「比企谷、これも頼むよ」
「あ、はい...」
糞上司め...また俺に自分の仕事押し付けやがって。なんで俺がお前の仕事しなきゃならんのだ。
まぁそんな事言わないけどね。この年でもし職を失おうものなら小町に嫌われちゃうし、愛しの嫁さんにブチギレられる。まぁぶっちゃけ上司が怖いだけですが(笑)
俺の名前は比企谷
あ、一応息子もいる。忘れてた訳じゃないよ?ほんとだよ?
「はぁ...やーっと終わった...」
糞上司から押し付けられた仕事をやり終え、タバコを吸いつつ時折MAXコーヒーを流し込む。やっぱこのコンビは最高だな。例えるならジョニィとジャイロみたいなもん。意味わかんない?7部読め7部。
MAXコーヒーを飲み終え、帰宅の途に就こうとすると
「あ、比企谷さん今帰りですか?飲み行きましょうよ~」
「嫁と娘が俺の帰り待ってるから無理」
「いやいや毎回同じ理由で断るのやめてくださいよ...」
「ハッハッハ」
こいつは後輩の
「マジで行きましょうよ」
「お前酔うと惚気話ばっかするから嫌なんだよ...」
ぶーぶー言ってる三井を置いて今度こそ帰宅の途に就く。ちなみに車通勤で愛車はスバルのレガシィB4。アイサイトすげぇなと感動し嫁に土下座して買い換えたが、ACCの便利な事よ。まぁ過信しすぎるのは何事にも良くないけどな。特に人間。人を簡単に信用すると陸な事にならない。
ソースは俺。お、下らない持論話してたら家が見えてきた。小町ィ!今行くから待ってろよ!
「ただいま」
「あら、遅かったね。おかえり」
「おかえりー、おとーさん」
「...おかえり」
「おーう、ただいま。上司が毎度の如く仕事押し付けてきやがってな。そろそろ上にチクるまである」
「そんな度胸ないでしょ、あんた」
最初におかえりを言ったのが、比企谷
次に可愛らしい声でおかえりと言ってくれたのがMy Sweet Angel小町だ!
母親にそっくりで、とにかく可愛い。胸の辺りが少し残念だが、嫁の遺伝子ならきっと大きくなるだろう。でもそうなったらますます嫁には絶対行かせたくないな...行くなら俺を殺してから行けとか言っちゃうかも。
最後におかえりを言ったのが息子の八幡だ。小町に懐かれてるのが気に入らない。小町に頼られてるのが気に入らない。小町に(ry。まぁ目が死んでるが顔は悪く無いし勉強もできる。友達がいない事と性格が捻くれてるのと小町関連の事にさえ目をつむれば、自慢の息子だ。目つむりすぎだろ俺。てか、こいつ妙にそわそわしてんな。
「八幡、今日なんかあったのか?」
「別に、いつも通りなんもなかった」
「いつもなんもないのか...」
こいつは仮に何かあったとしても俺には言わない。と言うか誰にも言わないと思う。初めての子だった為どの様に教育したらいいのか分からず、俺の親父が俺に施した放任教育をそのまま八幡に施したら自分でなんとかしようとする思いが強い子に育ってしまった。別に自分の事を自分でなんとかするのは悪い事ではない。寧ろこれは褒められるべき事だ。しかし、いつかきっと自分ではどうにもならず他人を頼らなきゃいけない時が来る。その頼る相手は俺でなくても良い。妹でもいいし母親でも4月から通う高校で知り合った奴でもいい。とにかく、八幡には気の許せる奴を作ってほしい。
でもこいつは俺の教育+中学校での辛い思い出のせいで、他人に何かを求める事を諦めているっぽいから高校で気の置ける奴を作るのはかなり厳しくなりそうだ。俺が八幡と面と向かいながら腹を割って話したらいいだけの話なんだが、どうにも恥ずかしくて言えない。俺の悪いとこだな。...あれ、高校?今日何日だっけか...あぁそれでそわそわしてたのか。
「八幡」
「ん」
「高校で友達できるといいな」
「は、はぁ?んだよいきなり」
「親心だよ、親心。明日総武高の入学式だろ?」
「まぁ...そうだけど」
「がんばれよ、友達は大事だ」
「...なんか気持ち悪ィんだけど」
そう、八幡は明日高校の入学式を控えてるんだった。こいつ遠足の前の日は寝れないタイプだからな。緊張してそわそわしてたんだろう。と言うか、もしかしたら俺の考えは間違ってたかもしれないな。あいつが嫌いそうな事言ったのに否定しなかったし、こいつはこいつで友達が欲しいと思ってるのかも。ま、本人がやる気ならどーにかなるだろ。ふふっ、以外と可愛いとこあるんだなこいつも。
「大体、友達のいない親父に友達の大切さなんて分からねーだろ」
「「ププッ...」」
前言撤回、やっぱこいつ可愛くねーわ。