逆行 マンモスマン   作:にゃもし。

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王位継承の儀式に現れた邪悪の神々。
キン肉マンの王位継承を認めずに、自分達が見つけてきた候補者達を推す。
マンモスマンとアタルも目的を達する為に動き出す。
アタルはソルジャーマンと入れ替わる為に張り付き、マンモスマンはキン肉マン・チームに入る為にキン肉マンの住処を訪れた。






チーム入りと、飛翔チーム戦

 

 

 

 

リングにキン肉マンを放り投げた後、リングの下から跳躍、張られているロープを飛び越えマットの上に両足から着地、マットを大きく揺らせて振動させる。

 

 

「おぬしには悪いがこっちはマリポーサ戦が控えておる、戦うつもりはないぞ!?」

 

 

向かい合うように対峙したキン肉マンは試合を拒否するが、構わず突進を仕掛ける。

言葉では無理と判断したか、両腕で受け止めようと構えて待つ。

 

 

「王子! 避けてください!」

 

 

リング下にいるミートの助言に反応、直撃する寸前にサイドステップで横に移動して躱わす。

勢いのついた突進は止まらず、コーナーポストに激突、中にある芯ごと根元から折れ曲がる。

 

 

「体を動かすのは久しぶりだから、つい勢い余ったみたいだな…?」

 

 

首を鳴らしながら振り向き、キン肉マンを視界に収める位置に立つ。

折れ曲がった鉄柱と無傷の俺を見て、キン肉マンは冷や汗を垂らして恐怖におののいていた。

 

 

「王子、気をつけてください! そこのマンモスマンはいつぞやのバッファローマン以上のパワーを持っています! 如何に王子といえどもマトモに喰らえば無事には済みませんよ!」

 

 

騒がしく「わかっておる!」がなり立てながら駆け足で接近するキン肉マン。

 

 

「ノーズ・フェンシング!」

 

 

鋭く伸ばした鼻で突く。

 

 

――が、キン肉マンは片手で鼻を掴んで阻止し、さらに空いた手で頭を押さえて前屈みにさせ、俺の腰に腕を回す。

 

 

「ぬぅぉぉぉ――――――――っ!!!!」

 

 

雄叫びを上げながら俺を持ち上げて上昇……空中で逆さにして両足首を掴み、腋に足をかける。

 

 

「疾風迅雷落とし! またの名は『キン肉ドライバー』!

 

 

その体勢を維持したまま落下に入る。

 

 

しかし、落下中に鼻を伸ばして首に巻きつけて強く締め上げ、怯んだところを…

 

 

「パゴォォォォォっ!!」

 

 

長い鼻を使ってリングに投げ、背中からマットに叩きつける。

堪らずマットの上で大の字に伸びるキン肉マン。

 

 

そこへ、曲げた肘を下にしてキン肉マンの上、胸元へと落ちていく。

 

 

途中で気づいたキン肉マンが体を横に転がし、何もないマットの上に俺が落ちる。

すぐさま起き上がり、体勢を整える。

 

 

「まさか、その長い鼻で『キン肉ドライバー』を破るとは思わんかったわい」

 

 

少し離れたところでキン肉マンが片膝をついて息を荒くしていた。

 

 

「両者、そこまでです!」

 

 

ミートが両手を広げて間に割り込み、試合を無理矢理に中断させる。

 

 

「王子、あなたには大事な試合が控えているんですよ!? 万が一、出場できないケガでも負ったらどうするんですか!?」

 

 

キン肉マンに小言を言う一方で…

 

 

「王子、受け入れましょう。彼を、マンモスマンをチームメイトとして…」

 

 

俺としても願ってもない形での受け入れに思わず顔がにやける。

それに対してキン肉マンは嫌悪感を少しも隠そうとせず、顔をしかめる。

 

 

「僕たちは運命の5王子を倒さねばなりません。何故なら彼らの背後には “ 邪悪の神 ” がいるのです。王位継承者としても勿論のこと、正義超人の一人としても彼らに勝たなければなりません」

 

 

諭すように述べていくミート。

 

 

「それとも王子はキン肉星が邪悪の神に支配されるのを黙って見過ごすつもりですか?」

 

 

ミートにそう問いかけられたキン肉マンは自嘲気味に答える。

 

 

「それを言われたら、未来のキン肉大王である私は何も言えなくなるではないか…」

 

 

こうして俺はキン肉マンのチームメイトの一人として王位争奪戦に参加することになった。

 

 

 

 

***  ***  ***  ***  ***

 

 

 

 

俺が過去を変えたせいか、俺の知っている未来とは変わった部分が出てきた。

これもそのうちの一つなのだろう、本来なら熊本城と会津若松城で開催される試合は同時進行で行われていたのだが、それが日程をずらしてやることになった。

 

 

「ん? どうせハラボテのおっさんが金儲けになるから分けてやっているんじゃろ?」

 

 

…とは飛行機の座席で牛丼を流し込むようにかっ喰らってるキン肉マンの弁だが。

 

 

「ですが王子、そのおかげで試合の合間に選手たちは体を休めることができますし、何よりも敵情視察ができます」

 

 

飛行機に乗ること小一時間、そんな内容の会話をしていると目的地に着く。

俺たちキン肉マン・チームが試合会場となる熊本城に着いたときには、チームメイトを引き連れた5人の王子たちもその場に居合わせていた。

目的は明白、熊本城で行われるキン肉マン・チームとマリポーサ率いる飛翔チームの試合を観戦するためだ。

無論、連中の目的の中にはミートの言う敵情視察も含まれていることだろう。

 

 

リングが置かれている試合会場に俺たちが足を踏み入れると観客席がざわつき始めた。

キン肉マンが見たこともない無名の超人を連れてきたのだ、当然と言えよう。

その上、キン肉マン・チームにはミートを含めて三人しか姿を見せていない、というのもある。

 

 

それに対して飛翔チームは…

 

 

『先鋒ザ・ホークマン!! 次鋒ミスター・VTR!! 中堅ミキサー大帝!! 副将キング・ザ・100トン!! 大将キン肉マンマリポーサ!!』 

 

 

アナウンサーが熱の入った紹介で飛翔チームのメンバーを読み上げていき、次に…

 

 

『そして迎え撃つキン肉マン・チームは先鋒マンモスマン!! 大将キン肉マンのたったの二人! これではあまりにも不利だ――――っ!!』

 

 

アナウンサーが読み終えると会場全体が喧騒に包まれた。

俺に対する考察と「たった二人だけで戦うのか?」「他の正義超人は?」という疑問の声で。

それは観客席に交じっている他チームも同様で仲間内で囁き合っている。

 

 

「両者、前へ!」

 

 

困惑した空気が漂う中、袴姿のレフェリーに呼びかけで両チームの先鋒、背中に翼を生やした半人半鳥の超人ザ・ホークマンと俺がリングに上がる。

 

 

「マンモスマン! 王子が3人倒しますから、あなたは2人倒してください!」

 

 

「いや、できれば3人倒してくれると、ありがたいんじゃが…」

 

 

小さく本音を漏らしたキン肉マンに「王子!」と般若の形相で睨み付けるミート。

 

 

レフェリーがゴングを打ち鳴らし、試合が始まった。

 

 

試合が始まると同時にザ・ホークマンは翼を広げてリング上を滑空、猛禽類のような足の爪で攻撃しては離脱を繰り返す。

――が、表皮を傷つけるだけで決定打に欠けると判断したか、大技に移行する。

 

 

翼で体を包み込み、尖端部分をこちらに向けて高速回転。

 

 

『 ス パ イ ラ ル ・ ブ レ ッ ト ! ! 』

 

 

巨大な弾丸となって螺旋を描きながら突進。

 

 

狙い違わず突き刺さり、刃物で肉を刺したような鈍い音がリングに響く。

観客席と両サイドにある選手席から悲鳴とどよめきが漏れる。

 

 

「ようやく、捕まえたぜ」

 

 

ザ・ホークマンが俺の体を抉り、貫通する――――ことなく胸部の浅い所で動きを止めていた。

翼を畳んだまま抜け出そうとするザ・ホークマン、その両翼に手をかけ、無理矢理に抉じ開ける。

 

 

「パゴォォォ――――――――っ!!!!」

 

 

雄叫びとともに翼を力任せに左右に引っ張り、付き根から引き千切る。

さらに鼻を胴体に絡ませて持ち上げ…

 

 

『 パ ワ フ ル ・ ノ ー ズ ・ ブ リ ー カ ー ! ! 』

 

 

マットに片膝を立てて座り込むと同時に、ザ・ホークマンの背中を膝頭の上に落とす。

会場内に骨が折れる音が鳴り、ザ・ホークマンの絶叫が迸る。

 

 

鼻による拘束を解いてやると、マットの上に仰向きになって転がり、そのまま動かなくなる。

辛うじて息があるもののザ・ホークマンがもはや戦えないのは誰の目にも明らか…

 

 

「勝者、マンモスマン!」

 

 

数瞬の沈黙の後にレフェリーが判定を下すと、思い出したかのように観客席が沸き起こる。

 

 

「次、ミスター・VTR出ろ…」

 

 

マリポーサの命に従い、リングの周囲にあった数台のテレビカメラが床を滑るように移動して一ヶ所に集結、頭部がビデオカメラ、胴体がスピーカー、ブラウン管テレビ、ビデオデッキでできた一体の機械超人を形作る。

 

 

「ケーケケケ! マリポーサ・チーム次鋒、ミスター・VTR参上!!」

 

 

奴がリングインしたと同時に駆け寄り――――『ノーズ・フェンシング』矛先を鋭く伸ばした鼻を、頭部のカメラにあるレンズに突き刺す。

 

 

鼻を突き刺したままのミスター・VTRをリング上に放り投げ…

すぐに跡を追って跳躍、空中で仰向けに肩の上に乗せ、アゴと腿に手をかけて固定。

 

 

『 マ ッ キ ン リ ー 雪 崩 落 と し ! 』

 

 

横転し、ミスター・VTRの頭頂部を下にしてキャンバスに叩きつける。

 

 

頭部が半ば潰れ、機械の部品とともにカメラのレンズが飛び散り、折り重なりようにしてザ・ホークマンの上に倒れる。

呆気ない試合の幕切れに呆然としていたレフェリーだが…

 

 

「しょ、勝者! マンモスマン!」

 

 

ピクリとも動かない選手たちを見て、判決を下す。

 

 

「そう言えば、ゴングが鳴ってなかったなァ…」

 

 

俺の目の前で担架に乗せて運ばれる二名の超人。

しかし、ミスター・VTRだけは拒否、ぼろぼろの姿になりながらも試合会場に残るようだ。

大将を含む他のチームメイトも止めない。

 

 

奴の能力を考えれば試合中、確実に何か仕掛けをしてくる。

頭部のカメラを潰されたミスター・VTRに何ができるのか分からんが…

 

 

「中堅、ミキサー大帝!」

 

 

巨大なミキサーに手足が生えた超人がリングに上る。

先の試合をつぶさに見ていたのだろう、その顔は恐怖で青ざめていた。

 

 

開始早々『ノーズ・アシスト』伸ばした鼻を腕に絡ませて引き寄せ…

近づいた所を両腕で胴回りを抱き込み、締め上げ、圧迫、ミキサー大帝の腰が一回り小さくなる。

 

 

「好きな方を選びな、このまま粉々に砕けるか、ギブアップして助かるか」

 

 

にべもなく「ギ、ギブアップ!」を選択、俺は3人抜けを決めた。

 

 

「副将、キング・ザ・100トン!」

 

 

分銅の形をした巨漢の超人がリングに飛び込み、マットを水面のように波立たせる。

 

 

「マリポーサの副将として、犬死にだけは許さんぞ!」

 

 

「はっ! このキング・ザ・100トン、たとえこの身が滅ぶとも、この命はマリポーサ様のお役に立てるのが使命と心得てます!」

 

 

マリポーサがキング・ザ・100トンに激を入れて、奴もまた応える。

俺は知っている、こういう他人のために動く奴が厄介だということを、それにさっきから動かないミスター・VTRの存在も気になるとこだ。

 

 

「いいぜ、かかってきな…」

 

 

両手を前にして構えを取り、それを見たレフェリーがゴングが鳴らす。

 

 

 

 




 
 
(´・ω・)にゃもし。

ここまで読んでくれて Thanks you 

原作と比べると変わってる部分があるのは、マンモスマンさんが過去を変えたせいなんだよ。
熊本城と会津若松城の試合日が違うのもそれの影響なんだ。
あと試合の最中に余所の試合の描写なぞ書けるか! というのもあるけど。

マリポチーム調べたら驚愕の事実を発見。

キング・ザ・100トン 体重1トン~100トン
ミスター・VTR 体重790kg
ミキサー大帝 体重700kg

飛翔チームとはいったい…?

※前書き作った。




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