サンジくんを仲間に加えたルフィくん達は私達を追うために出発しました。
私達はベルメールさんからゴサの村が滅ぼされたと聞いてゴサの跡地の調査をしていました。
そしたらウソップくんを見つけてノジコちゃんと一緒に家へと運んだんです。
side榛名
ウソップくんを家に運んだ私は、ノジコちゃんにこれまでの経緯を聞いていました。
「と、言う訳なの…」
「そういうことだったのね、じゃあ彼はナミを追ってきたのかもしれないわね…。」
ルフィくんらしいですね…。
私は苦笑しながら気絶しているウソップくんを見ます。
「姉さんもじゃないの?なんでナミだけ…。」
「それはないわ、その人達とは別れを告げてきたもの…一番残酷な方法でね…。」
そう、もう会うことはないんです…。もし会えたとしてもそれはナミを渡す時だけ…。きっとそれが最後になる…。
「さて、じゃあ私もそろそろ行くことにしますね…。
それと、私のことは言わないでおいて…」
そう言ってナミの家を後にしようとした直前でした。
「ハルナ!」
今まで黙って聞いていたベルメールさんが声をかけてきたのです。
私は扉を前にベルメールさんの方へと振り向きます。
「一人で背負い込もうとするんじゃないよ、アンタはもう私の娘同然なんだからね…。」
ありがとうございます…。ベルメールさん、でも…。
これだけは譲れないんです。
私は微笑んでこう答えます。前世でもよく使っていたあの言葉を…。
「はい、榛名は大丈夫です!」
それだけ伝えると私はナミの家を後にしました。
向かうはアーロンパーク…。
ナミ、ノジコちゃん、ベルメールさん、それにココヤシ村の人達…。必ず私がアーロンの呪縛から解き放ってあげます。
……例え、自身が沈むことになろうとも…。
sideout
sideウソップ
気がつくとオレは知らない家のなかにいた。
「…ここは…。」
すると…不意に声か聞こえてきた。
「おや、目が覚めたみたいだね」
声のした方を振り替えると二人の女性がいた。
「アンタ達は…」
オレの問いに青髪の女性が答える。
「私はノジコ、こっちは私の親のベルメールさんだよ。」
「よろしくね、長鼻くん」
あっちの桃髪の女性はベルメールっていうのか…。
「あぁ!そういや、お前オレをど突きやがったな!折角助けてやろうと思ったのに!」
それを聞いていたベルメールがため息をついて話し掛けてくる。
「アンタは馬鹿なの?魚人に手を出したら最後…アンタは死ぬんだよ?ノジコがド突いてなきゃアンタは今頃死体だね…。」
「なんだと!?」
再度ため息をつくベルメールにいきり立つオレ…。
それをノジコが止めにはいる。
「まぁまぁ、喧嘩は止しなよ、それで?アンタは何しにここに来たの?」
言われてからオレは本来の目的を思い出す。
「あぁ!そういや!そうだった!オレはナミとハルナって女を探してるんだが…」
「へぇ、ナミをね…ってことはアンタはさしずめ、ナミに騙された海賊ってところ?」
そんなとこまでわかんのかよ!コイツなんなんだ?
「なんでそこまでしってんのか分かんねえけどそうだ。だからオレはナミとハルナを連れ戻そうと思って追ってきたんだ。」
「そう、でも残念だったね…。あの子はアーロン一味の幹部よ…」
・・・は?
「なにいぃ!?ナミがアーロン一味の幹部!?」
「そ、更にビックリ、ここはそのナミが育った家…。」
「いいっ!?」
おいおい…なんて偶然だよ。おい…。
「私とナミは義兄弟なのよ…」
ってことは何か?ノジコとナミを育てたのって…。
オレはベルメールをみる。
「どうかした?」
オレの視線に気がついたのかベルメールが声をかけてくる。
「い、いや…なんでもねえ…」
でも、ちょっと待てよ?コイツの言う通りナミがアーロン一味の幹部だってんなら…
「じゃあ、ナミはお前達家族や村の人達を裏切ってアーロン一味に入ったってことか?」
「そういうこと…。まさに魔女だろ?」
「クッソー!そうだったのか!オレ達はずっと騙されてたってのか!あの二人初めから宝目当てで!
オレの村の戦闘でも参加してくれたし…船の上でもあんな楽しそうにしてやがったのに…!やっぱあれがあいつらの本性だったのか!」
すると二人が何か引っ掛かったのかオレの方を見て問いかけてくる。
「長鼻くん、『あれ』ってなんのことだい?」
ベルメールが真剣そうな表情で問うてくる。
「あ、えっとな…」
オレはハルナがバラティエでやったことを話した。
「まあ、結局死んでなかったんだけどよ…あの顔は間違いなく人を平気で殺せるやつの顔だったな…。」
「「勝手なこと言うんじゃないよ!!!」」
オレの話を聞き終わった後、二人が突如怒鳴りだした。
オレは驚いて座っていた椅子から転げ落ちてしまった。
「な、なんだよ…急に…」
「あの子はね…!そんな事を平気で出来るような子じゃないよ!あの優しさの塊の様な子が…!周りのためなら自己犠牲すら厭わないようなあの子が!アンタなんかに何が分かるんだい!!」
「ベルメールさん…。落ち着いて…それにその事は…。」
なんだ?ハルナのことも知ってんのか?
「いや、ハルナには悪いけどこれ以上は私が我慢の限界だよ…!!」
お、おいおいオレ何か怒らせるようなこと言ったか?
「少し、昔話をしてあげる…。しっかり聞いときな」
そう言うとベルメールは語り始めた。
sideout
side三人称
~~~~~~~~~~回想~~~~~~~~~~~~~~
ナミとハルナが連れていかれてから少し経ち…。
ゲンがやって来た。
「ベルメール!大丈夫か!?怪我は?」
慌てふためくゲンにベルメールはなんとか笑いかける…。
「大丈夫よゲンさん…。私は無事、ハルナのお陰でね。」
その返事に安堵したのかゲンは胸を撫で下ろす。
「とりあえずは良かった…。だがそのハルナはどこだ?ナミの姿も見えないようだが…」
するとベルメールの顔が一気に暗くなった。
「…二人ならアーロンに拐われちゃった…。私、助けようとしたけど…逆にハルナに助けられちゃった…。」
「な、なんだと…!?」
しばらくの沈黙が包み込む。
その沈黙を先に破ったのはベルメールだった。
「ゲンさん、私、二人を助けにいくよ…」
ベルメールのその言葉に驚きで目を見開くゲン。
「何を言い出すんだ!ベルメール!お前一人で行っても殺されて終わりなんだぞ!」
「それでも、私はナミの母親でハルナの止まり木…。
子供一人助けられないで何が母親よ!」
そう叫ぶとベルメールは走り出し駆けていった。
ゲンが慌てて止めるもベルメールはなにも言わず駆けていってしまう。
「待て!ベルメール!ったく!正義感だけは強い奴だ…
とりあえず一度村に戻るしかないか…。闘いの準備だ!」
そう言うとゲンは村の方に走っていった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ベルメールはアーロンのもとへ向かい走っていた。
(ナミ!ハルナ!必ず助けてやるからね!)
ただその思いだけを胸にアーロンのもとへ走る。
すると、前方から歩いてくる人影の姿があった。
(人影?いったい誰が…)
段々と近づいて来るその人影はハルナだった。
「ハルナ!」
ハルナもベルメールに気がついたのか前を見据える。
ベルメールはホッと安堵して、ハルナに駆け寄る。
「良かった…。無事だったんだね?怪我はないかい?」
だが、ハルナから帰ってきた答えは信じがたいものだった…。
「…ベルメールさん、今すぐ帰ってください…」
その言葉を聞いたベルメールは驚愕した。
「何を言ってるの!アンタ達を助けにきたのに…」
「私、アーロン一味に入ったんです…。その証拠にほら…」
右肩の袖を捲り腕を出すハルナ。
そこから出てきたのはアーロン一味の海賊旗のマークだった。
「!?…な、なんで…」
「これで分かったでしょう?早く帰ってください…。
じゃないと…貴女を殺さないとならなくなります。」
そう言うとハルナの目から光が消えていく。
まるで感情を宿していないかのように…。
深く、冷たい表情を…。
「冗談じゃないわ!私はそんな脅しには屈しない!
アンタもナミも私が抜けさせてあげるわ!」
「そう…なら、こうするまでです…。アクア・ボール」
すると、ハルナの周りに水が集まりだし一つの球体へと変化する…。その球体はベルメール目掛けて飛んできてベルメールの顔をスッポリと包み込んだ。
「!?…ゴボボッ‼」
いきなりの事に慌てて水を飲んでしまうベルメール。
呼吸が出来ない中で必死に息をしようともがくが球体はベルメールの顔から離れない。
「ゴボボッ!ガバッ!………」
やがて意識が切れたのかベルメールの体から力が抜けた。
「……解除」
そう言うとベルメールにまとわりついていた水球が離れ、ハルナの手元へと戻っていく。
「助けたのにみすみす死なせるなんて出来ませんからね…」
その目には感情の色が戻っており悲しげな顔をしていた。
そう言うとハルナはベルメールが飲んだ水を操作して口から吐き出させた。
「これで大丈夫です…。さて、アクア・バリエーション」
ハルナが再度能力を発動させると先程までの水球は大型の艦載機に変化した。
「よい…しょっと…!ふぅ…。それじゃあ妖精?さん、その方を村までよろしくお願いしますね」
「(`・ω・´)ノグッ!」
妖精?はハルナにサムズアップするとベルメールを乗せ、空へと飛び上がっていきました。
「ベルメールさんにノジコちゃん…。それにココヤシ村の方達…。私が必ず自由にしてあげますから…それまで、待っていてくださいね…。」
そう言うとハルナは夜の闇へと姿を消した。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
一方ナミは…。
ベルメールとハルナがぶつかり合っていたころ…。
ナミはココヤシ村にてアーロン一味に入ったことを報告していた。
ノジコやゲン…。村の人達に見放され、一人海を眺めて泣いていた。
それに近づいて来る者がいた、ノジコだ…。
「ナミ、ナミはそれで良かったの?」
「…うん、これが一番なの…」
でも!とナミは続ける。
「寂しくなんかない!ハルナお姉ちゃんも一緒だから!」
更にそれにね?とナミは続ける。
「アーロンと契約したの…。アイツからココヤシ村を買うって…」
「村を買う?」
「そう、1億ベリーでね…。村を買えば自由になれる。誰も死なせないで済む…。そのかわり、一味に入って海図を書けって…。」
「でも、1億ベリーなんて一生働いて払えるかどうか…」
「稼いでみせるわ!どんなことをしても!皆は貢ぎ金を払うので精一杯だし、私がやるしかない…。でも大丈夫!ハルナお姉ちゃんも協力してくれるって言ってくれたから!
お姉ちゃんなら前から海賊からお宝を盗んでいたからすぐ稼げるって言ってたの。」
「海賊から奪うの?」
「うん、海賊からなら奪ってもなにも問題ないから心配いらないって…。だから…!」
「待ってて!私とお姉ちゃんで絶対に皆を自由にして見せるから!」
そう言うナミの目は硬い決意の炎を宿していた。
「…うん、待ってる…。でも、無理だけはしないでね…。」
「分かってる…。お姉ちゃんと一緒なんだもん絶対に大丈夫!」
そう言うナミは笑顔を浮かべる。すると…。
「ナミ、ここにいたのね…。」
やって来たのはハルナだった。
「あ、ハルナお姉ちゃん!」
「もうそろそろ戻らないとアーロンが怒りだすわ…。行きますよ」
「うん!それじゃあね…。バイバイ」
「あ、うん…またね」
「ノジコちゃん、おやすみなさい…」
そう言うとナミとハルナは夜の闇へと溶けるように消えていった。
~~~~~~~~~~~回想終了~~~~~~~~~~~~
sideout
sideウソップ
「そのあとハルナは自身がボロボロになってもナミを守って戦い続けたの…。もう私達の方が見ていられないくらいにね…。それをアンタはまだそんな事を言う気かい?」
オレは開いた口が塞がらなかった…。
まさかハルナにそんな過去があったなんて…。
そうしてオレはハルナのことを思い返す。
そういえばルフィがキャプテン・クロと闘ってたときも…。
クロを説得しようと出てきたカヤを身を呈して守っていたな…。
船の上でも…困った顔をしながらもニコニコとオレ達の話を聞いてくれていたっけか…。
こんな大事な事をオレは忘れちまってたのか!?
「いや、すまねえ…。オレが悪かった…謝るよ…」
「フンッ…謝るならハルナ本人に謝るんだね」
すると、扉が勢いよく開かれ医者のような人物が入ってきた。
「ベルメール!ノジコ!大変だ!村にアーロンがやって来やがった!」
『なんだって!とりあえず行くよ!』
「あ、待てよ!オレも行く!」
そういうとオレ達は家を出ていった。
アーロンのもとへやって来たハルナはそこで信じられない再開を果たす。
その人物の問いかけにハルナは尚も悪を貫こうとする…。
次回、二度目の再会!悪を貫け戦艦榛名!
海賊王にオレはなる!