逆行 マンモスマン   作:にゃもし。

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技巧チームに勝利したキン肉マン・チーム
そのあとに行われたマンモスマンとバッファローマン、二人によるスパーリング。
バッファローマンは会場に現れたブラックホールから渇を入れられて、
かつての悪魔超人時代にあったハングリー精神を取り戻した。

 


諦めない男と、抗う超人

 

 

 

「マンモスがそんなに珍しいか? ロビンマスク?」

 

「ん? ああ、超人とはいえ生きているマンモスを見るのは初めてなものでな…」

 

 

例の如く試合後…

俺は病院のロビーで鎧の代わりに包帯を巻いたロビンマスクと遭遇した。

 

 

改竄前の世界でこいつは俺との試合中にマンモスについて語り…

弱いマンモスと侮辱し、強いマンモスと認識を改め、そして最期は鎧兜を遺して消滅した。

俺と渡り合った数少ない超人の一人。

 

 

宇宙タッグトーナメントでヘル・ミッショネルズと戦っている時はなんとも情けない姿を晒していたが…

飛翔の神が憑依していたマリポーサを倒し、続く技巧チームのパルテノンを撃破し、

最後に俺と────王位争奪戦では目覚ましい活躍を見せた。

 

 

「私の父親は格闘家であり、化石の収集家でもあってね。

 幼い頃に見せてもらったコレクションの中に氷付けのマンモスがあった…」

 

「パゴォパゴォ、その時にマンモスが絶滅した本当の理由でも聞かされたのか?」

 

 

氷河期時代、寒さと餓え、そして人間たちによる乱獲で大半のマンモスは死んだ。

だが一部のマンモスはそれすらも跳ね退け、ビッグ・タスクを強靭に進化させ、生き続けた。

 

 

しかし、そのビッグ・タスクが仇となった。

 

 

伸び続ける牙が自身の体を貫いたのだ。

残ったマンモスもそれが原因で死に絶え────全てのマンモスは絶滅した。

 

 

「弱いマンモスならこんな王位争奪戦に参加するわけがない。

 お前がこの王位争奪戦に参戦しているのは何か目的があるのは明白だ。

 その目的が……〝 誇りのために戦っている 〟そんな感じがしてならない…」

 

「誇り? 何故、そう思う?」

 

「私は過去に〝 失った誇りを取り戻す 〟そのためにキン肉マンを相手に戦いを挑んだことがある」

 

 

こいつは今の俺と過去の自分を重ねて見ているのか?

 

 

正義超人が最強の座をかけて戦う「超人オリンピック」

ロビンマスクはその大会でキン肉マンに敗北、それ以降キン肉マンを目の敵にしていた。

もっとも紆余曲折を経て今はキン肉マンの仲間の一人になったが…

 

 

「どちらにしろ、俺がこのチームにいることは、お前たちにとっても不利益にはなるまい。

 それで十分だろ? 違うか?」

 

「〝 誇り 〟は自身を奮い立たせる原動力になるが、時には己の目を曇らせる足枷になる」

 

「俺はいつだって冷静だ。たとえ味方に裏切られようとも、自分を見失わない自身がある」

 

「知っているかマンモスマン? そういう奴は大抵冷静ではない。

 そのせいで私は大事な弟子を、ウォーズマンを死なせてしまった。

 ウォーズマンに笑われないため、それが私が王位争奪戦に参戦を決めた理由の一つでもある」

 

「随分と長々と話すもんだな……結局、お前は何が言いたいんだ、ロビンマスク?」

 

「もう少し、私たちチームメイトを頼れ

 口にこそしないものの、皆は同じことを思っていることだろう」

 

「次の決勝戦でイヤでも頼らせてもらうさ」

 

 

ロビンマスクの脇を通り抜けて、他の参加者たちがいる病室へと向かう。

途中、技巧チームのメンバーとすれ違い、そのたびに「げっ、マンモスマン」と言われたが…

 

 

「邪魔するぜ」

 

 

俺が入ったのはゼブラがいる病室。

ゼブラに憑依していた〝 技巧の神 〟がどうなったのか知るためだ。

そこにはゼブラだけではなくキン肉マン、マリポーサ、ビッグボディもその場にいた。

 

 

「技巧の神が俺と接触したのは昔の話だ…」

 

 

俺の到着を待っていたのか、ゼブラは静かに語っていく…

 

 

偉い超人になるために金を稼いでた時に現れた技巧の神。

自分がキン肉王家の王子の可能性がある五人のうちの一人だと告げ、

来るべき御家騒動に備えて実力を身につけ、仲間を揃えろとゼブラに言い残した。

そして運命の日に技巧の神が憑依し、1億パワーを身につけた。

 

 

「俺が知っているのは、このぐらいだぞ。

 技巧の神とやらも俺が負けた途端、居なくなりやがったしな…」

 

 

「なんとも無責任な神がいたもんだな」

 

 

キン肉マンが感想を漏らすと他にいる面々も揃って頷く。

ここにいる連中は知らないだろうが、これで残っている邪悪の神はフェニックスに憑いている〝 知性の神 〟ただ一人になった。

 

 

「ところでゼブラよ。超人強度が100万パワー足らずの超人が、超人強度1億パワーを誇る超人神に逆らえると思うか?」

 

「どういうことだ、マリポーサ?」

 

「俺たち候補者たちは知らず知らずのうちに邪悪の神に支配されていた可能性もある。

 そしてそれは「ソルジャー」「フェニックス」にも言えることだ」

 

 

マリポーサの言い分に静かに聞き耳を立てる一同。

 

 

「邪悪の神の共通の目的であり、優先すべき事項がキン肉マンの〝 火事場のクソ力 〟だ。

 それ以外のこと、俺たちを大王の座に就かせることなど、どうでもいいことなのかもしれない…」 

 

「フェニックスがそのことに気がつけば、ムダな争いをしなくて済むんじゃ?」

 

「フェニックスはお前を、キン肉マンを目の敵にしている。

 不可能とは言わんが、困難だろうな。それにソルジャーたちのこともあるぞ」

 

 

キン肉マンが妙案と言わんばかりに話すが、ゼブラがあっさりと水を差す。

 

 

「どちらにしろソルジャー率いる「超人血盟軍」か、

 フェニックスをリーダーとしている「知性チーム」と戦わねばならんのか…」

 

「安心しろキン肉マン。このゼブラがお前を大王になるよう全力でサポートしてやる」

 

「むぅ、何でまた…」

 

「俺と愛馬キッドの目的は「偉い超人」になることだ。

 ここで諦めたら、それこそキッドの死を、犠牲を冒涜する行為になる。

 それにお前の下にいた方が偉い超人になれそうだ」

 

 

顔をにやけさせて言うゼブラ。

 

 

「そうか、では早速ウマイ飯でも奢ってもらおうとするか! ゼブラの金で!」

 

「悪いが断らせてもらう」

 

 

気をよくしたキン肉マンがゼブラの金をたかろうとしたが、あっさりと却下され、ずっこける。

 

 

「何でじゃい! ケチ!」

 

「ケチじゃなきゃ、90億超人ドルは稼げないんでね?」

 

 

病室内にいた人間、超人がキン肉マンたちのやり取りを見て笑みをこぼして、夜が更けていった。

 

 

 

 

  ***  ***  ***  ***  ***

 

 

 

 

「随分と馴染んでいるではないか? 超人破壊士殿?」

 

 

草木も眠る丑三つ時か…

病院の屋上で星を立っていたらニンジャが音もなく背後に現れて、そう話しかけてきた。

 

 

「そういうお前こそ大事な試合が控えているときに、

 こんなところで油を売ってていいのか?」

 

「ハハハ、忍の本分は情報収集よ。これもまた勝つために必要な行動だ」

 

 

悪びれもせずに、言いのける。

 

 

「次の名古屋城で我々「超人血盟軍」が勝利した場合、

 お主の目的である「神殺し」を達成することができなくなる……その時はどうするつもりだ?」

 

 

知性チーム相手に勝つつもりであろう不敵な発言。

おれの知る未来ではアタルを含め超人血盟軍のメンバーの殆どが激闘の末、無念の死を遂げている。

 

 

「俺は知性チーム以外に戦ってみたい奴がいる…」

 

「ほぅ、興味深いな、その人物の名を聞かせてもらっても構わないか?」

 

「お前もよく知っている人物だ」

 

 

元キン肉王家の長男「キン肉 アタル」であり、今の「キン肉マン・ソルジャー」 

 

 

「万が一にでも、お前たち「超人血盟軍」が勝ち残って決勝に進んだ場合、

 知性チームの代わりにお前たちで憂さ晴らしをするまでのことだ」

 

「ハハハ、お主らしいと言えばらしいな、

 こちらは正義超人たちに苦汁を味わされた苦い経験がある。

 キン肉マン・チーム相手にその憂さ晴らしをするのも悪くはないな」

 

 

霞みがかかったように姿がボヤけたかと思うと、

そのまま風景に溶け込み、やがて消えた。

 

 

「殺しても死ぬような奴らとは思えんが、死ぬなよ…」 

 

 

事実、超人血盟軍の中にはバッファローマンのように一度死んでいるにも関わらず復活しているのがいる。

さすがに予言書を燃やされたら無理だろうが…

 

 

超人血盟軍と知性チームが戦う時が刻々と近づいていく。

 

 

 

 




(´・ω・)にゃもし。

思ったよりも長くなってしまった。
実は次の話はできあがってるのよね…
そうだ、翌日に投稿しよう。

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