ワールドトリガー「Re:自戒の絆」   作:悠士

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護のトリガー再構成したから戦闘描写も変えましたー!


11話 目的と面白いこと

「すまないッス遊真、ホントはあの日の夜に言ってもよかったんスけど、迅さんから何もするなと言われてたスから」

 

「いいさ、別に。気にしてないから」

 

 オレは遊真に謝るがそこまで気にしていと言った

 

「最上さんが生きてたらきっと、本部からお前を庇っただろう。オレは新人の頃空閑さんに世話になった恩もある、その恩を返したい。お前が玉狛支部(ウチ)に入れば本部ともおおっぴらにお前を庇える、本部とも正面切ってやりあえる。どうだ?玉狛支部に入んないか?」

 

「………………それは――――」

 

 林藤支部長に申し出に少し迷った後遊真は………

 

 

 

 

「空閑にとってもいい話だと思ったのにどうして断ったんだろ?」

 

「さぁな、それでも遊真が決めたことならしょうがないッスよ」

 

 支部長室を後にした3人は遊真は屋上へ、三雲とオレは1階のダイニングへ行った。林藤支部長の話は残念なこともあったが逆に遊真を庇うとまで言って損をするような話ではなかった、なのに遊真は断ったのだ

 

『2人には話しておこうと思う、遊真がこちらの世界に来た理由を』

 

「理由って、親父さんが死んだから最上さんを頼って来たんじゃないッスか?」

 

『いや、それは建前でしかない、遊真がこちらの世界に来た理由は別にある』

 

 突然話し出したチビレプリカが遊真の過去を語りだした

 

 それは今から4年程前、遊真とその父の有吾はネイバーの戦争に参加していて、昔の縁と恩から防衛に力を貸していた。まだその頃の遊真は半人前だった

 それでも半人前なりに頑張って動いていたからそこそこの活躍していた

 

『すべては上手くいっていた、有吾が死んだあの日までは』

 

 他の国から攻撃を受けていた城塞国家カルワリア、そこが遊真と有吾の運命が大きく変わった。そんなある日静かな夜に南を警護していたトリガー使いが殺された。その殺され方は普通ではなくトリガー使い、しかもブラッグトリガーの可能性が高く、危険だと感じた有吾は遊真に砦の中で待機するように命令した

 けど戦闘が始まって押されている状況見て前に出てしまったのだ、それが誤りだった

 

 敵の裏を突いて部隊を崩そうと、様子を見るために止まった場所の背後に嫌な気配を感じ、振り向くとスピンテールが雇ったブラッグトリガー使いだった。しかもその雰囲気は禍々しく怖れでその場に立ち尽くしてしまった遊真は、赤子の手を折るように簡単に倒され瀕死の重傷を負った

 

 そこで遊真の人生は終わりを告げるはずだった。すぐに遊真を見つけた有吾は自分の命と全トリオンを引き換えにブラッグトリガーを作り、その中に瀕死の遊真の身体を閉じ込めそれに代わる身体をトリオン体で作った

 

「それじゃオレのサイドエフェクトがずっと遊真を感知しているのは、体がトリオン体だからッスか!?」

 

『そういうことだ、そして―――』

 

 カルワリアはブラッグトリガーを受け継いだ遊真にこれからも戦うように命令をした。理由は国家としての威厳もそうだが主な理由は有吾の名前を歴史に刻もうとか、有吾を英雄とてこれからも称えようとか、敵を潰すことが有吾も望んでいるだとかそんな建前を言っていた

 

 だけどそいつらは知らなかった、有吾が持っていた「嘘を見抜く」サイドエフェクトを遊真が受け継いでいることを

 

「嘘を見抜く……それが空閑が持っているサイドエフェクトなのか」

 

『修には心当たりがあるのではないのか?』

 

 オレは知らないが、レプリカに聞かれた三雲は心当たりがあるのか少しだけ俯いた

 

「…………それってすごい力だけど、多分すごく辛い力だ」

 

 三雲の言葉を聞いたオレは確かにそう思った、嘘を見抜くということは言い換えれば信用が出来なくなるということだ

 遊真がブラッグトリガーを受け継いでからおよそ3年の間戦い続け、力と経験を身に付け気付いたときには戦争は終わっていた

 

 だけど遊真は達成感はなかった、カルワリアが勝って平和になったというのにだ

 

 レプリカから話を聞いた遊真は有吾の故郷に行って、自分の体のことを相談しようといくつかの国を渡ってこちらの世界に来た

 

「じゃあ、あいつが年のわりに小柄なのは……」

 

『そう、トリオン体の身体に成長する機能はない、遊真の身体は11歳のときから変化していない』

 

 体が変化しないというのを聞いて三雲は不老不死なのかと聞くがチビレプリカは違うと言った、遊真の本体は今も緩やかにだけど着実に死に近づいている

 その状態をどうにかしようとボーダーに来たんだと三雲とオレは思ったが、遊真自信の目的は違った。レプリカは指輪の中の遊真の身体を取り出す方法を、だけど遊真はブラッグトリガーになった有吾を甦らせないかと考えていた、けどそれは先ほどの支部長室で見た、ブラッグトリガーになった最上さんを見てボーダーでもそれは出来ないんだと知った

 

『遊真にはもう……生きる上での目的はない』

 

 

 

 ――――――――――――――――――――

 

 

 三雲と護がチビレプリカから遊真の過去を聞いている時と同時に、玉狛支部の屋上で遊真自身から過去の話を聞いた迅はこれからどうするのかと聞いた

 

「そうだなこっちだとネイバーは肩身狭いし、親父の故郷だけどオレのいる所じゃないな。オレは向こうの世界に帰るよ」

 

「オレがこっちに来た理由はもう無くなった、これ以上ココにいてもゴタゴタするだけだからな。けどこの何日かは面白かったなあ、久々に楽しかった」

 

 そう言った遊真の顔は笑っていた

 

「………そうか、これからもきっと楽しいことは沢山あるさ、お前の人生には。それにほら、さっそく面白いことが来たぞ」

 

 迅が後ろ向くとそこには護が立っていた、手にはトリガーを持って

 

「遊真、これから少し遊ばないか?」

 

 ――――――――――――――――――――

 

『願わくば修、護、遊真に目的を与えてはやってくれないだろうか』

 

 すべてを話し終えたチビレプリカは2人に頼んだ、だからオレはボーダーには楽しいことがあると思わそうと模擬戦をしようと思ったのだ

 折角だからとオレの申し出に答えた遊真は三雲と一緒に3人でエレベーターに乗って地下室に来ていた

 大きな白いコンクリートのタイルで左にはデスクがあり右には数字が書かれた扉が3枚と人数分のベイルアウト用のベッドがあるだけの簡素な部屋だった

 

 先に来ていた宇佐美は机に座り既に設定を済ませている

 

「お、来たね~いつでもはじめてもいいよ」

 

「それじゃ2番の部屋に入るッス」

 

 オレに言われるままに遊真も付いてきて三雲は宇佐美の隣に、その反対には千佳がいた

 

「おお~何だここ?おっきな街があるぞ!?」

 

「ここは模擬戦とか訓練するのに使う訓練室ッス、いまは仮想空間で三門市の街を再現しているんス、トリガー起動(オン)

 

「トリガー起動(オン)

 

 2人とも戦闘体に換装すると簡潔にルールを説明した

 

「勝負は1回のみッス、どんなに暴れても訓練室は頑丈に出来ているから大技を使ってもOKッス、レプリカのサポートもいいッスよ」

 

「いいの?そこまでオレが有利なルールにして?」

 

「別にいいッスよ、タダで負けるつもりはないッスから」

 

『それじゃーカウント始めるよ~』

 

「おっ?栞ちゃん?」

 

 訓練室に宇佐美の声がしてどう責めようかと思いつつカウントが始まった

 

 5、

 

 4、

 

 3、

 

 残り3秒のところでオレは春風を後ろに構え左手を前に出す、遊真は両手を握り最初の1発で手足のどれかを壊そうと考えた

 

 2、

 

 1、

 

 

 

 

『………0!』

 

 何故か0のカウントだけ声が高かった

 

『弾』(バウンド)二重(ダブル)

 

 開始早々遊真は足元に『弾』(バウンド)の印を2重で展開して一瞬でオレに近づき、胸にパンチすれば回避しようと腕か脚が当たるだろうと思っているようだが、簡単に回避する

 

「へぇ、今の避け……っ!?足が……いつの間に」

 

 銃弾のように跳んで来た遊真を避けると春風を解除して左手にメインからスコーピオンを出して遊真の左足首を斬る。着地した遊真はバランスを崩してオレを見る。きっと今のでオレがとんでもなく強いのだと再認識したのだ

 

 

 

 パソコンに写る戦闘を見ると先制攻撃した遊真がカウンターを食らっていた

 

「空閑が……やられた!?」

 

 2度も遊真の戦闘を見ていたけど、三雲は護の実力がどこまでなのか分からないが相当強いと思っていた、けどその強さが今空閑より強いのか?と思い始めた

 

「ふふーん早速やられたね、護君に下手に近づくと火傷するぜ?」

 

「え……?……なぜ宇佐美先輩が言うんですか………?」

 

 さすがの真面目な三雲にはジョークはあまり通用しないようだ、さっきも陽太郎と遊真が釣った活動停止したラッドの残骸を調理しようとしたら千佳と一緒に本気で驚いていた

 

 

 

 

 

「……剣と槍、2つも使えるんだ?」

 

「……………」

 

 遊真の質問にオレは答えない、きっとサイドエフェクトで嘘か本当か探ろうとしているのだと分かった。戦闘中に敵に情報を教えるのは命取りになりかねない。だからオレは何も答えなかった

 

「今度はこっちから行くッスよ!!」

 

 手に持っていたスコーピオンを投げたが叩かれて壊れた

 

「昼間も見たけどこの剣脆いね、……?」

 

γ(ガンマ)

 

 春風の先端を遊真に向けてトリオンの弾丸を放った、当然遊真は防ごうとシールドを出すが

 

『盾』(シールド)印……なんだ?」

 

 向かってくる弾を防いだとこまではよかった、けど遊真はその後解除したつもりはないのに勝手に消滅した。何でなのかと不思議に思っているとレプリカがトリガーの以上を伝えてきた

 

『遊真、異常事態だ、『盾』(シールド)が使えなくなった』

 

「どういうことだレプリカ?」

 

『詳細は不明だが何故か使えなくなっている、他の印は問題ない』

 

「わかった、『鎖』(チェイン)

 

 遊真から鎖と描かれた魔方陣の様なものが展開してトリオンで出来た鎖が飛んできた

 

「ぐぁ!?……いっっ……いつの間に!」

 

 遊真から飛んできた鎖はバックステップで避けたが、背中がいきなり引っ張られる感覚がしたと思うと地面に叩きつけられた。起き上がって見るとオレの背中から鎖が出て地面に固定されている

 

 いつの間に仕掛けたんだと驚いたが、レプリカには分離機能があるのを思い出した。多分最初の特攻のすれ違いの時に、オレの後ろにチビレプリカを置いたんだ

 

「レプリカのサポートもありって言ったのはそっちだよ」

 

 いいながら跳んでオレに1発食らわそうとしていたが、動きを制限されたからといってそう易々とやられるつもりはない

 

「『(ブース)』印+三重(トリプル)

 

「シールド」

 

 突っ込んできた遊真に対してオレはシールドで防いだ。当然簡単に壊して、また跳んでくる。バク転をするとき、足にスコーピオンを出して蹴り上げる。流石と言うべきか頭は切れなかったが右肩にダメージを負わせれた。切れたところからトリオンが漏れている

 

「…………マモルって結構強いね」

 

「ッス、オレも『色々』経験してきたッスから」

 

 着地した遊真は肩を押さえながらこれ以上漏れるのを抑えている。オレがここまで強気でいられるのも遊真のブラックトリガーがそこまで脅威じゃないっことだ。1発の威力は確かにすごい、けれどそれは当てれないと意味がないし、危険を冒して近づかないといけない

 オレはただ攻めすぎず遊真の動きに注意をすればいいだけだ

 状況は遊真が不利だが、動きを封じようと思ったのか駅でコピーしたトリガーを使ってきた

 

『錨』(アンカー)印+『射』(ボルト)印二重」

 

 弓手町駅で見せたものより量は少ないがそれでも確実にオレを捕らえていた。そういえば鉛弾(レッドバレッド)をコピーしているのを忘れていたオレは一か八かの賭けに出た

 

「マモル……すごいな」

 

『だがアレではもう槍は使えまい』

 

 遊真のレッドバレッドを春風を回して何とか防げた、けれど全体に鉛が付いたためもう使えるような状態じゃなかった

 

「あー………どうしよ……」

 

 メイン武器を仕えなくされたオレは結構ピンチだった、それでもスコーピオンは残っているし。アステロイドとγ(ガンマ)は単体で使えるからまだ戦える

 

「結構楽しかったけどこれで終わりだよ」

 

「っ!!」

 

 遊真は自身のトリオン体を強化して威力を上げてきた、オレの前まで来て勝利を確信しているが、油断をしているわけではない。むしろ来てくれて良かったと思うほどだ

 

「っ!?………ん?何で槍が……」

 

 オレを殴る直前、振りかぶる遊真の腕を春風で切り離した。使えなくしたのに何で?という不思議な表情をしながらバックステップで距離を取る

 

「教えてあげるッスよ。仕えなくなったトリガーはもう一度起動すればいいだけッス。ただし、オレのγで命中したトリガーはどうやっても仕えなくなるッスけどね!!」

 

 左手でグリップを持って遊真にγ撃つ。シールドを使えない状態では逃げることしか出来ない遊真は躱していく

 

「つまんない嘘吐くね?そのγってトリガー、本当にずっと使えないの訳じゃないよね?」

 

「自分で確かめたらいいッスよ」

 

 以外と避けるのが上手くて建物の影に隠れられてしまった。けれどオレのサイドエフェクトには遊真のトリオン反応が鮮明に見える、だから撃つのをやめて屈折旋空を放った

 

「屈折旋空!」

 

 春風を振って帯びのように細い弧月の斬撃が飛ぶ、そして反射板が一瞬だけ出ると弧月は曲がって遊真を貫いた

 そのあと爆発音が聞こえたからトリオン体を破壊できたと思ったのだが。次の瞬間、隠れていた建物の壁が派手に壊れて、瓦礫がオレに飛んできた

 

「ちょ!?……」

 

 シールドで何とか当たってしまうことはなかったけど、何で壊れたのか分からなかった。屈折旋空にはそこまでの威力はない

 じゃあ仕留めそこなった?と思ったときには遊真の反応が上から感じて、見上げてみればもう目の前まで来ていた

 

「っ!!」

 

 ギリギリで避けれたオレは春風を振るより、スコーピオンを肩から出して遊真の首を貫いた。そして今度こそ倒した

 

 

「空閑!」

 

「遊真君」

 

「……負けた、いや~マモルは強かったよ」

 

 そう言った遊真の表情は悔しがっているようにも見えたが笑っていた、思ったとおり楽しんでもらえて良かったと思った

 

「さっすが護君ね、遊真君に勝つなんてね」

 

「褒めてるのか呆れているのかどっちかにしてほしいッスよ」

 

 オレはそう言い返したが、宇佐美に褒められた事が素直に嬉しかった

 

「そういえば何で戦闘中に何でオレの質問には答えなかったの?情報を与えないため?」

 

「そうッスよ、オレの予想じゃ遊真のサイドエフェクトは『相手の返事を聞いて嘘を見抜く』、つまり相手が何も言わなければ嘘かどうかなんて分からないんじゃないか~って思ったんスよ」

 

 最初の攻撃でオレが槍の春風以外で剣を使っているのを見て両方使えるのか、それともカウンターや防御や牽制などに装備しているのか見抜こうとしたんだろうけど、オレはそれに答えなかった

 

「どうだ遊真?ボーダーにはオレみたいに強いやつが沢山いるッスよ!さっきみたいに遊真が苦戦する奴とか」

 

「……ふむ―――」

 

 オレとしては模擬戦が楽しみの一つとして、この玄界(ミデン)に残る理由として、生きる為の目的になって欲しいと思っている。オレの知る限り、3年間戦い続けた遊真は戦うことで楽しみを得ているような気がしたからだ

 すると今度は三雲が前に出てきた

 

「空閑」

 

「ん?どうしたオサム?」

 

「千佳がボーダーに入るって言ってるんだ、ネイバーに攫われた兄さんと友達を探しに行きたいんだそうだ」

 

「あー……なるほど、オサムはどうすんの?」

 

「止めようかと思ったけど止めても聞きそうに無かったから手伝うことにした、僕は千佳とチームを組んで玉狛支部からA級を目指す」

 

 いつそんな話しになっているのか不思議に思っていたら、隣に来た宇佐美がこっそり教えてくれた。どうやらオレが屋上で遊真を誘っている間に、そういう話をしていたらしい

 

「おー、面白そうだな」

 

「お前も一緒にやんないか?おまえに嘘ついても仕方ないから言うけど、レプリカに親父さんの話を聞いたんだ、お前がこっちに来た目的も」

 

「んー残念ながら無駄足だったけどね、おれはもうこっちでやることはなくなった」

 

「だったら僕にお前の力を貸してくれ!千佳が兄さんたちを探しにいけるように………正直今の僕と千佳だけじゃA級に上がるのは難しい」

 

「難しいどころか絶対に無理ッス」

 

 三雲の自分の限界をしっかりと理解している所は感心するけど、それでも遠征に行くなら今のままではだけだと容赦なく追い討ちをかける。A級へ上がるのは最低でも今の倍以上の力と経験を積まないとB級のランク戦すら怪しいのだ

 

「っぐ!…………確かに護の言うとおりだ、だから僕と千佳には実力のあるリーダーが必要なんだ」

 

「………オサムは相変わらず面倒見の鬼だな、相手が千佳だからとはいえ」

 

「っ!?」

 

 遊真の一言に急に頬を赤らめた三雲の表情は虚を突かれたといった感じに驚いている

 

「いや、オサムは誰が相手でもそうか、そしてたまに死にかける」

 

 最後は笑いながら言うセリフじゃないだろうと、頭の中でツッコむが声に出さずこのまま成り行きを見る

 

「親父がオレを助けて死んだとき、親父は何故か笑ってた。その理由がオレには分からなかった。オレが死にかけたのは親父の忠告を聞かなかったからで。親父が代わりに死ぬ必要なんて全然なかったのに、なんであの時笑ってたのかそれを親父に聞いてみたかった……けどその辺、ちょっとオサムと似てる気がするんだよなー」

 

「……え?」

 

「自分が損しても他人の世話を焼くところとか、オサムは何で死にかけてでも人を助けるんだ?困ってる人は見過ごせない性質なのか?」

 

 

「別にそんないいもんじゃないよ、僕は、ただ…………自分がそうするべきだと思ったことから1度でも逃げたら、きっと本当に戦わなきゃいけないときにも逃げるようになる、自分がそういう人間だって知ってるんだ。だから僕は人のためにやってるんじゃない、自分のためにやってるんだ」

 

 三雲の過去に何があったのかは知らないが、さっき言った言葉は自分を理解していてすごいけど、もう一つ、強迫観念にも聞こえた

 恐怖があれば逃げるのは当然だが、やらないといけないからって逃げずに戦うのは自殺行為と一緒だ

 

「なるほど、オサムっぽいな、けどヤバイ時は逃げないとそのうち死ぬぞ、逃げるのも戦いの内だ」

 

「遊真の言うとおりッス、自分を理由に逃げる選択肢を捨てるのは愚か者のすることッス。A級目指して遠征メンバーに選ばれたいなら、最低でも生き残るための考えも身に付けないといけないッス。でないと本当に辛い目に会うッスから」

 

「護………分かってる、この間の学校での戦いでそれはなんとなくだけど理解している、でも後悔はしていないから」

 

 三雲は理解力はあるから今言った言葉も嘘ではないだろう、そう思ったオレはこれ以上何も言わなかった

 

「さて、オレも手伝うか、ほっとくとオサムとチカがすぐに死にそうだからな、後チームを組むのも楽しそうだしマモル以外にも強い奴は沢山いるみたいだし、そいつらと戦ってみたかったりもする」

 

「空閑!」

 

「遊真くん」

 

 無事遊真からも合意を得られた千佳はまた、目標のために1歩近づいたことに嬉しかったり、友達が仲間になるのが嬉しかった

 そして3人は支部長室に行き三雲には転属用の、遊真と千佳には入隊の書類が準備されており迅さんが未来視のサイドエフェクトで視ていたそうだ

 

 

 

 


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