逆行 マンモスマン   作:にゃもし。

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ロビンマスクがパルテノンを下し、
キン肉マンは改良型のマッスル・インフェルノを受けるも、
体を回転させることで技から抜け出し、
逆に空中でマッスル・スパークを決めて、さらにキン肉バスターで止めを刺した。
 
 


ゼブラの敗北と、それから…

 

 

 

 

キン肉マンの《キン肉バスター》

その衝撃がダイレクトに伝わったか

 

 

「ぐはぁっ!?

 

 

ゼブラは血を吐き、背中からリングに落ち……ダウンした。

 

 

「勝者、キン肉マン!」

 

 

いつまでも動かないゼブラを見てレフェリーがキン肉マンの勝利を告ると

会場が降って湧いたかのように歓声に包まれた。

 

 

 

 

  ***  ***  ***  ***  ***

 

 

 

 

「俺の《マッスル・インフェルノ》は殺傷能力を高めた分、外れやすくなったのか…」

 

 

先ほどの威勢は何処に消えたのやら、大の字のままで弱々しく呟く。

 

 

ゼブラが以前使っていたのは壁にぶつけるタイプだった。

不発に終わったが、キン肉マンに使用したのは頭を地面に激突させるものだった。

当然、落下による速度が加わる分、負うダメージは壁にぶつけるタイプの比ではないだろう。

 

 

「いや、たとえ改良前でも逃れることはできたじゃろう。

 数年前キッドが甘んじて技を受けたのはお前さんを超人協会に入れたかったからだ」

 

 

何故だ…? と体を起こしながら問うゼブラにキン肉マンは答えた。

 

 

“ それが〝 友情 〟 というものだ ”

 

 

──

 

 

「それは違うなキン肉マン。

 キッドがお前の元に現れたのは復讐を果たしてもらうため、そうだろ?

 俺とキッドの友情はあの時に終わってしまったからな…」

 

「たとえ忌み嫌われようとも、全てを失おうとも

 間違った道へと歩み出す友を殴ってでも引き留める。

 それもまた友情の形なのだ」

 

 

“ お前は良い友を持った ” そう言って倒れたゼブラに手を差し伸べるが

ゼブラはその手を払い除けて拒否した。

 

 

「俺は自分のやった行為に後悔はしていないし、反省するつもりもない」

 

 

自分のアゴに手をかけてマスクを捲ると、一気に剥がして脱いだ。

 

 

「だがケジメはつけるし、ルールは守る。

 純白のマントを持ってこい。血染めの儀式を始めるぞ」

 

 

マスクを脱いだ血塗れの顔で不敵な笑みを浮かべる。

 

 

 

 

  ***  ***  ***  ***  ***

 

 

 

 

血染めの儀式を無事終わった後にゼブラは担架に乗せられて搬送され

入れ替わりに二つの陣営がやって来た。

 

 

アタルを隊長とする「超人血盟軍」と、フェニックス率いる「知性チーム」

次の名古屋城で勝ち残った方が決勝へと駒を進み、キン肉マン・チームと戦うことになる。

 

 

「おお、そうだった! やい、お前らソルジャーからいくら貰った────っ!!

 

 

試合後の興奮が収まらないこともあったのだろう。

アタルたち超人血盟軍に向けてヤジを飛ばすキン肉マン。

 

 

「俺たち5人を結ぶものは友情や怒りや憎しみじゃねぇ!

 理想の超人界形成を旗印に正義や悪魔を超越して結ばれた超人血盟軍だ!!

 

 

しかし、超人血盟軍の一員であるブロッケンJr.がすかさず反論、負けずに言い返す。

 

 

「落ち着けキン肉マン、奴らが金で仲間を裏切るような連中ではないことぐらいお前が一番知っているだろ?

 奴らが超人血盟軍を結成させたのはソルジャーの持つ人柄と考え方に共感したのだろう。

 ならば俺たちは彼らのために新天地での活躍を祈ろうではないか?」

 

 

ラーメンマンにそう諭されて、押し黙り…

 

 

「そうは言うがなラーメンマン、相手はあの知性チームなんだぞ?

 強力チームが知性チームと戦った時の試合を知らんのか?」

 

 

強力チームの先鋒ペンチマンを《キャメル・クラッチ》で真っ二つにし、

続く次鋒レオパルドンを手刀で突き刺し、

最後に中堅ゴーレムマンの首を捩じ切った────プリズマンの残虐行為は当時それを見ていた人間たちに強い衝撃を与え、記憶に残した。

 

 

「ビッグボディには悪いが俺たち〝 超人血盟軍 〟と強力チームは一緒にしない方がいいぞキン肉マン。

 強力チームが知性チームと戦ってくれたお陰で連中の素性と戦法を知ることができた」

 

 

心配するキン肉マンにバッファローマンが得意気に応える。

 

 

「ふん、角のない牛がよく吼えるわい

 やいマンモスマン、あやつに()()を渡したれい

 

「おうっ!!

 

 

以前キン肉マンから預けられた風呂敷からロングホーンを取り出し

それをバッファローマンに投げ渡して受け取らせると、角の付け根部分に装着した。

 

 

「おお~~~っ ロングホーンが戻ってくれば元気百倍、

 1000万パワー全開じゃ━━━━っ!!

 

 

ロングホーンを取り戻して活力がみなぎったのか、

感情を昂らせ、声高らかに叫ぶバッファローマン。

 

 

「礼を言おうキン肉マン、マンモスマン。

 だが、いずれ戦う相手にこのような塩を送る真似をしていいのかな?」

 

 

当然の疑問をぶつけるのはアタル。

それに対してキン肉マンは…

 

 

「先日の試合で知性チームのチームメイトが姿を見せたのは、

〝 プリズマン 〟 〝 ポーラマン 〟 とリーダーのフェニックスの三人のみ…

 お前たち超人血盟軍には何としても知性チーム全員の正体を暴いてもらう必要があるからな!!

 

 

フェニックスが連れているミステリアス・パートナーたち

未だにローブで姿を隠しているのはただ一人、歴史改変による人員変更がなされない限り

残る一人は「ジ・オメガマン」と考えていいだろう。

 

 

「バッファローマンよ、久々に角をつけた状態でスパーリングをするつもりはないか?

 丁度いい具合に試合に参加していない者がいることだしな?」

 

 

俺の方に視線を向けながらバッファローマンに尋ねるアタル。

超人血盟軍と、俺がいた知性チームとの試合で俺はこのバッファローマンと戦っている。

その時アタルはバッファローマンのハングリー精神を呼び起こすために敢えてタッチを拒否している。

おそらく今回もそのつもりだろう。

 

 

「いいぜ、リングに上がりな」

 

 

俺は親指で後ろのリングを指差して告げた。

 

 

 

 

  ***  ***  ***  ***  ****

 

 

 

 

スパーリングが始まって数分後か…?

俺の前には片膝を屈し、肩を上下に動かして荒い息を吐いているバッファローマンがいる。

 

 

キン肉マン・チームと技巧チームの試合が終わったことで観客席にいる人間たちは帰り支度を始めていたが…

俺とバッファローマン、二人による練習試合が行われるという話が広まると、見物をしようと観客席に戻り、再び席が埋まった。

もっとも大会を運営するハラボテは始終渋い顔をしていたが…

 

 

「悪魔超人のリーダー格っていうから、少しは期待していたんだがな…

 想像以上に想像以下で正直ガッカリしたぜ」

 

 

“ ビッグ・タスク!!

 

 

二本の牙を長く、鋭く伸ばし、その尖端をバッファローマンに向けさせる。

 

 

「ひっ…ビッグ・タスク!!

 

 

牙を向けた途端、一介の超人とは思えないほどに情けなく怯み後ずさる。

 

 

「ギャハハ 安心しな、こいつはただの《ショルダー・タックル》だ!!

 

 

右肩からバッファローマンに体当たりをかまし、

突進をマトモに受けたバッファローマンは仰向けになって倒れた。

 

 

起き上がり、体勢を整えるのを待つが…

一向に仕掛けてくる気配を見せない。

 

 

あの時と状況が違ってるせいもあるだろうが、

ハングリー精神とやらを目覚めさせるためには、もう少し痛め付ける必要があるのか…

アタルも無言を貫き通すつもりか声をかけてくる様子はないようだ。

 

 

キン肉マン・チームを始め、他の陣営も俺という存在、その実力を目の当たりにして終始驚いている。

もっともプリズマンだけは「キョキョキョ」と笑っていたが…

 

 

「何をしているバッファローマン!? キサマそれでも栄えある悪魔超人の一員か!?

 

 

そんな中、バッファローマンに叱咤の声をかける者が現れた。

 

 

「ブラックホール…? 何故お前が?」

 

 

アタルとソルジャーが入れ替わる際にニンジャが呼び寄せたブラックホール。

ソイツはリングに上がると…

 

 

「カーカカカッ!」

 

 

拳による突き上げでバッファローマンを殴り飛ばした。

ブラックホールの突然の蛮行に駆けつけようとするキン肉マン・チームと超人血盟軍だが

その前をアタルが立ち塞がって動きを止めさせた。

 

 

「バッファローマン、お前は永い間キン肉マンたちと一緒にいたために、悪魔超人時代にあった闘争心とハングリー精神を忘れてしまったようだなァ?」

 

 

バッファローマンを見下し、吐き捨てるように言うブラックホール。

それだけを言い残すとバッファローマンを残してリングを下りた。

 

 

リングに残されたバッファローマンは暫くぶつぶつと独り言を呟いていたが

おもむろに立ち上がると、自分の胸板を五本の指で引っ掻けてキズをつけ…

 

 

「待たせたな、マンモスマン? いつでもいいぜ」

 

 

凄みのある笑みを作って、こちらに見せた。

アタルとの馴れ合いではなく、ブラックホールとのやり取りでハングリー精神を呼び起こしたようだ。

 

 

「そうさせてもらおうか!」

 

 

再度、牙を向けたまま突進を仕掛ける。

しかし、今度は避ける素振りを一切見せず、肩口で突進を受け止め、こちらの両腕を掴むと

 

 

「喰らえ! バッファローマン新技…」

 

 

腕を掴んだまま横に伸ばし、自分の体ごと後ろに投げ、

俺の頭をリングに叩きつけた。

 

 

“ 超人十字架落とし━━━━っ!!

 

 

俺の頭をリングに突き刺したまま離れるバッファローマン。

 

 

「俺としたことが……つい力み過ぎたようだ。

 待ってろ今引っこ抜いてやる」

 

 

その必要はない……と、足を床につけてから無理矢理抜け出し、見物人たちに顔を見せる。

見物人の中には無傷の俺を見たせいか、アホみたいに口を開けているのが確認できた。

 

 

「さてと、どうする? 続けるか?」

 

 

悪魔超人時代のバッファローマンに戻すという目的を達成した以上、

もはやスパーリングをする必要はないが、念のためにアタルに尋ねる。

 

 

「いや、十分だ。これで安心して試合を任せることができる」

 

 

「次に会うのは決勝だな…」チームメイトを引き連れて出ていき…

 

 

「キョ────ッキョキョキョ! 

 キン肉マンの言葉じゃねぇが、もう勝った気でいやがるな!

 この次もこのプリズマン様がいる知性チームが勝つというのになァ~?」

 

 

奇妙な笑い声とともに会場を去る知性チーム。

 

 

「わしらも出ていくとするか、あんまし長く居座ると委員長にどやされるだろうし、

 それに病院にいるテリーマン、ロビンマスクのことも気になるしのぅ~」

 

 

キン肉マンの言葉に頷く面々。

俺たちはキン肉マンを先頭に姫路城を後にした。

 

 

「名古屋城で戦うハズだったバッファローマンと戦い、

 姫路城で現れるハズのウォーズマンは現れなかった。

 これも過去を改竄した影響か?」

 

 

疑問を口にながらも、先を行くキン肉マンたちの跡を追う。

今は少しでも体を休ませるのが先決だ。

 

 

 

 




(´・ω・)にゃもし。

過去改竄だけど、何処かで別の形になってでてくるパターン。
次はアタルたちと知性チームの予定。
多くは語りません。

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