とある姉サイヤ人の日記 《本編完結》   作:丸焼きどらごん

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復活のF:その五 からの第六宇宙対抗試合3 第六宇宙の戦士達!

 地球を出発して試合会場へと向かう事になった私たちが、とりあえず先に向かったのはビルス様の星。ビルス様と、そして第七宇宙最後の選手であるモナカと合流するためだ。

 そして出会ったモナカに対する感想であるが…………うん。

 

 

 

 参加させんなよ可哀そうだろ!!

 

 

 

 そう叫びたくなるほど一般人だった。悟空たちは「一見そうでもなさそうに見えるのが実は強かったりするんだよ」とか言っているが、待てモナカさんガチの一般人だぞ。ただ乳首が大きいだけの、一般人だぞ!!ビルス様のように神様の場合気を感じ取れなかったりするけど、それと同じなわけじゃねーから!!

 

 悟空がビルス様に注意されたにも関わらず、力試しをしようとモナカさんを攻撃した時は全力で拳骨したわ。オイヤメロそれ死ぬ。モナカさん死ぬ。

 勢い余って悟空が地面に埋まっちゃったもんだからビルス様に「試合前に味方同士でダメージ負ってどうする!!」って怒られたけど、そのあとすぐに小さい声で「ま、まあ我が宇宙のエースに敬意を払って守った事は一応褒めておこう」とも言われた。……大本命の主戦力である悟空のダメージより、モナカさんが一般人であることを知られる方が嫌なのかビルス様。そしてそれを見て笑ってるセミと女魔人は後で覚えてろよ。

 

 

 

 そしてメンバーが全て集まったところで再びバス……じゃなかった透明な箱に乗って試合会場へ向かう私たち。時間があるという事でさっそくチチさんが持参してきたコンロを使って、バーベキューの準備をしてくれた。悟空とベジータは精神と時の部屋で過ごした間はまともな食事にありつけなかったからか、ものすごい勢いで食べている。

 フリーザ様が居る事で車内がすさまじく気まずい地獄のような空気になると思っていただけに、このチチさんの気遣いはありがたかった。みんなそれぞれ談笑しながら和やかに食事をしている。

 

 …………ちなみにフリーザ様は、ギニュー隊長とジースくんが甲斐甲斐しく肉を取り分けてお世話していた。そしてすげなく断られて落ち込んでいた。……めげないガッツ……! そしてそれを見守りつつ「隊長、ジース、がんばっ」みたいな雰囲気を醸し出しているナッパをはじめとした新生ギニュー特戦隊の面々。あそこだけちょっとした異空間である。

 

 

 とまあ、そうこうしているうちに試合会場に到着だ。

 

 

 会場の星周囲を揺蕩うのは、薄黄色の光を放つ……スーパードラゴンボール。

 知ってはいたけど、マジで星サイズとなると実際に目にした感想は圧巻の一言。ちょっと前にブルマがジャコに協力してもらって「せっかくだし、何があってもいいようにこっちの宇宙のスーパードラゴンボールを先に集めときましょうよ! いざという時はそれでフリーザを倒してもらえばいいんだわ。スーパーっていうくらいだもの。それくらい出来るかもしれないじゃない!」と言って、宇宙に飛び出していった。その時にスーパードラゴンボールの在処を聞くためにズノー様という賢者のもとへ行ったそうなのだが、そこで分かった驚きの真実。なんと、スーパードラゴンボールは第六と第七、二つの宇宙で合わせて七つなのだそうだ。

 つまり別個に集める事は不可能。ビルス様はそのことを聞いてシャンパ様が勝手にこちらの宇宙に入ってドラゴンボールを集めていたことに腹を立てていたっけな……。

 

 とにかく二つの宇宙に七つだけ。正真正銘、ものすんごい貴重品である。

 

 それを思うと最近馴染みすぎて麻痺していたドラゴンボールへの敬意も再び湧いてくるというものだ。いや、敬意を払ってないわけでも感謝してないわけでもないんだけど、なんかあって当たり前。使うのが当たり前みたいになってたところあるしな。ちょっと反省。

 せっかくだし手を合わせて拝んでおこう。なんか見ただけでもご利益有りそうな雰囲気だし。

 

 

 そして試合会場に到着した私たちは、私と悟空、ベジータは二度目。他の皆は初対面となる、シャンパ様とウイス様の姉上であるヴァドス様と対面した。

 すると今まで大人しく私に抱かれて眠っていた叶恵が起きて「ぷにぷにねこさん!! おかあさんといっしょー!」と言ってはしゃぎはじめたのを聞いて「ぷ、ぷにぷに……」と若干落ち込んだ様子のシャンパ様と一緒に私もちょっと落ち込んだ。い、今はぷにぷにじゃないし……! あんなデブ猫と一緒にされたくないし……!!

 

 そしてその後、先に到着していたらしい界王神様、キビトさん、老界王神様があいさつしに来てくれた。いや、でも界王神様はともかく、その後ろにいるのって……。

 

「皆さん、お久しぶりですね! 今日は頑張ってください。応援していますよ」

「あ、あり? 界王神様、キビトさんとの合体解けたんか?」

「おや、空梨さんから聞いていませんか? 実はずっと合体したままというのも変な感じだったので、ちょっと前にナメック星人に頼んでドラゴンボールを使わせてもらったのです」

「えー! 姉ちゃん知ってたんか? 聞いてねぇぞ」

「いや、悪い。言う機会がなんか無かった。……それより、その、界王神様。後ろの方は……」

「ああ、言ってませんでしたね。今日は彼を私の友として招待したのです」

 

 そう言って界王神様が促すと、三人の少し後ろに居た人……否神様がすっと前に出てきた。

 

「久しぶりだな、空梨。……叶恵も元気だったか?」

「ん! げんき!」

「え、叶恵とお母さんのお友達?」

「ザマスおじちゃまよー」

 

 そう、ザマスである。第十宇宙の界王神見習いの緑の肌の神様が、何故だかこの場に居た。……いや理由は界王神様が説明した通りなんだろうけど、ここまで仲良くなっているとは予想外。普通に友人って紹介する程度には仲良くなってるのか。

 興味津々のエシャロットに聞かれて答える叶恵はどこか誇らしげで、とりあえず私からはラディッツ達に「叶恵のホームステイ先の人」とだけ説明しておいた。ここで下手に悟空が興味持ってザマスと戦いたがったりしても面倒くさいし、色々説明ははぶいとこう。

 

「貴様、いつの間に神なんかと知り合いになってやがったんだ。相変わらず分からん奴だな」

「お前らにだけは言われたくない」

 

 ベジータの発言には全力で言い返しておいた。うるっさいわ。こちとら未来の息子や甥っ子のためにゴクウブラック編が始まらないように珍しく裏でごちゃごちゃやってたっつーに。

 

「あ、引き留めてしまいましたね。確かこれからペーパーテストをするとか。では我々は皆さんと一緒に観客席から応援していますので」

「最近娯楽が少なくてなぁ。この試合の話を聞いて、楽しみにしておったんじゃ。頑張るんじゃぞ」

「孫悟飯が居ないのが残念だが……せっかくだ。私も楽しませてもらおう」

「健闘を祈る」

 

 そう言って界王神様、老界王神様、キビトさん、ザマスは選手以外の皆が案内された観客席の方に去って行った。丁度よいので界王神様とザマスがお気に入りの叶恵は界王神様に預けておこう。ラディッツがめっちゃ見てるけど、お前は他の子供ら頼む。どの子も好奇心旺盛でちょろちょろ動くから。主にエシャロット。

 

 

 

 

 そして私と悟空、ベジータ、フリーザ様、モナカはこの大会において本番前に選手たる資格があるかを確認する、簡単なペーパーテストを行う場所へと赴く。するとその場には、第六宇宙の戦士達もそろっていた。

 彼らを見た時、今までずっとしかめ面だったフリーザ様が「おや」と声をあげた。その先には現在第一形体に戻っているフリーザ様とよく似た、2Pキャラみたいな色合いの宇宙人が座っている。そちらの方もフリーザ様に気づいたようで、一瞬驚いたような顔をした後に爽やかな笑顔を向けてきた。

 

 そう、爽やかな笑顔である。

 

 その対応に思わずフリーザ様と2Pフリーザ様を見比べて二度見した私たちは悪くない。近くに居たら思わず見比べるわ。

 そしてフリーザ様のそっくりに彼らが反応しないわけもなく、観客席がにわかに騒がしくなる。

 

「なんと! あちらの宇宙にもフリーザ様と同じ種族の方がいらっしゃるのだな!」

「ええ、驚きです! でもよく似てらっしゃいますが、ずいぶんと印象が違いますね。なんというか……爽やか? というか……スッキリしている、というか……」

「馬鹿者! あれは若いというのだ。フリーザ様のような貫禄が感じられぬ。クックック、同じご種族と言えど、それでこそよりフリーザ様のすぐれた様が際立つというもの。対戦が楽しみだ。ところでジース、例の物は持ってきているな?」

「はい! カメラとビデオのセットは完了しました。あとはこれを……」

 

 そう言ってジースくんがばさっと広げたのは応援幕。書かれた文字は「宇宙の帝王ここに有り! フリーザ様に栄光あれ! フリーザ様がんば!(イラスト付き)」で……すぐさまフリーザ様にビームで焼き払われていた。

 

「私まで馬鹿だと思われるでしょう!! 余計な事をするんじゃありません!!」

「そ、そんな~フリーザ様……。で、では気持ちを込めて応援歌とダンスを捧げま「いいから黙って見ていなさい!! まだ試合は始まっても居ませんよ!!」

 

 なんか最近フリーザ様の血管が切れてそれで死ぬんじゃないかって思う時ある。ただでさえストレスたまってるだろうに、好意100%のギニュー隊長達が完全に裏目に出てるっていうか……。

 

 しかし思い切り怒鳴った後は気を取り直すことにしたのか、深呼吸してからフリーザ様も笑みを浮かべて第六宇宙の2Pフリーザ様に向き直る。……2Pの名前なんだっけ。

 

「ホッホッホ。お恥ずかしい所をお見せしましたね。…………私はフリーザ。あなたは?」

「私はフロストと申します。いえ、恥ずかしいだなんて。部下に慕われているご様子をお見受けするに、貴方は優れた指導者なのでしょう。そんな方と戦えるのなら光栄です。対戦できることを楽しみにしてますよ」

「おや、これはご丁寧に。その際は是非、よろしくお願いしますね」

「こちらこそ」

 

 な、なんだろう。思ったよりお互いスマートな対応で挨拶を済ませやがった。

 

 そしてフリーザ様達の様子にちょっともにょっていると、私と悟空、ベジータのところにも挨拶に来た人物がいた。キャベと名乗った彼は、聞けば第六宇宙のサイヤ人なのだそうだ。知ってはいても、いざ対面すると興味が湧く。

 なんつーかこう、第六宇宙のサイヤ人はさっぱりした顔立ちしてるんだなって思った。尻尾も今はもうないと言うし、あれか。種族的には向こうの方が進化しているのかもしれない。例えで言うと縄文顔と弥生顔的な? こっちの宇宙のサイヤ人、表情もあるんだろうけど基本的に濃い顔の奴が多かったからキャベくんはなんか新鮮。

 こちらでは滅んでしまった惑星サダラが健在なら、きっとサイヤ人の人口もずっと多いだろう。戦闘力に関してはこっちの生き残りのサイヤ人が全員色々規格外になってしまっているので、どちらが種族的に進化しているか正確に比べる事は出来ない。でも悪方面に染まらなかった場合のサイヤ人、という事例が彼らなのかもしれないなと、なんとなく思った。

 ……仕事内容が傭兵は傭兵でもヒーロー的な活動とか、同じサイヤ人なのに辿った歴史で結果が違いすぎてビビるわ。

 

 そして会話の流れでベジータが現在のサイヤ人の王であると知ると、急にキャベくんはあたふたし始めた。なんというか、素直で可愛いなこの子。ちょっとターブルを思い出す。……奥さんと仲良くやってるかなぁターブル。

 

「お、王様自ら試合に!? て、あ、その! 陛下だとは知らず気安く話しかけてしまい、ご無礼をいたしました!」

「かまわん。王と言っても、最早こちらのサイヤ人は少数民族となってしまっているしな。他にも何人か居るが、ほぼこの会場に集まっているだけで全部だ」

「第七宇宙のサイヤ人はそんなに減ってしまっているんですか……」

「ああ。どこかの誰かさんのせいでな。……どうやら、第六宇宙とは色々事情が違うらしい」

 

 そう言ってフリーザ様を睨むベジータ。フリーザ様は余裕の態度でそれを流すが、ふいにベジータではなく私を見る。何事かと思って少し距離を取りビビっていると、わざわざ近寄ってきて、いかにも可笑しそうな様子で笑いながら私に話しかけてきた。え、な、なんスか。

 

「フフッ、まったく滑稽ですねぇ……。ビルスが惑星ベジータを破壊しようとしていた事も知らずに、その相手にいいように使われているなんて。やはり猿は猿、ということでしょうか?」

「!」 

 

 フリーザ様の言葉に私は思わず、凄い勢いで首を回してベジータや悟空に聞かれていないかキャベくんと話すあいつらを見てしまった。そして距離をとっていたことが幸いしたのか、聞こえていない様子にほっと息を吐く。

 

「おや? その様子だと、貴女は知っているようですね。……そしてベジータさんと孫悟空は、それを知らない、と」

「流石の洞察力ですフリーザ様……」

「貴女が分かりやす過ぎるんですよ。まったく、何故ナメック星ではこんな人の演技に騙されていたのか」

 

 やれやれと言いたげにため息をつくフリーザ様だが、私としては思いがけないカマかけにドッキドキだ。

 ……フリーザ様に惑星ベジータ及びサイヤ人を滅ぼすように命じたのがビルス様だと知れたら、悟空はともかくベジータとかラディッツがどう思うのかちょっと心配なんだよな。サイヤ人の所業は正しく滅ぼされるに値するものだったし、だからこそ私もフリーザ様に惑星ベジータが破壊される時「しかたがない」と割り切ったんだけど……きっと二人はそう簡単には行かないだろう。

 特にベジータなんか故郷が滅びた原因である張本人のもとで修業させてもらってると分かったら、どう思うだろう。あいつ結構真面目だからな。悩んじゃったりして。

 

 いや、でも実はそこのところちょっと原作知識が曖昧で、直接ビルス様がフリーザ様にサイヤ人抹殺を命令したのかは知らなかったんだけど。だって多分ビルス様の命令が無くても、フリーザ様は他ならないご自身の意志でサイヤ人滅ぼしてただろうし。

 …………う~ん、これはちょっとした仕返しを含むブラックジョークと受け取るべきだろうか。でも今は試合前だし、余計な事ベジータには言わないでほしいな。

 

「あの、できればベジータには……」

「おやおや、麗しい姉弟愛というわけですか? ナメック星で真っ先にベジータさんを私への手土産にしたあなたが?」

「うっ」

 

 く、クソッ。昔の事を掘り返されると色々気まずい。

 いいやついでだ。気まずいついでにいっそ気になってた事も聞いてしまえ。

 

「フリーザ様はビルス様の命令で、惑星ベジータを滅ぼしたんですか?」

 

 出来るだけこそっと小さな声で問いかけると、フリーザ様は自分で話題をふってきたくせに忌々しそうに顔を歪めた。

 

「まさか。軽く促されてはいましたが、あれは紛れもなく私自身の意志ですよ。相手が破壊神といえど、このフリーザがそう簡単に使われるとでも?」

「い、いえ」

 

 これ、今は簡単に使われてその結果ここに居るんですよね? とは言っちゃいけないんだろうな……。

 

 しかしそこで私が言い淀んでいると、ヴァドス様に「おしゃべりはそこまで。そろそろテストを始めますよ」と、話し込んでいたメンバーそれぞれに注意がされた。そこで会話が途切れたことに、思わずほっと息をつく。

 

「ホホ……。ま、真実はどうあれ、仲良くむこうのサイヤ人とお話をしているベジータさんを見ていたら気になっただけですよ。彼にこの事を教えたら、どういう反応をするか」

「は、はは……。勘弁してください……」

 

 最後にフリーザ様に言われた言葉には、乾いた笑いを返すしか出来なかった。

 

 

 

 でもって、試合前のペーパーテスト。

 

 

 

 結果は当然全員合格。……だけど、成績トップがベジータとフリーザ様だったのがなんか悔しい。フリーザ様はともかくベジータに負けた……! くっそ、なんで小学生レベルの問題の中に二、三問難しい問題紛れてんだよ。正解どころか問題の意味すら分からなかったのに、それがベジータに分かったのがムカツク。

 

「当然だな」

 

 ドヤ顔うっぜ! こ、こっちは珍しく弟の事を思って心配してやってるのにこの野郎。

 

 まあそれはともかく、ペーパー試験が終わったのだから次はいよいよ本番だ。どうせビルス様はモナカだけ最後の選手に据えた後は好きに決めろとでも言うだろうし、ここはフリーザ様を一番手に押しつつ私が最後から二番目に……。

 

 

 しかし私の思惑はあっさり覆されることになる。

 

 

「ハーベスト。きみ、どうせ悟空たちに任せてサボろうとか思ってるだろ」

「え」

「お前先鋒な」

「え!?」

 

 

 

 他の面々がじゃんけんする中、私だけ破壊神(オーナー)命令で順番が決定された。

 

 何故に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




名前だけ出てきましたが、一応ターブルは来た後の設定で書いております。いずれ番外編にて書く予定。書く順番が色々前後しててごめんなさい(´・ω・`)

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