あの作品好きなんですよね~
というわけで12話です
朝早く起きたオレは24時間のスーパーに行って野菜や魚を買って朝食はサラダ、スクランブルエッグ、サケの塩焼き、ご飯と殆どの家庭で見られる朝ごはんが出来た
それを食べ終えた三雲と遊真と雨取はホワイトボードの前に立つ宇佐美の講義を受けていた
「さて諸君、諸君にはA級を目指す、そのためにはもうB級になっている修くんを除く千佳ちゃん遊真くんの2人にB級に上がってもらわねばならない、それは何故か?」
宇佐美はホワイトボードに書いたピラミッドの2段目に書かれているところをペンで指した
「まずはB級、つまり正隊員にならないと、防衛任務にもA級に上がるためのランク戦にも参加できないのだ」
「ランク戦?」
聞きなれない言葉を聞いた遊真は聞き返した
「簡単に言えば同じ隊員同士で戦ってランク、つまり順位を上げていくことが目的なんス。そうすることで自然と強いやつが上に行くんスよ、この玉狛には新しく入った3人と迅さん以外は皆A級ッス」
「あ、それは昨日宇佐美先輩に教えてもらいました」
「そうなんスか!?」
三雲の言うことに驚いて宇佐美を見ると「早い者勝ちよ」とでも言わんばかりに眼鏡を押し上げて誇らしげに笑っていた
「つまりオレがB級になるにはC級の奴らを蹴散らしてくればいいわけだな」
「正解!」
「それいつからやるの?今から?」
早速戦いたそうな遊真を落ち着かせると説明を続けた
「まぁまぁ落ち着きたまえよ、ボーダー本部の正式入隊ってのが年に3回あって、それは新人単位が一斉にデビューする日なんだけど、その日まで遊真くんもランク戦できないんだよね~」
早くB級に上がろうとした遊真は入隊日までランク戦がお預けになったことに不満を漏らした
「ふぁ~……あわ―――」
「まぁ落ち着くッスよ遊真、遊真にはこっちのトリガーに慣れないとダメッスよ、ランク戦にはブラッグトリガーは使えないんスから」
「ちょ!オレのセリフ!?」
「ふむ、何で?本部の人に狙われるから?」
「それもあるッスけど、一番の理由は強すぎるからA級の更に上のS級になるんス、しかもランク戦に参加できなくなるから修や千佳ちゃんとチーム組めなくなるッスよ?」
「ふむ、そうなのか、じゃ使わんとこ」
遊真がブラッグトリガーを使わないのを聞いた宇佐美は次に千佳をどうするかと言った、戦闘員かオペレーターか聞こうとしたら遊真がすぐに戦闘員だと言った
確かに駅で見たトリオン量を見れば戦闘員として敵と戦うための力を身に付ける必要がある、そのことには千佳も同じだったようだ
そんなとき部屋のドアが開くとパジャマ姿の陽太郎が雷神丸に乗った状態で入ってきた、起きているのか寝ているのか分からないが続けてくれと言ってきた
陽太郎のこういうところは見てて面白いッスねー
戦闘員に決めたら次はどのポジションにするか決めようとボードを裏返すとカエルが3匹、右から剣を持った
さっきのもだけどいつ書いたッスか……?
「で、ポジションについてなんだけども――――」
モデルが蛙なのはスルーのようだ
そのまま説明を始めた宇佐美は質問をしていくと、普通かそれ以下という答えが返ってきた、けどそんな時三雲が助け舟を出した
「あの……千佳は足は速くないですけどマラソンとか長距離は結構早いです」
「お、持久力ありね」
「それに我慢強いし、真面目だし、コツコツした地道な作業が得意だし、集中力があります」
三雲が次々と千佳の特徴を挙げていくとそれを聞いていた皆はニヤニヤした
「あ、あと意外と体が柔らかいです」
「「「お~」」」
遊真、護、迅が驚きの声を上げると千佳は頬を赤らめて照れた
「ふんふんなるほど……よし分かった、私めの分析の結果、千佳ちゃんに1番合うポジションは―――」
「
今度は宇佐美の言葉を遮って迅さんが先に言った
「も~迅さん!!あたしが言いたかったのに何で言っちゃうわけ!?」
セリフを横取りされた宇佐美は不満を漏らしながら後ろから迅さんに飛びつくが、その光景にオレはちょ~と納得がいかなかった、いやモヤモヤしたものが煮込み料理のように沸々と沸いてきた
そんなオレの心情を知ってか知らずか迅さんはこっちのほうを向いて笑ってきた
落ち着くッス……あれは挑発ッス…………乗っては負けッス…………っ!!?
自分の中の葛藤と戦っていると宇佐美に見えないように左手でVサインを出してきた、流石に我慢が出来なかった
「天誅ーーー!!!」
「うごおおぉぉ!!」
立ち上がったオレは慣れた動作で回し蹴りを迅さんの横っ腹に叩き込んだ
「迅さん!?」
「お!?」
「……大丈夫ー、迅さん?」
迅さんはそのまま横の壁にぶつかり力なく倒れた、いきなりの出来事に三雲と遊真は驚くし千佳ちゃんは声すら出ていなかった
「だ……大丈夫………」
ゆらゆらと立ち上がって蹴られた横腹を押さえながら自分が座ってた椅子に座った
すると廊下から足音がして次の瞬間勢いよくドアが開かれた
「あたしのどら焼きが無ーーい!!誰が食べたの!!?」
開口一番どら焼きが無いと叫んだ桐絵ちゃんは周囲を見た後、陽太郎の下に行き足を持って問い詰めた
「さてはまたお前か!?お前が食べたのか!?」
「……たしかなまんぞく……」
え~陽太郎の奴また食ったんスか!?
「お前だなーーー!!」
「ごめーん小南、昨日お客さん用のお菓子に使っちゃった」
宇佐美が謝りながら言うとさっきまで陽太郎を振っていた桐絵ちゃんは動きを止め足を離す
「はあぁ!!?」
「!!……ご……ごめんごめん………てへ」
振り返った桐絵ちゃんは鬼の形相で宇佐美に近寄り頬を引っ張った
「あたしのどら焼き返しなさいよーー!!」
なおも謝る宇佐美だが中々許してくれそうに無かった、陽太郎は近くにいた三雲が身体を張って助けたので怪我はない。そのあとすぐに入ってきたのはレイジさんととりまるの2人だ
「なんだなんだ?騒がしいな、小南」
「いつもどおりじゃないすか?」
「よう、レイジさん、京介」
「はよッス、レイジさん、とりまる」
迅さんの後にオレも挨拶をすると三雲たちを見た
「もしかしてこの3人、迅さんが言ってた新人スか?」
烏丸の一言にさっきまで宇佐美の頬を引っ張りまくっていた桐絵ちゃんも手を放して振り返った
「新人!?あたしそんな話聞いてないわよ、なんでウチに新人なんか来るわけ?迅!」
「実はまだ言ってなかったけど」
桐絵ちゃんに聞かれた迅は立ち上がって3人の後ろに行くと「また」とんでもないことを言った
まさかッスけど迅さん………
「この3人、オレの弟と妹なんだ」
冗談が通じない三雲はこの人何言ってるんだ!?見たいな戸惑いと、流石のレイジさんととりまるも少し驚いている、まるで聞いていた話と違うと言った感じに
普通なら誰もがこれが嘘だとわかるはずなんだが、1人だけ例外がいる
「え、そうなの!?迅に兄弟なんていたんだ……護、あんた知ってた?」
「もちろんスよ、長い間一緒にいるのに知らなかったんスか?」
そう、桐絵ちゃんは非常に純粋で非常に騙されやすいのだ、だからこんな幼稚な嘘も簡単に引っかかる
「とりまるは!?」
「もちろんスよ、知らなかったんですか小南先輩?」
次に聞かれたとりまるも迅さんの嘘に付き合うことにしたようだ、2人が同じ答えを返してきた事に確かめようと、遊真の顔を見つめるがここにも伏兵が1人
後ろにいた迅さんと一緒に「やってやったぜ」みたいな顔をした、嘘を見抜くサイドエフェクトを持っている遊真はもちろん嘘だと分かっているけれど「面白いことになりそうだと」思って付き合うことにしたようだ
以外と空気を読んでノリがいい奴だ
「……言われてみれば確かに似ているような………レイジさんも知ってたの!?」
だけどあまり長引くと面倒だと思ったのかレイジさんが終らしてしまった
「ああ、よく知っている、迅が1人っ子だってこと」
「え……?1人っ子……どういうこと……?」
まぁ普通に考えれば迅さんに兄弟なんて出来ないッスもんね、ジョークは即興に限る、禍根を残せば嘘になるって言うし
「紹介するね、このすぐ騙されちゃう子が
「え゛?………だ……だ………騙したのおおぉぉ!!?」
「いやーまさか信じるとはーはっはっは」
やっと騙されていたことに気付いた桐絵ちゃんは叫んだ、宇佐美はそれを無視して次にとりまるを紹介した
「こっちのモサモサした男前が
「モサモサした男前です、よろしく」
宇佐美のジョークにも動じることなく挨拶をする
「こっちの落ち着いた筋肉が
「落ち着いた筋肉?それ人間か?」
レイジさんの聞き返しにオレも同じことを思った、すると今度は迅さんが口を開いた
「さーて全員揃った所で本題だ、こっちの3人はわけあってA級を目指してる、これから厳しい実力派の世界に身を投じるわけだがさっき宇佐美が言ったようにC級ランク戦開始までにまだ少し時間がある。次の正式入隊日は1月8日、約3週間後だ、この3週間を使って新人3人を鍛えようと思う、具体的にはレイジさん達3人にそれぞれメガネくんたち3人の師匠になってマンツーマンで指導してもらう」
迅さんのこれからの説明を聞いて最初に口を開いたのは桐絵ちゃんだった
「はあ!?ちょっと勝手に決めないでよ!あたしこの子達の入隊なんて認めて―――」
「小南、これはボスの命令でもある」
さっきまでうるさかった桐絵ちゃんがボスの命令だと聞くとすぐに静かになった。レイジさんととりまるも納得した、というかもとより桐絵ちゃん以外は入隊には反対してはいないけど
「わかったわ、やればいいんでしょ、でもその代わりこいつはわたしがもらうから」
桐絵ちゃんは自分の弟子を遊真に決めたようだ、確かに3人の中で1番強いし組み合わせとしては合っていると思った
次に
「護はどうするのよ?」
「護はメガネくんのサポート、京介はバイトもあって忙しいから」
1人残されたオレはどうするのか聞いた桐絵ちゃんの疑問に迅さんが答えその理由に納得した、最後にそれぞれ師匠の言うことを聞いて頑張るように言って解散となった
「はげめよ」
「こら、威張るな陽太郎」
いつ起きたのかお腹を掻きながら陽太郎はエールを言った
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「よろしく頼む」
「うん、了解ッスよ……と言ってもまだ日佐人の実力は知らないッスから今日は模擬戦にするッス」
「わかった」
本部の訓練室に来たオレと日佐人は今日が初の訓練。さっそく日佐人は腰の弧月を抜いて真っ直ぐに向かってきた。手元で振りやすいように回転させて握ると春風を振って後退させた。距離を取らそうとした瞬間日佐人の姿が消えた
「っ!………カメレオンッスか、でもオレには意味が無いッス」
サイドエフェクトでトリオン反応が見えるオレは春風のグリップを左手で持つとアステロイドを何もないところに撃った
「っ!……どうして……カメレオンは見えないんじゃ?……っぐ!?」
姿を現してシールドで防いだその隙に春風を突き出した。耐えられなくなったシールドはひび割れてしまった、割れた瞬間日佐人は弧月を振り下ろそうとしていたが、春風からスコーピオンに切り替えて左手に出すとトリオン供給器官を貫いた
「サイドエフェクトは知っているッスよね?」
「ああ、トリオンが多いと感覚器官に影響が出るっていうやつだろ?」
「オレは一度トリオンを見れば隠れても意味が無いんス」
「ええ!?うそだろ!?」
「2戦目やるッスよ」
それを聞いた日佐人は次からどう戦えばいいのか頭を働かせたが結局戦闘に集中できず、ランク戦よりも酷い負けっぷりだった
日佐人は諏訪隊の
だけどオレのように今まで、できていたことが出来ない敵と遭遇したときの対処も出来るようにしないといけない、最低でも落ち着いた判断が出来るようにしないといけないと、今日の戦い方を見て思った
「熱くなりすぎッス、段々と攻撃が単調になってきてたッス」
「そうは言うけど、カメレオン使っても居場所がバレるんじゃ難しいよ」
「そんなんじゃいざというときにみんなの足を引っ張って迷惑かけるッスよ、日佐人」
全く傷さえ負わせることが出来なかった事に愚痴る
「……わ……わかった、次は頑張る」
『次』は無いと、今言うべきなのか迷ったが立て続けにキツイ事を言うのはやる気を削ぐかなと思い、今は言わないでおこうと頭の隅に置いた
「まぁ、今度の練習までに反省したらいいッス、動き事態はそこまで悪くはなかったッスから」
さっきまで悪いとこばかり言われてたから、急に反対のことを言われて日佐人は喜んだ、レイジさんから弟子をとったときは「飴と鞭」を上手く使うことだと言われた
とりまるを弟子にとった経験があるからアドバイスを聞くとそう言われた
「それじゃ、これを渡しとくッス」
「……?……竹刀?」
「そうッス、弧月を使うなら剣の基本的な動作など覚えておくと戦いやすいッスよ、まずは―――――」
竹刀の持ち方から振り方、足の運び方など初心者がまず覚えることを教えていった
「今日はありがとう、護」
「礼はまだ早いと思うッスけどね、今日は実力を調べただけだし、次からメニュー考えてそれをこなさないといけないんスから」