にでも行こうか」
苦笑と爽やかスマイルを足して二で割ったみたいな顔をして、俺を先導する。その気持ちは分からんでもない、寧ろ俺が一番そんな気持ちを経験してるまである。
トイレ前の、所謂休憩スペースについた俺は電話を取り出す。いろはは俺の収入が安定しているし、俺の実家暮らしで社畜の我が両親もまだまだ現役であることから、家事を一任して専業主婦をしている。
電話をかけるとすぐにいろはがでた。
『もしも〜し、どおしたんですかあ?あ・な・た♡』
「やめろ、あざと可愛いから」
『えへへ…それで、本当にどうしたんですか?あなたが仕事中に電話なんて珍しいじゃないですか』
まあそうだな。月に1回のグループの飲み会の日くらいしかしない。もちろん俺はその飲み会に行くのだが、それは一週間前にやっているのだ。
「今日は俺の大嫌いな同僚の誕生日らしいんだ。そんでその独身の同僚のために2人で飲もうって話になった」
『もしかしてぇ、葉山先輩ですかあ?』
な、なんでわかったんだ。俺が大嫌いな同僚とか言ったからですか?そうですか、やっぱりそうですよね。
にしても葉山とわかった瞬間に、喉の調子を整える愛しの嫁の声を電話口越しに聞いてる俺の気持ちを考えて欲しい。
「よくわかったな。まあ、お前のことだから葉山の誕生日覚えていたんだろ。1回葉山に変わってやる」
『え、ちょ、待ってください。まだ、準備が』
知らん。帰って怒られても俺は一切知らんからな。
まだギャーギャー言ってるうるさい電話を耳から離して、葉山に電話を渡す。
「や、やあいろは。久しぶり、結衣の結婚式以来だったかな?……うん、そう。俺から頼んだんだ……え?ま、まあ俺は構わないけど……ふふっ、それもそうだな。わかった、それじゃ」
流石葉山。高校の時よりもコミュ力が上がってる。こいつのコミュ力に関してはカンストすることは無いんじゃないか?とまで思う。
葉山は俺に電話を返す。どうやら既に電話は切ったらしい。電源を切りポケットにスマホを戻す。戻れ!スマホン、出てこい!仕事の時間…考えただけで嫌になってきた…。
「いろはの許可も取れたし、今日はよろしくな。仕事終わったら俺がそっちに行くから」
「そうか、ならお前が来るまで依頼者の書類整理でもしてるわ」
そう言って解散し、自分のデスクに戻った時には既に昼休みが終わっていた。愛妻弁当……。
そうして定時まで働き、今日も残業するか…と考えていた俺の視界の隅に葉山が映る。ああ、そういや飲みに行くんだったな。
「待ったか?」
「いや、約束忘れて残業しようとしてたまであるから気にするな」
「君の言っている社畜魂というやつか?」
全く、そのとおりで言い返せませんよ、ほんと。
肩を竦めて手を肩の高さまで上げやれやれと言った様子で首を横に振る。
なんだかんだで俺にも社畜魂が備えられているらしい。何それ、嬉しくない。
「悪かった、今から準備するから遅くなる。外で待っててくれ」
「わかった、ちゃんと来いよ」
わーってるわ。コンチキショー。いろはに言っちゃったから逃げるに逃げれねーよ。
デスクの上を整理してカバンに荷物を入れてぶらぶら出て行く。弁護士とは聡明な方が多く、誰が誰とつるんでいてもあまり気にしない。
外に行くと壁に寄りかかって俯いている、哀愁漂った葉山がいた。
「遅くなったな、どこに行くんだ?」
「ああ、来たか。こっちだ、付いてきてくれ」
そこからは何の会話もなくただ歩いた。どうやら葉山も俺のことをわかってきたらしい。
10分程歩いたか、まだつかないのかと思い始めた頃に葉山が足を止めた。葉山が立っていたのは俺の行きつけの居酒屋の前だった。
「流石におしゃれなバーには行かないんだな」
「今日は俺が付き合わせてるんだ。さっきいろはに店を聞いた」
「なるほど、どうりで」
やっと会話をした俺達は店の中に入る。葉山が店員と話している、が他の店員が俺に話しかけてくる。
「お兄さん!どうもっす!」
「誰だ、お前。小町はやらんぞ」
「わかってるんじゃないっすか!?あ、注文取りに行くので」
「そのまま一生近づくな」
「さすがにひどいっす!?あ、はーい。今行きまーす、ではまた今度ゆっくり話しましょう」
そう言って俺の2歳年下の青年は去っていく。というか大志だ。従業員として正式採用されている。所謂正規労働者というものだ。
大学生時代から通っている店だから、決して知り合いがいる店だから行きつけになったとかではない。ほんとだぞ?八幡嘘つかない。
「比企谷、行くぞ」
「あ、ああ」
葉山に呼ばれたことで我に返った俺は葉山のあとをついて行く。葉山はある席に当然のように座るんだが…なんでこんなに大きいとこに2人で座るの?馬鹿なの?ここ絶対四人席だろ。
「なんでこんな所に座るんだ?カウンターでいいじゃないか」
と言いながら座る俺、やばい俺超チョロイン。そんで捻デレ。
「まあまあ、とりあえずは水でも飲もうか」
「いいけどよ…って、まさかお前」
「あ、気づきましたー?あなた」
やっぱりそういうことね…。俺達が座っている机の前には何を隠す必要があるか、俺の嫁さんが立っていた。
呼んだのね、あなた。普通に文句を言うのも面白くないので、少し工夫を凝らす。
「別に2人で飲みたかった訳では無いのだけれど、だれか呼んでいたのなら同席者には連絡するのが当然じゃないかしら?葉山くん、ホウレンソウも知らないの?」
「比企谷、君は周りをもう少し確認しておくべきだったな」
そりゃどういう意味だ?雪ノ下の真似をして都合が悪くなるなんて本家様が…いない限り…ありえ…ない。おいおい、冗談だろ。なんでこいつがいるんだよ。
「貴方相変わらず下らない事をしているのね。そろそろ歳を考えたらどうかしら。ああごめんなさい、ゾンビは歳を取らないのね」
「そっちこそ相変わらずの毒舌だな。雪ノ下」
そう言いながらいろはを睨むとあははと居心地悪そうに笑っていた。そんな笑い方するなら呼ぶなよ。
「まあ、なんだ。なんで雪ノ下が呼ばれたか知らねえが目的は一緒なんだ。葉山の隣に座れ」
「あら、てっきり貴方の事だから下賎な事を考えて私を隣に座らせるのかと思っていたわ」
「何でだよ、俺の隣は小町と戸塚といろは専用だ。あとは成り行きでしょうがない場合も含む」
「あ、あなた……」
なんかいろはが絶句してるんだが。あれ、俺さっきかなり恥ずかしいこと言わなかったか!?やばい、思い出して死にたくなってきた。結局いろはは俺の隣に座り、雪ノ下は葉山の隣に座る。全員が生中を頼み、会話を弾ませる。
「おいおい、一応今日の主役は俺なんだから。独身の前でそんな事するなよ」
「はあ、なんで私はこんな男に惚れたのかしら」
「先輩は誰にも渡しませんよ!雪乃先輩にも、結衣先輩にもです!」
落ち着けよ、二人とも。俺を取り合うな、俺の方に二次災害出てるから。やめて、これ以上俺のメンタル削らないで!
生中が来た。いいタイミングだ、大志褒めてやる。
「1回落ち着いたら?というか、乾杯していいかな?…比企谷、やってくれるか?」
「ああ、いいけどよ…。んじゃ乾杯」
「「「か、かんぱーい」」」
ささっと音頭を終わらせぐびぐび飲む。ぷはーっ!仕事終わりのビールはうまい。そう思うくらいにはおっさんになってるんだなと現実と向き合う。
やば、つよ、現実つよ。戦略的撤退、もう一回グラスを傾げて、少し余ってしまったビールを完全に飲み干す。
「比企谷くん、貴方の得意な事は人間観察でしょう?タイミングを考えなさい」
「やだ、めんどい。なんでお前らまでに気を使わなならん」
「まあまあ…それにしてもなんで雪乃ちゃんが来たの?いろはが呼んだのか?」
あー、葉山?雪乃ちゃん呼びになってるけど大丈夫か?実はお前酒弱いのか?
しかし、顔を見る限り素面だ。これは何かあるな。
「はい、私が呼んじゃいました!」
「まあ、近いうちに義理の兄になるのだからこれくらい来てもいいでしょう」
「…ああ、そういうことね。相変わらず財閥の考える事は分からん」
なるほど、だから雪ノ下を雪乃ちゃんと呼んだわけだ。
雪ノ下が言った言葉の意味を理解しきっていないのはいろはだけだった。にしてもほんとに分からん。なぜそんな回りくどいことをするのだ、政略結婚なんて。
「ま、あれだ。来年には呼ばれなくなるからな、良い女もう見つけてんじゃん」
「俺が見つけたというより親が引っ捕らえたって表現の方が正しいな。しかもあちら側の」
「言えてるぜ、それあるーだわ」
棒読みで折本の真似をする。
まだ理解せずに頭にはてなマークを浮かべるいろは、可愛いけどそろそろネタばらししようか。
「で、どうしてまた雪ノ下さんと結婚する事に?」
「お前も働いてる弁護事務所を、完全に傘下に入れたいらしい」
どうやらやっと理解したらしいいろはは驚愕を顔に浮かべる。まあ、だよな。俺も実際驚いてる。
雪ノ下の義理の兄になる、ということは葉山の家系に雪ノ下の家の人が入るかその逆だ。葉山とも長い付き合いで葉山は1人っ子であることを俺は知っているので、消去法で後者となる。同じく雪ノ下とも長い付き合いで、両親が健在である事も知ってる。となれば雪ノ下さんと結婚だが、あの人が恋をして葉山と結婚なんてありえないからな。となると政略結婚しかない。
「姉さんが葉山くんと結婚なんて、考えていなかった訳ではないけれど、どうしても違和感と嫌悪感が拭えないわ」
「それを本人の目の前で言えるの、すげーと思うわ」
雪ノ下マジ容赦ねえ。葉山完全に苦笑いじゃねえか、同情しちゃうだろ。いやまあ、いないけど。
と、ここでいろはが再起動する。
「ほえ〜、葉山先輩、陽乃さんと結婚するんですか。式には呼んでくださいね!」
「比企谷を通して連絡するよ」
「なぜそこで俺を通す必要がある…別にいいだろ…」
通す必要ないだろ、めんどくさいわ。なんなら連絡されたことをいろはに伝えずスルーして夫婦揃って出席しないまである。
ここで全員が生中をもう一杯頼む。雪ノ下、お前案外豪快に飲むんだな。
「比企谷くん、諦めた方が身のためよ。嫁が普通じゃないわ」
「あ?…あ〜、そうだな。行かなかったらあとが怖いわ」
ダメだ、新婦が雪ノ下さんである以上出席は避けて通れない道だった。今回ばかりは諦めよう。
そんなこと言いつつ俺は由比ヶ浜の結婚式にも行ったんだよな…はあ。
「雪ノ下さんが家にいるって考えただけでも嫌になるな」
「俺は別居でいいだろうと言ったんだが、陽乃さんが聞かなかった」
だろうな、あの人なら面白がって『あれー?隼人弁護士なのに法律知らないのー?夫婦は同居するのが基本的に義務づけられてるんだよー?』って言って同居して半年位で飽きて、結局別居になるんだろうな。
「比企谷くん、貴方今から姉さんのこと名前で呼んだ方がいいと思うわ。姉さんの事だから『雪ノ下?それは誰のことかな、比企谷くん?』とでも言うわよ」
「あはは、陽乃さんそれ言いそうですね」
納得すんなよ、味方がいなくなるじゃねーか。やだよ。
それで呼んだら次は『あれ?比企谷くんが名前で呼ぶなんて珍しいね、じゃあ私も八幡って呼んじゃお』とか言ってくるに決まってる。
あの人は強化外骨格だから、逆に仮面でのセリフは予想しやすい。素顔はよく知らんから予想できないけど。
「それはそうと雪ノ下。お前は結婚しないのか?」
「そんな暇ないわ…仕事をするので精一杯よ」
「じゃあなんでここに来れたんだよ」
「比企谷、それは多分探っちゃダメなとこだ」
え、なんで、あれか、いろはに猫なで声で誘われたか?猫に弱い雪ノ下は猫なで声にまで弱いんですね、そうですね。
「どうでもいいじゃない…いろはさん、私帰っていいかしら?」
「まあまあ、先輩が鈍感なのは昔からじゃないですか」
「え、ちょ。なんで俺にダメージ与えんの?謎すぎでしょ」
「な、なあ。そろそろツマミ頼んでいいかな?」
葉山がそう言うが、雪ノ下といろはで何やら意思疎通している。なに?以心伝心してんの?なにそれすげえ。
「比企谷くんの鈍感は置いておいて…そうね、なにか頼みましょう」
「…じゃ、俺砂肝で」
何も言うまい、ダメージが来るのは分かっていた。でも何でだろ、ちょっと悲しい。
しかし雪ノ下との会話が楽しくない訳では無い。ナニコレ、俺キモイ。いつの間にかMになったの。
《ここから次の日の朝にした回想》
いってて、二日酔いで頭痛いわ。
昨日は結局、そうこうしてる内に既にラストオーダーとなった時には、みんなしてデロンデロン。明日も仕事なのにな…そう思いつつお袋にメールで朝起こしてくれって送った。おかげで今日も遅刻しなくてすむ。ありがたや。
「どーだったあ?葉山〜」
「あ?あーありがとなー。八幡」
「葉山先輩があなたの事名前で呼んでますねー」
「だったら私はなんと呼べばいいのかしらねー。いっそのこと八幡って呼んであげましょうか」
なんて中身のない話をするくらいには酔っていた。最後は全員お冷を頼む。なんつーか、ここで明日も仕事なんだなと思ってしまった。そう思って酔ってても憂鬱になる俺はよっぽど仕事が嫌いなんだろう。
お冷を飲んで会計、もちろん葉山持ち。葉山は雪ノ下を送っていくらしいので俺はいろはと帰ってきた。
「葉山先輩相変わらずかっこよかったですね~」
「なんだよ、いろは。目移りしたか?」
「そんなことないですよー?私はあなたが一番に決まってるじゃないですか!」
「ありがとなー、いろは。今度の休みに服見に行くかあ!愛してるぞー」
やばい、酔ってる俺やばい。しかもいろは話の内容忘れてるから、悶えるの俺だけ…。
朝、頭痛に苦しみながらベッドで悶えて朝食を摂り出社する。あ、葉山だ。
「お、おはよう。比企谷」
「大丈夫か?ってそんな訳ないよな」
「まあね…でも楽しかったよ、ありがとう」
そう言って葉山は自分のデスクに向かう。これから俺とあいつはまた暫く喋ることは無いだろう。必要に迫られるか、何かしらのきっかけがなければ俺達は動かない、動けないのだ。だからこそ…
俺と葉山隼人の関係は間違っている。
はい、無理やり感すごいですね。
途中これ以上やってたら八幡ssになる、やばいと思ってやっつけで切りました。反省も後悔もしてない。けどごめんなさい。
さて、次は10月の川崎さんですね。どういう感じにしましょう、そんなことを考えつつお送りしました。
ではでは。
(納得出来ねぇなぁ)