スキル"ラッキースケベ"   作:アルティメットサンダー信雄

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純白

 

 

そんなわけで、俺は一人でシルさんを探す。

まぁ、こんな人混みの中から一人の人間を見つけるなんて、コナンくんでもいない限り無理だ。

ぶっちゃけ、あまり血眼になって探しても無駄だと思う。

だから俺は、ぼんやりと眠そうに歩く。

テキトーにぷらぷらと歩いてると、闘技場の門まで来てしまった。

せっかくだし見に行くかと思い、俺はその門の中に入った。

だが、その門の中はやけに暗い。どうやら、門は門でも倉庫の門だったようだ。

………そういえば、怪物祭りってのはダンジョンからモンスターを連れて来てんだよな……。

 

「……………」

 

はい、この時に中に入ってモンスターを見てみたいと思った俺を誰が責められよう。きっとみんなも、じっくりと近くでモンスターを見たいと思ったことがあるはずだ。

俺はほんの出来心で中に入っていった。

中はお化け屋敷かって感じで、嫌にシンッとしていた。どんなモンスターがいるかは知らないが、檻で閉じ込めてる以上は、その檻を壊すほどの攻撃力はないと見て間違いないだろう。

だから安心して中に入れる。そう思って中を進んでると、一つの檻を見つけた。

問題なのは、檻の扉が開いていること。そして、中に放置された手枷が二つあること。おそらく、両手用と両脚用だろく。

 

「これは……⁉︎」

 

手枷を手に取った。これはつまり、モンスターに逃げられたってことか……?

その直後、グルルルッ……と低い唸り声が聞こえた。そっちを見ると、赤く光った目ん玉がこちらをジッと睨んでいる。

 

「えっ」

 

な、なんだっけこいつ……。なんてモンスターだっけか……いや、知らないな俺。多分、俺が到達してる階層よりも下層に出て来るモンスター。

 

「………ヤバイかも」

 

なんだかわからないが、そのモンスターが俺に一撃拳を振るった。

 

「あぶねっ……!」

 

慌てて盾でガードする。だが、咄嗟だったのでキチンとした防御の構えは取れなかった。

 

「ゥグッ……⁉︎」

 

倉庫の外に大きくぶっ飛ばされた。ガッゴッと地面に若干バウンドしながら転がり、受け身を取れずに倒れた。

超痛い。口の中を切ったのか、血の味がする。

 

「ッ………!」

 

「大丈夫かあんた?いったいどうした……⁉︎」

 

近くにいた人が駆け寄ってきて、俺の飛んできた門の方を見た。そこから悠々と出てくるモンスター。

 

「っ⁉︎」

 

「も、モンスターだああああ‼︎」

 

上がる悲鳴、絶叫。人々は全員逃げ出す中、倉庫からモンスターが10匹出て来る。

そのうちの一匹は、やけに興奮した様子で出て行ったが、残りの9匹に気を取られてそれどころではない。

 

「全員逃げろ!俺も逃げるから!」

 

「お前もかよ‼︎」

 

誰だか知らないがツッコんでくれました。

だが、モンスターはそんなの御構い無しに人々に襲い掛かる。このままじゃ誰が死んでもおかしくない。

………行けるか?確かに前にミノタウロスの一撃を俺は止めた。だけど、今回は敵は複数いる。一人を止めてる間に他の奴に来られたらおしまいだ。

けど、冒険者の俺が止めないで誰がモンスターを止めるんだよ。

俺は足を止めて、モンスターを睨んだ。

攻撃を防ぐのに一々全力で止めていたら、次の攻撃にはついて行けない。

なるべく、敵の攻撃を受け流す。もし、隙ができれば、この手枷で動きを封じてやれればベストだ。

………あと、擦り傷が一箇所でも出来たら全速力で逃げる。

よし、やってやる。ここは幸い祭りだし、他の冒険者もいるかもしれない。それまで何としても守りきる。

すると、モンスターの一匹が襲い掛かってきた。俺は盾を構える。

 

『グォルァッ‼︎』

 

「ウオォッヘヴッ⁉︎」

 

敵の攻撃をいなす、そんな事は全然できず、殴り飛ばされ、近くを歩いてる人に突撃してしまった。

畜生……やっぱいなすとかそういうのは練習しないと無理か……!

 

「痛て………すいません……」

 

「い、いえ、こちらこそ……うんっ?」

 

「えっ、あっ」

 

俺が突撃してしまった相手は、アイズ・ヴァレンシュタインだった。

俺の顔はガッツリ、アイズさんの胸の中に埋まっている。

 

「うわあっ⁉︎す、すいません!」

 

慌てて顔を離すと、今回はアイズさんは顔を赤らめることなくモンスターに顔を向けた。

 

「ううん。それより、早く逃げて」

 

「え、あ、うん、はい」

 

ああ、この人戦闘モードに入ってやがる。

だが、この時にこの人ほど頼もしい人はいないだろう。

アイズさんは剣を構えてゆっくりと敵に向かって歩き出した。

 

「っ?」

 

「あれっ?」

 

が、その足が何故か進まない。何かに引っ張られるようにアイズさんの体が止まった。

そして、俺の右腕が何かに引っ張られるようにアイズさんの方に持ち上がった。

 

「「えっ?」」

 

俺の右腕とアイズさんの左腕が手枷で繋がっていた。

 

「「…………えっ?」」

 

二人して間抜けな声が漏れた。

すると、後ろから別の意味で間抜けな声が出た。

 

「おーい、アイズたーん。どうしたん……ん?」

 

アイズさんの主神、ロキ様だ。俺とアイズさんの様子を見た直後、ピシッと固まった。

 

「おっ、おまっ……お前っ……!うちのアイズたんとどんなプレイしとんのや我ボケエエエエ‼︎」

 

「ち、違うんですよ!これはわざとじゃないんですって!」

 

「そもそもなんで手枷なんて持ってるんや‼︎」

 

「これあそこの倉庫で拾った奴……!」

 

「二人とも前!」

 

「「えっ」」

 

前からモンスターが迫っていた。アイズさんは無理やり両手を使ってロキ様を抱えて、俺のことは引きずって回避した。

 

「いだだだだ⁉︎ちょっ、アイズさん痛いっすマジで!ズッてる!ズッてる!」

 

「我慢して」

 

ふおおおお!無理無理無理無理!見えてるもん!スカートの下から純白のパンツ!

め、目の絵で下着越しのプリッとしたお尻がプルンプルン震えながら動いてる。絶景かな絶景かな!

 

「………おい、自分」

 

「………えっ?」

 

「何処見とんのや」

 

「……………」

 

「ズルイで!ウチにも見せ!」

 

「バカ!そういうこと言うと……!」

 

途中でロキ様は投げられた。そして、アイズさんはキュッ、と振り返ってモンスターと相対する。

 

「パンツ見たければ見ててもいいよ」

 

「ちょっ、辛辣……⁉︎」

 

そのままアイズさんはモンスターに向かって行った。

戦闘スイッチの入ったアイズさんって、恥じらいもクソもないんだな……。

 

 


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