キン肉マン・チーム vs 技巧チーム の試合は終わり…
超人血盟軍 vs 知性チーム の試合が始まる。
先鋒戦、次鋒戦
とうとう、この日がやって来た。
名古屋城で行われる「超人血盟軍」と「知性チーム」による試合。
この試合でニンジャが死に
アシュラマンは重傷を負い
ブロッケンJr.とバッファローマンは谷底へと姿を消した。
そして、アタルは予言書を焼かれて消滅し…
超人血盟軍は敗れた。
もっとも予言書のページを手に入れ、松明に放り込んだのは俺だが…
アタルの予言書を手に入れるハズであった俺はキン肉マン・チームにいる。
俺の代わりに知性チームにいるのは「ポーラマン」という熊の超人。
ウォーズマンは現れず、バッファローマンに渇を入れたのはブラックホール。
いろいろと変わっている点があるが、変わっていないところもある。
先の両チームの大将・副将タッグによる試合形式なんてのも、その尤もな例と言えるだろう。
正直、これからどうなるのか予測がつかない。
「誰が死んで、誰が生き残るのやら…」
両陣営の先鋒、サタンクロスとニンジャの試合が始まった。
*** *** *** *** ***
前回は試合前、リングやその周辺に仕掛けを施していた二人だが…
今回は念入りに調べられて取り除かれたのか、そういった小細工は見られない。
技を受けては切り返し、忍術合戦を繰り出す。
サタンクロスがリングの表面をミッドナイト・オーシャンで海面に変化させると、
ニンジャが上空で扇風機のように旋回して風を送り、海面を凍らせて氷面と化す。
ニンジャが凍りかけている海水でロープを幾つも作ってサタンクロスに投げると──
“ 忍法! 氷華葬い縛り!! ”
氷でできた蔦を体に絡めさせて、動きを封じ込めた。
しかし、凍った水平線の向こうから太陽が昇り…
氷のロープが太陽の熱で溶け、サタンクロスは自由を取り戻す。
自由を取り戻したサタンクロスは、後ろ足を司る部分が本体から分離して2体に
「やい委員長! あれは反則じゃろ!」
「そうは言うがスグル君。「合体してはいけない」というルールはどこにも…」
分離したサタンクロスがニンジャの体を持ち上げて宙に浮かせ…
“ 昇技!! トライアングル・ドリーマー!! ”
左右から二人がかりで《ロメロ・スペシャル》をかける。
さらに横に引っ張られ、ニンジャの胸が縦に裂け、血飛沫を上げた。
もはやこれまでか…
ニンジャの負けが濃厚となった瞬間──
“ 順逆自在の術!! ”
技の受け手であるニンジャと、かけ手である2体のサタンクロスの場所が入れ替わった。
残虐チームと入れ替わるときに使った2体同時の入れ替わりをここで使ってきた。
胸を血で染まらせながらも空中でひっくり返り
サタンクロスたちをリングに向けると、そのまま落下
未だ凍った海面に激突
海面の氷が砕け散り、大量の破片が宙に舞い、リングを覆い隠す。
やがて視界が晴れ渡ると…
「「サ、サタンクロスが二人いるだと!?」」
今、リングにいるのは本体が2体と、寄生虫部分が1人──全部で3人のサタンクロスがいる。
ニンジャが「顔写し」で化けたのだろう。
「慌てるな寄生虫サタンクロスよ。本物は「ミラクル・シーツ」を持っているハズだ。
さあ、サムソン・ティーチャーよ。本物の証を取り出して見せるのだ」
フェニックスに言われて「ミラクル・シーツ」を取り出そうとする二人のサタンクロス。
一体は懐から件の布切れを取り出したが…
「バ、バカな!? 私のミラクル・シーツがないだと!?」
もう一人は全身をくまなく探すも、出てこないのか、目に見えて分かるほどに狼狽える。
「ハハハ、これでどっちがニセモノか一目瞭然だな?
止めを刺すぞサタンクロス!」
寄生虫サタンクロスをもう一人の本体にけしかける。
“ ミイラ・パッケージ!! ”
だが、その背後から正体を現したニンジャが寄生虫サタンクロスをミイラのように布でくるんでしまう。
さらにサタンクロスの本体を逆さに担ぎ上げて持ち上げると、床を蹴って上昇。
キン肉バスターの構えかと思ったが…
足首と太股を掴みながら、相手の首を肩口ではなく、膝の上に垂直に乗せ、
さらに相手の顔面に、曲げた相手の膝で固定させ──自分の膝と、相手の膝でサタンクロスの頭部を挟んで…
“ 釣鐘割り──っ!! ”
ミイラ・パッケージで身動きが取れない寄生虫サタンクロスの上に着地した。
しかし、着地した際に傷口が開いたのか、胸から激しい出血をし、その場で倒れる。
両者共々、動く気配が感じられない。
「両者、引き分け!」
レフェリーが判定を下すと、バッファローマンが駆けつけてニンジャを抱え…
「ブラックホール!」
怒鳴るように呼びつけるとブラックホールに向かって放り込み、
ニンジャは顔面にある穴に吸い込まれて、何処かへ消えた。
おそらく何処か、近くにある病院に搬送されたのだろう。
無事だといいんだが…
「次鋒、前へ!」
レフェリーに呼び出されてリングに上るのは、知性チームからはプリズマン。
超人血盟軍からはブロッケンJr.が席から立ち上がって──
「ちょっと待ちなブロッケンJr. このまま試合をおっ始めるのもいいが、ちょっとしたデモンストレーションに付き合う気はないか?」
スタッフによってリングに運ばれたのは数本の鉄柱。
それをリングに立たせると…
“ レインボー・シャワー!! ”
鉄柱に向かって虹色の光線を放射
光を当てられた鉄柱は熱で溶かされたかのように形を変形させた。
「俺さまのレインボー・シャワーはこの通り、鉄柱を溶かしてしまう威力がある。
光線の性質を変化させて〝 超人 〟のみに害を与えるようにすることも可能だが…
万が一、この光線が観客にでも当たったら目にも当てられない状況になりかねない」
「その意見には賛成だが、何かいいアイデアでもあるのか?」
「ああ、そのための特設リングを用意してやったぜ。上を見てみな」
言い終わると同時に名古屋城の天守閣が四つに展開、観客席が外に晒け出された。
そして上空には6つのリングで構成された立方体リングが浮かんでいた。
「あの宙に浮かんでいる特設リングならば、お互い周囲を気にせずに戦いに集中できる──って寸法よ。
無論、受ける受けないはブロッケンJr. お前の自由だがなァ~?」
キョキョキョ…と嘲笑うプリズマン。
「俺が尊敬できる超人ならば、こう言うだろうよ。
“ どんな試合でも逃げずに受けるのが自分の流儀。受けて立つ ”…とな?」
先日のラーメンマンと同じ回答を口にしたブロッケンJr.を見て、
端から見ても分かるほどに口の端を上げて、相手を小馬鹿するような笑みを浮かべた。
*** *** *** *** ***
上空にある立方体リングで戦う二人。
プリズマンは自分のレインボー・シャワーの危険性を説いていたが、対強力チームの時は使っておらず、今回のブロッケンJr.戦でも撃ってくる素振りは見せない。
奴の性格からして相手をいたぶるために使わないのだろう。
さらにあのリングは太陽の光をより多く取り込めやすいように宙に浮かせ、第三者からの助太刀を遮断させる。
そして今回は3vs3ではなく1vs1による試合形式。
当然、バッファローマンやアタルからの助けは得られない。
プリズマンに手刀──ブロッケン一族の代名詞といえる技である〝 ベルリンの赤い雨 〟が通用しないと分かると、身を屈みながらのタックルを仕掛けるブロッケンJr.
それを飛び越えて躱し、空中で体を捻り、ブロッケンJr.の背中に跨がるようにして着地してブロッケンJr.のタックルを押し潰すプリズマン。
「ブロッケンJr.~? テメェも親父と同じ目に遭わせてやるぜェ~?」
馬乗りの状態からの〝 キャメル・クラッチ 〟を仕掛けた。
アゴに手をかけ、ブロッケンJr.の胴体を真っ二つにへし折るべく
ゆっくりと時間をかけて、ブロッケンJr.の体をエビ反りに曲げていく。
超人強度、パワー、テクニック、体格、
ありとあらゆる要素がプリズマンの方が上回っている。
そして現在、ブロッケンJr.は圧倒的不利な立場に立たされていた。
(´・ω・)にゃもし。
この回から私の暴走が始まります。
勘のいい方なら、このあとの展開が手に取るように分かると思いますが…
そこら辺は何卒、紳士淑女の対応でお願いしまする。かしこ。