逆行 マンモスマン   作:にゃもし。

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姫路城に集まる候補者たち。
明かされるプリズマンの秘密。
迫り来る試合時間の前にキン肉マン・チームの下に遂にテリーマンとロビンマスクが駆けつけてきた。


正義超人の集結

 

 

  

 

「――――感動の再会のところを悪いが、その二人はそれぞれ『正義超人軍参謀』『正義超人軍幕僚』に就いている正義超人の重鎮。つまり、中立の立場を取らなければならない者たちだ。当然、キン肉星の大王を決めるこの戦いには参戦できん。そうだよな? 超人委員会の委員長であるハラボテ・マッスル氏よ?」

 

 

くっくっく…と端から見ても悪意があると分かる表情で質問をぶつけるゼブラに、頷くハラボテ。

会場内の空気がテリーマン、ロビンマスク……二人のメンバー入りを歓迎している中でのこの質問は大勢の見物人から顰蹙を買う結果になっているが……ゼブラはそんなことなどお構い無しと言わんばかりに軽く受け流している。

 

 

「ボーイ、大人をからかっちゃいけないよ? ミーたちがそんなことを忘れていると思ったのかい?」

 

 

チッチッチ…と人差し指を左右に振ってみせるテリーマンに片眉を跳ね上げさせて訝しげるゼブラ。

 

 

「簡単な話だ。勲章が己の行動を妨げるならば、その勲章を捨て去ればいい!」

 

 

王位継承の時に任命され、手に入れた勲章をその場で床に叩きつけるように投げ捨てるテリーマン。

 

 

「キサマら正気か!? せっかく手に入れた立場を自ら捨てるような真似など!」

 

 

「ミーがこの勲章を手に入れたのはキン肉マンと行動をしていたお陰だ。断じて一人で手に入れたものではない! 愛する友一人助けられなくて何が『正義超人軍参謀』だ!」

 

 

拳を握って熱く語るテリーマンの剣幕に圧倒され、たじろぐゼブラ。

視線を逸らし、その先にいるハラボテに「この場合はどうなるんだ!?」怒鳴り付けるように問うと…

 

 

「君たち二人はキン肉マンに味方をするために今の立場を破棄する。…ということでいいのかね?」

 

 

尋ねるハラボテに二人揃って頷くテリーマンとロビンマスク。

 

 

「うむ、よかろう。ワシらにしても自分たちの立場を忘れて仕事を放り出す参謀と幕僚を何の咎めも無しに受け入れるわけにもいかんし、何よりもワシ一人で決めるわけにもイカン。処分が決まるまで好きにせい。その間、両者はどこにも所属していない超人扱いとする」

 

 

そう口にした途端、会場が歓声に包まれる。

無論、全員が全員とも納得するわけもなく……その筆頭でもあるゼブラが抗議する。

 

 

「キョ――――キョキョキョ! 往生際が悪いぜ、ゼブラさんよ~。テメェも大王の地位を狙う候補者の一人なら、この程度の問題、跳ね退けてみせな!」

 

 

「ええい! 部外者は黙ってろ!」

 

 

強く睨み付けるゼブラに対して「おお、怖い怖い」とわざとらしくおどけて見せるプリズマン。

肩で息を切らしている二人を見て、顎に手を当てて思案を巡らせる素振りを見せると…

 

 

「…いいだろう。このゼブラが金だけの男じゃないことを思い知らせてやる! とっとと試合の準備をしろ!」

 

 

顔をにやけさせながら俺たちを指差してそう宣った。

 

 

 

 

  ***  ***  ***  ***  ***

 

 

 

 

「済まないなキン肉マン。これを手に入れるのに予想以上に時間がかかってしまった」

 

 

炎が灯ったランタンを渡すテリーマン。

キン肉マンがその取っ手を両手で掴むと中の炎が一段と激しく燃え始め、あっという間に容器を炎で満たし、上部にある蓋の隙間から炎が漏れ出す。

 

 

「「キン肉マン!?」」

 

 

慌てる仲間の正義超人に片手で 待った をかける。

その間にも炎が腕をつたって全身に燃え広がっているが……まるで熱さを感じないかのように平然と 直立不動の構えで 立っている。

やがて体内に吸い込まれるようにして炎の勢いは弱まり、跡形も無く鎮火した。

 

 

「すまない。今の今まで時間をかけて、ミーたちが手に入れた〝 火事場のクソ力 〟はこれ一つだけだった…」

 

 

すまなそうに頭を下げるテリーマンにキン肉マンは涙声混じりながら…

 

 

「アホウがこんなモノを手に入れるために……ワシみたいなダメ超人のために勲章を捨てて、参謀のイスを蹴るバカがどこにおる」

 

 

「バカ呼ばわりとは酷いなキン肉マン。ミーにとっては勲章よりも、参謀という立場よりもお前との絆の方が大事だ。それにミーが勲章を捨てるのはこれが初めてではない」

 

 

なんてことはないとばかりに語って返す。

 

 

「遅れた分は戦闘で返す」…と額に白いハチマキを巻いて、先鋒として出場するテリーマン。

如何にその目に宿っている意思が強くとも、探索していたときに生じたであろう傷と疲労は隠しきれない。

 

 

「正直、あの体でマトモに戦えるとは思えねぇんだが……副将か中堅に回して体力を回復させた方が良かったんじゃねぇのか?」

 

 

今も技巧チームの先鋒であるザ・マンリキ相手に苦戦を強いられている。

そんなテリーマンを見据えながらキン肉マンは答えた。

 

 

「少しでも相手の戦法を引き出し伝えるために、疲労させて少しでも楽をさせるために……テリーは後に戦うワシらのために自ら捨て石になるつもりじゃ…

 それに奴は頭に超が付く程の頑固者じゃからのぅ~。一度、口にしたことは死んでも曲げんのじゃ」

 

 

ガハハ…と高笑いを上げる。

 

 

会話をしている間に試合が動く。

テリーマンが相手の両肩にある巨大な万力=スクランブル・バイスを手に持って逆さまに担ぎ上げてからの《ブレーン・バスター》で両肩のスクランブル・バイスを破壊。

さらに《カーフ・ブランディング( 仔牛の焼印押し )》後頭部に膝を当てて顔面をキャンバスに叩きつけて、テリーマンは勝利をもぎ取った。

 

 

「勝者! テリーマン!」

 

 

満足した表情でこちらに親指を立てて見せる。

だがその肉体は試合前よりも傷付いており、肩を上下に動かして息を切らせている。

もはや誰の目にも戦えないのは明らかであるが、続く次鋒モーターマンにも出場。

セコンドからアドバイスを貰って善戦するも……やはり連戦はキツかったのだろう……モーターマンの勝利に終わった。

 

 

「すまない。ラーメンマン、もう一人いけそうだと思ってたんだが…」

 

 

「いや、お前は十分役目を果たした。後は私に任せて――――」

 

 

「ゆっくり休むといい」リングのロープをくぐりながら告げる。

《キャメル・クラッチ》で真っ二つにして試合を終わらせる……正史と同じように37秒足らずで決着が着くと思われたが、《キャメル・クラッチ》をかけている最中にラーメンマンは相手にギブアップを促し、モーターマンは最初拒んでいたが、最終的にはそれを受け入れ、死傷者無しで試合は終わった。

 

 

「おい! ラーメンマンどういうことだ!? お前がその気になれば、いつでもそいつ(モーターマン)を真っ二つにできたのによぉぉぉ!!」

 

 

残虐行為を好むプリズマンがラーメンマンの試合を批判する。

奴にとってはこんな試合展開など望んでいなかったのだろう。

ラーメンマンもいったいどういう風の吹き回しなのか…

 

 

「答えは簡単だ。この私が『()()()()』ラーメンマンだからだ」

 

 

正義超人を強調して名乗るラーメンマン。

無機質で感情が読みにくいプリズマンだが……その雰囲気から不快な感情を抱いているのを俺も含めて周囲は察することができた。

 

 

「対戦相手である俺を無視して……随分といい身分だなラーメンマン?」

 

 

「これはすまない。私としたことが礼儀に欠けるような真似をするとはな…」

 

 

上半身が横向きのバイクの形をした機械超人バイクマンに謝罪をする。

そのバイクマンはパルテノン神殿が化身した超人であるパルテノンからガソリンを入れてもらい準備を進めていた。

 

 

「パルテノンよ。相手はラーメンマンだ。満タンに入れておいてくれ。それとモーターマン…」

 

 

名を呼ばれたモーターマンがバイクマンに近づき、巨大な乾電池のような両腕を向けさせると…

バイクマンの腹部にあるバッテリーに両腕の先端を当てて電気を送って充電させる。

 

 

「俺はこの日の試合のために面白い試合方法を考えていた…」

 

 

パルテノンがスイッチを入れると天井から巨大な球体状の金網が降りてきてリングを覆った。

 

 

「どうだラーメンマンよ。いつもの四角い金網デスマッチもいいが、この丸い金網もいいだろう? 名付けて『サンダードーム・デスマッチ』だ。無論、受けるか受けないかは、お前に任せるがな?」

 

 

バイクマンから問われてラーメンマンは…

 

 

 

 

「どんな試合でも逃げずに受けるのが自分の流儀。受けて立つ」

 

 

 

 




(´・ω・)にゃもし。

そうだ。戦闘描写が短めなのは、マンモスのせいってことにしよう。

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