榛名さんの苦労話   作:榛猫(筆休め中)

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前回までのあらすじっぽい!、

ハルナさんの危機を知りアーロンパークへ向かう私達…。

そこでは既に先客がいたのだった…。


深海の覇者、戦艦棲姫爆誕!

side夕立

 

ヤッホー夕立だよ…。

 

私は今、驚きで声がでないでいる…。

 

 

「ぁ…ぁ…ぇ…?」

 

どうして?どうしてこの世界に居ないはずの深海棲艦がいるの!?

 

ここは制海権を奪われた国じゃないのにどうして!?

 

 

「なんだなんだぁ?なんかすげえデカイのが出てきたぞ?」

 

ルフィが興味津々といった様子で見ている。

 

しかし、この時、私達は気づいていなかった…。

 

戦艦棲姫の髪飾りが私達のよく知る人物のそれであったことを…。

 

戦艦棲姫は私達には見向きもせず、ただギロリとアーロンを睨み付けている。

 

 

「なんだ、コイツは…お前も俺達魚人に逆らう気か?」

 

 

「……」

 

戦艦棲姫は問いには答えず、ただアーロンとの距離を積めていく…。

 

そして、アーロンの目の前まで近づくと…。

 

 

「っ!?ぐぉっ!?な、なんだこの力は……!!」

 

いきなり首元を掴み片手で思いきりその首を締め上げた。

 

 

「ぐっ…!あがっ…!くっ…調子に…乗るな!!」

 

アーロンが手についた少量の水を戦艦棲姫に向け飛ばす。

 

水は戦艦棲姫に諸にかかるが…。

 

 

「……コノ程度カ?」

 

戦艦棲姫はビクともせず、ただ冷徹にアーロンの首を締め上げる…。

 

 

「なっ!?あがっ!?」

 

 

「……フンッ」

 

締め上げるのに飽きたのか戦艦棲姫はアーロンを水の中へと投げ飛ばす。

 

私はそれをみて何故か戦艦棲姫に注意を飛ばしていた。

 

 

「っ!駄目!それじゃあ相手の思うツボっぽい!!」

 

すると、戦艦棲姫はこちらを振り向く…。

 

今度は私が標的……?

 

そう思い、身構えるが戦艦棲姫は私の予想を斜め上を行く行動をとった。

 

 

「……(ニコリ)」

 

なんと、微笑んだのだ…。あの戦艦棲姫が…。

 

私は信じられなかった…。

 

艦娘を見つけたら即座に攻撃してくるあの戦艦棲姫が私に向けて微笑んだ?

 

 

「なぁ、あの女、どっかで見たことないか?」

 

不意にルフィが話しかけてくる。

 

私は考え事をしていて驚いてしまった。

 

 

「ひゃぁっ!?え、な、なに?」

 

 

「なんだ?そんな驚いてよ…。にしてもあの黒い奴カッケー!!!」

 

ルフィの言う黒い奴とはあの艤装のことだろう…。

 

あれがかっこいいなんて…。私達はあれに散々悩まされてきたっていうのに…。

 

 

「お前、あの人の正体が誰か分かってもそんなこと言えるのか?」

 

サンジさん達がやって来て話す。

 

 

「サンジさん、アレのこと知ってるっぽい?」

 

 

「ん?いや…。アレを知ってるっていうよりアレの元の人物を知ってるってだけだがな、ユウダチちゃんはアレのことを知ってるのか?」

 

不意に聞かれて私は慌てて否定する。

 

 

「え!?ううん!知らないっぽい!」

 

 

「…そうかい、まあ、別にアレが何かなんざ知りたくもねえけどな…。」

 

目の前では戦艦棲姫の艤装がアーロンの海中からの攻撃を難なく防いでいる…。

 

 

「なぁ、そんでアイツ正体ってなんなんだよぉ」

 

ルフィが焦れったそうサンジさんに聞いている。

 

 

「お前これ聞いたら腰抜かすぞ…。アレはな、姉さんなんだよ…。」

 

その言葉を聞いた私は一瞬耳を疑った。

 

確か、サンジさんが姉さんと呼ぶのはハルナさんのことだったはず…。

 

そして今サンジさんは戦艦棲姫を姉さんと呼んだ…。

 

ということはつまり…。

 

 

「ハルナさんが戦艦棲姫になってるっぽい!?」

 

 

「ん?アレが姉ちゃんなのか?」

 

 

「そういうこった…。ったく、あんな色っぽくなっちゃってよぉ…。なんて…なんて美しいんだ…♪」

 

サンジさん…仮にも敵にそんな目を向けるのはどうかと思うっぽい…。

 

私は苦笑しつつ戦艦棲姫に目を向けた。

 

 

sideout

 

 

side三人称

 

 

「クソッ!何で当たらねえ!俺達魚人は至高の種族だぞ!」

 

先程から海中からもうスピードで突進するアーロンだがその攻撃は易々と防がれ相手にダメージを与えることができない…。

 

 

「チョコマカ鬱陶シイ魚メ…モウ遊ビハ終ワリダ…サッサト水底ニ沈メ…」

 

 

「シャークオン!ダーツ!!」

 

先程とは比べ物にならないスピードで海中から突進してくるアーロン…

 

だが、戦艦棲姫の艤装は難なくそれを受け止めると頭を掴み持ち上げてしまう…。

 

 

「ぐっ…!クソッ!離せ!下等な人間が!!」

 

 

「ニンゲン?何ヲ言ッテイル…。私ハ深海棲艦…。戦艦の戦艦棲姫…深海の覇者…。魚程度ノ分際デ私ニ楯突ク愚カ者ニハ死ヲ…。」

 

そういうと艤装が砲身のある頭をアーロンに向けた…。

 

 

「沈メ…!」

 

刹那ーーーッ

 

艤装の砲身が赤く輝いたかと思うと轟音と共に真っ赤に染まる弾丸がアーロンに向けて放たれた…。

 

その距離ゼロ…。まさにゼロ距離射撃である。

 

アーロンは身体に大きな風穴を空けたまま力無くダランと伸びた…。

 

 

「フンッ…口程ニモナイ…ザコホド洒落タ台詞ヲ吐ク…」

 

そう言う戦艦棲姫の口調には何処か楽しげなものが混じっているのだった…。

 

sideout

 

 

side夕立

 

 

目の前でアーロンが殺された。

 

それも絶望的な実力差で…。

 

目的の者がいなくなったことで私は一層警戒を強める…。

 

もしこちらに狙いを定めてきたときは例え刺し違えてでもルフィ達を守ろうと心に決めながら…。

 

しかし、戦艦棲姫はアーロンを倒した後、ずっと水平線を見ている…。

 

どうして動かないの?っていうか、魚人にしかターゲットを示さない深海棲艦なんているの?

 

と、思考に集中しているとウソップが話しかけてきた…。

 

 

「なぁ、アレ、ハルナなんだろ?どうやったらもとに戻るんだ」

 

そんなことが分かるならとっくにやってるっぽい…。

 

分からないからこうして考えてるんじゃない!

 

すると、またも水面が浮かび上がり今度は複数の水柱が浮かび上がると、その水柱達は私達の前に降り立ち人形へと変わっていった…。

 

 

 

『Hi!ポイポイ、お久しぶりデース!』

 

『久しぶりね、夕立ちゃん』

 

『マイク、音量大丈夫?って…。今はマイクないんでした…あ、お久しぶりですね。夕立ちゃん』

 

私はまた信じられなかった…。

 

目の前に現れたのは金剛型の三姉妹だったから。

 

 

「なんだ?また人が増えたぞ?っつか、ユウダチの知り合いか?」

 

その問いに金剛さんが答えてくれる…。

 

『Yes!私達は昔のfriendネ!』

 

 

「は?何言ってんだコイツ…?」

 

 

「えっとね、ルフィ、friendっていうのは友達って意味かの」

 

 

「へえーユウダチの友達か!オレはモンキー・D・ルフィ!海賊王になる男だ」

 

『海賊?OH!Pirateネ!私は英国で生まれた帰国子女の金剛デース!』

 

『私は金剛お姉さまの妹分、比叡です!』

 

『同じく妹分の霧島です…。どうぞお見知りおきくださいね』

 

なんだか、かなり馴染んでるっぽい…。

 

サンジさんなんか目をハートにして金剛さんにアタックしてるし…。

 

 

「所で金剛さん、どうしてここに?」

 

私が聞くと金剛さんは思い出したように話し出す。

 

 

『OH!忘れるところデシタ!ハルナを元に戻す方法を伝えに来たネ!』

 

 

「え?!ハルナさんを元に戻せるっぽい!?」

 

金剛さんは可愛くウインクしながら続ける。

 

 

『Yes!その為にここに来たネ!』

 

 

「そ、その方法は!?」

 

『なに、簡単なことです…。ハルナに提督を認識させればいいのですよ…。』

 

…へ?提督を認識させる?

 

 

「それってどうすれば良いっぽい?」

 

『う~ん…そうですね、例えばそこのマリモヘッドの人がハルナ…今は戦艦棲姫でしたね、戦艦棲姫に《榛名、お前を秘書艦に任命する》とか言えば恐らくは…』

 

それだったら適役はこの人ね!

 

 

「ルフィ!あの人にこう伝えて!絶対に一言一句間違えないでね?」

 

私はルフィに耳打ちする。

 

 

「おう!それをアイツにいえばいいんだな?任せろ!」

 

ルフィは戦艦棲姫のところに歩いていき声をかける。

 

 

「ハルナ、お前をダイイチカンタイのキカンにニンメイする!」

 

すると、戦艦棲姫はルフィの方をギョロリとみる。

 

そして、ルフィに敬礼をすると戦艦棲姫の体が輝き出した。

 

光はアーロンパーク一帯を包み込んで消えた…。

 

光が収まると、底には盛大にキラキラが付いた榛名さんがルフィに敬礼していた…。

 

 

「高速戦艦、榛名。着任しました。あなたが提督なのね?よろしくお願い致します。」

 

 

こうして、改めて榛名が戻ってきた麦わら一味なのであった…。

 




アーロンが倒され支配する者が居なくなったココヤシ村…。

ナミはルフィ達と共に旅立つため村のみんなに挨拶をして回っていく…。

次回!榛名さんの苦労話!

新たなる船出、さらばココヤシ村

海賊王にオレはなる!

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