スキル"ラッキースケベ"   作:アルティメットサンダー信雄

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コンビネーション

 

 

翌日、俺とベルはまたまた朝早くから教会を出た。今日も今日とてダンジョンに潜らなければならないのである。

教会を出て、俺とベルはメインストリートを抜けた。

 

「………腹減ったな」

 

「あー確かに。朝ご飯食べてないもんね」

 

「なんかその辺で買ってくか?」

 

「こんな朝早くから開いてるお店なんてあるかな?」

 

「まぁ探せばありそうな気がしないでもないけど。もしあれなら、家からとってくるぞ」

 

「あ、お願い」

 

「じゃ、先にダンジョンの前で待っててくれ」

 

「あーい」

 

俺は一度、教会に引き返した。

 

 

1

 

 

家から適当に持って来た朝飯を持って、ダンジョンの前まで行った。何故かヘスティア様はご立腹だったが、それは置いておこう。

 

「お待たせ、ベル」

 

「そんなに待ってないよ。それよりさ、今お金どのくらい持ってる?」

 

「何、カツアゲ?」

 

「違うよ。……実はさ、ウラが家に戻ったあと、ちょっと色々あってね……。外食することになっちゃった」

 

「外食ってお前なぁ……」

 

ったく、こいつは……。どうせ、なんかちょっとずる賢い商売に引っかかったんだろうな。

 

「それで、その……どのくらい……」

 

そう聞かれて、俺は思わず邪悪に微笑んでしまった。

 

「ふっ、聞いて驚け。俺は常日頃からお前との戦利品を少しずつちょろま……貯め込んだ結果、まずまずの金は用意してあるぜ!」

 

「おおー!さっすがウラ!」

 

「ふははは!もっとほめろフハハハハ!」

 

「じゃあお金のほうは心配する必要はないね」

 

「お前の分は奢らないけどね」

 

「えっ?」

 

「何で俺がコツコツ貯めた金をお前のために使わにゃあかんねん」

 

「ううっ……!ま、まぁいいさ。それより、早く行こう」

 

「あれ、朝飯は?」

 

「え、あ、あー……僕はいいかな」

 

「あ?何でよ」

 

「そんなお腹空いてないし……」

 

「さっきお腹空いたって言ってたろうが」

 

「…………」

 

「…………」

 

こいつ、まさか……!

 

「お前、さてはあの後誰かに朝飯もらいやがったな」

 

ギクッと肩を震わせるベル。

 

「その人が飯屋の人で、上手く言いくるめられてついもらっちまったんだろ。だけど、もらった直後に『私のお店でご飯食べてけ』なりなんなり言われて、仕方なく飯を食いに行くことになった、そんなとこか」

 

「ギクギクッ」

 

「それで、俺の分も取っておいて先にもらった朝飯取っておこうと思ったんだけど、あまりに美味すぎて全部食べてしまった、と言ったとこか」

 

「エスパー⁉︎ウラってエスパー⁉︎」

 

「何わけわかんねーこと言ってんだよ。まぁ、そういうことなら、とりあえず……」

 

言いながら俺は指をゴキゴキと鳴らした。

 

「歯ぁ、食い縛れ」

 

 

2

 

 

ダンジョン。コボルトの群れが襲い掛かってくる。それを、俺は盾を構えて攻撃を防いだ。

若干、右上に跳ね上げるようにガードすると、空いたボディにアッパーを叩き込む。後ろに大きく怯んだコボルトの頭を盾の側面で思いっきり叩き込んだ。

 

『グオッ⁉︎』

 

それによって、コボルトは絶命したのか、グッタリと倒れた。だが、コボルトは群れで襲いかかってきている。まだ終わりではない。

 

「このっ……!」

 

襲い掛かってくる二体のコボルト。左側の攻撃は盾で防ぎ、右側のコボルトの攻撃は回避した。

両手で盾を持ち、二体からの攻撃をなんとか一つの盾で弾く。………反撃できない。このままだと、永遠に耐久する羽目になる。

そう思った直後、俺の後ろからベルが、俺を踏み台にして大きく跳ね上がり、ナイフで片方のコボルトの頭を刺した。

 

『グギャッ⁉︎』

 

短い悲鳴をあげるコボルト。その隙を見て、俺は残り1匹となったコボルトの攻撃を弾くと、顔面、ボディ、顔面、顔面、ボディ、顔面………と、殴りまくり、ボコボコにしてゴリ押しで殺した。

 

「まだ……!」

 

それでもコボルトは減らない。俺とベルは顔を見合わせた。

 

「「逃げろっ!」」

 

『『『『グルオァッッ‼︎』』』』

 

まるで、逃がすか!とでも言うように鳴き声を吐き出して追いかけて来るコボルト。

クッ、仕方ない。

 

「ベル、こうなったらB-2作戦だ」

 

「び、B-2って……なんだっけ?ダンボールの中でやり過ごす奴?」

 

「それはB-1作戦だ!B-2はあれ……何だっけ」

 

「ウラも分かってないんじゃないか!」

 

「……あっ、思い出した!アレだよ、この盾使う奴!」

 

「盾に隠れるの?」

 

「あくまで逃げ腰なのかよお前は!違くて……あーもうっ!奇襲作戦だ!」

 

「ああ、アレね」

 

「うしっ、やるぞ!」

 

言うと、俺とベルは曲がり角を曲がった。

追い掛けて来るコボルト。

曲がり角からコボルトが出てきた直後、俺は盾を前にして思いっきり突進した。

不意を突かれたコボルトの群れは、大きく怯み、先頭を走っていたコボルトは盾に直撃し、大きく吹き飛ばされた。

だが、それだけでは倒せるはずもない。俺はあっという間に囲まれた。

一斉に飛びかかられ、俺は盾を傘にしてしゃがんでガードした。その俺に容赦なく攻撃するコボルト。

その隙だらけのコボルトにベルが突撃した。ナイフを武器に、コボルトの首を片っ端から掻っ捌いていく。

すると、先に俺にぶっ飛ばされたコボルトが、ベルを仕留めようと走り出した。

ベルは別のコボルトを相手にしている。

俺を攻撃していたコボルトは残り1匹。俺は無理矢理、そいつを跳ね飛ばして、ベルに向かったコボルトに盾を投げた。

後頭部に盾が直撃し、力尽きるコボルト。

すると、コボルトを片付け終えたベルが、俺に向かって突進してきた。

ナイフを俺の顔の真横に突き出し、通り過ぎて行く。直後、俺の真後ろから『グボッ』と断末魔が聞こえた。

後ろを見ると、さっき無理矢理弾き飛ばしたコボルトの顔面にナイフが突き刺さっていた。

ベルがナイフを抜くと、ズルッと倒れるコボルト。

俺とベルは微笑むと、両手をパンっと合わせた。

これが、いつもの俺とベルの戦闘だ。

 

 


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