逆行 マンモスマン   作:にゃもし。

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キン肉マン・チームと技巧チームによるタッグ戦が始まった。
序盤、劣勢を強いられたキン肉マンたちだが…
ロビンマスクはパルテノン相手にロビン戦法を駆使して戦いを挑み
キン肉マンの協力でロビンスペシャルを決めた。
『最後の詰めを誤るな』…と。
 
 


三大奥義の応酬

 

 

  

 

技をかける者とかけられる者

両者が逆立ちした状態で技が決まる《ロビンスペシャル》

その技をその身に受けたパルテノンの上半身がぐらぐら揺らぎ…

ロビンマスクの背後、後方へ背中から倒れ……リングに沈んだ。

 

 

「パルテノンよ! お前にはキン肉マン・チームを倒す契約で30億超人ドルという大金を渡し

 俺が王位に就いた時には大臣の地位も約束したハズだ――――!!

 

 

ゼブラがパルテノンに向かって叫ぶが

僅かに身を起こした後に再び倒れ、それ以降起き上がることはなかった。

 

 

しかし、それはロビンマスクも同じく――

 

 

「こ…これで私の役目は終わった…」

 

 

パルテノンとの一戦はロビンマスクに大きなダメージを身体に与えたようで

背中からマットに倒れた。

 

 

倒れた両者にそれぞれの大将が駆け寄る。

キン肉マンはロビンマスクを上半身を優しく起こして褒め称えたが…

 

 

「チッ、パルテノンのウスノロめ! これでお前との契約関係はご破算だ! 

 今度は俺自身の手でキン肉マンを倒してやる!」

 

 

ゼブラは動けないパルテノンを容赦なく足蹴に

蹴られるたびに苦悶の表情を浮かべ、呻き声を漏らす。

 

 

「やめろゼブラ! 敗れたとはいえ、お前のタッグパートナーなんだぞ!?

 

 

パルテノンの扱いにロビンマスクは憤りを感じたのか、荒げた声で制止をかける。

 

 

「ふん、それがどうした? コイツらとは金で契約した仲に過ぎん。

 契約すらも守れん奴らをどうしようが、俺の勝手だろう?」

 

 

その言葉で我慢の限界に達したか、立ち上がって起き上がろうとするも…

膝頭をキャンバスにつけて体を屈め、ゆっくりと前のめりになって倒れた。

 

 

「丁度よいキン肉マン、このまま大将戦を始めてケリを着けようではないか?」

 

 

ボクサー特有のファイティング・ポーズを取る。

 

 

「待ちたまえ、先ずは負傷者の搬送が先だ。君たちはこの状態のまま戦うつもりかね?」

 

 

今にも飛び掛かりそうなゼブラを待ったをかけたのはハラボテ。

反論を言わされる前に、部下たちに指示を出して作業に取りかかせる。

 

 

運ばれていくロビンマスクを見て弱気になるキン肉マン。

そのキン肉マンにマリポーサが激励をかける。

 

 

「忘れたかキン肉マン? お前はこのマリポーサを打ち破ったんだぞ?」

 

 

王位争奪戦の一回戦

キン肉マン・チームとマリポーサ率いる飛翔チームとの試合、その終盤

邪悪の神たちの策謀でキン肉マンは火事場のクソ力を失ったが、接戦の末に勝利を手にした。

謎は残ったものの火事場のクソ力がキン肉マンの力の要ではない事が判明した一戦だ。

その事実を思い出したのか活気づくこちらの陣営だが、そこにゼブラが水を差す。

 

 

「おいおい、この俺をそこのコソ泥と一緒にしてもらっちゃ困る」

 

 

何を思ったのかリングの隅にあるコーナーポストに連打を浴びせ始め…ひしゃげ、歪ませた。

 

 

「何故なら、元超人ボクシングのヘビー級のチャンピオンをやっていたんだからな?」

 

 

拳の跡がくっきりと残った鉄柱を見て思わず怯む。

 

 

「それがどうした!? キサマが元チャンピオンなら、キン肉マンは現チャンピオンだ!」

 

 

マリポーサのそれが決め手となっただろう

身を低くしながらゼブラに向かって突進を開始するキン肉マン。

そのまま股に頭を強引に挿し込み、担ぎ上げ、マットを蹴って空中に飛び上がる。

 

 

天井すれすれのところまで浮かぶとゼブラの体を反転させ

両足首を掴み、上腕を足で踏みつけて――――――――落下を開始する。

キン肉マンのオリジナル・ホールドである《キン肉ドライバー》

 

 

しかし落ちていく最中

ゼブラはキン肉マンの足の間に腕をねじ入れ抱えると上体を起こして、ひっくり返り…

 

 

「うわっ!? 何をする!!

 

 

キン肉マンを下にして、後頭部をコーナーポストに叩きつけた。

 

 

 “ グッバイ キン肉ドライバー !!

 

 

後頭部を打ち付けられたことでキズが開いたのか

ゼブラの凶器でやられた箇所、額から激しく出血し、キン肉マンは力無くダウンした。

 

 

「…思えば長く苦しい24年間だった……」

 

 

過去を思い起こし、感慨にふけるゼブラ。

倒れたキン肉マンを視界の下に、己の昔を独白する。

 

 

ゼブラの家が貧乏子沢山の農家だったこと。

そんな境遇から脱け出すために偉い超人になることを決意したこと。

そのために愛馬であるシマウマのキッドと協力して90億超人ドルを稼いだが……裏口入会するためにキッドを犠牲にしたこと。

 

 

感情の込もっていない声音で淡々と述べると…

 

 

「どうだ技巧チームのメンバーとして決勝のリングに立たんか?

 お前たちなら一人50億超人ドルを出してもいいぞ?」

 

 

袋から札束を取り出して勧誘を始めた。

 

 

「言ったハズだぞ。 気が早い …とな?」

 

 

体から湯気を立ち上らせて、幽鬼のようにゆらりと立ち上がるキン肉マン。

その鬼気迫る迫力に今度はゼブラが怯み、後ずさる。

 

 

「あれが噂の〝 火事場のクソ力 〟か…」

 

 

観客席から漏れた呟きで思い出す。

試合前にテリーマン、ロビンマスクから受け取ったことを…

 

 

「キ、キン肉マンの背後にキッドの姿が~~~っ !!

 死んだキッドが化けて出たとでも言うのか !?

 

 

ゼブラはキン肉マンが立ち上がったことよりも、突如現れた愛馬の姿に困惑しているようだ。

もっとも本人以外には見えていないようだが…

 

 

「キッドは死んだ後もお前の傍にいた」

 

「ハハハ、俺のこの手で殺したんだからな、さぞかし怨んでいることだろうよ!」

 

 

ゼブラがリングの四方に張られているロープに飛び乗ると

ロープからロープへと飛び移って移動を開始した。

リング中央にいるキン肉マンを見据えながら徐々にスピードを上げていく。

 

 

「気をつけろキン肉マン! 大技を仕掛けるつもりだ!」

 

 

マリポーサの警告も空しく

四つに分身したゼブラの残像がキン肉マンに一斉に襲いかかり

キン肉マンを両足で背中を突き上げたまま上昇。

 

 

勢いは止まらず、天井のスポットライトにキン肉マンを激突させた。

 

 

「何だと !?

 

 

俺の知っている《マッスル・インフェルノ》ではない。

これは改良されたものだろう。

少なくとも俺の知っているのは天井にぶつけることはなく、水平移動で壁にぶつけるだけだった。

 

 

「冥土の土産に教えてやろうキン肉マン。

 本来の《マッスル・インフェルノ》は相手の頭を壁にぶつける技だ」

 

 

天井にキン肉マンをめり込ませたまま語り続ける。

 

 

「だがそれでは名前負けするとは思わないか?

 インフェルノとはラテン語起源で地獄という意味を持っている。そして…」

 

 

キン肉マンの頭を鷲掴みにして天井から引き剥がすと…

 

 

「地獄があるのは真下だ !!

 

 

再度《マッスル・インフェルノ》の体勢を取る。

ただし――――()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

急降下で落下してくる二人。

 

 

過去改変によって修行する時間を手に入れたのはいいが…

それは向こうも同じ条件だった。

 

 

だがキン肉マンはその状態から体を捻らせて飛来する弾丸のように回転

背中にいるゼブラを振り落とし…

 

 

空中で両腕を掴み、右足の膝裏で首を、さらに左足で片足を挟んで

ゼブラの体をエビ反りに曲げていく。

 

 

“ マッスル・スパーク !!

 

   

苦痛に堪えられず顔を苦しそうに歪ませるゼブラを

逆さまに担ぎ上げて肩口に首を乗せ、太股を掴んで固定させると

 

 

リングのマットに向かって高速で落下

 

 

臀部からキャンバスに激突するように激しく着地した。

 

 

“ 48の殺人技の一つ! キン肉バスター!!

 

 

――――と、

 

 

 

 




(´・ω・)にゃもし。

週一投稿でも四苦八苦している私。
ほぼ毎日投稿している方達は「実は超人ではないのか?」と密かに思ってます。
次はこの後を書く予定。

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