榛名さんの苦労話   作:榛猫(筆休め中)

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前回までの榛名さんの苦労話っぽい!

抜け出したアピスを追って外に出た夕立。

そこでコソ泥紛いの事をしているアピスを目撃する。

見つかったアピスは観念して夕立に秘密を打ち明けるため、ある場所へと夕立を連れて行く。

そこで夕立は幻の生物、千年龍の龍じいと会合を果たすのであった......。


故郷を探せ、幻のノロストアイランド!

side夕立

 

 

 

「.........」

 

 

「うん、大丈夫だったよ、私も最初はどうしようかと思っちゃったけど、とてもいい人たちだったから私をここまで送り届けてくれたの」

 

 

「.........」

 

 

「え?そんなこと無かったよ?逆にわたしの事を心配してくれたんだから」

 

暇っぽい......。

 

あ、ヤッホー、ユウダチだよ!

 

今、アピスに連れられて山の裏手にある洞穴にいるんだけど......。

 

 

「.........」

 

 

「あぁ、ごめん...一生懸命調べてるんだけど......」

 

この会話からわかる通り、私はやることがないっぽい......。

 

元々ジッとしてるのが得意っていう訳でもなかったから余計に退屈っぽいぃ......。

 

そんなことを考えながらアピス質の話を聞いていると、不意に探信儀に反応があったの。

 

 

「アピス、誰かこっちに来てるっぽい」

 

 

「え?誰かって?」

 

 

「.........」

 

龍のおじいさんもその大きな瞳をこちらに向けて何かを訴えかけてくる。

 

けど、私じゃ何を言っているのかさっぱり分からないっぽい......。

 

 

「分かんないけど、アピスを探している海軍の可能性もあるわ、少し身を隠すっぽい」

 

 

「で、でも...それじゃあ龍じいが......」

 

 

「...風幕(風敷物)」

 

私は風の幕を作ってそれを軽く龍じいさんに掛ける。

 

風の幕はすぐに辺りの砂を吸い上げて保護色となり不可視化する。

 

 

「これなら見つかる心配もないっぽい、ほら、早くアピスも隠れるっぽい」

 

 

「う、うん......」

 

渋々といった様子で近くの岩壁に身を隠すアピス。

 

それを見届けた後、私は近づいてくる気配を待った。

 

 

 

 

____________________

 

 

 

 

「あれぇ?なんでユウダチがここにいるんだ?」

 

 

「姿が見えないと思ったらこんなところで何してるの?」

 

気配を警戒していたところに不意にそう声を掛けながら近づいてきたのはルフィとナミだったっぽい。

 

 

「え?ナミにルフィっぽい?そっちこそ、どうしてここに?」

 

 

「あたし達?あたし達はなんか怪し気に引きずられた跡がここまで続いてたから、その後を辿ってきたのよ」

 

あちゃぁ...ごめんねアピス、これはもう誤魔化しようがないっぽい......。

 

 

「そっか、そこまでバレちゃってたら仕方ないわね、アピス、出てきて良いっぽいよ」

 

そう岩肌に向けて声を掛けると、アピスがひょっこり顔を出したっぽい。

 

 

「え!?アピス、あんたもいたの?」

 

突然のアピスの登場でナミが驚きの声を上げる。

 

それを横目に私は発動していた能力を解除したっぽい。

 

途端に風の幕が消え、姿を現す龍のおじいさん。

 

 

「.........」

 

 

「いぃっ!?!?」

 

 

「ひっ!?!?」

 

いきなり目の前に現れた巨大な龍に二人は驚きの表情を浮かべる。

 

しかしルフィはすぐさま態度を変え......。

 

 

「おぉー!スゲエ!スゲエスゲエ!!」

 

 

「やめて!やめてったら!ルフィ!」

 

スゲエスゲエと連呼しながら龍のおじいさんにまとわりつくようにべたべたと触りまくるルフィ。

 

そしてそれを必死に止めようとするアピス。

 

それをみて私が思った事......。

 

......うん、なんだかハルナさんの苦労が分かった気がするっぽい。

 

これだったっぽい......。

 

ナミは驚いた顔のまま動かないし...これどうしたらいいっぽい?

 

私がどうしたものかと迷いあぐねていた時だったっぽい。

 

 

「......ん?」

 

 

「.........」

 

ベタベタと龍のおじいさんに触っていたルフィが、ふと動きを止めたの......。

 

 

「......」

 

 

「.........」

 

しばし無言で見つめ合うルフィと龍のおじいさん。

 

 

「...そっか、お前故郷(ふるさと)に帰りたいのか」

 

え?今ルフィ、何て言ったっぽい?もしかして、龍のおじいさんの心が読めたっぽい!?

 

アピスも驚いたような顔をしてるっぽい。

 

龍のおじいさんに無言で見つめられてアピスは小さく頷くと口を開いたっぽい。

 

 

「龍じいが、ルフィとお友達になっても良いって。ユウダチさんと同じ匂いがするから信用できるって」

 

その言葉にルフィはチラリと私の方を見てからまたアピスの方を見てニッと笑う。

 

 

「ルフィ、どうして分かったの?龍じいの心が......」

 

 

「なんとなくだ」

 

 

「なんとなくって......」

 

 

「なんとなくで心を読めるっていったいどういうことっぽい?」

 

アピスですら悪魔の実を食べたから分かる程度っぽいのに......。

 

 

「お前こそよく分かるな」

 

 

「あ、いや、わたしはその......」

 

 

「アピスは悪魔の実の能力者っぽい、ヒソヒソの実を食べたヒソヒソ人間らしいっぽいよ」

 

 

「ヒソヒソの実?聞いたことない名前ね」

 

あ、ナミがここでようやく復活したっぽい。

 

 

「うん、わたしもよく知らないんだけど、それを食べてから動物の心が分かるようになったの」

 

 

それであの時(凪の海域突入前)、風が来るってわかったのね」

 

 

「うん、海鳥たちが教えてくれたんだ。龍じいと会えたのも、ヒソヒソの実のおかげなの」

 

そこからはアピスと龍のおじいさんがあった時の回想だったっぽい。

 

内容は簡単に説明するとこんな感じだったっぽい。

 

ある日、島の花畑で遊んでいたアピスにふと風に乗って声が聞こえてきたの。

 

その声の悲しそうな雰囲気にアピスは誘われるようにその声のする方毛と向かったっぽいの。

 

そこで辿り着いた先にぐったりとした龍のおじいさんがいたっていうことだったっぽい。

 

 

「仲間達からはぐれちゃった龍じいはその後も一人で探し続けてたんだって、龍の巣のある『ロストアイランド』を」

 

 

「ロストアイランド?それって......」

 

 

「えぇ、ユウダチもボクデンさんから聞いたでしょ?あの話に出てきた島の事よ。

でも『ロストアイランド』ってずっと昔に沈んだんじゃなかったの?」

 

 

「龍じいの話では、島は再び浮上するんだって。

そろそろその時のはずだって言ってるんだけど、

その場所がどこなのか、

龍じいはもうはっきりと覚えていないんだって...。

もうすっかり年老いちゃって、

飛ぶ力も無くして...

でも、帰りたい帰りたいって......。

わたし、何とかしてあげたいんだけど、

そんな島どこにあるのか全然分からなくてさ...

伝わってる伝説だけじゃ、なんの手掛かりにもならないし......。

だから、偶々この島に立ち寄った海軍にちょっと聞いてみたの。

それが間違いだった、あの人達、竜骨を探してたの」

 

 

「竜骨ってボクデンさんのお話に出てきてた不老不死の妙薬のことっぽい?あの海軍そんな物の為にアピスを」

 

 

「うん...知ってること全部言えって連れて行かれちゃった...。

龍じいに貰った爪をペンダントにしていた所為もあるかもしれないけど」

 

 

「それであの嵐のなかを...無茶しすぎよ」

 

 

「本当に運がよかったっぽい」

 

 

「うん、だから、ボクデンさんにも村の人たちにも内緒にしてる。

迷惑掛かるといけないから......。

でも、わたし、どうしても龍じいを故郷に帰してあげたいの!

龍じい、いつも言ってるわ、龍の巣に戻ればきっと元気になるって......。

何年掛かっても、必ず見つけてあげるの。

絶対、なんとしてでも、見つけてあげるの......」

 

最後の方の言葉には涙交じりになりながらも言い切ったアピス。

 

 

「ルフィ」

 

こんないい子を放っておくなんて出来ないっぽい!

 

 

「あぁ、ユウダチも考えてることは同じみてえだな。

アピス、じゃあオレが、いやオレ達が連れてってやる!」

 

 

「え?」

 

 

「ちょっとルフィ!それにユウダチも、話聞いてた?『ロストアイランド』は海に沈んだって言ってんでしょうが」

 

 

「でも、伝説の千年龍だっていたんだから、『ロストアイランド』もきっとどっかにあるさ」

 

 

「探してみないことには分からないわ!」

 

 

「あんたたちねえ...」

 

「はぁ...どうせ何を言ってもあんたたちの答えは変わらないんでしょうし......。

しょうがない、行くか!」

 

 

「さっすがナミ!話が分かるっぽーい♪」

 

 

「よーし!」

 

 

「ホント?ホントに?」

 

 

「あぁ!」

 

 

「任せるっぽい!」

 

 

「ありがとう!!」

 

 

「よーし!そうと決まればもっと食え!」

 

そう言って袋に入っている豚まんを食べさせようと龍のおじいさんの目の前にしゃがみ込むルフィ。

 

 

「あ、ルフィそれだとちょっと......」

 

 

 

【バクリッ】

 

 

「...龍じいちょっとボケが入ってんのよ」

 

 

「ちょっと遅かったっぽい......」

 

そんなこんなで話は纏まり、私達はハルナさん達にも話をするために一度ボクデンさんのお家にも戻っていったっぽい。




姉ちゃん達の協力を漕ぎつけたし早速龍じいを連れて出港だ―!!

ん?なんだアイツ?変な風つかうやつだなぁ!


次回!榛名さんの苦労話

軍艦島からの脱出!海軍の追跡を振り切れ!

海賊王に...オレはなる!!

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