仮面ライダー 虚栄のプラナリア   作:ホシボシ

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はじめにちょっとした注意があります。
内容は以下の通りです。


・非常に激しい暴力描写があります。

・性に関する単語や描写があります。実際の人物とは関係ありません。


上記の通り過激な表現が含まれていますので、警告タグの通り15歳未満の方は読まないでください。
人によってかなり不快になる表現もあるとは思いますが、どうかご了承ください。



虚栄のプラナリア
プロローグ


22歳、無職、童貞。友達ゼロ、恋人がいない暦=年齢。引きこもり。

別にそれでも良かったはずだ。父親が癌で死に、大学を中退しても問題はない。

人はそんなもので立ち止まりはしないのだ。母親が頼むから働いてくれと泣き叫んでも俺は漫画やゲーム、アニメがあれば全然オッケーなのだ。

 

その日、俺はネット通販の代金を支払うためにコンビニに向かった。

父親が死んだ際に手に入った金を使ってフィギュアを買う、多少なりとも罪悪感はあったが、まあなんだ、それが親の責任だろう。俺に迷いは無かった。

いつもの様に無愛想な店員と目を合わせること無く、淡々と支払いをすませる。

 

 

「やばっ!」

 

 

西日が世界をオレンジ色に染めている。

帰宅途中にいつも使っている道には一つ信号があるのだが、それが点滅していた。

変わる信号。赤。だが俺の足は止まらなかった。ここの信号は長いから待たされるのは煩わしい。

赤になって五秒ほど経ったか? 大丈夫、いける。俺は足を止めず、むしろ尚加速していく。

 

 

「あ」

 

 

クラクションの音が聞こえた。

凄まじい音と共に、俺の意識はブラックアウトした。

 

 

「あれ? ここは?」

 

 

目が覚めると、そこは真っ暗な空間だった。

"空間"と認識しているのは、周りは黒に染まっているのに、俺は俺の体をしっかりと確認できる。

つまり灯りが無い訳ではなく、俺を照らすものはあるだろうに、周りが漆黒に染まっていると言うことだ。

まさに黒い部屋に閉じ込められたといえばいいのか。

 

 

「ハロー!」

 

「わッ!」

 

 

びっくりした。俺の後ろで声が聞こえて来た。

振り返ると、そこにはスポットライトを浴びたおっさんが一人、椅子に座って手まねきをしている。

 

 

「ホモ!?」

 

「なんでだよ! 違うから!」

 

「いや、だって変な目で俺を見て、手招きまでしてたし……!」

 

「違う違う。私はッ、神だ!」

 

「かみ……、下味(かみ)、下半身を美味しく頂く……! やっぱりホモじゃないか! 帰らせてもらいます!」

 

 

ヤバイ奴と関わってはいけない。俺はすぐに踵を返し全速力でダッシュだ。

だがふと気づく。いくら足を動かそうとも俺の体は前には進まなかった。

なんだよコレ? 戸惑っていると、自称神のおっさんが笑い声を上げる。

 

 

「帰る? 無駄だよ、キミはもう死んだんだ」

 

「え?」

 

「覚えてないのか? コンビニの帰り、君はトラックに轢かれて死んだんだ」

 

「――ッ」

 

 

そう言えば俺は赤信号を無視して――。

そういえばクラクションの音も聞いた気がする。まさか、本当に?

 

 

「ショックなのは分かるが――」

 

「いや、そうでもない」

 

「へ?」

 

「ホモのおっさんには分からないと思うけどよ「いや、だからホモじゃな――」俺はなんにも無かったんだ」

 

「?」

 

「夢も、希望も、愛も。何にもないと、人間は貧しくなる。だからもういいんだ。どこかで俺は、死にたいって思ってたし」

 

「意外とドライだねぇ」

 

「イクならドライだねぇ!? やっぱりホモ――ッ!!」

 

「楽しい?」

 

「ごめんなさい。ふざけすぎました」

 

「……まあいいや。おじさんね、本当に神様だから、ココで一つ提案。生き返らせてあげよっか?」

 

「え?」

 

 

確かに俺にはトラックに轢かれた記憶がある。

おそらく信号が変わった際に既にスピードに乗っていたのか、勢いや衝撃は確かなもの。

普通、ただじゃ済まないだろう。それにこの空間――、確かに死後の世界といわれれば納得できてしまう。

じゃあ俺の前にいるおっさんは? 神様? まさかそんな。俺のイメージじゃもっとこう白い髭とか、白い髪とか、杖とか。

 

 

「髭なら生えてるじゃないの」

 

「こ、心を読むな!」

 

 

確かに髭は生えてるけども。黒いし……。

 

 

「魔法が使えるからね、おじさんは」

 

「なるほど、アンタも童貞だったのか」

 

「……否定しないけど。否定できないけども。まあいいや、続けるよ」

 

 

おっさんは俺に説明してくれた。

死んだ俺を、元の世界に帰してくれるらしい。しかも『別人』と言うことで。

 

 

「それに、力もあげちゃうけど」

 

「力?」

 

「そう。特典ってやつだよ。知らない? 神様がさ、死んだ人間に力を与えて蘇らせる」

 

「ネット小説とかでよくある?」

 

「そんな感じね。内容は、これ」

 

 

・全ての『主役』仮面ライダーに変身できる。

 

 

「仮面、ライダー?」

 

「知ってるだろ? 常識だよ」

 

「まあ、うん」

 

 

熱狂的なファンじゃないが、一時期動画サイトで配信していたのを見ていた。

暇だったし。それに俺だって、昔は憧れてた。玩具も買ってもらったし。ビデオだって、探せば出て来るかもしれない。

だがあくまでもそれは昔の話だ。普通の人間は成長すれば見なくなる。

最近は特オタの出現でまあ目は通している。面白い物もあるとは思うが、まあ他のアニメやゲームの方が好きかな、俺は。

 

 

「うーん、でももっと他に無いの? 可愛い女の子にモテるとか。そうだ、美少女アニメの世界とかに行かせて――」

 

「ダメダメ! 蘇るとしても元の世界だから!」

 

「じゃあ、えっとぉ」

 

 

『生』に興味がないと言えばそうだが、死ぬ意味はあるのだろうか。

分からない。でも、仮面ライダーに変身できると言うのは少し興味があった。

どんな感じなんだろう? もしも本当なら、面白い事ができるんじゃないだろうか。何か――、こう。いや、まだ特に思い浮かばないけれど。

 

 

「じゃあ、頼むおっさん。いや、神様! 俺を蘇生させてくれ!」

 

「うーん、いい感じだねぇ。オッケー、オッケー、神に任せろよ」

 

「あぁ、ちょっと待って。一つだけ聞いていいか?」

 

「ん?」

 

「なんで俺なんだ?」

 

「それは簡単。今日死んだのが、キミ一人だけだったからだよ」

 

 

俺の意識は、再びブラックアウトした。

 

 

目が覚めると、朝だった。

でも自分の家じゃない。見知らぬ部屋だった。ベッド、テレビ、冷蔵庫、そして鏡。

そこにいたのは確かに俺だった。顔は変わっていない。けれどきっとコレは俺じゃないんだろう。

なぜなら、財布に入っていたんだ。免許書、そこにあったのは俺の写真、でも名前は俺のじゃなかった。

 

いや、そもそも俺は一体、なんて名前だったんだろう?

分からない。今、俺の記憶にあるのは、この記載されている名前だけだ。

 

 

本間(ほんま)岳葉(たけは)……」

 

 

俺はカーテンを開けて窓の外を見る。

知っている景色だが、知らない景色でもあった。

建物が見え、コンビニが見え、人が見える。間違いなく俺が住んでいた世界の光景だ。

けれどもココがどこかは分からなくて。いや、なにより――。

 

 

「俺は本当に、生き返ったのか……」

 

 

半ば信じられない。

いやそもそも死んだ事そのものも。でも、間違いなく今は本当で。

だとしたら俺は、本当に仮面ライダーになれるのか。

 

 

「………」

 

 

仮面ライダーとは正義の味方だ。

だが、もしも俺がその力を手に入れたなら――、悪いが正義を貫くつもりはない。

遠慮なく自分の為、好きに使わせてもらおうじゃないか。

 

言葉にはできない高揚感が俺の中に駆ける。

意識を集中させるとどうだ! データが頭の中に入ってきたではないか。

なるほど、変身の仕方、フォームチェンジの概念。

なるほどなるほど、これが、この力があれば、俺は神にもなれる気がする。

法も、人も、何も、俺を縛る事はできない。俺は究極の自由を手に入れたんだ!

 

 

「あ」

 

 

一つ、欲望がわきあがってきた。

なんでもできる。『なんでも』だ。醜悪な願いかもしれないが、俺は一つの願いを夢想する。

人間には三大欲求と言うものがある、とは有名な話だ。

 

食欲。

 

睡眠欲。

 

そして性欲だ。

 

そうだ、童貞で死ぬなんて間抜けな話があるか。

そんな惨めなまま死ぬのはゴメンだな。

一度は死んでるんだ。どうせなら次の人生はメチャクチャに、自分勝手に生きてやる。

 

そうだ、それでいいんだよ俺!

今までなるべく人を傷つけないように生きてきたけど、それでどうだった? 何かなったか?

幸せが等しく返って来たか!? 答えはノーだ。この世界には屑が溢れてる。

 

でも所詮この世は、『憎まれっ子世にはばかる』なんだ。

どうしようもないヤツが世渡りが上手いといわれ、正直者や真面目なヤツがバカを見るんだよ。

決めた、俺は自分勝手に生きる。そうだ! どうせなら――ッ!

 

 

(いいね、決めた。幼女を犯そう!)

 

 

欲望に素直なのは良い事のはずだ。

最近見たアニメで小学生のキャラクターが可愛かったから、正直ちょっと興味があったんだ。

まあ三次元は違うかもしれないけど、それも経験だな。

ライダーの力があれば、なんとかなるだろ。

 

 

「よっしゃあ! 待ってろよロリっ子ぉお!」

 

 

俺は部屋を飛び出して、自分の欲望を解き放つ。

しかし待てよ、まずはテストだな。

ニヤリと笑い、俺はある場所を目指した。

 

 

 

 






不定期更新なので遅くなるかもしれませんが、内容的には中編なので、だいたい7話前後で終わる予定。
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