旧作と比べたら文字数が少なかった、まあ戦闘を大分変えているししょうがないのかな
風間隊が始めて護からの追跡を逃れた
これは偶然だとしても大きなチャンスだが風間は思案していた、「なぜ護から追跡を逃れたのか?」
それと同時にこのチャンスをどう生かすか巡らせていた
(菊地原が歌川を逃がそうと電柱を投げた、これに大きな理由があるのか?)
電柱を投げても菊地原はカメレオンを起動させたままだった、カメレオンの特性上他のトリガーと同時使用はできない、使おうと思ったら解除しなくてなくてはいけない
つまり菊地原は素手で電柱を壊して護に投げ飛ばしのだ
そのあと舞い上がった土煙の中を進もうとした菊地原を止めて歌川と一緒に少し離れた一軒家に隠れている。バッグワームを起動しているからレーダーには映らない、歌川を除いては
「これからどうします?歌川はまだトリガーが使えないんでしょ?」
「ああ、全く使えない。すみません風間さん」
「反省は後だ、ここは遠征先の
「はい」
「今はこの状況はどう打開するかだ、何が切欠なのかは正確には分からないが護のサイドエフェクトから逃れることが出来た。その逃れる条件が分かれば後はこちらのものだ」
「条件と言ってもただ電柱を投げただけですよ?そんな間抜けな条件じゃないですよね?」
電柱じゃなく瓦礫でも投げるだけで逃れるのなら護のサイドエフェクトは大した脅威でもなくなる。なのに護のサイドエフェクトはSランクの超感覚のままだ
このまま護のサイドエフェクトから逃れる条件が分からなければいつもののように得意の接近戦を仕掛けるしかない
そのとき三上が通信を繋いできた
『あのあんまり関係ないかもしれないんですがいいでしょうか?』
「なんだ三上?」
『弟が狩り?のゲームをしていて』
「こんなときにゲームの話しは関係ないでしょ?早くしないと護がレーダーで歌川を見つけるかもしれないでしょ?」
菊地原の言うことも最もだが三上が何の関係も無くゲームの話しを出してくるはずが無い、風間はそのまま話しを続けるように言う
『それで強いモンスターとかでよくピンチになるんですけど、その時閃光手榴弾みたいなのを使ってよく逃げているって言ってたのを思い出したんですけど、あまり役に立ちません………よね』
「立たないよ、閃光手榴弾なんてトリガーは無いんだから」
「………………いや、ヒントは得た」
「どういうことです風間さん?」
歌川は何処にヒントがあったのか頭の中で思い返したが全く思いつかない
「閃光手榴弾は一時的に視界と聴覚を奪う殺傷能力が皆無の兵器だ。不意打ちだとしても条件反射で目を閉じてしまう、そこに意識的にではなく無意識に起こることだ」
「つまり、菊地原が投げた電柱がその閃光手榴弾の代わりとなって護に条件反射で目を閉じさせた、ってことですか?」
確証はない、だが可能性はおおいにあった。その証拠にこれまで護のサイドエフェクトを見破ってきた隊には
本部長などの一部は除いてだが
「やばい!護が真っ直ぐこっちに向かってきてる!!」
突然菊地原が慌てて言ってきた。強化聴覚のサイドエフェクトの持っている菊地原は遠くの音が聞こえる為護の動きも分かっていた
速さを聞くと結構な速さで向かっているという、片足を失っているが最後に見たときにはスコーピオンを足の代わりにしていた
形や大きさを自由に出来る特性を利用した使い方だと感心もした。風間と菊地原はカメレオンを起動して姿を消した
『歌川は囮になれ、トリオン体自体の能力は失っていないから逃げに徹しれば大丈夫なはずだ』
『了解』
突然の囮命令に何の疑いも無く頷いた歌川。姿を消した2人は屋根の上に移動した
―――――――――
レーダーを見れば2つの反応が少し動いたがすぐに戻った
(風間さんと菊地原が動いたのか?歌川はまだ時間があるからカメレオンは使えないし……普通に考えて待ち伏せッスよね)
普段は姿を消して攻めに行くのが風間隊だが歌川を1人で置いておくわけにもいかないということなのか、もしくは歌川自身を切り捨てるつもりで囮役をさせるのかもしれない
(けど風間さんの思い通りにはならないッスよ!)
損失した足は既にトリオンの漏出が止まり片足で跳びながら風間隊が隠れているであろう民家の近くに着いた。メインをスコーピオンを起動して足代わりにすると春風を両手で持って振る
「食らえっ!!」
振った瞬間サブトリガーにセットしてある「屈折旋空」を放つ、そして返す要領で2回起動する。レーダーからは1階、2階、屋根の何処にいるのか分からない。だから1回目の屈折旋空を屋根にいると仮定して1つ目のトリオン反応に放つ、けど反応があった場所を過ぎても何も変わらないが次が屈折旋空の本領発揮
グラスホッパーと似た板が出現して2つ目の反応へ向けて反射したのだ。すると今度は菊地原を貫いた、運のいいことにトリオン供給器官を貫いていたのだ
「ちょ………旋空が曲がるって卑怯でしょ!?」
そんな事より2度目に放った屈折戦空だが見事歌川を貫いたのか
(レーダーに反応しないんじゃ探すのが面倒だよ………)
頭の中でそんなことをボヤくが動かないことには意味がないと、反応が消えたところまで行く。でもそこには誰もいなかった、草を踏んだ後はあったけど
オレはさっき歌川が隠れていた民家の屋根に上って周辺を見渡すが風間さんを見つけられなかった。道に下りて適当に歩くしかないと思った
「あ~面倒ッス!!風間さん何処ッスかーー!」
そんな感じに暢気に探そうと思ったときだった
「随分と緊張感がないな?」
「っっ!!?……っぶな!」
いきなり後ろから声がしてのだ、すぐにその場から
咄嗟にシールドを起動してギリギリで防御に間に合ったが
「それだけか?まだ甘いぞ」
「え?………っ!?マジっすか?」
後ろから軽く押されたオレは胸からスコーピオンが飛び出していた、オレのスコーピオンは足代わりに使っているからこれは風間さんのだということだ、そして後ろを見れば地面からスコーピオンが湾曲しオレを刺していたのだ
これは風間さんが不意を突くのにたまに使う
流石に足裏からスコーピオンを出すなんて気付けるものは殆どいないと思う、油断していたオレも二刀流が戦闘スタイルの風間さんがスコーピオンを1本しか持っていないのに早くに気付くべきだった
「油断してしまったッス」
「全くだな、菊地原と歌川を落としたぐらいで勝てた気になるのは」
部屋を出たオレは風間隊と一緒にボーダーの地下通路を通って車を停めている駐車場まで向かっている
当然顔を合わせれば菊地原は曲がる旋空について文句とか卑怯だとか言ってくるがそんなのは知らないと無視することにした、一々答えていたら面倒だからだ
「あの曲がる旋空は玉狛の?」
「そうッスよ、オレのサイドエフェクトを利用した旋空ッスよ」
歌川が確かめるように聞いてきた問いかけに答えた。オレのサイドエフェクトの追跡は建物越しでも見えるため、障害物を避けるように放てる旋空の改造版を開発したのだ
だがこれは
「なるほどな、お前のサイドエフェクト用に改造か。自分のものにすればかなり強敵になりそうだな」
屈折旋空の説明を聞いた風間さんがそう言ってきた。どうやらオレがまだ春風など専用に変えたことに日が浅いことを見抜いたらしい。そしたら双月を使っている桐絵ちゃんや弧月(槍)の米屋と比べたらまだまだだと言われた
その時車のクラクションがなりそちらを向けば叔父さんの車があった、どうやらいつの間に駐車場まで来ていたらしい
「それじゃ護くんまたね」
「はいッス、三上も訓練頑張るッスよ」
「ありがとう」
三上と短く挨拶をすれば風間さんの車に乗った、オレも叔父さんの車に乗ったが1人で帰ればよかったと後悔した
「護はああいう子が好きなのか?」
「っぶ!?いきなりなんスか!?」
「いや、風間隊のオペレーターと仲が良さそうだったからな、気があるのかと思ってな」
「違うッスよ!!三上とは今日初めて会ったんス!気があるとかそういうんじゃないッスよ」
「ほう?そのワリには顔が赤いぞ?」
「っ~~叔父さんがそういう話しをするからッス!!!」
オレが女子を話しをしているのを見るだけでこうして気があるのかとからかってくる、女子が嫌いとかそういうんじゃないけど
(オレが………人を殺したオレが幸せになっていいはずがないんだ………………)
それは母さんを殺された復讐のために侵略してくる
日が上って翌日の朝からオレは玉狛支部に来ていた、いつもなら今日は防衛任務とかなんだが予定を変えて木崎隊4人全員非番の日にしてもらっている。宇佐美は友達と買い物だとかで玉狛には来ていない
「よし、みんな準備は出来たか?」
木崎が聞くと護、烏丸、陽太郎はおおーと声を上げて答えた
今日は小南が通っている学校の文化祭の日だ、4人は木崎が運転する車に乗り込み学校に向かった。因みに烏丸は
お嬢様学校に通っているその学校の歴史は20年と少し古く建物は綺麗に保たれていて文化祭の今日はアーチやら簡易テントでの出店やら展示、ステージイベントとか催されるため色鮮やかに彩られている
「おおーここがこなみのがっこうか」
「小南のじゃなくて小南が行っている学校だ」
陽太郎が少し的外れな言葉に木崎は訂正を入れた
「それにしても今年も派手ですね」
「そうッスね、バルーンまであるなんて凄いッス」
烏丸とオレがそう言うのも無理はない、屋上からは風船が飛んでいてその下には「ライブイベントは午後13時から!!」とか「清藍祭20周年記念!!」とか垂れ幕で宣伝していた
3人は20周年記念の文字を見て去年より派手に彩られた学校に納得がいった
「恐らく予算がいつもより多く出されているんだろう、遅い時期に開く事になったのは準備など考慮しての事だろうな」
いつまでも眺めているだけでは人の邪魔になるからまずは小南のクラスに向かう事にした
「小南先輩のクラスは知っているんですか?」
「もちろんッスよ、桐絵ちゃんのクラスは2-4組だよ」
「流石スね護」
褒められたはずなのにオレは何故かバカにされたように聞こえたのは気のせいかなとそんな考えが思い浮かんだ
玄関で来客用のスリッパに履き替え校内の見取り図と時間ごとのステージイベントの一覧が書かれたパンフレットを受け取りまずは小南のやっている2-4組の「メイド喫茶」へ足を運んだ
「ねぇねぇあの人カッコよくない?」
「あの大きな人もいいかも」
「あの小さい子弟かな?可愛いね」
「私あの髪が黒い人見たことある!ファミレスでバイトしている人だよ!」
「メガネの男子もいいなぁ、わたし付き合ってみたいよ」
「声かけてみなよ」
「やだよ、恥ずかしいじゃん」
向かっている最中そんな話し声が聞こえオレは少し落ち着かなかった
木崎と烏丸は慣れているのかいつものポーカーフェイスは崩れない、確実に聞こえているはずなのに
「おれにもとうとう『もてき』がきたな」
「いや、陽太郎は子供だから可愛いと思われているだけなんスよ?モテ期じゃないッスからね」
進む道にいる女子がそう言うのも無理はないだろう、3人は普段の格好と違い外出用に少し整えてきたのだ
木崎は上は長袖のTシャツにブルゾンを重ね着してデニムのズボンを履いている、烏丸は何を着ても普段からモテているのに今日に限ってはニットシャツにダッフルコート…ジーパンといつもより少し高めの服装だ
オレはパーカーの上にニットジャケットを重ね着して襟からフードを出している、ズボンはカーゴパンツを履いていて度が入っていない伊達メガネをかけている。陽太郎はいつも通りの格好だ、木崎に作ってもらったお気に入りの帽子もちゃんと被っている
とりあえず女子達の声には耳を傾けず木崎たちと一緒に行くと目的地の2-4組に着いた
白とピンクを中心に赤、青、黄、黒などで飾り付けされた教室はTVとかで見たことがあるメイド喫茶のようだった
ドアを開けるとドアベルを付けていたのかリィンリィンと鐘が鳴り奥からメイドの服を着た女子がやってきた
「お帰りなさいませご主…………な………なんで来てるのよ!?」
いつも下ろしているだけの髪が今は後ろで一纏めにされポニーテールにして頭にはフリルが付いたカチューシャを付けている小南が現れた
もう慣れているのか定形文を言っている最中に見た"ご主人様"に驚きが隠せなかった
「…………なんか……桐絵ちゃんいつもより可愛くなっているッスね……」
オレはほぼ無意識にそんな事言っていた、それを聞いた小南は一瞬にして顔を真っ赤にした
「大丈夫か小南?熱でもあるのか?」
「別に無いわよ!!」
心配そうに聞く木崎にメイドとは思えない言葉に近くにいる人が見てくる
(それにしても見事に………ウン)
改めて教室の中を見ると巷で噂されるオタクという男共が多くいる、客の8割くらい
「と……とりえず席に案内するわ」
「小南先輩……オレ達が今"ご主人様"だってこと完全に忘れてますよね?」
煽っている、完全に小南を煽って無理矢理にでもメイドをやらせてたいようだ
烏丸は以外にムッツリなのかと思っていたが視線を下げて手を見ると携帯を握り締めていた
タイミングを見て撮るつもりなんだろう
(うわあぁぁ………暫くは玉狛に平和が来ないッス…………)
そんな事を思いつつも席に案内されてオレとその隣に陽太郎、向かいに木崎と烏丸が座った
「………ご注文がお決まりになりましたらいつでもお呼び下さい"ご主人様"ッ……」
怒気を含めたセリフにちょっと残念と思いテーブルに置かれているメニュー表に目を通す
―――――――
「ねぇねぇ桐絵、あの人たち知り合い?カッコいいじゃん!!」
「私あの髪が黒い人と付き合いたい」
「はぁはぁ……隣同士で座って………はぁはぁねぇあの2人はもしかして付き合っているの?それともメガネの男子と誰かがあの男前の人たちと?あ~もう私お腹いっぱい!」
小南が準備室に戻ればクラスメイトに話しかけられた、一部は全く関係ないことを聞かれたけど
「同じボーダーの仲間よ、っく今日が非番だって事忘れてたわ!」
木崎から小南の文化祭を考慮して忍田に今日が休みになるように休暇申請をしていたのだ、ついでに言えば護たちが来る事も聞かされていた。それを忘れていたのは接客のセリフを覚えようとしてたからだ
「あっ桐絵、注文みたいよ」
――――――
「ご注文はお決まりですか"ご主人様"」
「こなみ、おれは”きゅんきゅんおむらいす”がたべたいぞ」
「そうだな、メイド喫茶で何を食べたらいいのか分からないからオレはとりあえずサンドイッチで頼む」
「それじゃオレは愛情クルクルスパゲティで」
「………メイドちゃんの………スキスキパウンドケーキ……を///」
オレのメニューを聞いた小南は思いっきり動揺してた、注文した「メイドちゃんのスキスキパウンドケーキ」は2枚のホットケーキが重なっていて1枚1枚チョコレートソースで愛情表現を表す言葉や絵をメイド役の人が書かないといけない
「ま……護………アンタサイテー」
「ち……違うッスよ桐絵ちゃん!?これは………その……」
「罰ゲームッスよ小南先輩」
「罰ゲーム?」
いつの間にか烏丸が昨日オレが風間隊と模擬戦をして負けてきたと知っていた。慣れないトリガーだったとは言え負けたのは事実で、陽太郎が「まけるなんてなさけないぞ!バツゲームだ!」と言って烏丸もそれに乗ってきて、強制的にメニューを決められたのだ
「………情けないわね護」
「うるさいッス!!」
ここでも宣伝を
もう1つ書いているワールドトリガーの二次創作「Something to have that before losing」でフォローしているかたにお願いしていたキャラデザインが届きました
繋心たちのプロフィールも付けて載せていますのでお暇があれば見ていってください
どれが好きですか?
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自戒の絆
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失った先にあるもの
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彼方の傭兵