榛名さんの苦労話   作:榛猫(筆休め中)

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前回までのあらすじ

ある海域似て轟沈してしまった榛名。

しかし、目覚めたのは霊界、そこで神なる人物に出会い、

人間として転生させてもらうことなる

だがそこは元の世界ではなく、海賊が闊歩している

大海賊時代の真っただ中なのであった


旅立ちの朝、榛名出立の時

side榛名

 

 

こんにちは榛名です。いえ、今はハルナでしたね…

 

カミ様にこの世界へと転生させてもらってから、十年の月日が流れました。

 

最初に目が覚めた時は自分が赤子の姿になってしまっていて、とても戸惑いました...

 

でも両親はそんな私を暖かく見守って育ててくれました。

 

そんな風に平和な時が流れて今に至るのですが、私は今日船出します。

 

両親や村の方にはもう話をしてあるんです。

 

 

「それじゃあ、村長さん母様、父様、それに村の皆さん、行って参ります。」

 

 

「道中、気を付けてね」

 

 

「何かあればすぐに戻ってくるんだぞ」

 

 

「皆お主の無事を祈っておるからの」

 

 

「母様、父様、村長さん、ありがとうございます。

では、ハルナ!いざ出撃します!」

 

村の皆さんに見送られて私は海へと旅立ちました。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

「...そろそろいいかしら?」

 

村を出てからかなり沖に出ました。ここなら村の方達にも見えませんよね?

 

私は荷物の中から一つの毒々しい色の果実を取り出します。

 

 

「カミ様は私が目覚めた時にこれを食べろと言っていたけれど...これ、食べられるのかしら?」

 

見るからに食べてはいけない色をしているのよね...

 

でも、わざわざ神様がくれたものだもの、食べなきゃ失礼よね!

 

私は意を決して果実に口を着けました。すると...

 

 

「!...うっ…!こ、これは…」

 

凄い腐臭…それにとても不快になる舌触り…

 

それでいて味も人の嘔吐物を食べさせられたかのような…気分の悪くなる味…

 

これを全部食べなくちゃならないの...?

 

 

「でも、私を思っての行動でしょうし…ハルナ!全力でいただきます!」

 

私は無心でその果実を平らげるのでした...。うぅ…吐きそう…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんとか、果実の不快感から抜け出した私は次の行動に移りました。

 

それは生前使用していた艤装を装着することです。

 

 

「とても久しぶりに着けてみたけれど…問題ないようでよかったわ」

 

軽く動きを確認してから私は船から海に降ります。

 

少々の浮遊感と共に艤装が着水したことを確認して、

 

私は船と艤装を括りつけて走行し始めました。

 

 

「やっぱりこれよね、海と言ったら」

 

深海棲艦とは戦わなくてもいいですけど海賊がうようよいるって話を聞いたから

 

またこれが役に立ちそうだわ。

 

 

「どのくらい使うか分からないけれどまたお願いね...」

 

私は主砲をそっと撫でると海を進んでいくのでした。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

あれからしばらく航行して小さな村を見つけました。

 

とりあえず情報を集めようと私は酒場に行ったんです。そしたら

 

 

「なっ!お前これ!ミズミズの実じゃねえか!」

 

酒場で知り合った赤髪のお兄さんに先日の不快な木の実の話をしたら

 

見せてくれと言われて絵に描いて見せたら凄い剣幕で話し始めたんです。

 

 

「ミズミズ?それはいったいどういう物なのですか?」

 

 

「悪魔の実の一つさ、自然(ロギア)系の実で食べた者はあらゆる水を操り、変化させることが出来るシロモンだ」

 

私はその言葉に驚いてしまいます。

 

 

「私にそんな力が...」

 

 

「能力者ならだれもが羨む能力だぞ?それ、なんせ海に落ちたとしても

水を操つりゃ自力で脱出することも可能なんだからな」

 

その言葉に私は疑問を覚えます。

 

 

「ほかの能力者さんが羨むというのは何故なのですか?」

 

すると赤髪のお兄さんは嘘だろ?と言う顔して

 

 

「お前さん知らないのか?能力者の全般はな海水と海牢石が大の弱点なんだ。

その一つの弱点をお前さんは無効化できるんだ、そりゃ羨むだろうよ」

 

そこまで聞いて私は納得しました。

 

ほかの能力者さん達は海に落ちたら戦えないんですね

 

でも私にはそれができる...なんだか凄い力を貰ってしまったのではないでしょうか

 

私が考え始めたのを見て、赤髪のお兄さんは隣にいた子供をからかい始めました。

 

どうやらその子はお兄さんの船に乗せてもらいたいみたいです。

 

でもお兄さんはそれを笑ってからかうだけ、なんだか微笑ましいです。

 

子供が背伸びする姿は本当に見ていて和みます...。

 

すると突然酒場のドアがけ破られました。

 

 

「邪魔するぜ...」

 

その低い声と共に中に入ってきたのは

 

茶色のコートのようなものを着た中年の男の人でした。

 

 

「ほう…?これが海賊っ言う輩か、間抜けたツラしてやがる」

 

そう言うと男の人はカウンタ―の前まで来て足を止めました。

 

お店の女将さんが対応するために声をかけます。

 

 

「...いらっしゃいませ。」

 

 

「俺達は山賊だ…が、別に店を荒らしに来たわけじゃねえ…酒を売ってくれ、

樽に十樽程な」

 

その言葉に女将さんはお酒の在庫が切れてることを伝えると

 

 

「ん?おかしな話だな、海賊共が飲んでんのはありゃなんだ?水か?」

 

その反論に女将さんが今出ているので全てだということを伝えると

 

 

「悪いな、俺達が全部飲み尽くしちまったみたいで」

 

赤髪のお兄さんが口を出したんです。

 

 

「すまん、これでよかったらやるよまだ栓も空けてない」

 

そう言って一つの瓶を差し出すお兄さん。

 

男の人はそれをたたき割ってしまったのです。

 

 

『っ!』

 

女将さんと子供が息をのんでいるのが聞こえます。

 

 

「俺はな、800万ベリーの賞金首だぜ?こんな瓶一本じゃ寝酒にもならねえ」

 

 

「......あぁーあ…床がびしょびしょだ…悪かったなマキノさん、雑巾あるか?」

 

 

「あ、私やりますから!」

 

そう言って女将さんが表に出ようとした時でした。

 

男の人が腰につけていた剣に手をかけて降りぬいたのです。

 

私はそれを素早く動いて受け止めます。

 

 

「あぁ?なんだこのガキ...」

 

 

「これ以上の暴挙は許せません、まだやるのでしたら私がお相手します」

 

 

「はぁ?ガッハッハッハッハ!お前みたいなガキに何ができる

そんなに死にたいのなら殺してやる!」

 

男の人が剣を戻し再度切りかかってきます。

 

私はそれを平然と受け止めます。

 

 

「なっ!なんだこのガキは...」

 

 

「あなた達の身勝手さ、許せません!喰らいなさい!

『アクア・ボール』」

 

すると扉の外から大量の人間大ほどもありそうな大きな水の球が飛んできて

 

山賊たちを閉じ込めたのです。

 

 

『なっなんだこりゃあ!あいつ1悪魔の実の能力者か!』

 

 

『と、とりあえずここはずらかるぞ!このままじゃ殺される!』

 

大慌てで逃げていく山賊たち、私はホッと息をつきました。

 

 

「ありがとな、助けてくれて、ちょっと危なかったからな」

 

赤髪のお兄さんがお礼を言ってきます。でも

 

 

「当然のことをしたまでです。お礼を言われることなんて…ハルナにはもったいないです」

 

 

「それでもさ、助かったことには変わりはないんだ、だからありがとう」

 

その後、子供…ルフィくんがお兄さんに怒っていました。

 

何で戦わないんだ…とあんなのカッコ悪い、海賊じゃない...と

 

私はきっと何か理由があるんだろうと考えてその話を静かに聞いていました。

 

その後、ルフィくんがやけになって何かを食べていたところを

 

お兄さんが慌てて止めていたというちょっとしたひと騒動があったのはまた別の機会に

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

その数日後のことです。

 

村の中を酒場の女将さんが大慌てで走っていました。

 

どうかしたのかと声をかけると、ルフィくんが以前の山賊に喧嘩を売ったのだそうです。

 

私はその話を聞き、すぐにその場所に向かいました。

 

現場に着くとルフィくんが山賊の頭に踏みつけられていました。

 

あの話は本当だったようです。

 

私が止めに入ろうとするとそれを制止する人がいました。

 

あの時の赤髪のお兄さんだったのです。

 

お兄さんは私を下げると、山賊の方に歩いていきました。

 

そして、その数分後には山賊の部下たちはお兄さんの手下の手によって、

 

全員伸びていました。

 

それを見た山賊の頭は慌てて煙幕を張りルフィくんを連れ去って逃走しました。

 

私は人目につかない場所までいくと電探(レーダー)をつけました。

 

すると、海の方に二つの反応を見つけました。

 

私はすぐにその反応のある方に向かいました。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

しばらく海を進んでいると、そこには目の前で船ごと海王類に噛み殺される山賊の姿と

 

離れたところでおぼれているルフィくんの姿を見つけました。

 

山賊を噛み殺した海王類はルフィくんに襲い掛かります。

 

私は急いで向かいますが間に合いません…

 

もう海王類はルフィくんの目の前に迫っています。

 

駄目!間に合わない!主砲でもこの距離では届きません!どうしたら!

 

諦めかけたその時でした。

 

海王類に呑み込まれる寸前にルフィくんを助け出したのはあのお兄さんでした。

 

ルフィくんを食べ損ねた海王類はサ再度攻撃を仕掛けようとします。

 

私は勢いよく海を走り、海王類に砲撃を浴びせました。

 

砲撃を浴びた海王類は身体に大きな風穴を開けて沈んでいきました。

 

 

「あ!お前は!あん時の水の姉ちゃん!」

 

 

「助かった...。お前さんには二度も助けられちまったな、

それにしてもお前のその姿は...」

 

お兄さんがこちらに気づき不思議そうにこちらを見ます。

 

私は仕方なく艦娘の事を少しだけ話しました。

 

 

「なるほど、それで船の魂を受け継いで生まれたのがあんただったって訳か」

 

 

「はい、その通りです。出来ればこのことは内密にお願いできますか?」

 

 

「あぁ…構わない、これは誰かに話していい内容でもなさそうだ」

 

 

「ありがとうございます。それでは戻りましょう」

 

私は安堵してお礼を言いました。

 

そして、お兄さんとルフィくんを担ぐと村に引き返しました。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

あの事件から数日後、お兄さん…赤髪のシャンクスさんは村を出ていくことにしたそうです。

 

村の方々に惜しまれながらもシャンクスさんはまた海へと旅立っていきました。

 

大事な麦わら帽子をルフィくんに預けて…

 

私もそろそろ準備をしなければいけませんね。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

シャンクスさんが旅立ってから数日後、私は村を出る為に

 

村の方々に挨拶して回っていました。

 

そしたらルフィくんに呼ばれたんです。

 

呼ばれるままに向かうと、ルフィくんが突然足を止めて言いました。

 

 

「姉ちゃんもいっちまうのか?」

 

 

「えぇ、さすがにこれ以上いたら村の方々に迷惑がかかるし、それに、

私はまだ世界を見て回れていないもの」

 

 

「世界を見て回る?」

 

ルフィくんが不思議そうな顔をしています。何かおかしなことでも言ったでしょうか…

 

 

「えぇ、世界は広い、まだまだ私が知らないこともたくさんあるわ、

だから私はそれを知りたいの」

 

 

「そっか、じゃあオレがもっと大きくなって海に出たら一緒に海賊やろう!

そうしたらいろんなところ見に行けるしな!」

 

私はその言葉にクスリとしてしまいます。

 

 

「なんで笑うんだよ!」

 

 

「いいえ、面白そうだなと思って...

えぇ、いいわ、あなたが大きくなって私を見つけられたらね」

 

その言葉にルフィくんは顔を輝かせ

 

 

「絶対みつけてやる!そんで姉ちゃんと一緒に海賊をやるんだ!

絶対強くなって姉ちゃんのとこまでいってやるからな!」

 

 

「えぇ、楽しみにまっているわ、じゃあ私はあなたが海に出るまで東の海(イースト・ブルー)にいるわね」

 

 

「あぁ!絶対すぐ追いついてやるからな!」

 

はいはいと、私は笑ってその場を離れました。

 

後ろからは『うおぉぉぉぉ!!やってやるぞぉぉ!』

 

と、声が響いていました。

 

その後、残りの人達に別れを告げて、私はまた海に出るのでした。

 

次の出会いがどんなものになるのかと期待を胸に秘めて

 




皆さんこんばんは霧島です。

まさか榛名が人間に生まれ変わっているなんて驚きました。

でも、楽しそうでなによりです。

私達も早く暁の水平線に勝利を刻まなくては!

榛名、そっちも大変でしょうけど頑張ってください、応援してます。

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