パーティの描写雑でごめんなさい!一人ひとりのメッセージも地味でごめんなさい!(先に謝るスタイル。小学校の時に謝るなら早くって習ったから)
と、とりあえず改めまして、雪乃の誕生日を祝って!!
荷物を持って雪ノ下の後ろに付いていく。向かう先は雪ノ下の部屋。しかし今頃その部屋は、家主に悟られずに綺麗な飾りが付けられているのだろう。まあ、家主が雪ノ下かどうかは怪しいけど。
エレベーターで上にあがり、降りてまた歩く。ふと、雪ノ下が喋った。
「比企谷くん。楽しかったわ、本当はもっと一緒にいたいのだけれど、貴方にも受験勉強があるだろうから。荷物置いたら帰ってもらっていいわよ」
「そりゃとても素晴らしい提案だ。けどまあなんだ、自慢じゃないが俺は年末年始だろうと関係なく勉強してた。そこらの受験生が今日から勉強する分、俺は昨日のうちに終わらしてる。気にすんな」
実際小町と両親が初詣に伊勢神宮まで行ったが、俺はついて行かず近場で済ませようと思いつつ結局面倒になって家で勉強していた。神頼みする暇があるなら勉強した方がよくね?って思っただけだ。うん、面倒って言ってたな。
「相変わらず悲しい日常を過ごしているのね」
「まあな。だから今日くらいはみんな一緒だ」
「…みんな?ここには貴方と私しかいないのだけれど」
やばい。口が滑った。話を逸らそうと部屋に着いたことを雪ノ下に報告する。
「いいから。ほら、着いたぞ」
「?…そうね」
疑問に思った様子の雪ノ下だったが、外は寒く先に部屋に入ることにしたらしい。ふふふ、入ってしまえばこっちのもんだ。
「先に行ってていいぞ。お前と違って1人でも迷わんからな」
「…はあ、分かったわ。荷物は一緒にリビングまで持ってきて」
そう言って雪ノ下はリビングに入っていった。よし、少なくとも戸塚よりかは自然なはず。今思うと戸塚かなり慌ててたからなぁ。っと、そうこうしてるうちにどうやら雪ノ下はドアを開けたらしい。早くしねぇと。
「「「「「「「「お誕生日おめでとう!!」」」」」」」」
リビングの方から雪ノ下を祝う声が響いてきた。やばい、やばい。早く行かねぇと。少し急いでリビングへ向かうと雪ノ下は立ち尽くしていた。一度荷物を置き、肩をトントンとしてポケットからクラッカーを出す。雪ノ下はキョトンとしたまま俺の方へ振り返る。その瞬間にクラッカーを鳴らし、祝福する。
「まあ、なんだ。改めておめでとう」
「みんな私のために?」
「勿論です!雪乃さんのためなら、小町、お兄ちゃんの時よりはりきっちゃいますよ!」
と、小町がいう。ちょっと?今聞き捨てならない言葉が聞こえたんですけど?いやまあ正直でよろしいとは思うけどね!
「ほらほら!ゆきのんはこっちだよ!」
そう言って由比ヶ浜が雪ノ下を誕生席へ連れていく。つーかこんなに長いテーブルどこにあったんだよ。そう思いながら雪ノ下の購入品を再度持ち、リビングに入る。こうして総勢10人の誕生日パーティは幕を開けた。
「雪ノ下先輩、どうですか?料理、私と小町ちゃんと陽乃さんの3人で腕を振るっちゃいましたよ!」
「戸塚先輩お久しぶりっす!相変わらず肌白いっすね!」
「ね、ねぇ。ヒッキー?私陽乃さんにクッキー教えてもらったんだけど、食べてくれる?」
「な、なあ、陽乃。け、けけ、結婚した後の倦怠期っていつくらいから来るか知ってるか?」
「どうですか?雪乃さん。是非是非食べていただいてご感想を!」
テーブルの周りで会話が飛び交う。まあ、新年だしな。これくらい騒がしいほうがいいな、と思いながら俺もその会話に入り込む。
「お前2年の初め雪ノ下に教えてもらったのにもっかい習ったのか?」
「にしてもほんと戸塚さん肌白いですよね。ほんとに男なんですか?」
「いや、静ちゃん。そんなこと私聞かれても私まだ結婚どころか彼氏もいないんだから」
「ええ、2人ともありがとう。嬉しいわ」
「う、うるさい!ヒッキーのバカ!」
「い、いやぁ。あはは…特になにかしてるわけじゃないんだけどね。パパも中性的だから」
「い、いろはさん。小町もう死んでもいいかもです…雪乃さんがっ!とっても!可愛すぎるっ!!」
「そ、それはそうだが…しかし不安になるものは仕方ないだろう!」
なんだかんだでパーティは過ぎ、気がつけば時刻は既に7時近くとなっていた。
「さてさて〜。それではそろそろプレゼント渡しを始めようと思いまーす!」
「いえーい!!」
陽乃さんの掛け声に小町が元気よくのる。小町がっ!とっても!可愛すぎるっ!!このへんやっぱり兄妹だよね!(必死にアピール)。
「ほら、みんなプレゼント出してるよ!ヒッキーも出して!」
皆各々のプレゼントを出す中俺だけ出してないことに疑問を感じた由比ヶ浜が声をかけてくる。いや、でも俺もう渡したし。何この子、その事忘れてるの?
「大丈夫よ。由比ヶ浜さん」
「へ?なんで?」
「彼からは既にシャーペンを貰っているわ。それにお茶会も奢ってもらったのだし、それで十分よ」
一応全員何を買ってきたか聞いておいて正解だった。2回くらいプレゼント被りそうだったし…ほんと、聞いといてよかったわ。
「あ、そっか!ごめんね、ヒッキー」
「気にすんな。雪ノ下さん、進めてもらっていいですよ」
「はいはーい。ではまずは私からかな?」
そう言って陽乃さんは自分の足元においてあった包装された手のひらサイズのプレゼントを雪ノ下に渡した。
「あ、ありがとう、姉さん。開けてもいいかしら」
「もちろんいいよ♪」
その言葉を聞いて雪ノ下はそれを開ける。開け方めっちゃ綺麗だな、こいつ。プレゼントの中身は高そうなネックレスだった。流石陽乃さん、妹のためには金を惜しまないんですね。シスコンだ。
「ネックレスね。ありがとう、けど折角なら今日もつけていきたかったわ」
「そこに関しては大丈夫だよ。きっと比企谷くんなら誘えば何回でも来てくれるし」
「ちょっと待ってください。それはおかしいでしょう」
「でも八幡。僕が遊ぼ、って言うとすぐ来るよね?」
当たり前だろ!戸塚の為だからな!と言うのは女性陣の鋭い眼光によって止められました。ふえぇ、怖いよぉ。
いやだって戸塚だぞ?断れるわけないじゃん?待たせるわけないじゃん?結果早くなるじゃん?しょうがない、しょうがない。
「はあ、こんなごみいちゃんはほっといて、次は小町からのプレゼントです♡」
小町が出したのは陽乃さんのプレゼントと対して大きさが変わらないものだった。
「私からはマグカップですね!」
ふーん、そうか小町はマグカップを…おいこら待て、敢えて言わないがあれ俺のやつとペアになるやつじゃないか。あの子馬鹿なの?本物の馬鹿よ?小町は俺の方を見てにやっとした後、雪ノ下の方へ向き直る。
「是非是非これから寒くなると思うので、勉強の休憩になにか暖かいものをと思い買わせていただきました!」
すかさず小町はあざとい敬礼ポーズをする。しゃ、写真をっ!写真を撮らせてくれ!
「ありがとう。とても嬉しい、勿論使わせてもらうわ」
「はい!お次は平塚先生でしょうか?」
「ああ、私からはマフラーだ」
平塚先生は自分の手荷物から綺麗にたたまれた白いマフラーを取り出した。なるほど、黒と白のコントラストか。似合いそうだな。
「ま、自由に使ってくれ」
「はい。ありがとうございます」
「いやぁ、全く比企谷を奉仕部へ入れた時はどうなるかと内心ヒヤヒヤしていたが無事に卒業まで行けそうでよかったよ」
まるで子の巣立ちを見守るような表情の平塚先生を俺は直視出来なかった。つーか、内心ヒヤヒヤしてたのかよ。なんでバトルとかさせたの?普通そこは穏便に進むよう何かするでしょ。
「はい、次は俺たちからっす!」
「すみません。2人で選んだ結果こんなものになっちゃいましたけど」
平塚先生の次は大志とはやてらしい。2人はどうやら机における観葉植物を買ったらしい。
「えっと、受験期には植物を見ることもなかなかないかなーと思ってこれにしたっす」
「受験応援してます。頑張ってください」
「ええ。2人ともありがとう。後でこの部屋に置いておくわ」
雪ノ下はまさかこの2人からも貰えるとは思っていなかったのだろう。少し驚いたあとに受け取っていた。これで残るは由比ヶ浜と戸塚と一色か。
「じゃあ次は僕でいいかな?」
そう言うと戸塚は自分の荷物から少し大きめの包装された箱を取り出した。
「えっと…冬だから加湿器。お金なくてこんなものしか買えなかったけど」
「そんな事ないわ。とても嬉しい」
戸塚天使だなぁ。雪ノ下への配慮が神ってる。まじっべーわ。今度戸塚には俺から加湿器を買ってやろうかな(キリッ)。
それはさておき、次は一色か。トリはやはり由比ヶ浜だろう。
「次は私ですかね。私からは春物の帽子です」
「あ、ありがとう…でももう春物って早くないかしら?店にも出てない気が…」
「ええ。受験期は雪ノ下先輩もあまり外出しないかと思って春物にしました。あと、店にないなら出させればいいじゃないということでうちの近くにあったオーダーメイドのところで作ってもらいました」
なにそのパンがなければケーキを食べればいいじゃない的な考え方。やだ、素敵!!一色が頼もしく見える!
一色が雪ノ下のためにオーダーメイドの帽子を用意するなんて、一年前まではこいつらがこんなに仲良くなるなんて思ってもみなかったな…。未来の予想は遠くなるほど不明瞭で不確定なことが改めて感じられる。
「最後はあたしだよ!ゆきのん!!」
由比ヶ浜は自分のコートのポケットから小さな箱を取り出した。その中にあるのは…恐らく指輪だろう。なに?百合百合し過ぎない?女性同士の結婚はここではできませんよ?
「あたしとペアなの!…春休み、一緒に買い物行こうね!」
「…ええ。それまで大事にとっておくわ」
「さあさあ、みんな渡し終わったよね?それじゃ片付け始めよっか。八幡と雪乃ちゃんはやらなくていいからね〜」
雪ノ下はともかくなんで俺も?と思ったが、俺の心を読んだのかその問に小町が答えた。
「雪乃さんにはさせる訳ありませんし、お兄ちゃんも今日1日疲れたでしょ?雪乃さんとゆっくりしてていいよ」
「そうか?なら休ませてもらう。雪ノ下、ここじゃみんなの邪魔だからどこか空き部屋ないか?」
「あるにはあるけれど…寝室か物置ね」
んー、急に片付けをしたくなってきたなぁ!小町!!俺も片付け手伝っていいかな!?むしろやらせてくれ!!
「それじゃ、比企谷くん連れていくわね」
あ、雪ノ下に捕まった。関節技まで決められる始末、終わった、何もかも終わった。みんな俺の方を見てニヤニヤするな!!
雪ノ下に連行された先は案の定寝室だった。逆に2人で物置っていうのもね…。
「座ったら?」
「…椅子ないの?」
「一応机のところに一つあるけれど…こっちじゃダメかしら?」
そんな雪ノ下が指すところはベッドに座った自身の横。いや、椅子あるならそっち座りたいんだけど。
部屋には本棚とそれに詰められた数々の本、机とその上にノートパソコン、これで猫の動画でも見ているのだろうか。いやでも最近はテレビでネットに繋げて動画を見れるからな、大画面で見ているかもしれん。
閑話休題。
「…まあ、今日くらいはいいか」
一人呟いて彼女の横に座る。ベッドはふかふかしていて、雪ノ下から香る匂いはとても甘く、いい意味で生きた心地がしなかった。ここが天国だったか。
「どうだった?今日」
「ええ。とても楽しかったわ」
「そうか…大学で離れ離れになっても、こうなるのかね」
言ってかららしくないことを自覚し、言ったことを後悔する。こいつなら嬉嬉として弄ってくるのでは、しかし雪ノ下は俺に同調した。
「そうね…きっと一色さんや由比ヶ浜さんに招集されるわ」
「となると次は小町の誕生日か…ひな祭りの日、高校の卒業式間近だな」
「というより大学の試験にまで被るのではないかしら?祝う余裕があればいいのだけれど」
俺は私立だから問題ないと思うが、雪ノ下の進路は勿論知らないし、由比ヶ浜も同じくだ。今年は小町の誕生日にパーティ出来なさそうだ。残念に思う自分に気づき、これは小町への同情だとしようとし…辞めた。俺は、比企谷八幡はきっと…。
「な、なあ雪ノ下」
「なにかしら」
「なんだかんだで俺は、お前のことが好きらしい」
「っ!?…そ、そう」
「もしよければ俺と付き合ってくれ」
「…勿論。これからよろしくね、比企谷くん」
俺の『本物』は見つからないけど、けれど雪ノ下にはその欠片が見える気がする。きっと彼女と日々を過ごせば俺は『本物』を見つけられるんじゃないか…俺の胸には理想が詰まっていて、その理想はきっと将来の実像となるのだろうと、今の瞬間は千葉の誰よりもそう思っているに違いない。
相変わらず締め方というか、オチが汚いというか…ごめんなさい。
言い訳してもあれですね、ではでは。