榛名さんの苦労話   作:榛猫(筆休め中)

15 / 47
榛名です。今回は前回のあらすじはありませんが、あの子が登場します!

ヒントは後書きに二も出てきたあの子です!

それでは本編ご覧ください!


宝島での再会!鎮守府より来たる新たな仲間!

side榛名

 

こんにちは、ハルナです。

 

今私達はカヤさんから頂いた船で航海中です。

 

 

「それにしてもお姉ちゃんのソレ、相変わらず凄い速度よね」

 

 

「それにこの船すら引っ張って走れる馬力だ、まったくタダモンじゃねえなお前の姉ちゃん」

 

 

「おまけに水を操る万能能力者と来た!こりゃ!俺達の航海に怖いものなしだな。」

 

上から順にナミ、ゾロさん、ウソップくんが喋っています。

 

そう、三人の話から察することができると思いますが...

 

今、私は艤装をつけ、メリー号を引いて走っているんです。

 

なんだか私ばかり頼りにされているような気がしますけど気の所為でしょうか...。

 

 

「できたー!」

 

今度はルフィくんの声が聞こえてきました。何かを作っていたようです。

 

すると、船の上から何か言い合うような声が聞こえてきました。

 

私は不思議に思いつつも船を引いて走ります。すると...

 

 

「お姉ちゃん!ちょっとこっち来て!」

 

ナミに呼ばれた私は船を引くために繋いでいた鎖を解き、船の上へと上がります。

 

 

「どうかしたの?急に呼ぶなんて」

 

 

「これ見てよ…」

 

そう言ってナミはルフィくんを指さします。

 

それにつられてルフィくんの方を見ると、手には大きな海賊旗!

 

・・・・・に描かれた威厳もへったくれもない落書き。

 

 

「どうだ姉ちゃん!いいだろ?」

 

 

「な、なんですか?この落書き…」

 

 

「酷いでしょ?これが私達のマークなんですって…」

 

 

「さすがにこれは俺も無理だな…。これが死の象徴だなんて言ったら笑われちまう」

 

 

「えー!姉ちゃんも駄目なのか!?ちぇっ!」

 

不貞腐れるルフィくん。あれはどれだけ控えめに見ても駄目ですね...。

 

 

「仕方ねえな!オレに任せときな!」

 

そう言って立ち上がったのはウソップくんでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくして...

 

 

「よーし!完成だ!どうだ?」

 

描き終えたウソップくんの手には、バンダナをつけた鼻の長い髑髏マークが描かれた海賊旗がありました。

 

それを見たルフィ&ゾロさんは。

 

 

 

『誰がお前の海賊旗を作れって言った・・・』

 

パコンッ!と軽くウソップくんを殴ります。

 

 

「いっててて...冗談だって、ほらコイツだ!」

 

そう言って取り出したもう一つには、麦わら帽子をかぶった髑髏マークが描かれていました。

 

 

「おぉ!スゲエな!気に入った!」

 

 

「へえ?結構うまいじゃない?」

 

 

「これが俺達のマークか…」

 

 

「私は良いと思います。」

 

上からルフィ、ナミ、ゾロさん、そして私の順に思い思いの感想を言います。

 

そして私の順に思い思いの事を言います。

 

 

「よーし!ウソップ、帆にも描いてくれ!」

 

 

「おーう」

 

しばらくして、帆にも海賊旗と同様のマークを描き終えるとルフィくんは言います。

 

 

「よーし!完成!これで海賊船、ゴーイング・メリー号の完成だ!」

 

 

「それじゃ、私はまた船を引きに戻るわね」

 

私が艤装をつけ、海に降りようとした時でした。

 

 

「待って!お姉ちゃん、出来たらあの暗雲の方に行ってほしいの」

 

そう言ってナミは雲が立ち込める方を指します。

 

 

「あの雲の中に?いいけれど、あの中に何かあるの?」

 

 

「あるわ!伝説の宝島が!」

 

それに食いついたのはウソップくんでした。

 

 

「伝説の宝島?聞いたことあるぞ」

 

 

「そう、海賊たちの間では有名なのよ…妙な噂と共にね」

 

 

「妙な噂?」

 

ナミのその言葉にルフィくんは首をかしげます。

 

 

「あの島に近づくものは…神の怒りに触れるって…」

 

神の怒り...あの神様とは別の方なんでしょうか。

 

ともかく宝があるんだったら行ってみるしかないわね!

 

 

「分かったわ、それじゃあの暗雲の海域に向かうわね」

 

そう言って私は艤装をつけて着水しました。

 

更に水流を操り船を持ち上げると、全速力で暗雲の中を突っ切りました。

 

そうしてたどり着いた宝島。

 

 

「いくぞ!!宝島!!」

 

 

「おいおい、本気で行くのかよ…オレ、持病の島に入ってはいけない病が…」

 

 

「大丈夫ですか?それなら船の中で待っていても…」

 

と言いかけた私を遮るようにウソップくんは言います。

 

 

「だ、大丈夫だ!オレは勇敢なる海の戦士キャプテーンウソップさまだからな!

さ、行こう」

 

そそくさとルフィくん達をおって、島へ入って行ってしまいました。

 

・・・なんだったんでしょうか?

 

私も急いで後を追いかけます。

 

 

 

 

 

しばらく歩くと、かすかに声が聞こえてきました。

 

 

「みんな、静かに!今何か声が聞こえたわ」

 

私の言葉に皆は一斉に静かになり耳を澄まします。

 

 

「別に何も聞こえないわよ?聞き間違いじゃないの?」

 

私は首を横に振り、

 

 

「いいえ、確かに聞こえてくるわ…こっちの方から」

 

一人歩き出しました。

 

 

「あ、ちょっとお姉ちゃん!」

 

ナミが呼び止めるのを聞かずに私は声の方向に向かいました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

声のする方にしばらく進むと、長い金髪の少女が、箱に入ったたわしのような頭をした男の人を引っ張っている場面に遭遇しました。

 

たわしのような頭をした男の人を引っ張っていました。

 

 

「うーん!うーん!!はぁ、取れないっぽい…」

 

 

「イデデデデッ!だから言ってんだろ!この箱に俺の身体がミラクルフィットしちまって取ろうにも取れねえんだって…」

 

この島の先住民の方でしょうか。

 

私はどうしたのか話を聞こうと近づきます。すると…

 

 

「ん?ぬおっ!?また海賊か!ほれチビ!早く規定の位置につけ!」

 

 

「ぽいっ!」

 

私が姿を現すと、二人は即座に散り散りに別れてしまいました。

 

私がどうしようか悩んでいると。

 

 

「さあ!素敵なパーティーしましょ!」

 

その姿に私は驚愕しました。

 

その少女は、背と手に艤装を着けていたのですから。

 

あの艤装。それに、先ほどのあの口調。まさか…

 

 

「貴女、もしかして夕立ちゃん?」

 

 

「ぽい?確かに私は夕立だけど…。その、なんでその名前を知ってるの?」

 

明らかに警戒されていますね...。仕方ありません。

 

私は瞬間的に艤装を装着します。

 

 

「こうすればわかりますか?」

 

私の艤装を見て驚愕し目を丸くする夕立ちゃん。

 

 

「も、もしかして…榛名さん…なの?」

 

その問いに私はニッコリ笑って答えます。

 

 

「えぇ、高速戦艦、金剛型の三番艦!榛名です。」

 

 

「ホントに…?ホントのホントに榛名さん?」

 

疑り深い子ね...。こんなに慎重な子だったかしら?

 

 

「はい!本物の榛名ですよ?夕立ちゃん」

 

それを聞くと夕立ちゃんの顔がくしゃっとゆがみ、そのすぐ後に、私に抱き着いて来ました。

 

そのすぐ後に、私に抱き着いて来たんです。

 

 

「...っ!!榛名さん!会いだがっだ…!会いだがったぽいよぉ...!」

 

私の服に涙と鼻水でくしゃくしゃの顔を擦り付ける夕立ちゃん。

 

 

「.....」

 

私はその様子を優しく微笑みながら彼女が落ち着くまで、そっと頭を撫でていました。

 

その隣では、いつの間にか来たルフィくんに、たわしの方が頭を引っ張られていました。

 

ルフィくんってば、もう...

 

 

 

 

 

 

 

しばらくして。

 

 

「落ち着いた?」

 

 

「うん…ごめんなさいっぽい…」

 

ようやく落ち着いた夕立ちゃんが謝ってきました。

 

 

「良いのよ、久しぶりに会えたんですから。でも夕立ちゃんはどうしてここに?」

 

 

「ソイツはオレがこの島で拾って育ててやったんだ。それより、コイツ…どうにかしてくれ!イデデデデッ!」

 

見ると、ルフィくんはいまだにたわしさんを引っ張り続けていました。

 

 

「はぁ…ルフィくん?いい加減に止めなさい」

 

少し声を低めに私は言います。

 

 

「は、はい!すいません!」

 

それを聞いて即座に離れるルフィくん。その様子を他の方々が唖然としてみています。

 

 

「あ、あのルフィが言う事を聞いた?信じられねえ…」

 

 

「お姉ちゃん、ルフィの扱い上手過ぎじゃないかしら?」

 

 

「怖えぇぇ!!」

 

 

「流石は鎮守府の裏提督…威圧感が凄いっぽい…」

 

皆が思い思いの事を口走っていますが気にしません。

 

ルフィくんが離れたことを確認した私は妖精さんを複数呼び出します。

 

 

『(`・ω・´)ノグッ!』

 

妖精さんがこちらを見てサムズアップします。

 

その様子を見て私は夕立ちゃんにも声をかけます。

 

 

「夕立ちゃん、あなたの妖精さんも出してもらえる?」

 

 

「?分かったわ」

 

そう言って妖精さんを複数呼び出す夕立ちゃん。

 

 

『(`・ω・´)ノグッ!』

 

その妖精さん達の様子を見て私は妖精さんたち全員に声をかけます。

 

 

「今からあなた達にはあの人の箱を解体してほしいんです。出来ますか?」

 

 

『(`・ω・´)ノグッ!!!』

 

任せろ!と言わんばかりの力強い仕草に私は微笑み、言います。

 

 

「では、お願いしますね」

 

すると妖精さん達は何処から取り出したのか、ハンマーや鋸と言った数々の工具を手に、

 

たわしさんの箱を解体していきます。

 

その素早い作業によってものの十分で妖精さん達は箱の解体を終わらせてしまいました。

 

流石に早いですね。解体はお手の物と言うことなんでしょうか。

 

 

たわしさんは自身の身体を見て驚愕しています。

 

 

「お、おぉぉぉぉ...!箱が…箱が壊れたぞぉぉぉ!!って痛てててっ!!

ずっと動かしていなかったから上手く動かねえ…おい、娘、頼む!ちょいとほぐしてくれ」

 

 

「はぁ?なんで私が「ナミ?」はい、やらせていただきます...。」

 

私は一つ頷き、夕立ちゃんを見る。

 

 

「そう言えば夕立ちゃん。ちょっと聞きたいことがあるんですけど、少しいいですか?」

 

 

「え?わたしに?いいよ」

 

 

「それじゃあ、少し向こうに…ナミ、ちゃんとやっておくのよ?」

 

それだけ言うと私は夕立ちゃんを連れ、その場を後にしました。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

「ここらでいいでしょう」

 

私は適当な場所に腰を下ろします。

 

 

「それで、私に話って、なあに?」

 

 

「それはですね、あなたがどうやってこの世界に来たのかを聞きたいんです。」

 

 

「私がこっちに来た時?」

 

私はこくりと頷きます。

 

 

「はい、私は以前ここに来る前に神様という方にお会いしているんです。」

 

 

「そ、それって轟沈した後にってことっぽい?」

 

 

「え?あぁ、確かそうでしたね、轟沈した直後でした。」

 

 

「そうなんだ…私も同じだよ、敵戦艦の弾を受けちゃって…」

 

 

「その時に何か貰いませんでしたか?」

 

 

「え?あ、貰ったっぽい、なんだか変わった色の果実」

 

そう言って懐からその果実を取り出す夕立ちゃん

 

 

「それはもう食べましたか?」

 

夕立ちゃんは首を横に振ります。

 

 

「ううん、まだっぽい…ガイモンのおじさんにきいたら『そんな気味の悪い色の果実なんか食うんじゃねえ』って言われたっぽい」

 

 

「そうでしたか、それなら食べた方がいいです。それは悪魔の実と言って、

食べるとその人物にとても強力な力を分け与えてくれる物なんです。」

 

 

「悪魔の実!?これってそんなすごいものだったの!?今すぐ食べるっぽい!」

 

いきなり果実に齧り付く夕立ちゃん。でもすぐに...

 

 

「!?う゛っ!なにこれぇ…ものすごくマズイっぽいぃ…」

 

 

「それをなんとか全部食べ切らないと力は手に入りませんよ?頑張ってください!」

 

 

「うぅ…頑張る…」

 

その後夕立ちゃんは、もう自棄になったみたいに悪魔の実を平らげました。

 

 

「うえぇ…吐きそう…」

 

 

「吐いたらだめですよ?はい、お水です。」

 

私は近くの海水を変異させた飲み水を夕立ちゃんに渡します。

 

 

「ありがとー…ンクッンクッ!ハァ~なんとかなったっぽい…」

 

 

「それはよかったです。」

 

 

「そう言えば榛名さんもあのマズイ果実を食べたの?」

 

 

「えぇ、私も食べましたよ」

 

 

「ど、どんな能力だった?」

 

 

「私のは水を操る能力でしたね。さっきのお水も能力によるものですよ」

 

私のその言葉に夕立ちゃんは目を丸くします。

 

 

「え!?あれって能力だったの!?私のはどんな能力っぽい?」

 

 

「よくわかりませんね、きっとその内に分かってくると思いますよ」

 

 

「そっか、そうだよね!」

 

 

「はい、それじゃあそろそろ皆さんの所に戻りましょう」

 

 

「分かったっぽい!」

 

 

「あ、戻る前に一つ、言い忘れていました。悪魔の実の能力者になると泳げなくなりますから、海に入るときは必ず艤装を着けていてくださいね?」

 

 

「はーい」

 

それだけ伝えると、私達はルフィくん達の所に戻りました。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

「ただいま戻りました。」

 

 

「ただいまっぽい!」

 

戻ってみるとガイモン?さんがみんなに何か話をしていた所だったみたいです。

 

 

「おぉ!姉ちゃん達お帰り!今からそっちの金髪について話すとこだってよ」

 

 

「夕立ちゃんの?」

 

私達はルフィ君の近くに腰を下ろします。

 

 

「みんな揃ったな?そんじゃいくぞ?

話をしよう…あれは今から十八年前…」

 

 

『オレがこの島に来て二年目くらいの話だ。

海岸にボートが見えたもんで俺は急いで海岸へ向かった。

それでボートの中をのぞいてみたら、すやすやと眠る赤ん坊が一人いたんだ。」

 

 

「近くに両親らしき人影はなかった。赤ん坊一人を放っておくわけにもいかず、オレは赤ん坊の面倒を見ることにしたんだ。」

 

 

「その赤ん坊は不思議な奴でよ、夜泣きどころか泣くことさえあまりなかった。

しかも俺の言うことに的確に相槌のような仕草をとるもんだから、

オレは驚きっぱなしだったぜ」

 

 

「それからは森の動物たちと協力しながらその赤ん坊の世話をしたよ。

あやしたり、飯をやったり、勉強させたり…」

 

 

「最初はこんなチイコイガキンチョだったのに、いつの間にかこんな成長しやがってよ…。

身体だけはいっちょまえにデカくなりやがった…」

 

 

 

「というのがお前だ、チビ」

 

 

「むーっ!わたしもうチビじゃないっぽい!」

 

チビと言われてむくれる夕立ちゃん。

 

 

「オレからいわせりゃまだまだチビだよ。」

 

ツーンと顔を背ける夕立ちゃん。それを遮るようにルフィくんが話し出します。

 

 

「とにかくだ、たわしのおっさんはその宝を守ってたんだろ?ならそのお宝、オレが持ってきてやるよ」

 

 

「ほ、本当か!?」

 

 

「い、いいの!?」

 

ルフィくんの言葉に驚いている二人。

 

 

「あぁ、おっさんがずっと守ってきたモンなんだ。俺達がどうこうすることじゃねえ」

 

 

「!!ありがとう...!」

 

そうして私達はその宝が眠っている場所へと向かいました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここっぽい。お宝がある崖は」

 

 

「ぽいなのか?」

 

 

「あ、それはこの子の口癖みたいなものですから気にしないであげて」

 

私は慌ててフォローを入れます。

 

 

「そっか、んじゃあいってくらぁ!ゴムゴムのぉ…!」

 

両腕を伸ばし、崖の上に手をかけるルフィくん。

 

 

「ロケットォ!!」

 

そのまま一気に崖を飛びあがりました。

 

ルフィくんは崖の上に着地するとその奥に消えていきます。

 

 

「どうだ?あったか!」

 

しかし返事は帰ってきません。

 

 

「何やってんだ?アイツ」

 

 

「ルフィ!」

 

 

「おーい!ルフィ!」

 

 

「どうしたの?いったい!」

 

 

「早く教えてっぽい!」

 

みんなが大声で叫びます。

 

すると崖の上に宝箱を抱えたルフィくんの姿が。

 

 

「あったぞ!宝箱五個!」

 

 

「で、でかした!アハハハハ...!

ついに手に入れた!宝だ宝だ!

ここへ落としてくれ!俺の、いや、俺達の宝を!早く早く!」

 

しかしルフィくんはニヤリと口許をゆがめてそれを拒否しました。

 

 

「いやだ」

 

 

「なにっ!?」

 

 

「いやだね、渡したくねえ」

 

その言葉に皆は叫びます。

 

 

「なにバカなこと言ってんのよ!冗談はやめて!」

 

 

「そうだ!その宝はガイモンさんの物だぞ!落とせ全部!」

 

しかしルフィくんは宝箱を落としません。返事もしないで黙ったままです。

 

 

「なんで黙ってるの!早く落としなさいよ!撃ち落されたいのっぽい!」

 

 

「......」

 

 

「アンタ!いい加減にしなさいよ!お姉ちゃんも何か言ってあげて!」

 

私はその言葉に首を横に振ります。

 

 

「なんで!「いいんだ...」え?」

 

 

「もういい…」

 

 

「なんで?おじさん」

 

 

「いい訳ないじゃない!」

 

 

「そうだぜ!ガイモンさんが二十年も守り続けた宝だぜ?」

 

ガイモンさんは目に涙をためて言います。

 

 

「麦わら、お前は…いい奴だなぁ…」

 

 

「どういうこと?」

 

訳が分からないといった顔でナミは聞きます。

 

 

「薄々勘付いてたんだ。なるべく考えないようにしてたんだが…。

無いんだろ?中身が…」

 

 

「え?」

 

 

「なにっ?」

 

 

「え?ウソ…それホントっぽい?麦わらのお兄ちゃん!」

 

 

「...あぁ、全部空っぽだ」

 

やっぱり。そんな事じゃないかと思っていたんです。電探には箱の反応はあっても中身の反応はありませんでしたから...。

 

 

「そんな…二十年も守り続けていた宝が全部空箱だなんて…」

 

 

「宝地図が存在する宝にはよくあることなんだ…

行ってみると宝はもう盗まれた後。

それだけ宝探しは海賊にとって試練だってことさ。

一生待とうが、命を落とそうが、宝に手が届かねえ

そんな海賊は腐るほどいる…」

 

 

「おじさん…」

 

 

「ハッハハハハハ!まあクヨクヨすんなよおっさん!

二十年で俺達が来てよかったよ、後三十年遅かったら死んでたかもな!」

 

 

「その時は私がその崖を登ってたっぽい!」

 

 

「麦わら…チビ…」

 

 

「これだけバカ見ちまったらもう後はワンピースしかねえだろ!俺達と一緒にもう一回海賊やろうぜ!」

 

 

「あの…それって私も一緒に行っていいっぽい?」

 

おずおずと手をあげる夕立ちゃん。

 

 

「あぁ、もちろんだ!お前、姉ちゃんと似たような力持ってんだろ?面白いじゃん」

 

 

「おぉぉ…おまえ、俺達を誘ってくれるのか?うぅぅ…この面を見て俺と話そうなんていう奴いなかったのに…。人を信じたのは何年ぶりだろう?……ありがとうよ…」

 

そして、時間が流れました。

 

 

 

 

「ホントにこの島に残んのか?おっさんにチビスケ」

 

 

「うん、だっておじさん一人だと心配っぽいし」

 

 

「余計なお世話だ。

あぁ、麦わら…。宝は無くなっても、オレにはまだ守りたいものがあるんだ」

 

そう言うとガイモンさんの後ろにぞろぞろと奇妙な動物たちが現れたのです。

 

 

「こいつらと二十年、つらいこともうれしいことも分け合った。離れるわけにはいかねえさ」

 

ベロベロと動物たちに舐められるガイモンさん。少し、微笑ましいですね。

 

 

「宝が無いとわかってオレは初めて自由になれた気がするよ。

これからは本当に自分らしい人生を送れそうだ」

 

 

「そっか、残念だ。おっさん達面白いのに」

 

 

「珍獣が真の仲間か」

 

 

「まあおっさんが一番珍獣だったけどな」

 

 

「なんだと!!」

 

 

『アハハハハハハ!!』

 

 

「榛名さん、生きてまた会えたこと、すごくうれしかったっぽい。これから大変だろうけど頑張ってね」

 

 

「えぇ、夕立ちゃんも箱なんかに詰まらないでくださいね?」

 

 

「分かってるわ!」

 

 

「じゃーなー!!」

 

こうして私達はまた海へと出たのでした。

 

 

side out

 

 

 

 

side夕立

 

榛名さんたちを見送って少し経った。

 

 

「なんでおめえはいかなかったんだ?チビ」

 

 

「なんでって、おじさんが一人だと心配だからっぽい」

 

フンッと鼻を鳴らすおじさん。

 

 

「オレは子供が一番嫌いなんだよ!正直言ってなあ!お前は俺のお荷物なんだよ!

オレにも動物たちにとっても!」

 

その言葉に同調するかのように唸り始める動物さん達。

 

 

「な、なによ!今まであんなに可愛がってあげたのに!分かったわよ!もう良いこんな島!こっちから出ていってやるっぽいし!」

 

私は艤装を着けて勢いよく海へと飛び出したっぽい。

 

 

「ヘンッ!麦わらの船がまだ遠くに行ってねえだろうからさっさと追いつくこったな!沈まねえことを祈っててやるさ」

 

 

「っっ!!このクソジジイっぽい!!」

 

私は全速力で麦わらのお兄ちゃんの船を追いかけたの。

 

しばらく走るったら、船が見えてきたっぽい。

 

 

「見つけた!おーい!ちょっと―、止まってっぽーい!」

 

私は急いで声をかける。

 

すると、こちらに気づいてくれたのか、船のスピードを落としてくれた。

 

なんとか船まで近づくと、船から梯子が降りてきた。

 

私は艤装を外し、船に上がっていく。

 

 

「どうしたの?急に追っかけてくるなんて…」

 

 

「おっさんと喧嘩でもしたか?」

 

 

「あはは…私、邪魔だって追い出されちゃったっぽい…さっき残るって言っておいて言いづらいんだけど…私も一緒に行っていい?」

 

私は恐る恐るみんなの顔色を窺う。

 

 

「あぁ、いいぞ」

 

 

「これでまた一段と賑やかになるな」

 

 

「楽しくなりそうね!」

 

 

「よーし!ここは一丁、宴でも開くか!」

 

 

「夕立ちゃん…」

 

お兄ちゃん達はオッケーしてくれたけど、榛名さんが難しい顔してる…。

 

やっぱり駄目なのかな?

 

 

「...やっぱり駄目っぽい?」

 

すると榛名さんは首を横に振って...微笑んだ。

 

 

「ようこそ麦わら一味へ、歓迎するわ夕立ちゃん」

 

その言葉に胸の奥が熱くなった。

 

 

「うん!これからよろしくっぽい!」

 

私はそう言ってから島の方を見る。

 

きっと誰もいないよね...。

 

だってみんな、私の事嫌いだったんだから。

 

でも、それは違った。

 

おじさんや動物さん達はまだ海岸にいたの。

 

顔をくしゃくしゃにしながら手を振ってくれたいた。

 

 

「~~っっ!!みんな~!!行ってくるっぽーい!」

 

すると声が帰ってきたっぽい!

 

 

「気をつけろよ~!!!体には十分に気を付けるんだぞ~!!!」

 

私も声が届くように声を張り上げる。

 

 

「分かってる~!!!行ってきまーす!お父さーん!!」

 

こうして私は海賊として海に出ることになったっぽい!

 

 

 

 




こんばんは時雨だよ

まさか夕立までそっちの世界にいたなんて、驚いちゃった。

でも夕立も元気そうでよかった。そっちの人達に迷惑かけちゃ駄目だよ?

それじゃあね

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。