痛い……身体が言うことを聞いてくれない…
「っ……ぁ……に、げ…」
痛くて体が動かないオレは、辛うじて持ち上げた頭で前を見た。そこでは一菜と春多が戦っていた
「おまえはぜってぇに倒すっ!!」
「よくもあたし達の…あたし達の隊長を!!」
怒りと悲しみの声をあげていた。オレは逃げろと言ったのに2人は無視して戦っている。いつもは素直に聞くのにこういう時は無視するなんて、やっぱりオレは人の上に立つほどの能力は無いんだな
「いい気味よ!! あたしからお兄ちゃんをを奪ったんだから!」
「ぐっぁぁ!…っぐ、いってぇ…このぉ!」
鎌が春多の脚に傷を付けた。だけど痛みに怯むことはなく弧月を構えてまた立った
これ以上はもう戦わなくてもいい。頼むから逃げて欲しい。だけどその言葉は口にすることができなかった
オレの生まれた国は「プロスペリタース」って言う
平々凡々な、コレといった特徴のない国だった。それでも軍事力はそれなりにあったので、侵略を受けるということはそこそこあった
父はこの国の軍人。母は
トリオン能力も平凡で戦闘も雑事も並以下で、役に立たないと突然街に捨てられたらしい。読み書きもできないことは珍しくもないが、頼れる当てのない知らない土地で生き抜くのは大変だったと言っていた
それでも諦めず雇ってほしいと交渉を続けてなんとかパン屋で働かせてもらえることになったと。住み込みで給料もくれるという事で警戒はしたらしいが、杞憂だったようで安心して暮らせるくらいに衣食住を得られたという
ある日朝の開店直後に来る軍人さんに
「す、好きです!」
と、突然の告白をされたらしい。なんとも青春をしていそうな初々しい瞬間だ。だけどその初々しい軍人がオレの父さんだったのだから恥ずかしい話だ
連れ去られ捨てられて、身勝手な軍人を母さんはよく思っていなくて断ったらしい。それが馴れ初めの始まりと何度目かの結婚記念日に聞いた。子供だったオレは「父ちゃんスケベー」なんて意味の分からないことを言っていたのを覚えている。何をどう思ってスケベなんて言ったのかよく分からない
「自分はあなたのことが好きです。付き合ってください」
「……軍人さんはきらいです……けど、友達からでしたら」
何度目かの告白。それでようやく一歩前進したらしい
毎日来て買うときに告白をしてきたり、花や化粧品などプレゼントしたりと「お父さんには上手いこと外堀を埋められたわ」って頬に手を当てて照れながら母さんは言った
友達から恋人、そして夫婦となりオレが生まれた。名前は「
母さんの国の言葉で名前を付けられた
裕福な国でもないから子供一人育てるのにも大変。育児にかかる費用も、預けられる施設もないから捨ててしまうなんてこともプロスペリタースでは珍しくもない。そうしてスラムが誕生し、そこで生きた子供は粗暴で他人の意見をほとんど聞かなくなる。親の庇護下で育てられる、育てられた人が羨ましくも憎いのだから
そんな環境で育ったのにも関わらず春多はオレたちを信頼してくれるほどに許しくれた
軍人の父を持つオレは当然、その背中を見て育ったから軍人になりたいと思った。母さんは戸惑っていたが最後には許してくれた。近所に住んでいたロイも一緒に軍人になるから緊張も恐怖も半分だった
トリオン能力がよかったオレは教官の指導のおかげか同期の中では5位になるほど実力もあった。初めて所属した部隊では期待の新人ともてはやされ、それに応えるように任務ではそれなりの結果をだしていった
1年経ち10歳になる頃、オレは部隊長として昇格し2人の部下を得た。それが春多と一菜だ
「本日付で忍田隊に配属となりました、カズナ・マリー・デイヴィス伍長です」
「…同じくハルタっす」
目に光がなく皺一つない整えられた軍服を着て見事な敬礼をしたのが一菜。名門の軍貴族の出身で、ゆくゆくは将官としての席が用意されている。大人に準備された人生を歩むことが決定されていた。そのため自身の好みなど一切が無視され、相応しくないと捨てられ自己主張はほとんどしなくなっていた
反対に春多は常に反抗的な目で周囲を見ていて、ちょっと気に入らないことがあるとキレて暴力を振るうことは多々あった。正直制御するのが大変だったし10歳のオレにできるのか不安だった
「よ、よろしく。オレは忍田護だ」
挨拶はしてみるも一菜は形式どおりの言葉を、春多は無視ときた
だけど扱いが難しいと思ったけど案外そうでもない。一菜はこっちから好みを聞けば答えてはくれる。軍人らしく、じゃなく1人の女の子として。春多は時間がかかったけど信頼関係を気付いていけば気を許していってくれた
「そういう時わね、一緒に美味しいご飯を食べると仲良くなれるよ」
と母さんが助言をしてくれたおかげで、オレはかけがえのない仲間2人を得られた
だけどその楽しい日々も終わりを告げてきた
「護!! 前に出すぎだ!」
「大丈夫だって! オレにはサイドエフェクトがあるんだから!」
追跡のサイドエフェクトが発現してオレはますます強くなっていった。トリオン兵なら一度見れば全体にどこに居るのかが分かる。遮蔽物があっても関係ない。それはトリガー使いも同じだった
ある日プロスペリタースに敵が攻めてきた。正確には補給のために立ち寄ったがトリオン兵を展開したため侵略に来たと上が勘違いをしてしまったのだ
トリオン兵くらいなら難なく倒せるオレは父さんの言葉を無視して前に出過ぎていた。それでも大丈夫と自分の力を過信していた。姿を消すトリガー使いが現れるまでは
オレは突如目の前に現れた敵にトリオン体を破壊されてしまった。逃げるために下がろうとするが、そんなこと許してくれるはずもなく敵に捕まってしまった
「嫌だ、ゃ……お願い、ヤダ!…ィダッァァぁア」
「痛いのが嫌なら言えよ!! 司令官は! 保管庫は! マザートリガーはどこなんだ!」
「知らないぃぃぃ!!!………やだ、やだっぁっぁあぁっぁアアア!」
服を脱がされて拘束され、熱いナイフで切り裂かれる。手足から血が流れ、激痛と恐怖でオレは泣き叫んだ。軍人として何も言わなかったといえば聞こえはいいが、本当は敵が知りたい情報なんて何も持っていなかった、が正しい
部隊の隊長だからといってもやっていたことは街や担当地域の巡回ばかりだ。そんな下っ端の部隊に重要な情報なんて誰が知っていようか
「いだぁぃ……っぅ…ぅう」
「酷い怪我だね…まだ子供なのに」
「っひっ!? いや、ぃやだ…こないでぇ」
拷問は終わり手荒い治療で捕虜の部屋に放り込まれた。触れば痛い、動かしても痛い。蹲って痛いのがなくなるのを待つしかなかったとき、先に居た部屋の主が声を掛けてきた。完全に他人に対して恐怖するようになったオレは部屋の隅に逃げるが、狭いここではすぐに壁にぶつかる
赤い髪に細い体だが引き締まった筋肉。身長もあって見下ろされることに更に怖かった。あと目も鋭いから
だけど見た目に反して一人称は「僕」。声も穏やかで優しかった
「大丈夫。僕も君と同じだから」
「ぇ………ぁ……」
同じとはどういうことなのか? 考えるより先に見せられた。被っていた毛布を開くと痛々しい傷跡がいくつも、しかも包帯も赤く滲んでいる。衣類なんてなく、暖を取れるのはこの毛布だけ
部屋の温度は低いから体を引っ付けて一緒に毛布に包まれた
「僕はガーディ。僕も敵に捕まってね。帰ることはできないから仲間になれってしつこくてね」
「何で、帰れないの?」
「あいつらの国は乱星国家でね、一度捕まった僕はもう故郷には帰れないんだ」
ガーディと名乗った彼は寂しそうに言った。オレも帰れなくなるのかと思ったが、船を攻撃されたことによって修理しないといけないし、燃料のトリオンも満タンではないからすぐには動かないと安心するようなことを言ってくれた
外で話していたのが聞こえたらしい
「おい! てめぇだよ!」
「え…いや…一人はぃや……」
「……待っててね、あとで戻るから」
さっきオレを傷つけた奴が今度はガーディを連れて行った。こんな怖いところに1人ぼっちなんて嫌だった。だけどガーディも怪我していて力が出せず引っ張られていった
戻るから、って残した言葉を信じて毛布に包まれて待った
どれくらい経ったのかは分からないけど、外が騒がしいことに気付いた
「っ……え、なに…?…地震…?」
部屋が揺れた。明らかに何かが起こっていることを知り戸惑っているとドアがいきなり飛ばされた
「っひ!?……だ、だれ…?」
「護か!……だいじょ……っく、すまない護……もっと早く来ていれば」
「父さん!!」
現れたのは父さん達だった。あとから春多と一菜も来て、救出に来てくれたんだと嬉しくなった。予備のトリガーを渡されてそれで脱出する予定だったみたいだけど、オレはそれよりもガーディのことが気になった
「護! どこ行くんだ!」
「ガーディ! これでたす…か………」
拷問されている部屋に行ってトリガーを渡そうと思った。それなら安全に脱出ができる。ガーディも一緒にと思って扉を開けた先は残酷な現実が待っていた
「がー…でぃ?」
「ッ…だれ…?」
椅子に固定されて体中から血を流すガーディ。生きているのか分からないオレは弱々しく呼びかけた。すると掠れた声で返事をしてくれた。だけど見えていないらしく周囲を探すように頭を動かしている。目はちゃんと開いているのにだ
「オレ!…オレだよ!! 仲間が来てくれたんだ! これで助かるよ! だからっ…トリガーを使えば…」
「あり、がと……でも、もういい…よ…」
「やだ……やだぁぁ…」
幼くても直感で分かっていた、だからこそ否定したくて手にトリガーを握らせて嫌だと泣き喚いた。ほんの1時間も満たないだけの、知り合いと呼ぶのも曖昧な関係だけど。それでも同じ苦痛を経験した者同士。恐怖で震えていたオレに寄り添ってくれた人
子供のオレにはそれでも十分だった
「君の名前……教えてほしい…な」
「護!! 忍田…護……お願いだから……生きようよぉ」
「マモル……いい、名前だね………もし、運がよかったら……困ったとき、僕が……力を貸すね」
「なに言ってるのかわからないぃ!!…ねぇえー!」
「ご、めんね……でも僕も……マモルと会えて…よかった…よ。さようなら」
「やだ…いやだ!! ガーディ、お願いだから死なないで!!」
「死なないよ……僕は、傍に居るから」
何をするかなんて理解はできていなかった。ガーディは残り僅かな命と全トリオンを使って、オレが握らせたトリガーでブラックトリガーを作った。もう2度と会えない言葉を残すガーディにオレは泣き喚くしかなく、気がついたら身体はチリとなって崩れ、残ったのは黒い髪留めの形をしたブラックトリガーだけ
「護………帰ろう。母さんが心配してる」
「ぅう……っぅぅ…」
オレは父さん背中に乗って街へ戻ることとなった。遠征艇は破壊、トリガー使いもほとんど捕獲し、1名が逃亡中とのことだった
「護っ!!」
「っ……かあさん……母さん!!」
いつもよりは帰宅時間は遅かったが街の安全区域ギリギリのところまで母さんが来ていた。やっと安全なところに帰れるんだって安心し嬉しくなった
だけど、それは一瞬にして奪われた
「護!……きゃっ……ぁ」
「かあ……さん……?…母さん!!!」
逃亡中の敵が母さんを切り殺した。しかもそいつはオレを捕まえた消えるトリガーを使う奴だった
家族を殺されたことに怒りが爆発したオレは、ガーディが作ってくれたブラックトリガーを使った。適正があるかどうかなんて分からなかった。だけど使えた
「おまえぇぇぇーー!!! よくも! よくも母さんを!!」
どんな能力を持っているかも分からないブラックトリガーを叩き伏せ、吹き飛ばし、最後には地面から影の棒みたいなものが伸びて串刺しにした。殺したんだから殺されて当然。ただそれだけしか頭になかった
「護っ。護!」
「っ……父さん…」
血を流して倒れる敵。それでも追い討ちを掛けるように殴ってきたら父さんに止められ、こっちに来るように肩を押されてその場を離れた
「まも…る……よかった、ぶじ…で」
「母さん……ごめん……ごめんなざい……っ」
「いいの、よ……いっぱい……幸せになり、なさい……」
「広美……すまない」
「いい、のよ……護のこと……お願い、ね………?」
「ああ」
母さんはそれだけ言って死んでしまった
それからはただただ地獄の日が続いた
オレはまたあんな痛みも恐怖も嫌だった。だから攻めてくる敵は全て殺した。ブラックトリガーは鉄壁の防御を誇るほど硬く、オレのサイドエフェクトで見たあとは殻に篭るように壁で囲って影の棒で刺してを繰り返した
父さんや春多や一菜の制止など気に留めずひたすら敵の殲滅をしていった
だけど同時にオレの心にも傷を増やしていった。死んでいった奴らの断末魔、死に際の恨んでくる顔。それは確実にオレを蝕む病気となった。こうなったのはオレのせいだと、弱いから傷つくんだと心が死んでいくのを無視して押し込めていった
そんな日が1年ほど続いた。父さんは突然母さんの墓参りに行くぞと、無理矢理オレを連れ出した
街がよく見える丘。ここは母さんが唯一気にいっていた場所だった。そこにお墓を立てた
「護。おまえがあんなことをするのは分からなくもない。だがそれでは」
「分かってるよ! 命まで奪うべきじゃないって言いたいんでしょ!! だけど仕方じゃないか! オレは怖いんだ…今でも時々身体が痛むんだ……ナイフで切られる痛みが!! それ母さんだって……こっちが奪わないと奪われちゃうんだ!! 大切なものが……消えるのは、いやなんだ…」
「……そうだな。なら、平和なところにいくか?」
「え……?」
「母さんが生まれた
「で……でも、そんなこと…」
「反逆罪として問われるだろうが、父さんが守ってやる」
「…………」
「母さんから護、おまえの名前の意味を聞いたことはあるか?」
「ない…けど? 意味なんてあるの?」
「ああ、母さんのいた国では生まれてくる子供に願いや思いを込めて付けるそうだ」
「オレの意味は…?」
「…護が守りたいと思ったものを守れる強さを持ってほしい、って思いが込められてる」
「っっ!」
母さんの墓の前で父さんはそう言った。初めて告げられた名前の意味を知りオレは泣いてしまった。確かに今のオレは強いと思う。だけどその使い方が間違っている
今までしたことは怖いから奪ってしまおうっていう暴論だ。オレが守りたいものを守っているとは言えない。だけど今更守れるのかなんて不安だったけど
「おまえはもう強い。あとはそれで何をどう守る、かだ」
何を守るかはまだ分からなかった。だけどもうこの国には居たくもない、それだけはハッキリしていて。父さんはそれじゃミデンに行くか! と言った
死に際にこんなことを思い出すなんて、これが走馬灯ってやつなのかなって。いよいよもって罰を受けるんだろうな
「あんたたちも最悪よねー? こんな人を大量に殺して、部下まで置いていってさ? よくそんな最低な上官に従うよ。理解できないわ」
「理解できなくて結構よ。あんたが思うほど隊長があたしたちのことを思ってくれいるなんて理解できるわけないわ!」
「っ……そうだぜ? 隊長は、オレたちの光でもあって、希望でもあるんだからな! そんな人が最低なわけないだろうが!!」
現実に戻ったのか、元々現実だったけど春多たちの声が聞こえるようになってきたのかはわからない。だけど敵の挑発を受けても戦う意志が、オレを信じてくれる気持ちが折れていなかった
勝手に罰を受ける時が来たんだと諦め、戦意も信じる気持ちも折れていたオレには、2人の言葉が胸の奥に響いた
「隊長はな、人以下に扱われるオレを、初めて人として扱ってくれた人なんだ! 初めてオレは、心の底から人間になれたんだって思えたんだよっ!!」
「約束された人生を生きるしかない私に「私らしく」生きてもいいって教えてくれた人なの!」
「っ………!」
2人はそう言って戦い続ける。トリオンもどれだけ残っているのかなんて分からないけど、ブラックトリガー相手に劣勢なのは代わらない。唯一意志だけだ。でも、その強い意志がオレにも伝わり。最後まで諦めない仲間を前に、オレが諦めるなんてカッコ悪すぎた
「うぉぉっぉぉおおおおお!!!」
「隊長っ!?」
「まだ生きてたの? しぶといわね」
最後まで2人のように戦いたい。人の命を奪っておいて何を今更生きながらえようとするのかと笑われるかもしれない。だけどせめて、春多と一菜の前では最後までかっこいい隊長でいたい
腹に刺さった剣を掴んで引き抜く。血がさらに出るが、オレはポケットから黒い髪留めを握る
「死に底ないが!! 今度こそ殺してやるっ!!」
顔を上げれば数えることすらできないくらいの剣が飛んできていた。あんなものが当たれば原型すら残らなくなるじゃんって思った
「隊長ーーーー!!」
「うそ……だろ………? 一菜、アレ!」
「ぇ…?」
剣は確かに当たった。オレとガーディのブラックトリガーに
「持っていたのか…! まあいいわ、ブラックトリガー同士やりあいましょう!! もっとも、守ることしかできないそれはいつまで耐えられるかしら?」
ギリギリ換装は完了した。遊真みたいに生身がトリガーの中にあるわけじゃないし、レプリカのサポートもないから防御は自分でやるしかない
敵は剣を戻し、またオレへ放ってくるがそれは叶わない
「モードチェンジ! ヘルハウンド!!」
ワォォォオオーーーン
逃げもせず突っ立ってるオレはブラックトリガーのもう一つの機能へ切り替えた。その瞬間どこからともなく犬の叫びが聞こえ、腰の左右に反りのない片刃の剣が現れた。柄尻にはチェーンで繋がれた狼の頭がある
「喰え!」
オレはソレを撫でて命令すると。狼の頭は巨大化し口を開けて剣を食った
「な、なによ……それ…!? おまえ…2つもブラックトリガー使えたって言うの!?」
「いいや、一つだけだ。これは攻撃特化のモード。普段は防御特化にしてるだけだ」
「ふ、ふざけないでよっ…!!」
「ふざけていないんだけどな……っふ!」
見たこともないトリガーにうろたえていた。このブラックトリガーは防御よりの性能をしているのかと思ったけど、
失った剣の代わりに数本が新たに出現して飛ばしてくるが、剣を抜いて全て受け流した
「春風に慣れようとしているのにやっぱり剣2本のほうがしっくりくるなー……」
「このぉぉぉ! もう一度痛みで苦しめてあげるわよ!!」
「っ! それは、嫌だなっ!」
剣がダメなら鎌。接近して振ってくるが、受け止めて弾き返す。距離ができるがオレから詰め寄って防御させる
「そういえば…オレの仲間がいないな?」
「っ!?……どこ行った!?…どこに隠れて…」
「後ろだよ!」
「っっ!!…っく!」
逃げられないように力を入れて押し付けているときに、春多たちがいないことを教えた。メリットなんてないが、チームで戦うのがオレのやり方だ。言われて気づいてもすでに
戸惑っていると春多は後ろから突然現れ弧月を振るう。だけど反射神経がいいみたいで鎌を手放し横に飛んで回避した
「いったい……どうなって…?」
「あたし達はチームで戦うの。1人ぼっちのあなたにはできないやり方よ」
「っっ!?」
そしてその先には一菜がライフルを構えていた。引き金を引いて弾丸が放たれるも片腕を吹き飛ばすだけで済んでしまった
「すいません隊長」
「気にするな。それより防御は任せた」
「はい!」
「春多、合わせろ」
「りょうーかい!」
2人ともオレの元に来て隊形を組む。謝罪もしてくるが今はどうでもいい。反省も全て終わったあとにすればいいことだ。もっとも、オレにその時間があるかどうかは分からないけど
「なんなのよ………なんなのよそのトリガーは!?」
「なら、教えてやるよ」
理解ができないみたいで声を荒げていた。それなら分かりやすくしてやろうとオレは狼達を呼んだ
すると影から生えるように盛り上がり、形が作られていって狼になった。その数はこの場にいるだけでも50匹入る。オレのトリオンの限り増やすことも可能で、全て消費して呼ぶとなると500匹くらいになる
「こいつらはオレの武器でもアリ、仲間を守ったり援護したりすることのできる狼たちだ。こういうこともできる」
「っ!……あれは、あたしの剣!?」
1匹が口を開いて剣を飛ばした。それは敵の腰から飛ばしてくる剣と同等の形をしていた
狼達の口の中は簡易的な
「なんなのよそれ……そんなの、強すぎるよ…」
「ブラックトリガーなんて総じて桁違いの強さを持っているだろ?」
これがオレの、ガーディのブラックトリガー「