雪乃かわいいですね。ついこの間ゲームでベストルート見たけど可愛すぎてね…うん。けどまあいろはすには負けますけどね!(なぜ張り合った)
前編であるこのお話はサブタイトル通り八幡と雪乃のデートです。本人達に自覚はあるのか…。
後編は…まあ作中で語られます。きっと皆さん察するでしょう。そんなに分かりにくい伏線とかないんで、途中のイケメンくんはなんとなく出したかっただけです。
では、雪ノ下雪乃の誕生日を祝って!!
八幡と雪乃の誕生日デート(雪乃生誕祭前編)
時は1月3日、我々高校3年生はセンター試験に向け日々勉強している…はずの頃なんだが。
「比企谷くん。早く行くわよ」
…何故俺は雪ノ下と外出しているのだろう。事の発端は去年の夏、具体的には俺の誕生日まで遡る。まあ、お察しの方はおられるかわかりませんがあれです。小町主催の暴露大会の賞品です。雪ノ下と小町が手に入れた『好きなものを貰える権利』なのだが、雪ノ下が折角だからその場で決めたいから一緒に買いに行こうとか言ってきたのだ。
「なあ…聞くまでもないと思うがお前勉強は大丈夫なのか」
「…本当に聞くまでもないことを聞くのね。勿論今日も帰ったら勉強するわよ?」
いやあ、それは無理だと思いますけど?とは言わず曖昧に返事して歩き出す。
俺達が出かけている間にどうやら雪ノ下の家でパーティの準備をしているらしい。一応陽乃さんには許可を取ってあるらしい。参加する人は小町、由比ヶ浜、一色、はやて、平塚先生、陽乃さん、大志、戸塚らしい。川崎は、ほんと切羽詰まってて行きたいんだけど…ごめん!って言っていたらしい。ここまで語尾に『らしい』がついている理由は俺が計画に全く携わっていないからだ。なんてこった、別にいいけど。
「流石雪ノ下。さ、どこいく?帰る?」
「そうね、比企谷くんの家で貴方の手料理でも頂こうかしら」
「ごめんなさい。俺が悪かったです」
どうしたんですか、貴女。今日はとても余裕がありますね。
「一応私の行きたいところを回る予定なのだけれど」
「プレゼント買って終わりじゃないのか」
「勿論よ。もう気持ちは伝えてしまったのだから、後は私しか見られないようにするだけよ」
怖いなぁ、けど何この子。俺のこと好きすぎでしょ、ちょっとドキッとしちゃったよ?俺。
「…とりあえずお前が立てた予定聞いていいか?」
「行く前に聞いては面白くないじゃない。着いてからのお楽しみよ」
そう言って雪ノ下は俺の数歩前に出て歩き出した。
「なあ、雪ノ下」
「何かしら」
「なんですか、この右手は」
俺達はお年玉を使いたがった子供を連れた親子や、お年玉を見せ合う高校生がごった返しているららぽにいた。しょうがないね、原作で一番印象強かったのここだし。って、俺は何を…。
とまあまるで人がゴミのようなららぽに着いた瞬間俺の左にいた雪ノ下は俺の左手を掴んできた。
「いい?比企谷くん」
「はいはい、何ですか」
「私はあまり認めたくはないのだけれど方向音痴よ。加えてこの人混み、間違いなく私達がはぐれてしまえば今日1日は会うことが出来ないわ」
いやはや全く正論すぎて反論のはの字も出ませんわ。だが、確かにこれだけ人が多いと方向音痴でなくとも迷いそうだ。なるほど、仕方ないと言えば仕方ない。
「わーったよ。今日だけな」
「ええ。ありがとう」
そう言ってこっちを見ながら笑う雪ノ下。
惚れてまうやろぉぉぉぉぉぉぉ、と思う俺をよそに雪ノ下は俺を引っ張り歩く。
「まず…そうね。雑貨屋にでも行ってみようかしら」
今日は、まあ雪ノ下の誕生日だからな。今日くらいはこの美しいお姫様の言うことに従ってやろう、出来るだけ。
「ところで比企谷くん。雑貨屋ってどのあたりに多かったかしら?左?」
…正解はこのまままっすぐです。貴女本当に方向音痴なんですね。というかそれじゃあどこ行くか教えてくれないとどっち行けば説明出来ないんですけど!?
「ああ、疲れた。正月休み最後の日のくせに人多すぎだろ」
「それは仕方ないわよ。明日から仕事の人が多いからこそ、家族サービスとかいうやつよ」
世の中のパパさん頑張ってんな。明日からまた疲れるのに今日も疲れを蓄積していくのか。休みとは一体。
俺達は1度休憩しようとそのへんに空いていたベンチに腰掛けている。雪ノ下が案外近くてドキドキしながらも頑張って平静を装ってます。褒めて!超褒めて!!
「あとどんだけ回る気なんだ?」
「そうね…あと2,3店くらいよ」
「…じゃあまああと3時間程度か。その後はどうするんだ?」
「どうしようかしら。折角の誕生日なのだから貴方と居たいのだけれど」
その言葉は嬉しいんですがそれしちゃうと由比ヶ浜とか小町の頑張りが無駄になるんでやめて頂けますかね。
ここまで予定を気にしてる理由は勿論、パーティの準備の方にある。小町から事前に4時くらいまでは最低稼いでと言われているのだが、ギリギリ足りなそうだ。
「ららぽの用事終わったら喫茶店に寄らないか。今日くらい奢る」
「比企谷くんにしては珍しいわね。明日は天変地異かしら」
「それ少し珍しすぎませんか」
軽口叩きあってどちらからか微笑み、結果微笑み合うようになった。一息おいて立ち上がる。それを見た雪ノ下も立って何も言わず俺の手を握ってきた。俺は何も言わず、地図を見て必死にルートを確認している雪ノ下を見守る。
「こっちかしら。行くわよ」
…あの、そっちは幼児向けとメンズコーナーなんですけど。なに、もう結婚した後のこととか考えてるの?俺はまだ貴女を選ぶって決めてるわけじゃないんですよ?
案の定違ったらしく、1度注意すると次は正しいと思われる方へ進んでいった。この子どんだけ方向音痴なんですか、最早方向音痴じゃ片付かないレベル。
雪ノ下が回りたかったところをすべて回り、無事俺も誕プレを買えた。冬ということで日が沈むのが早い。今も夕焼けとは言わないが、日はかなり低い位置を陣取っていた。時計を確認しても、時刻は3時半程度だ。正直このまま戻っても大丈夫な気がしないでもない。が、奢ると言った手前奢らないというのもなんだかアレなので何処に行きたいか聞くことにする。
「次はどうする?」
「貴方がお金を出してくれるのよね。私の家の近くにいい喫茶店があるわ。そこに行きましょう」
歩き出した雪ノ下がいきなり立ち止まる。不思議に思い前を見るとそこには葉山がいた。えーっと
はやま が あらわれた !
→話しかける
→無視する
→ボコボコにされる
いや、間違いなく真ん中を選ぶよな。ていうか最後なんだよ。俺がボコボコにされちゃうのかよ。
「やあ、比企谷。それに雪ノ下さんも」
結局俺達は立ち止まっていたため葉山に話しかけられる。くそっ、離脱できなかった。
「ええ。こんなところで会うなんて運がないわね」
「はは、それはお互い様じゃないかな」
なんで貴方達は牽制しあってるんでしょうか。大人しくサヨナラしようよ!!正直葉山に何かしらの伏線あっても絶対めんどくさいことにしかならないから!!
「じゃあな、葉山」
「あ、ああ。それじゃ。雪ノ下さん、おめでとう」
「ありがとう」
案外すんなりどこかに行ってくれた葉山。なぜあいつがひとりなのか気になって目で追ってみる。その先に柱に寄り掛かって誰かを待つような素振りを見せる三浦がいた。そこに着いた葉山と2人でららぽに入っていった。…なるほど。まあ、どうでもいいけどいう機会があれば祝福くらいしとくか。
「それじゃ行くか」
「ええ。葉山くん、よかったわね」
この子も大概ツンデレですよね。
雪ノ下の家の近くの喫茶店はとても落ち着いた雰囲気のある、スタバとは正反対のような佇まいをしていた。しかし、メニューはとても豊富でチョコケーキとかもあった。
「なかなかいいな」
「でしょう?日曜の午前は大体ここにいるわ」
貴女どんだけ暇人なんですか、とは言えず苦笑するしかなかった。俺は紅茶と玉子サンド、雪ノ下は紅茶とモンブランを頼んでいた。最近の喫茶店はなんでもあるのか…(戦慄)。
2人とも文庫本を読みながら注文したものが来るのを待った。数十分後に注文していた紅茶二杯と玉子サンド、モンブランせ全部来た。こういうのって一気に来てくれた方が嬉しいのは俺だけ?紅茶だけで時間潰すとか嫌な人だから。
「紅茶もうまいし、玉子サンドもしっかりした味付けだ」
「ね、ねえ比企谷くん」
「どした?」
「わ、私玉子サンドを食べたことがないの。少しくれないかしら」
めんどくせぇ。と思いながらもどうせ全部俺が払うからあんまり変わんないなと思いながら要求されたそれを雪ノ下の前へ置く。雪ノ下は一瞬不満そうな顔をした後、何か閃いたような顔をして玉子サンドを食べた。
「か、間接キスしてしまったわ…うん、美味しいわね」
だああああぁぁぁぉぁ!!!お前、俺が頑張って気にしないようにしていた事実を何事も無かったかのように言いやがって!!しかもわざわざ顔を赤くしながら!俺は見たぞ、お前がわざわざ間接キスになるように玉子サンドを持ち替えたのを。ったく、なんつーことしてくれんだ。
「さて、食べ終わったら解散ね」
「何言ってんだ。お前この荷物持って上にいくつもりか?俺も行くぞ」
小町たちから自然に上に上がる理由を作っとけと言われたから、荷物持ちってことで上に行こうとする。実際俺の両わきに荷物があるし、体力ないこいつにはなかなかきつそうな重量だったりする。
「そ、そう…ありがとう」
「気にすんな。今日はお前の誕生日だしな…と、悪い。行く前にトイレ行ってくる」
「ええ。もうすぐ食べ終わるわ」
小町たちに連絡を入れるため、トイレに行く。トイレに入って小町に電話する。3コールくらいしたら小町が出た。
『お兄ちゃんどんな感じ?』
「あと十分くらいだと思うが大丈夫か?」
『ん〜、大丈夫だと思うよ!』
「そか、了解。一応俺より先に雪ノ下を入れればいいんだろ?」
『うん!!小町たちはリビングで待ってるから』
「了解。じゃあな」
電話を切ってポケットにファンタジー…じゃなくてクラッカーが入ってることを確認する。去年戸塚に後ろからクラッカーを鳴らされたのを思い出し、俺もやろうと自ら言った。
俺は…変わったのだろうか。俺は変われているのだろうか。恐らく俺の周りの人に聞いてみると、間違いなく変わったとか言われるんだろう。いや、その前に俺の周りに家族以外の人がいること自体が変化なのではないか。しかし、この変化はいい方向のものなのだろうか。社会的に見ればそれは絶対的にイエスなのだろうが、動物とは群れをなしたとしても自分の身は自分で守るものだ。故に本質的に群れることは自衛を忘れ、生存を困難にするのではないか。これをヒトに置き換えるとすれば、それはきっと孤独感や孤立感の増大を指す。
案外ヒトというものは集団の中でこそ孤立感を感じることもあったりする。俺は群れてはいけなかったのではないか…最近はそんなことしか考えていない。
少し長いトイレタイムを終え席に戻る。雪ノ下は既にモンブランを食べ終えていて、文庫本を読んでいた。
「悪い、長くなった」
「大丈夫よ。それじゃあ行きましょう」
各自荷物を持って会計をする。
トイレでの思考、思索は1度放り出すこととする。きっとあの答えは大人にならなければ、いや大人になっても答えが出ないものだと思うから。
文才がなくてすみません。後編は雪乃の家でのパーティの様子をお送りします。