スキル"ラッキースケベ"   作:アルティメットサンダー信雄

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四人、敵ができてた

 

 

夜。今日も今日とて働いている。ベートさんと一緒にただ働き。注文された料理を、厨房で俺は作っていた。

 

「料理できるんですね、ウラカゼさん」

 

シルさんに後ろから感心するように言われた。

 

「はぁ、まぁ俺達のとこみたいな貧乏ファミリアは自炊くらいできないと生きていけませんからね」

 

「リューは料理とか全然だから、厨房に人が増えるのはほんとに助かってます」

 

「へぇ、意外ですね。あの人割と何でも出来そうなのに……」

 

「そんなことありませんよ。リューだってダメダメな所もあります。……っと、オムライス出来ました」

 

話の途中で完成した飯を、シルさんはアーニャさんに運んでもらった。

 

「了解だニャー。小僧、シチューは出来たかニャ?」

 

「もうちょいです」

 

そう返しながら手を動かす。よし、後は皿に盛りつければOKかな。

木製のお皿にシチューをおたまで入れて、カウンターに置いた。

 

「これ、お願いします」

 

「うぃっす」

 

ベートさんがお客様の元へ運んでくれた。

しかし、ベートさんって口は悪いけど割と根は真面目なんだよなぁ。雑魚は嫌いだ何だと言うけれど、もしかしてツンデレなんじゃないかってレベルで。

 

「おいウラァ!次、エリンギと小松菜のバター炒め!早くしろ!」

 

「うーい」

 

軽く返事をして、キノコと小松菜を冷蔵庫から出した。

……気の所為かもしれないけど、なんかベートさんヤケにニヤニヤしていたような気がする。

まぁいいか。さっさと作っちまおう。

完成した料理を盛り付けると、カウンターに置いた。

 

「ほい、出来た」

 

「あーいや待て。お前が運んでやれ」

 

「は?俺?なんですか?」

 

「いいから」

 

言われるがまま、俺は注文した所に運び、料理を置いた。その先には、アイズさんがいた。

 

「お待たせしまし……あっ」

 

「っ」

 

ピクッと反応するアイズさん。周りにはティオネさんやらレフィーヤさんやらティオナさんやらがいた。レフィーヤさんが不機嫌で、他の二人がニヤニヤしてるのが気になるが、まぁいいだろう。

アイズさんがヤケに顔を赤くしながら言った。

 

「………あ、ありがと」

 

「殺さないでくださいごめんなさい勘弁して下さい」

 

「うえっ⁉︎ち、違うから!」

 

「やるなら一思いにお願いします」

 

「だ、だから違うってば!」

 

叫びながら頭を殴られた。軽く殴ったつもりかもしれないけど、かなり痛かったですよ今の。

 

「あ、あの、ではこれで…」

 

「あっ、うん……」

 

………なんかやけによそよそしかったな。何、俺なんかあの人にしたっけ?オッパイ揉んだだけだよな確か。いやそれだけの事があればよそよそしくはなるか。

厨房へ引き返すと、ベートさんが俺を睨んでいた。

 

「……破裂しろ」

 

ベートさんがいきなり言ってきた。

 

「いきなり何ですか⁉︎……ていうか、やけによそよそしかったんですけど、なんかあったんですか?」

 

「あの野郎は純粋だからな、触られて意識しちまったんだろ。だがそれだけだ。勘違いすんなよカス」

 

「はぁ?どゆこと?」

 

「何でもねーよ。それより、仕事しろチンカス」

 

「や、あんたさっきから当たり強くね?」

 

「知らねーよ。ハイビスカス」

 

「それ褒めてる、褒めてるよ」

 

「いいか、ウラカス。俺の知る限り、テメェには現在三人明確な敵がいる。いや、たった今出来たというべきか」

 

「………はっ?てか今ウラカスって言った?ウラカスっつったよな?」

 

タイマンを仕掛けようとしたが、なんとか我慢した。

 

「とにかく、覚悟しとけよカス」

 

よく分からんけど、まぁいいか。

 

 

1

 

 

それから数日後、俺はせっせと豊穣の女主人で働きまくっていた。この様子ならあと数日働くだけでいいと言われ、俄然モチベーション上がってきている。

そんな中、今はベートさんとお使い中。店の食材を買いに店を出ていた。

 

「り、リス」

 

「す、するめ」

 

「め、メタル」

 

「る、る……るろうに剣姫」

 

「聞いたことないんですけど、なんですかそれ」

 

「レシート」

 

「いや今のは俺の手番ってわけじゃなくて……」

 

しりとりしながら帰宅していた。

………つーか、俺とベートさん超仲良いな。我ながらビックリだよ。いや、そうならざるを得ない環境だったとはいえ、すごいことだよねこれ。

思わず感心気味に街を歩いてると、街の雰囲気がいつもより賑わってるのに気付いた。

 

「………なんか、すごい雰囲気ですね」

 

「ね、ネッシー」

 

「いやしりとりじゃなくて。何かイベントでもあるんですか?」

 

「ああ、お前は知らねえのか。そろそろ怪物祭りが始まるんだよ」

 

「もんすたーふぃりあ?」

 

「ああ、【ガネーシャ・ファミリア】が主催の祭りだ。闘技場でモンスターを調教すんだよ」

 

「はえ〜……調教ですか」

 

「お前は行かねえのか?」

 

「借金が残ってますから……。世知辛い世の中だ……」

 

「いや自業自得だろ……」

 

いやその通りなんですけどね……。

すると、ベートさんが急に顔を赤くしだした。

 

「と、ところでよ……」

 

「なんですか?」

 

「……………」

 

「? なんすかだから」

 

「………そ、その、な」

 

なんだ。珍しく歯切れの悪い……。と、思ったらベートさんから面白い質問が飛んだ。

 

「………あ、アイズの胸……どうだった……?」

 

「………は?」

 

今なんつったこいつ?

 

「だ、だから何度も言わせんな!どうだったか聞いてんだよ!」

 

ああ、駄目だ。ニヤニヤが止まらん。

 

「聞きたいんですか?」

 

「い、いや別にどうしてもってわけじゃないが……」

 

「ならいいですよね」

 

「嘘です冗談です超聞きたい‼︎」

 

この人扱いやすいわ。

 

「柔らかかったですよ。服越しにも分かるレベルで」

 

「マジで?それ相当じゃねぇか」

 

「しかも、触ったからこそ分かったことがあります」

 

「?なんだ?」

 

「あの人、ノーブラです」

 

「ッッッ⁉︎」

 

「ほんとです!服越しに乳首が俺の手の平のど真ん中に当たりましたからね」

 

「マジかよおおおお‼︎畜生おおおお羨ましいぜえええええ‼︎」

 

「ちなみにサイズは恐らく……」

 

言いかけた所で、俺の口は止まった。

ベートさんの後ろに、【剣姫】がいたからだ。いや、まとってるオーラはむしろ【剣鬼】なまである。

 

「おい、ウラ?テメェ、一番大事なとこもったいぶんなよ」

 

「ごめん、この話は後で……」

 

「ああ?テメェ、んなつまんねぇこと言うなよ。いいから言えよ。ほら、誰も聞いてねえんだから」

 

や、聞いてるから。張本人が。

 

「わかった。どうしてもってんなら1000ヴァリスまで出してやる。だから言えって、な?」

 

言えねーよ。俺の命とあんたの名誉の為にも。

 

「おい、お前さっきから何処見て……あっ」

 

俺の視線の先、ベートさんの右斜め後方を眺めているのに気付いたのか、ベートさんも振り返った。直後、フリーズ。

 

「………」

 

「………」

 

「………」

 

沈黙がツライ。直後、ベートさんが俺にドロップキックした。

 

「この変態野郎がああああ‼︎」

 

「ええええっ⁉︎」

 

後方に大きく蹴り飛ばされ、俺はそこら辺の民家に直撃した。

 

「テメェがアイズの胸のサイズを吹聴回ってる噂は聞いてた。俺にまで話したのは運の尽きだったな。お前のことは捕らえてギルドに連行してやる」

 

「はああああ⁉︎おまっ、違っ……!」

 

ていうか無理あんだろ!汗の量半端ねぇぞ俺もあんたも!

 

「だがアイズ、俺がこいつのこと仕留めるから安心しろ!クタバレエロカゼ……!」

 

「ベートさん」

 

「ッ⁉︎」←ビクッとした。

 

「後で、お話があります」

 

「………フィンにチクるのだけは勘弁して下さい」

 

それを無視して、アイズさんは俺に近づいて来た。

「………何か言い残すことは?」

 

「………本望ッ‼︎」

 

直後、拳が飛んできた。そこから先は覚えてない。

 




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