榛名さんの苦労話   作:榛猫(筆休め中)

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前回までのあらすじです!

長い航海の末、ようやくたどり着いたシロップ村

そこにはキャプテンウソップと名乗る少年、ウソップがいた。

ウソップはあの赤髪のお兄さん、シャンクスの船にいた狙撃手、ヤソップの息子だった!

さて、この出会いはいったいどんな物語を巻き起こすんでしょう?


屋敷での一騒動…ウソップvsクラハドール?

side榛名

 

こんにちはハルナです。

 

今は村の食事処で悟飯うをいただいています。

 

 

「うんめぇな~!」

 

お肉にがっつくルフィくん、他の皆さんもそれぞれ食事をしています。

 

 

「そういえばお前達はなんでこの村に来たんだ?」

 

 

「私達、船を探してるのよ、ねえ、この村で船を操れそうな仲間と、デカい船を調達できないかしら?」

 

ナミのその言葉にウソップさんは首を横に振ります。

 

 

「見ての通り小さな村だ…残念だがご期待にゃそえねえな…」

 

 

「丘の上に…デカい屋敷が合ったな…そこなら何とかなんじゃねえのか?」

 

 

「あ、あそこはだめだ!」

 

不意にウソップさんが大声を出したんです。

 

 

『え?』

 

 

「...あ!そういえばオレ、用事を思い出した!

ここは、オレの顔が利く…存分に飲み食いしてってくれ!」

 

そいじゃーねぇ!と残して走り去るウソップさん。

 

どうしたのかしら?あんな慌てちゃって...

 

 

「...ナミ、私も少し席を外すわね、店員さん、ごちそうさまです。」

 

 

「え?ちょっとお姉ちゃん?」

 

 

「あぁ、また来ておくれ…」

 

店員さん返事に少し微笑むと私はお店を後にしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お店を出た後、ウソップさんの反応を追っていくと丘の上の屋敷にたどり着きました。

 

 

「ここは…っと、それよりもウソップさんは…」

 

辺りを見回すと、物陰でコソコソしているウソップさんを見つけました。

 

私はウソップさんに近づいていき声をかけます。

 

 

「あの…何してるんです?」

 

 

「!?...シィ~…」

 

驚きつつも私に黙るような仕草をするウソップさん

 

私は不思議に思いながらもそれに従います。

 

ウソップさんはキョロキョロ辺りを見回すと入り口から離れた草壁の前に向かい

 

私を手招きして呼びます。

 

私がそこまで歩み寄ると、ウソップさんはその草壁を引き抜き中に入るとまた手招きをします。

 

これって…入っても大丈夫なの?

 

不安になりつつも私はウソップさんの後に続きます。

 

中に入ると,

 

ウソップさんは引き抜いた穴を元に戻して、一息を着きました。

 

 

「ふぅ、そんで?なんでいるわけ?」

 

 

「あなたの様子があまりにもおかしかったので後をつけてきたんです。」

 

 

「そ、そっか…まあ来ちまったもんはしょうがねえし、ちょっと待っててくれ」

 

そう言うとウソップさんは小石を拾い上げると軽く構えて二階のある窓の投げつけます。

 

コンッ!という軽い衝撃音の後に窓が開かれて、一人の女性が顔を出しました。

 

 

「ウソップさん!」

 

 

「よお!カヤ、相変わらず元気ねえな」

 

 

「ごめんなさい…本当はお役様として招待したいのだけど、クラハドールが許してくれなくて…」

 

 

「へへっ!気にすんな!俺は勇敢なる海の勇者だ、狭い家の中じゃ息が詰まっちまうってもんだ」

 

その言葉に私は首をかしげます。

 

海の勇者って...海にも出たこと無かったはずじゃ...?

 

すると、カヤと呼ばれた少女は私に気づいてウソップさんに問いかけます。

 

 

「ウソップさんこの方は?」

 

 

「あぁ、こいつは遠路はるばるオレの英雄譚を聞きに来た奴さ、

そうだ!今日はこいつに話を聞いたらどうだ?

きっとオレとは違う冒険の話が聞けると思うぜ?」

 

え?私が話すの?いいのかしら?

 

 

「それは楽しそう!お話し、聞かせてもらってもいいですか?」

 

カヤさんのその言葉に私は潔く頷きます。

 

 

「分かりました。ハルナ!全力でお話しします。」

 

 

「ありがとよ!そんでどんな話をしてくれんだ?」

 

 

「ん~…そうですね、それじゃあここよりはるか遠くの海の事をお話しします。」

 

 

 

 

私が語ったのは、私が元いた世界での話でした。

 

提督に建造され、初めて着任したこと…

 

演習での姉妹での特訓の話や、出撃で危機に陥った話など...

 

もちろん、経験してきたことをそのまま話すのではなく、三人称視点からの話に改編してですけどね...。

 

 

「それで、そのカンムスはどうなったの?」

 

私が話す話をカヤさんとウソップさんは聞き入っています。

 

 

「えぇ、ちゃんと無事に帰投しましたよ。」

 

 

「そうなの?よかったぁ…」

 

 

「ホッ…そのままゴウチンなんかしてたらどうしようかと思ったぜ…」

 

私は一通り話し終わり、口を閉じます。

 

 

「私の話はこんなところでしょうか…」

 

 

「とても面白かったわ、ねえ、他にはないの?」

 

カヤさんの質問に私が考え始めた時でした。

 

 

『ウワァァァッ!!』

 

【ドゴオォォォン!】

 

いきなりルフィくん達が飛んできたのです。

 

 

「うまくいったぁ…」

 

 

「いってない!」

 

 

「え?ルフィくん!?それにナミまで...」

 

私はルフィくん達の元に駆け寄ります。

 

 

「ん?なんだ姉ちゃんこんなとこにいたのか!もしかして先に船をくれるように頼んどいてくれたのか?」

 

 

「え?いいえ、私は今までの冒険のお話をしていただけよ?」

 

 

「え?お姉ちゃん…まさか…」

 

 

「?…どうかしたの?」

 

私はナミが何を言っているのかよくわからず疑問符を浮かべます。

 

するとそこに...

 

 

「君達!そこで何をしている!」

 

髪をオールバックに整えた執事服の男性がやって来ていました。

 

 

「クラハドール…」

 

 

「困るね…勝手に屋敷に入ってもらっては…それにウソップくん!

君もだ…薄汚い海賊の息子がカヤお嬢様に近づくことは止めてくれないか!」

 

その言葉にウソップさんがピクリと反応します。

 

 

「う、薄汚いだと…?」

 

 

「君とお嬢様とでは、住む世界が違うんだ!目的はなんだ?金か?いくら欲しい?」

 

あのクラハドールという人、海賊を毛嫌いしているみたいですね。

 

 

「クラハドール!なんてこと言うの!ウソップさんに謝って!」

 

 

「こんな野蛮な男に何故謝らなければならないのですか?お嬢様…」

 

しかし、とクラハドールさんは続けます。

 

 

「君には同情するよ、恨んでいることだろう…家族を捨て村を飛び出した、家族より財宝が大事な大馬鹿親父を!」

 

 

「テメエ!それ以上親父を馬鹿にするな!」

 

いきなり叫ぶとウソップさんはクラハドールさんを睨みつけます。

 

 

「何をそんなに怒っているんだ?こういう時こそ得意のウソをつけばいいのに」

 

まるで挑発でもするかのように眼鏡を吊り上げるクラハドールさん

 

 

「本当は親父は旅の商人だとか、実は血がつながっていないだとか…」

 

すると、ウソップさんはいきなりクラハドールさんに向けて駆け出したのです。

 

 

「うるせえ!」

 

そう叫ぶとウソップさんは思い切り腕を振り上げ、クラハドールさんを殴りつけました。

 

殴られたクラハドールさんは軽く吹っ飛び地面に倒れて悪態をついています。

 

 

「ほら見ろ、すぐ暴力だ…親父が親父なら息子も息子という訳だ」

 

 

「だまれ!」

 

クラハドールさんの悪態にウソップさんはさらに叫びます。

 

 

「オレは親父が海賊であることを誇りに思ってる‼勇敢な海の戦士であることを誇りに思ってる!お前の言う通り、オレはホラ吹きだから、オレが海賊の血を引いてる!その誇りだけは偽るわけにはいかねえんだ‼

オレは…海賊の息子なんだ!」

 

 

「フッ...海賊が勇敢な海の戦士か…随分ねじ曲がった言い方があるもんだね」

 

 

「なにっ!」

 

なんとか立ち上がるクラハドールさん

 

 

「だが、否めない野蛮な血の証拠が君だ好き放題にホラを吹いて回り、頭に来ればすぐ暴力…挙句の果てには財産目当てに…お嬢様に近づく」

 

 

「なんだとぉ!」

 

 

「何かたくらみがあるという理由など!君の父親が海賊であるという事だけで充分だ!」

 

その言葉を聞いたウソップさんは、思いっきりクラハドールさんの胸倉を掴みます。

 

 

「テメエ!まだ言うのか!」

 

そろそろ止めた方がいいですね...

 

私は付近の水を操り球体にするとウソップさんの頭の上に落とします。

 

【バシャッ‼】

 

 

「ナァッ!?」

 

いきなり水が掛かり、驚くウソップさん

 

 

「もうそのあたりにしておきましょう…これ以上言っても埒があきませんよ?」

 

 

「......」

 

力なく胸倉をつかみ続けているウソップさん

 

クラハドールさんはその手を振り払うといいます。

 

 

「出て行きたまえ、二度とこの屋敷には近づくな!」

 

 

「...あぁ、分かったよ…言われなくたって出て言いてやる!二度とこの屋敷には近づかねえ」

 

そう言うとウソップさんは屋敷を出ていってしまいました。

 

私達もそれに続いてすぐに屋敷を出るのでした。

 

 

 

 




Hey!コンバンハ金剛デース!

榛名がまた新しい人と出会ったみたいデース!

見てると嘘つきみたいネ!嘘はいけマセーン!

それじゃあミナさーん!seeyou!

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