ベルと俺はトランシーバーを持って別れて、ナイフを探した。にしても、あいつはリリがナイフ持ってる事を知ってるんだろうか。いや、知らないだろうな。
ま、俺はリリを探せばいいか。………にしても腹減ったな。ラーメンでも食うか。
近くの屋台に入った。
「らっしゃい」
「おやっさん、ラーメンカタメで」
「あいよ」
ふぅ、腹減った。しかし、そろそろ俺もちゃんとダンジョンで鍛えないとな。いくら女性にボコボコにされるだけで【ステイタス】があがるにしても、耐久だけの話だ。せめて攻撃力くらいは欲しい。あと、この盾以外にも武器あったほうがいいかなぁ。いくらなんでも拳じゃ厳しいか。いつまでもベルの盾役じゃ、ベルに悪いしな。
つーか、この盾なんなんだろうなマジで。拾いもんなのにバカみたいに硬いんだよね。
「おまちっ」
「あ、すいませんどうも」
ラーメンが来た。おっほー、美味そうな醤油ラーメン。
「いただきまーす」
ゾボボボッと勢い良く麺を啜った。
「ほう、兄ちゃん。いい食いっぷりだねぇ」
「うめぇ!なんだこれ!」
「ありがとうよ。そうか、美味いか?」
「ああ。気持ち悪いほど美味い‼︎」
「それは褒めてるんだよな?」
「これ魚介系か?スープと麺が良い感じにマッチしてて、なんか、こう、美味い!」
「グルメリポーター向いてねえよお前。でも嬉しいな、サンキュー!」
ゾボッ、ゾボボボッと麺を啜ってると、トランシーバーに声が入った。
『もしもし、ウラ?』
「もっさもっさ、ゴクッ、もしもし」
『そっちの様子はどう?』
「魚介系スープ」
『は?魚介?』
「いや、こっちの話。つーか、スープの話」
『ナイフ探してくれてるんじゃないの⁉︎』
「あー探してる探してる。今、ラーメンの器の中を探してる」
『ラーメン⁉︎こっちは必死になってナイフ探しのために50kmも走ってるのに⁉︎』
「この短時間でそんなに走ったのかお前。早くね?」
『時速50kmだよ‼︎』
「にしてもはえーよ。てか今、飯食ってんの。邪魔しないでくんない」
『飯食うなよ!探すの手伝ってよ‼︎』
「わかったわかった。これ食い終わったら手伝う。おっちゃん、替え玉」
『替え玉頼むなよ‼︎』
「はいはい。じゃーな」
『ちょっ、待っ』
切った。
「替え玉おまちっ」
「サンキュー」
1
屋台を出た。さて、ナイフ探すか。つか、リリを探すか。どんな理由があれ、あのナイフは盗っちゃいかんでしょ。
と、思ったらトランシーバーに連絡が入った。
「もしもし?」
『リューです』
「えっ、なんで?」
『クラネルさんのナイフは見つかりました』
「ああ、マジですか」
『それはそうと、捜索中にラーメン食べてサボってたそうですね』
「え?」
『後で覚悟しておいて下さい』
「や、なんでリューさんが」
『ミアお母さんに代わります』
「え?今店にいんの?」
『あんた、店サボってまで探しに行ってそっちでもサボってるようだね』
「ちょっ、なんで知ってん」
『あたしのスコップが轟き叫ぶから、覚悟しな』
「轟き叫ぶの⁉︎」
『犬に代わるよ』
「えっ、待っ」
『俺だ』
「あの、【ステイタス】的にあなたが一番ヤバいんですが」
『俺はそこまで怒ってねえよ。ただ、1分以内に帰って来ないと殺すだけだ』
「怒ってんだろそれは‼︎」
『うるせぇ、早く帰って来い。1分遅れる度に蹴り一発な』
「だー!畜生がああああああ‼︎」
走った。今日だけで耐久が100上がった。