榛名さんの苦労話   作:榛猫(筆休め中)

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前回までのあらすじです!

ロストアイランドと思わしき島に辿り着いた私達。

龍の巣を探すべく島の頂上まで向かいます。

しかし、頂上に着いたところで足場が崩れ、私達はまっ逆さまに落ちていくのでした……。

今回は台詞が多い回となっています。


龍じいを守れ!カゼカゼvsカマカマ!

sideハルナ

 

 

「皆さん、無事ですか?」

 

 

「……あぁ、なんとかな…」

 

こんにちは、ハルナです。

 

現在私達は落ちた建物の中に入っています。

 

 

「みんな、上を見るっぽい!」

 

不意に夕立ちゃんが叫びます。

 

その声に連れて上を見ると……。

 

 

「……なに、これ…」

 

アピスちゃんが疑問の声をあげます。

 

そこには、巨大な天井画が描かれていたんです。

 

 

「すげぇ…デッカイ絵だなぁ、何の絵だ?」

 

 

「んーなんなんだありゃ…っ!あたたたっ…」

 

 

「大丈夫ですか?」

 

 

「ウソップは上向き過ぎっぽい」

 

 

「んだとぉ!」

 

 

「なによ!」

 

夕立ちゃんとウソップくんが言い争いを始めます。

 

それを横目に私は天井を見上げます。

 

白い建物に千年龍とおぼしき絵…それに軍艦にそっくりな絵……。

 

それに真ん中のコンパスを象ったような絵…ッ!まさかこれって……。

 

 

「お姉ちゃん、これもしかして…」

 

 

「ナミも分かったのね、えぇ、これは地図よ、ロストアイランドへの」

 

それを聞いて反応したのはサンジくんです。

 

 

「地図ってことはなにか?この絵がロストアイランドの場所を示してる…。そう言いたいのか?姉さん」

 

 

「えぇ、そのとおりですサンジくん」

 

 

「じ、じゃあここはロストアイランドじゃないの?」

 

アピスちゃんには信じがたいことですよね…。でも本当のことを教えないと。

 

 

「はい、ここはロストアイランドではありません」

 

 

「そんな…じゃあ何処にあるの…龍の巣は…」

 

落ち込み俯くアピスちゃん。

 

 

「なんでそんなことわかんだよ姉ちゃん」

 

ルフィくんの疑問も最もです…。

 

 

「上を見てください」

 

私の言葉に上を見上げるルフィくん達。

 

 

「あそこのドーム型の建物のある島、あれが今私達のいる建物なの…。そして、その島の周りにいる人達は昔この島に住んでた人達…。謂わばアピスちゃんのご先祖様達と言うのとになりますね」

 

 

「私達の…」

 

 

「続きは私が話すわ…。

みんな、ボクデン爺さんの言ってたこと覚えてる?」

 

ナミが引き継いで話をしてくれます。

 

 

「いや、寝てた!」

 

ルフィくん…それは堂々と言うことじゃないです……。

 

あぁ…また頭痛が……。

 

 

「榛名さん大丈夫っぽい?」

 

 

「あぁ…ごめんなさい夕立ちゃん…」

 

その様子に苦笑しながらもナミは続けます。

 

 

「ほら、軍艦島の人達は他の島から渡ってきたとか言ってたじゃない…。ね?ジンツウさん」

 

 

「はい、そう聞いてますね」

 

 

「そうだっけか?」

 

 

「じゃあ、爺さんが散々言ってた王朝ってのはこの島にあったってことか?」

 

 

「多分ね、それで気になったのがここに来るまでにあちこちあった龍の象や絵、あれはこの島に住んでた人達が千年龍を神として崇めてたってことなんじゃないかと思うの。きっと昔は、この島の上を千年龍が飛んだりしてたのよ」

 

 

「なるほどね、それなら確かにこの島に龍の巣がある可能性は低いっぽい」

 

納得する夕立ちゃんの言葉にアピスちゃんが噛みつく。

 

 

「でも!それじゃあ本物は何処にあるの?」

 

 

「あの龍が描かれてる島がそうってことなんじゃねえのか?」

 

ゾロさん、鋭いですね。

 

 

「えぇ、その通りです。あれこそが本物のロストアイランド。龍の巣もそこにあるんでしょう」

 

 

「でも、待ってください!それじゃあ目的地は最初から…」

 

神通さんが信じられないとばかりに言います。

 

 

「はい、神通さんの言う通り、この地図の指し示す通りなら、龍の巣は軍艦島にあると言うことになるんです」

 

 

「だけどよ、軍艦島にはそれらしいところはねえってナミがそう言ってたじゃねえか」

 

 

「けど、地図にこうして書いてあるっぽい、それともウソップは昔の人が出鱈目に書いたって言いたいの?」

 

 

「そうだぞおまえら!姉さんやナミさんが間違ったことを言うわけねえ、あの島の何処かにあるってことだろ、行ってみりゃ分かることじゃねえか」

 

 

「でも、あるいはもう海のそこに沈んでしまっているのかも…ううん、その可能性の方が大きいわ。それなら今まで誰にも見つからなかった訳も納得いくもん」

 

それを今まで黙って聞いていたアピスちゃんが急に駆け出します。

 

アピスちゃんが向かったのは龍のお爺さんのところでした。

 

 

「龍じい!思い出してよ龍じい!

 龍の巣はどこにあるの?

 ここだと思ったけど何もないの!

 絵しかないの!

 龍じい!あの絵を見て何か思い出さない?

 後はもう、龍じいが思い出すしかないの!

 ねえお願い!思い出してよ龍じい!」

 

 

「…………」

 

アピスちゃんの言葉に龍のお爺さんがゆっくりとその瞳を上へと向けます。

 

その時、近くに止まっていた鳥達が一斉に飛び立ち、建物内部を飛び回り始めました。

 

それはまるで、嘗ての千年龍達の飛ぶ様を表すかのように……。

 

それを見た龍のお爺さんが目を見開きます。

 

 

「…龍じい!」

 

 

「よし、やっぱ龍の巣は軍艦島にあんだな」

 

 

「ルフィくん、龍のお爺さんの言ってることが分かったの?どうして?」

 

 

「なんとなくだ」

 

あぁ、そんな気はしてました……。

 

 

「うん、龍じい思い出したって…軍艦に似た頂の東、あの島の中に龍の巣はあるって…」

 

やっぱり、目的地は最初からあの島にあったんですね。

 

 

「まったく、散々苦労してここまで来たのにどういうことだ…」

 

 

「ごめん…もう海に沈んでしまったかもしれない物のために、こんなところまで引っ張り回しちゃって…無駄足だったね」

 

 

「そうとも限らないぜ、案外、意外なところに龍の巣はあるのかもしれないぜ?行ってみねえことには分からねえだろ?」

 

 

「そういうこと、このぐらいでめげるなんて、アピスらしくないわ」

 

 

「失敗を恐れてちゃ、何も出来やしないぜ?」

 

 

「そうだよ!しっかり龍じいを送り届けてあげなくちゃ駄目っぽい!」

 

 

「兎にも角にも前進あるのみです!」

 

 

「ま、回り道の人生ってのも悪くねえ」

 

 

「にっ!行くか!ここにいても龍じいは元気になんねえんだろ?なっ?」

 

 

「……うん!」

 

 

「行きましょう、アピスちゃん。龍じいさんを故郷に送り届けに…」

 

 

「ジンツウさん…うん!」

 

これで目的地は決まった、その時のことでした…。

 

 

【ゾワッ】

 

殺気が私達を、包み込みました。

 

けど、ルフィくん達は気がついていないようです。

 

 

【カチャンッ】

 

ゾロさんが不意に刀を鍔から弾き出し、上を睨み付けました。

 

夕立ちゃんも上を睨み付け、臨戦態勢に入っています。

 

「ゾロ、あなたも気付いたっぽい?」

 

 

「あぁ、ユウダチも気付いてたか」

 

 

「ぽい、榛名さんも気づいてるっぽい」

 

 

「ゾロ、ユウダチ、それに姉さんもどうしたの?」

 

未だに気がついた様子のないナミが問いかけます。

 

 

「誰かいる…」

 

 

「殺気よ…ナミ…気をつけて…」

 

ナミに警告しつつ私は殺気の出所の上を見上げます。

 

見上げた先に現れたのは私達が落ちてきた穴から私達を見下ろしていた細いサングラスに紫色の毛を真上で纏め逆立てた、おかしな髪型の男性でした。

 

 

「説明ご苦労、お陰で竜骨の在処、龍の巣の場所が分かった…」

 

 

「またお前か!」

 

 

「いい加減しつこいっぽい!」

 

ルフィくんと夕立ちゃんの言葉に耳もくれず、男性は話します。

 

 

「しかし、海の底では意味がない…。やはりその千年龍を頂くしかないようだな」

 

 

「ダメ!大体、龍の巣が海の底だんてまだわかんないもん!」

 

 

「夕立ちゃん、あの人って確か…」

 

 

「うん、カマカマの実の能力者よ確か名前は…そう、オカマのエリックっぽい!」

 

 

「だからちがーう!鎌鼬のエリックだ!」

 

 

「質の悪りいのが来やがったな…」

 

 

「いいっ!カマカマの実って、悪魔の実の能力者かよ…」

 

ウソップくん達が話すなか、夕立ちゃんが前へと出て、ルフィくんに言います。

 

 

「ルフィ、ルフィ達は先に龍じいを連れて船に行って…私は後から向かうわ」

 

しかしその言葉に反応したのはルフィくんではなくゾロさんでした。

 

 

「おい、ユウダチ…それなら俺が…」

 

 

「アイツの武器は風っぽい、それなら同じ風の使い手である私の方が良いっぽい」

 

 

「…分かった、ユウダチ、任せるぞ、行くぞゾロ」

 

 

「お、おい…」

 

 

「先に船にったって…出口なんてわかんねえぞ?」

 

 

「そんなもんは…作る!!うりゃあぁぁぁぁっっ!!」

 

そう言うや否や、壁に向けて走り出すルフィくん。しかし……。

 

 

【バイーンッ】

 

壁に跳ねかえってしまいます。

 

 

「んー…あれぇ?ぶっ壊せると思ったんだけどな…」

 

それを見ていたナミがポンと手を叩いて言います。

 

 

「その手があった!お姉ちゃん!アレで壁破壊して!」

 

 

「ナミ…アレってまさか…」

 

凄く嫌な予感がするのですけど……

 

ナミはウインクしながら言います。

 

 

「そう、そのまさかよ!早く!もう時間がないわ!」

 

どうしてこう…この妹こうなんですかぁ!!

 

 

「どうなっても知らないわよ!『副砲展開』!」

 

私は副砲である高角砲を展開させ、壁に向けて狙いを定めます。

 

 

「榛名!全力で参ります!」

 

 

 

ドッゴオォォォォンッッ

 

物凄い轟音と共に、吹き飛ぶ壁…。

 

 

「おぉ!開いた開いた!さっすが姉ちゃん!よしっ行くぞ!」

 

こんなことで大丈夫なのでしょうか……。

 

そんなことを思いながら私は龍のお爺さんを連れてその崩れた穴から飛び出していくのでした。

 

 

 

 

sideout

 

 

 

 

sideユウダチ

 

 

【ガラガラッ】

 

 

「おぉ!開いた開いた!さっすが姉ちゃん!よしっ行くぞ!」

 

崩れた壁から出て行こうとするルフィ達…。

 

 

「逃がすか!」

 

それを逃がすまいと穴から飛び降りてくるオカマのエリック。

 

 

「やらせないわ!『風魔 螺旋弾』」

 

幾つもの風の弾丸がエリックに向けて撃ち放つ。

 

 

「チッ…!カマカマのぉ…!」

 

【ヒュババッ】

 

手から放った鎌鼬で螺旋弾を次々に切り落として地面へと降り立つエリック。

 

私も風の刃を作り応戦する。

 

ルフィ達はもう行った…?

 

見るとルフィは未だに落ちてきた壁画を眺めていたっぽい。

 

 

「ルフィ!何してるのよ!早く行って!」

 

 

「あ、悪りい」

 

そう思うなら早く行ってほしいっぽい!

 

風剣でエリックの攻撃を捌きながらもそう考える。

 

そのすぐ後に、ルフィ達は崩れた穴から外に飛び出していったっぽい。

 

 

『『『『いやあぁぁぁぁっ!!』』』』

 

榛名さん達の悲鳴が聞こえてくるけど…今はそれど頃じゃないっぽい!

 

 

「貴様…!邪魔立てすると許さんぞ!」

 

 

「へぇ、どう許さないのかしら、じっくり見せてもらうっぽい!」

 

 

「…ッ!!」

 

榛名さん!後は任せるっぽい!

 

 

 

 

sideout

 

 

 

 

sideハルナ

 

 

ハルナです。

 

今私達は猛スピードで坂を下ってます。

 

建物から飛び出した私達は張り巡らせた木の根を滑り落ち、先程登ってきた下り坂を荷車で駆け降りてます。

 

 

「ねえ、ユウダチさん本当に大丈夫!」

 

 

「ん?大丈夫だって!」

 

 

「でも、相手は悪魔の実の能力者よ、いくらつよくたって敵いっこないわ!」

 

 

「それでもだいじょーぶ!」

 

余程夕立ちゃんに信頼を預けているんですね…。

 

そういえば、前の提督もそうでした…。

 

等と考えているとアピスちゃんが叫びます。

 

 

「ルフィ!前まえ!」

 

 

「いいっ!?参ったなこりゃ…」

 

 

「参ったなじゃなくて!なんとかしてよおぉ!!」

 

そんなことしている間に荷車はトンネルの中へと入っていくのでした……。

 

 

 

 

sideout

 

 

 

 

sideユウダチ

 

 

「カマカマの…!鎌鼬!」

 

飛んでくる鎌鼬をなんとか躱わす。

 

後ろを見ると綺麗に切れた壁画……。

 

 

「危ないっぽい…」

 

あんなのに触れたら艤装を着けててもアウトね……。

 

そんなことを考えていると、エリックが崩れた壁の方に走って行くのが見えた。

 

 

「逃げる気!まだパーティーは始まったばかりよ!」

 

 

「パーティー等に付き合っている暇はない、私の目的はあの千年龍だけだ!……のわっ!?」

 

 

そう言って飛び降りるエリック。

 

叫んでたところを見るに予想以上に高かったみたいね……。

 

 

「って、こんなことしてる場合じゃないっぽい!追わなきゃ!」

 

私は身体を風へと変えて後を追った。

 

 

 

 

______________________

 

 

 

 

建物を飛び出してすぐ、エリックを見つけた。

 

ルフィ達が通った思わしき木の根を器用に滑り降りていた。

 

頑張ってるようだけど、私には関係ないわ!

 

瞬く間に距離をエリックとの詰める。

 

「追い付いたっぽい!」

 

 

「ぬおっ!?貴様、どうやって!?…そうか貴様、自然系(ロギア)か!」

 

 

「逃がすわけないっぽい『風魔 乱気流』!」

 

風の身体を乱回転させて体当たりをかます。

 

 

「うおっ!?落ちるだろうが!!」

 

 

「落としてやるっぽい!」

 

暫しそんなことを続けていると、エリックが飛び上がった。

 

どうする気かと思えば地面が近くなっていたみたい…そのまま地面へと降り立ち一目散に駆け出して行った。

 

この状態は移動には便利だけど他の攻撃後使えなくなるっていうデメリットもある。

 

すぐさま元に戻り、私も後を追った。

 

 

「待つっぽい!ルフィ達のところにはいかせないわ!」

 

 

 

 

______________

 

 

 

 

 

少し走ったところですぐにエリックに追い付いたっぽい。

 

遠くで砂煙が上がっているのを見るに、どうやらルフィ達の居場所を探っていたみたいね。

 

 

「悪いわね、ここから先は通すわけには行かないわ」

 

 

「……知るか、通る通らないわ、俺の勝手だ…退け!」

 

言うや否や、足元に鎌鼬を飛ばして砂煙を立ち上らせるエリック。

 

目眩ましで逃れようって訳ね、そうはさせないっぽい!

 

 

「風魔……ッ!?」

 

螺旋弾で砂煙を散らそうとしたところに砂煙の中から鎌鼬が飛んでくる。

 

なんとかそれを躱わして着地する。

 

しかしそれを見越したように着地先に鎌鼬が飛んでくる。

 

 

「くっ…!」

 

その鎌鼬を躱わし、エリックを探すと建物の上を忍者のように駆け出していた。

 

あくまで狙いは龍じいってわけね?上等っぽい!

 

そっちかその気なら相手する気になるまで徹底的に邪魔してあげる!

 

螺旋弾を連射しながら私はエリックの後を追った。

 

 

 

 

 

 

______________

 

 

 

 

またしばらく走っていると、今度は木を斬り倒して邪魔してきた。

 

そんなものじゃ私は止まらないっぽい!

 

風を操り、倒れてくる木を高速回転させるとエリックへと打ち返す。

 

 

「……んなっ!?」

 

【ゴチィンッ!】

 

高速回転しながら戻ってきた木の枝にヒットし、屋根の上から落下するエリック。

 

 

「やっと追い付いたっぽい…。今度こそパーティーに付き合ってもらうわ」

 

再び風の剣を突き付け詰め寄る。

 

これで、後はルフィ達が船まで無事にたどり着いてくれれば……。

 

 

「でもその前に…こっちの仕事はをしなくちゃっぽい」

 

今まで展開していた風の剣を霧散させ、周囲の風を操って小規模の竜巻を起こす。

 

 

「な、何をするつもりだ!」

 

 

「また邪魔しに来られても面倒だから飛んでってもらうっぽい!『風魔 翔龍風』!!」

 

 

「なっ!クソッ離せ!!俺は竜骨を手に入れ、完璧なエリックにぃぃ!ぎゃあぁぁぁぁぁっっ!!」

 

 

「完璧にならなくてもいいからお星さまにでもなっちゃうといいっぽい」

 

竜巻に飲み込まれ、空高く打ち上げられたエリックが見えなくなったのを見送って、私は船へと戻って行くのだった。




ユウダチも戻ってきて今度こそロストアイランドに迎えるぞ!

あれ?なんだあの軍艦…龍じいの邪魔はさせねえぞ!


次回!榛名さんの苦労話!

破れネルソンの陣!榛名の本領発揮!

海賊王に!オレはなる!

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