とある姉サイヤ人の日記 《本編完結》   作:丸焼きどらごん

93 / 135
時系列は原作通りブウ編後、超編前です。更新の順番的に並び順が逆で申し訳なく


神と神

■月●日

 

 ブウとの戦いから少し経った。

 けどせっかく一息つけるかな~とか思ってたら、叶恵の育児以上に弟達の相手が面倒かつ鬱陶しい。

 

 なんでも奴らスーパーサイヤ人ゴッドに他のサイヤ人の協力無しの自力での変身を目指しているらしく、そのために先にゴッド変身出来るようになった私を前以上に修行に巻き込みやがるのだ。

 …………うん。なんか、自力でなれるようになっちゃったんだよなゴッド。五人のサイヤ人にパワーをもらわなくても、なんかコツを掴んだのか試しに変身してみようと思ったら出来ちゃった。なんでや。

 

 あいつら人が忙しいっつーに、叶恵があまり人見知りしなくて大人しいからって「でぇじょうぶだって! チチが面倒見ててくれっからよ。だから一緒に修業しようぜ姉ちゃん!」とか「姉と兄が三人もいるんだ。妹の面倒くらい見させておけ」とか好き勝手言いやがって。こういうところあいつら変に似てて超嫌なんだけど。片やおねだりで、片や強制的に私を修行に巻き込んでくる。マジ勘弁しろし。

 

  ……まあ、このままあいつらがゴッドになれないと、最悪私が今度来るビルス様と戦う破目になりかねないからな。しょうがないから協力はするけど、でもなんか釈然としない。

 

 いつになったら私は普通のマダムライフを送れるようになるんだ……。

 

 

 

 

 

 

△月●日

 

 

 ヤッベ。ヤーッベ。

 

 ブウとの戦いから四年の月日が流れた。私は現在48歳で、もうすぐ50歳かと思うとずいぶん遠いところまできたものだと思う。もう前世で生きてた年齢なんてとっくのとんまに通り越したからなぁ……。すっかり私にとってのホームグラウンドは何処かと言えば、この世界の地球になってしまった。

 が、今それはどうでもいい。

 問題なのは、今年のブルマの誕生日こそ……原作ドラゴンボールで言う「神と神」の舞台となる時間軸だと言う事だ。

 

 

 

 でもって、そのブルマの誕生日だけど明日なんだよなぁー。

 

 

 

 ヤベー。ッベーわー。そもそも日記書いてる場合じゃなくて、明日のパーティーにビルス様来るぜってベジータとか悟空に知らせるべきなんだけど、さっきウイス様から「お約束の年となりましたので、明日ビルス様と地球に伺いますね」って連絡来るまですっかり失念してたというか、もっと先だと思ってたっていうか……。

 

 

 …………。

 

 

 どうせ今日騒いだってしょうがないし、下手に言うと「何で忘れてたんだ!」とか怒られそうだから明日まで黙ってよっと。

 

 

 

 

 

Ω日ψ日(ブルマ45歳の誕生日)

 

 

 パーティー会場なう。

 

 ブルマが年齢サバ読んでる。45歳だろお前。38歳とか無理言うなよ。人の年齢に興味が薄い男性陣はともかく、私やチチさんや18号さんは普通に年齢知ってるから。いたたまれなくなるからやめとけって。…………そう思って実年齢ばらしたら殴られた。ご、ごめん。見た目の年取りにくいサイヤ人としては無神経だったわ……。いや、でもブルマ45に見えないくらい地球人としては見た目若いんだけどな。チチさんもだけど。

 これがあと……えーと、六年くらい? で皺が増えるのか。たしかブウ編から十年後くらいがウーブの出てくる最終回だったって、何故か私より原作知識の詳細を覚えているセルに前教えてもらったし。

 ……あいつの原作知識は私の日記由来のはずなんだけどな。何故私よりもその内容をはっきりと覚えているんだ。日記読み返したらマジで「十年後くらい」って書いてあったわ。マジなんなんあのセミ。前にそれ言ったら「単純に頭の出来の違いだろう?」と当然のことをなぜ聞くのかって顔で言われたからもう聞かないけど。腹立つ。マジムカつくあのセミ野郎。……ちょいちょい悟飯ちゃんとこに来ているけど、早く悟飯ちゃんあのセミぶっとばしてくれないだろうか。

 

 とりあえずセルの野郎、ビルス様が来るときは是非自分も呼べとか言ってたけど教えてやらないもんねー。ぷっぷー。ザマーミロ。お前が居ると余計にややこしくなりそうなんだよ!

 

 

 ちなみに悟空だけど、原作映画だとたしかパーティーの最初の方は界王様んとこ修行に行ってて不参加。だがこっちでは私が何か言うまでもなく、エシャロットが孫宅で「見て見て悟空おじちゃん! ブルマさんの誕生日パーティー用に買ってもらったの! 可愛い? 可愛い?」とオニューのワンピースを見せびらかしていたので、悟空もパーティーの日取りを思い出したのか出かけなかったが。

 ……まあ、そもそもあいつの修業場所は私やラディッツが居るからかもっぱら地球なんだけどな。界王様んとこ行くのも稀で、畑の仕事もあるから一日中家開ける事もないし。……でも本音を言うと私修業あんまり付き合わされたくないし、もっと頻繁に界王様んとこ行ってくれてもいい気もするんだけど。今度さりげなく薦めてみるか。

 

 でもってパーティーが進んで半ばごろ。ビルスさま来thgewdafgdnjhmfcsfdrghjnm

 

 

 

 

 

 

 

 

 

++++++++++++

 

 

 

 

 

 

 

 

 私は文章を打ちかけていた日記を取り落とし、たった今脳天にもたらさせた衝撃に涙目になって頭を両手でおさえた。背中にくっついてぶらさがっていた四歳になった叶恵が心配そうに見てくれるのが癒しだが、和んでいる場合ではない。

 私は渾身の拳骨をぶちかましてくれた馬鹿野郎に抗議すべく、ぎりっと目も端を吊り上げた。

 

「何すんだよ馬鹿!」

「馬鹿は貴様だぁ!! ビルス…………様、が来ることを何故黙っていた!」

 

 な、何!? 何故私がビルス様たちの来訪を知っていることがベジータにばれているのだ!

 

「動揺していないのが証拠だ!」

 

 く、しまった! 普通に料理食ってたわ! ベジータは飲み物ふき出してたけど!

 

「あー! えっと、えっとね。エシャ知ってるよ。ビール様だ! 前に界王神界であった猫さん!」

「エシャロット、ビール様じゃなくてビルス様。あと、猫さんじゃなくて神様だよ。あの、お久しぶりです。僕は龍成と言います。ほら、エシャロットもご挨拶して」

「むぅ、龍成に言われなくてもご挨拶したもん! あの、エシャロットです! お久しぶり、です! こんにちは!」

「はい、こんにちは。……君達はたしか、ハーベストの子供たちだったね」

「うん!」

「はい」

「ふふふっ。ちゃんと挨拶ができるとは、なかなか礼儀正しいじゃないか」

 

 そして双子ぉぉぉぉ! 何ビルス様に普通に話しかけてるの!? いつの間に!?

 

「あ、ホントだ! あの時の紫猫の神様だ! な、なあマイちゃん。凄いだろ? ママの誕生日パーティーには神様まで来るんだぜ! あ、デンデさんも神様な! だから今うちには神様が二人もいるってこと!」

「か、神様ぁ?」

「えっと、隣の背の高い人は誰だっけ?」

「たしかウイス、さんじゃなかったっけ。っと、そうだあいさつあいさつ。こんにちは! 俺、トランクスです!」

「ボクは孫悟天です! こんにちは。ほら、マイちゃんも」

「わ、わたしもかぁ!? ……こ、こんにちは? ま、マイです……」

「こんにちは。ふむ……。こちらのお子様たちは悟空さんとベジータさんのお子さんみたいですね」

「親にもこの礼儀正しさを見習ってもらいたいものだね」

 

 そしてトランクスに悟天!! あと多分だけどいつの間にかトランクスに手をひかれてる黒髪の女の子はおそらく小さくなったピラフ一味のマイ! 子供組はぐいぐい行くな! まだビルス様たち来て10秒も経ってないんだけど!?

 

「と、トランクス! こっちにこないか!」

「あんたたちもこっち来なさい! いきなり失礼でしょ!?」

 

 慌てて子供たちをビルス様から引き離そうとする私とベジータだけど、それよりも先にコミュ力おばけ×2がビルス様に近づいた。

 

「お! ビルス様じゃねぇか、久しぶりだな! ……じゃなくて、久しぶり、でございます、です」

 

 悟空! お前そんな敬語だからビルス様に「親にも見習ってほしい」とか言われるんだよ!

 

「あらぁ、ビルス様じゃない! 改めてご挨拶させていただくわ。ベジータの美人妻、ブルマよ。今日はなんのご用事? よければ私の誕生日パーティーに参加していかない? ご馳走がたーっくさんあるわよ~」

「なあなあ、もしかして前に言ってた日って今日なんか!? オラ、前よりすっげぇ強くなってっぞ!」

 

 ローストチキンがたっぷり乗ったお皿を抱えたまま、目をキラキラさせて身を乗りだした悟空と、数年前にしたビルス様たちについての説明を忘れているのかそれとも酔っているのか、ワイン片手にほろ酔いでフレンドリーに話しかけるブルマ。

 私とベジータは無意識のうちに胃のあたりをおさえていた。

 

「おや、それは嬉しいですね。実は来た時からとても美味しそうな食事が目に入りまして、是非食べたいと思っていたところなんですよ」

「おいベジータ。なんか今は外面いいビルス様っぽいからこのまま穏便にいくぞ。ビルス様の目的はスーパーサイヤ人ゴッドになった悟空と戦う事だけど、ここでおっぱじめられても迷惑だし」

「小声のつもりだろうけど聞こえているよハーベスト」

「迷惑とか言って申し訳ございませんでした! ビルス様が場所も選ばないやからではなく分別ある方だと分かっているというのにとんだ御無礼な発言を!」

 

 素直に最敬礼でもって謝罪した。

 ベジータにこそこそ耳打ちしてたら聞かれてたぁぁ!! 怖、ビルス様の地獄耳怖っ! ビルス様の大きな耳って飾りじゃなかったんだ……。

 

「おいハーベスト! 俺とてカカロットに負けないくらいの訓練をつんでだな!」

「そしてお前は今さら対抗心燃やしてんなよめんどくさいな! わかってるけど、予言でビルス様が戦う予定の相手が悟空なの! それを今言っただけだから張り合うなよ! お前も後で戦えばいいじゃん! ってゆーかビルス様に満足してもらうためにどうしたってお前にも戦ってもらう事にはなるだろーよ! つーかお前も悟空と同じくらいスーパーサイヤ人ゴッド目指して修行してきたんだから私と一緒になってビビってどうする!」

「う、うるさい! 俺はビビってなどいない!」

「さっきから冷や汗ダラダラだっつーの! 私もだけど! 言っておくけど私ら姉弟小さい頃にビルス様に会ってるから深層心理に色々刷り込まれてんだよ! だからビビっててもしょうがないの!」

「ベジータおじさんとお母さん大丈夫? これ飲んで落ち着いて」

「あ、ありがとう空龍」

「あ、ああ。もらおう……」

 

 腹の底から声出してぜーはー言ってたら、十三歳になって最近ちょっと大人びてきた空龍が飲み物を差し出してくれた。それを思わず受け取った私とベジータはストローをくわえてじゅーっとドリンクを吸って飲み干すと、どちらともなくため息をつく。クソッ、こいつと言い合ってたら無駄に疲れた……。

 それにしても空龍が差し出してくれた飲み物が無糖であるところに、パーティー開始時からスイーツ類を普通の食事に紛れさせながらコツコツ食べていた私をしっかし監視していたラディッツ(スイーツを頬張っていると時々「あと五個までだ」とか耳元でささやいていく)の教育がそこはかとなく行き届いているのを感じた。前は私のために「お母さん甘い物好きだから」ってジュースとかココアとかフルーツスムージーとかチョコドリンクとか持ってきてくれたのにな……。いや、単純に息を整えるために飲みやすいものを持ってきてくれただけかもしれないけど。

 

 そして私とベジータが落ち着いたところを見計らったのか、ウイス様が声をかけてきた。

 

「お二人ともそう心配なさらなくとも、お祝いの席でいきなり戦い始めるほどビルス様は無粋じゃありませんよ」

 

 嘘だ。何かきっかけがあればビルス様すぐ怒るじゃん。例えばプリンとかで。

 

「そうそう。せっかくブルマさんに誘っていただいた事だし、ゴッドと戦うのは食事を楽しんでからにしたいね。……というかそもそも、ゴッドにはなれるようになったのかい?」

 

 ビルス様が流し目で見たのは悟空で、悟空は指で鼻をこすりながら「へっへっへ~」と笑う。

 

「おう、バッチリだぞビルス様! けどあれ見たらビルス様驚いちまうかもな~」

「ほほう?」

「ビルス様飯食ってくんだろ? だから後のお楽しみだ!」

「じらしてくれるね。ま、いいでしょう。でも期待外れだったら……破壊しちゃうよ?」

「でぇじょうぶだ! 楽しみにしててくれよ」

 

 自信満々に答える悟空にひとまず納得したのか、ビルス様は尻尾を一振りするとパーティー会場に向き直った。

 

「ま、そういうことなら今は先にご馳走を楽しむことにしようか。ところで君、それはなんて料理だい?」

「ティラミスだ。通常の珈琲味に加えてレモン味やイチゴ味もあるが、全部ためしてみるか?」

「それは興味深い! 頂こう」

「おや、おいしそうですねぇ。私も是非!」

 

 そして何気にブルマに呼ばれて出張してくれてる店長がビルス様とウイス様に普通にお菓子を提供してるんだが。……きっと店長、相手が神様だって知ってもあの態度のままなんだろうな。

 見習いたい、あのメンタル。

 

 そしていつの間にか屋台の一角を借りて料理を作っていたラディッツが店長に味見を頼んで褒めてもらって喜んでたんだけど、あいつもある意味神経太くなったよな。おい、隣に破壊神おるぞ。つーかお前も作った料理ビルス様に褒められてるんかい。いやラディッツの出し巻きはたしかに美味しいけど。

 

 なんだろう。私とベジータの姉弟と周りの温度が違いすぎて辛い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後はビルス様の正体を知っている周りが若干ビビりながらも、ブルマの誕生日パーティーは和やかに進んだ。ビルス様もなんだかんだでノリのいいところがあるから、踊りまで披露してくれたしな。これにはちょっとほっとした。

 

 懸念していたブウとのプリン事件は、もちろんブウはプリンを独り占めしてビルス様に譲らなかったのだが……私があらかじめ確保していたプリンを出すまでもなく、どうもビルス様がお気に入りになったらしいエシャロットが自分の分をあげていた。うん、優しい子に育ってくれていてお母さんは嬉しいぞ! ……ちょっとビルス様の尻尾にまとわりついてた時はハラハラしたけども。

 

 あと気になった事と言えば、ギニュー隊長、ジースくん、ナッパがピラフ一味を見て「もしやお前たちは我がライバル!」とか言いながらなんか喜んでた事か。……ライバル?

 ピラフ一味は何かコソコソ動いてたけど、結局ギニュー隊長達につかまって動くに動けずにいたみたいだな。これにも一安心。余計なことされてビルス様怒らせでもしたら事だし。

 

 そうそう! 気になる事と言えば重大発表があった! パーティーの途中で、なんとビーデルさんから妊娠したとの報告があったのだ!

 さっき珍しくお酒を飲んで酔っ払った悟飯ちゃんに「ビーデルさんも飲みましょうよ!」と言われてたんだけど、ちょっと照れながら「ごめん、悟飯くん。お腹の子に障るからお酒は遠慮しておくわ」と言ったビーデルさん。みんなが驚く中、嬉しそうにビーデルさんが身ごもったことを教えてくれたのである。

 う~む、これで私も大叔母となるわけか。なんだか感慨深い。私がへその緒を切った悟飯ちゃんが父親か……。知ってはいたけど、なんか感動。これは自分の子供が出来た時とはまた別の感情だな。

 

 

 とまあ、めでたい報告もあってパーティーの盛り上がり方はなかなかだったわけだ。

 

 

 美味しい料理に、楽しいビンゴ大会(和やかな流れ的にベジータの愉快なビンゴダンスは発生しないものと思われたが、ビルス様に「君、今サイヤ人の王を名乗ってるんだよね? 奥さんがこれだけもてなしてくれてるっていうのに、君はなにもしないの?」と、さりげな~く破壊をちらつかされながら言われたからか、渾身のビンゴダンスを見せてくれた。しかし王としてのプライドを掛けたからか、そのクオリティが凄まじく高く完成されており、終わった時には盛大な拍手に包まれていたベジータを見て何とも言えなくなった。……披露する気は無かったようだが、見た感じひそかに練習してたっぽい。……ブルマへの愛って事で納得しておこうと思う)、めでたい報告もあってと、パーティーは順調に進んだ。

 

 

 でもってこの後は悟空とベジータがビルス様を満足させる戦いをしてくれたらよかったわけで、彼らの修業を見てきた私としてはまったく不安が無いとは言い切れないものの、ビルス様が地球を破壊する心配はあんまりしてなかったわけで…………。

 

 

 

 ………………うん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 だからこんなことになるとか普通に思ってねぇから!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

「何で私がゴッドで戦うんだよ!」

 

 そう。何故かパーティーの後、都から離れた荒野で私はビルス様の前に立っていた。スーパーサイヤ人ゴッド状態で。

 

 おい待てふざけん何だこれ。

 

 

「だってよー! スーパーサイヤ人ゴッドスーパーサイヤ人じゃ最初の予定のゴッドより強いから、ゴッドの実力見た後に楽しみにとっときたいってビルス様が言うんだもんよー!」

 

 遠くから大きな声で分かりたくもない状況を説明してくれる弟を私は全力の眼力でもってギッと睨んだ。多分念力眼力バージョン覚えてたら今ので悟空を二十kmくらいぶっ飛ばせていた気がする。

 

 そう。悟空がさっきビルス様に言っていた「お楽しみ」とは、スーパーサイヤ人ゴッドの先にある可能性であるスーパーサイヤ人ゴッドスーパーサイヤ人。蒼い神の気をまとった、のちに「スーパーサイヤ人ブルー」と名前を短縮される変身形態だ。

 ここ数年の修業で悟空とベジータの奴、ゴッド通り越してその上の段階まで行っちゃったんだよな…………。あの天才どもめ。

 

 しかし誤算だったのは、その変身を見たビルス様が予想以上に喜んだこと。そして何故か悟空とベジータの前座として、二人の他に唯一スーパーサイヤ人ゴッドになれる私が選ばれたこと。

 

 ………………。

 

 いやおかしいだろ!! ビルス様欲張りすぎだろ!! いいじゃんスーパーサイヤ人ゴッドスーパーサイヤ人二人もいるんだから! 前座とかいらないじゃん!?

 

 しかし主張しようにも、ここでビルス様の機嫌を損ねてもそれはそれで問題。

 

 

 …………結局私は「お母さんがんばれー!」という優しくも残酷な子供たちの声援と、常識人枠からの憐憫の視線を背負ってビルス様と戦った。

 結果など聞かれるまでもない。悟空とベジータがビルス様と戦う傍らでぼろ雑巾になってデンデにベホマってもらってたっつーの。

 普段から悟空とベジータに付き合わされて修業してるんだから、ちょっとは子供らにいいとこ見せられると思ってたのに……。自分は戦わなくていいと思って超油断してスイーツたらふく食ってたら、腹が重くて全力で動けなかったとか超恥なんだけど。ビルス様に戦う前めっちゃふくらんだ腹のあたりまじまじと見られてて(「まさかまた出産するとか言わないよね?」と言われた)めっちゃ恥ずかしかったんだけど。戦闘中にへこませたけどあの腹でゴッドになるの死ぬほど恥ずかしかったんだけど。

 くっ……! ラディッツのお小言聞いとけばよかった……!

 

 

 そして戦いの後。ぐったりしながらベホマってもらっていた私はどういう経緯でそうなったかは知らないのだが、どうやら悟空とベジータはビルス様を満足させる結果を引き出せたらしい。だから地球の破壊は無し。ヤッターヤッターハッピーエンドじゃーん。

 

 

 

 

 そう思ってた時期が私にもありました。

 

 

 

 

 

 

 

β月Σ日

 

 

 

 ビルス様んちで行われる弟共の修行に誘われた。

 

 

 

 

 なんでや。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ブウ編と超編の間の話を埋めようと久しぶりに番外編を書いたものの、完結させた話を時間をあけた後で書く+先に書いちゃった中編の前の時系列の話を書く、というのが思いのほか難しくて難産……!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。