榛名さんの苦労話   作:榛猫(筆休め中)

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前回までのあらすじです!

捕まったウソップを助けるべく動くナミだったがウソップの行動によりそれは白紙に帰した…。
やむなくウソップを殺すという選択をとったナミを物陰から見ているものがいた。


夕立激怒!現れる謎の影

side榛名

 

 

こんにちは、ハルナです。

 

家で長居してしまった私はアーロンパークに戻っている最中です。

 

その道中…。

 

 

ブスゥゥゥゥゥゥッ!!

 

 

「え!?今の音はいったい…。」

 

私は音のした方へと向かいました。

 

 

 

 

 

 

音のした方へ来てみるとそこには一隻の小舟がありました。

 

その近くには数人の人影があります。

 

 

誰かしら…?なにやら言い争ってるみたいだけど…。

 

そう思い、近づいてみるとその人影はルフィくん達だったのです。

 

 

「出鱈目言うな!ナミがウソップを殺すわけねえだろうが!俺達は仲間だぞ!!」

 

ナミがウソップくんを殺した…?どういうこと?

 

とにかく、何しに来たのか聞いてみないといけないわね…。

 

私は意識して目のハイライトを消し無表情を作るとルフィくん達に近づきました。

 

 

「あら、誰かと思えば私達に裏切られた海賊さん達じゃないですか」

 

そう言うと一同がこちらへ振り向きました。

 

そしてルフィくんが振り向き様に言います。

 

 

「…姉ちゃん」

 

姉ちゃん、ですか、まだそう呼んでくれるのね…。ルフィくん…。

 

 

「姉?もう私なんか姉なんかじゃないんじゃなかったんですか?」

 

 

「そ、そりゃあ…」

 

口ごもるルフィくん…。

 

意地が悪いと言われるでしょうがここはこうするしかありませんから…。

 

口ごもるルフィくんを他所にゾロさんが口を開く。

 

 

「おい、ウソップはどこだ?」

 

 

「さあ?アーロンに捕まったのなら今頃は海の底でしょうね…。」

 

 

「てめえ、いい加減にしろ!」

 

 

 

そう言いながら刀に手をかけこちらに向かってくるゾロさん。

 

 

「フッ…水触手…。」

 

私は軽く手を降り辺りの水を操ると水の触手を作りゾロさんの足を掴み持ち上げます。

 

 

「ウオッ!?」

 

足を取られ自由を奪われるゾロさんに私は言います。

 

 

「私に攻撃を仕掛けようなんて10年早いですよ?ゾロさん…。私に一撃でも入れたければアーロンを一撃で倒すくらいの実力がなければ私には到底届きません…。」

 

 

「く、クソッ!」

 

足の拘束を解こうともがくゾロさんを私は振り回し近くの水田へと放り投げます。

 

 

「ゾロ!何すんだ!姉ちゃん!」

 

まだ分からないのね…。仕方ないわ。

 

 

「これ以上余所者がこの村の問題に首を突っ込むなということです…。貴方達に近づいたのもお金の為以外の理由はない…。早々に引き返す事です。」

 

ここまで言えば例えおバカなルフィくんでも分かるでしょう…。

 

 

「姉ちゃん…」

 

 

「ち、ちょっとハルナさん!いったいどうしちゃったっぽい?なんだか今のハルナさん変っぽい!」

 

 

「そうだぜ、姉さん…。アンタどうしちまったんだ?

昔はそんなじゃなかったじゃねえか」

 

私は二人の言葉を嗤い飛ばします…。

 

 

「私が変?変わってしまった?そんなの当たり前でしょう?人は変わる、それは私だって同じなんです…。昔は昔、今は今…。今の本当の私はこうなんです…。」

 

 

「そんな…」

 

そのやり取りを黙って聞いていたルフィくんが突然目を閉じると倒れてしまいました。

 

 

「ルフィ?」

 

 

「……」

 

私はその様子を黙ってみていると…。

 

 

「寝る、島を出る気もねえし、この島でなにが起きてんのかも興味ねえし、ちょっと眠いし…。寝る…。」

 

 

「ハァ!?いきなり何を言ってるっぽい!?」

 

これは…もう怒りを通り越して呆れるしかないですね…。

 

 

「そうですか、それもいいでしょう…。でも…」

 

そう言うと私は水の触手を操りルフィくんを持ち上げます。

 

 

「うわあぁぁぁっ!!なんだぁ!?」

 

そして宙にぶら下げると顔を合わせ言い放ちます。

 

 

「あなた達が何をしようと構いませんがもう私達には関わらないことです…。死にたくなければね…。」

 

そして、ルフィくんをぶら下げたままの状態でその横を通り過ぎます。その途中に私は最後の言葉を言い放ちます…。

 

 

「……さようなら」

 

それだけ言ってから私は触手を振り回しルフィくんを放り投げると、そのまま道を進んでいきました。

 

 

 

 

 

 

しばらく進んでいるとナミががいました。

 

 

 

「ナミ……」

 

 

「お姉ちゃん、ごめんね…」

 

 

 

 

 

「え?どうしたの?突然…」

 

 

「大丈夫…お姉ちゃんが苦しいの…分かってるから…。」

 

それを言われた私は何かが急ききった崩れ落ちた。

 

そして私は静かにナミの腕の中で泣きました。

 

sideout

 

 

 

sideサンジ

 

 

姉さんが立ち去った後、夕立ちゃんはずっと姉さんが消えていった方を見ていた。

 

しかし、暫くして少し口を開いた。

 

 

「ハルナさん、泣いてたっぽい…」

 

夕立ちゃんのその言葉に俺は反応する。

 

 

「夕立ちゃんにも分かったか…。」

 

夕立ちゃんは頷いて答える。

 

 

「うん、前はずっと一緒に戦ってきてたからね…。そのくらいはわかるつもりよ」

 

そういや、夕立ちゃんと姉さんは俺達と出会う以前からの知り合いだって言ってたな

 

すると、クソ剣士が口を挟んでくる。

 

 

「あぁ?アイツが泣いてた?」

 

 

「そうさ、心の中でな…。」

 

 

「フンッ…大方、ウソップを殺しちまったナミを止められなかった後悔の涙だろ」

 

 

「本当にそう思うのか?」

 

 

「あ?」

 

俺達が話していると不意に夕立ちゃんが呟く…。

 

 

「許さない…。」

 

 

「ん?」

 

 

「あぁ?」

 

 

「ハルナさんをあんな風にするなんて絶対に許さないっぽい!魚人共!このソロモン海の悪夢と呼ばれた夕立がアンタ達に悪夢!見せてあげる!地獄よりも恐ろしい悪夢をね!!」

 

そう叫ぶ夕立ちゃんは怒りに打ち震えていた…。

 

 

sideout

 

 

 

sideベルメール

 

 

ゲンさんの治療を終えて私とノジコは家に帰ってきていた。

 

家に入ると、椅子に座ったまま動かないナミとソファで寝息を立てているハルナがいた。

 

 

「二人とも帰ってきてたの?いったいどした?」

 

私はナミに問いかける…。

 

 

「お姉ちゃんに…。また辛い役目を押し付けちゃった…。」

 

ナミが辛そうな顔をして話す。

 

 

「教えて…。何があったの?」

 

 

「実はね…」

 

ナミほそう言うとポツリポツリと何があったかを話始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なるほどね…。そんなことが」

 

 

「もう私、お姉ちゃんにこれ以上負担をかけたくない…。でも、どうしたらいいのか分からないの…。」

 

ナミが一層辛そうに言う。

 

私は眠っているハルナの顔を見る…。

 

 

「まったく…。あれだけ言っても分からないんだね…この子は…。」

 

そう言ってそっとハルナの頬を撫でる…。

 

よく見ると、先程まで泣いていたのか、ハルナの目は泣き張らしたように腫れていた…。

 

いつまで経っても手のかかる子だ…。

 

私はそう思いつつため息を吐くのだった。

 

sideout

 

 

 

sideハルナ

 

 

夢を見ていました…。

 

そこは水の中でした。

 

ユラユラと揺れるだけでなにもない…ただ、真っ青な空間に私はいました。

 

 

『まったく、アンタが考えそうな手ね…。フンッ!』

 

そんな声が上から聞こえてきて私は上を見上げます。

 

そこにはナミがウソップくんを刺している場面でした…。

 

 

「!?ナミ!え…?」

 

しかしよく見るとナミはウソップくんではなく、自身の手の甲にナイフを突き立てていたんです。

 

 

「これは…記憶?」

 

恐らくそうなのでしょう、ナミは私と一緒にいたはずでしたから…。

 

その間にも場面は進んでいきます。

 

 

『っ!ナ...ミ…』

 

 

『私達のビジネスの為よ、こうするしかなかったの...。』

 

 

『ナ...ミ...てめえ...』

 

ナミはナイフを引き抜くと言います。

 

 

『大人しく死んで...。』

 

 

『…ァ...ァ...』

 

 

バシャーン!

 

ウソップくんが血塗れになりながらこちらへ落ちてきます。

 

私はそれを受け止めようと手を伸ばします…。

 

しかしウソップくんの体は私の手をすり抜け水底へと落ちていきました。

 

そこで私は理解しました。

 

これはナミ達の様子を見ていた水の記憶なのだと…。

 

 

「そう、そう言うことだったのね…。」

 

ウソップくんは死んではいない…。

 

その事実に私は深く安堵しました…。

 

すると、私の体がフワリと浮かぶ感覚がしました。

 

徐々に徐々に上へと浮上していく私の体…。

 

そして光に包まれた時、私は目を覚ましました。

 

目を開けるとそこは見知った部屋の中でした。

 

 

「ここは…家?」

 

すると、後方から声がかけられました。

 

 

「お姉ちゃん、起きたのね」

 

声のした方を見るとナミがこちらを見ていました。

 

 

「気分はどう?」

 

 

「えぇ、おかげさまでもう大丈夫よ」

 

 

「そう、良かった…」

 

そこで暫しの無言が部屋を包む…。

 

 

「ねえ、ナミ…。約束の金額まで後いくらだったかしら?」

 

私は無言を解きほぐすように口を開きます。

 

 

「後七百万ベリーよ…。今の私達なら後一回の航海ですべて終わる…。」

 

 

「そう…。後七百万なのね…。」

 

確かにそのくらいならすぐに稼ぐこともできるでしょう…。

 

昔と違ってナミも潜り込むのが上達しましたし、きっとすぐに集められます…。

 

 

「それじゃあ最後の一盗み、行くとしますか!」

 

 

「そうね、もう一頑張りしましょうか」

 

私達は立ち上がり家を出る。そこへ…。

 

 

「チチチッ!君達かね、ナミとハルナとか言う女二人組の泥棒は」

 

海軍の一人の鼠のような顔をした男が話します…。

 

 

「…!」

 

この人、どうして私達のことを…。

 

鼠のような男は続けます。

 

 

「調べによると、海賊相手に盗んだ宝をこのミカン畑に隠しているそうだな…。」

 

 

『…ッ!?』

 

この人、いったいどこでそれを知って!?

 

 

「まあ、相手が海賊なんだ、咎めるつもりはない…。

だが、泥棒は泥棒だ。よって、お前達が盗んだ金品はたった今!全て!我々政府が預かり受ける」

 

 

な、なんですって!?

 

 

「さあ、盗品を全て差し出せ!」

 

ニヤリと笑みを浮かべ男はさらに続ける…。

 

 

 

 

 

 

「没収だ!」




海軍に宝の隠し場所を暴かれてしまったハルナ達…。

だが、それはハルナの作戦だった。

それを知らずに海軍は引き上げていく…。

次回!榛名さんの苦労話!

持ってけ泥棒!ハルナの罠に嵌まる海軍とアーロン一味

海賊王にオレはなる!

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