とある姉サイヤ人の日記 《本編完結》   作:丸焼きどらごん

69 / 135
35ページ目 天界にて療養中~ごっちゃごちゃの地上戦(神様視点)

Ё月■日続き

 

 

 

 ベジータと天下一武道会の会場から離れたと思ったら、いつの間にかみんな消えててふぁ!?ってなったわ。ちょ、洗脳ベジータを一人で相手っておまっ、嘘だろ。私の無効化技で周りや味方への被害を消しつつ戦闘要員がベジータをフルボッコにする計画がぱあになった瞬間である。

 とりあえずやけっぱちでスーパーサイヤ人界王拳とか無茶しながらも、ベジータは私が気絶する寸前で正気に戻ったようだったからセーフ。今回は割とマジで棺桶に片足つっこんでたわ。

 なんだよベジータお前、正気に戻れるならもっと早くに戻れよなー。それにしても何であいつ急に正気に戻ったんだろう。謎である。

 

 ちなみに新技の対エネルギー波特化の技には「エナジーリダクション」という名前を付けている。黒い板が私の前に連続して数枚現れるというスタイリッシュな見た目がわりと気に入っているが、その効果もなかなか優秀である。あの板を通過するたびにエネルギー波のパワーを拡散させ周囲に還元し、消滅させてしまうのだ。枚数を増やせば増やすほど無効化出来るエネルギーの量は増すので、相当の威力のエネルギー波でも準備さえ整っていれば消滅させることが可能である。

 あれだ、敵味方両方が本気出したらすぐに地球さんがご臨終されてしまうからな。いざという時のためにこういう技があってもいいと思ったんだ。

 でもこいつとバリアとグラビティープレッシャーのせいで悟空に修行相手に便利で最適! っと思われたんじゃないかと今でも思っている。

 だってバリア張れば強度が持つ限りどんなに気を発しても周りに影響無くて、たとえば悟空がスーパーサイヤ人3(やっぱり変身できるようになってた。維持時間が短いし、いざという時まで秘密にして驚かすって言ってたから多分私以外知らない)になっても平気だろ? グラビディープレッシャーは付加できる重力が増えたから重力装置いらずだろ?(でも使うと自分にも負荷がかかるから「姉ちゃん、600倍で頼むな!」とか笑顔で言われた時はマジで殴った。でも結局後でやる羽目になって毎回死にそうだった)でもってエナジーリダクションで無効化出来るから悟空は本気かめはめ波の練習し放題だろ? ………………。よく考えてみると、もしかしてあいつ原作より強くなってるんじゃ……我ながら最高の修行環境プレゼントしてんじゃねーか。いや、強いのはいいことだけど。

 

 

 

 

 まあ技云々は置いといて。

 

 現在私は天界でデンデに介抱されて療養中である。

 

 あの後荒野にゲロまみれで転がっていた私を回収してくれたのは天津飯だった。

 ちなみに武道大会だが、「あれは一種のパフォーマンスである」とヤムチャくんとミスターサタン(ヤムチャくんが「金髪の戦士の仲間」と分かってビビってたマーくんに優勝をちらつかせて協力を要請したらしい)が場を収め、続行されたんだとか。といっても準決勝のはずだったヤムチャくんVS天津飯は、天津飯が私を探しに来てくれたということは行われなかったのだろう。私としてはありがたいが、せっかくの好カードだったのに観客には悪い事をした。今頃協力してもらったお礼にヤムチャくんはミスターサタンとの試合で負けを演じているのか……う~ん、本当に申し訳ない事をした。せっかくヤムチャくんが天下一武道会初優勝出来たかもしれないのに。

 あと、餃子師範はいつどんな場面でも動けるように武道会場で待機しているとのこと。餃子師範のテレポーテーションは本当に頼もしいからな……いざとなったらみんなを連れて逃げてくれるだろう。

 それとベジータの奴は私が持ってた残りの仙豆を持って元の場所、バビディの宇宙船に向かったらしい。普通に考えると「ママを大切にしろよ」イベント発生のタイミングだが、正直現状が原作からかけ離れすぎててもうわけわからん。まあ、あいつもあいつで強くなってるからな……そう簡単に死なないことを祈るしかあるまい。

 万が一の時はドラゴンボールあるし……私もだいぶこの世界というか便利アイテムに毒されているが、もし死んだらドラゴンボール集めて生き返らせてやるか。

 

 

 

 そして仙豆が無いため、天津飯はボロボロの私を神様の神殿に連れて来てくれた。

 

 そこでデンデに回復してもらったのはいいんだけど、回復後にも関わらずどうも体調がすぐれない。気も乱れてまともに飛ぶどころか歩くのもおぼつかないし、おそらくこれはスーパーサイヤ人界王拳の後遺症だろう。なので今は神殿の一室を借りて寝かせてもらっている。

 ヒルデガーンやらセルやら気になることだらけだけど、今は何も出来そうにないしな……せいぜい出来る事と言えばこうして日記を書いて心の整理をするくらいだ。あ、デンデに「病人なんですから機械をいじってばかりいては駄目ですよ」って怒られた。改めて考えると神様に介抱してもらうって凄い贅沢だな。

 

 うーん、でもなー。出来る事無いって言っても、凄いもやもやする。気になる。

 ベジータも現場に向かったし悟空は多分原作より強いし、悟飯ちゃんだけじゃなく空龍とラディッツも居るし……ゴッドは作れそうにないけど、どうにかならない気がしないでもない。でも向こうの戦力も多いからなー。

 

 そういえば魔人ブウは復活したのだろうか。もし復活していたらボスの豪華共演どころじゃないんだけど。魔人ブウ、ヒルデガーン、セル……うん、死ねるな。え、大丈夫かな!? どうせゴッドが作れなくなるなら、やっぱりせめて空龍は置いてくるべきだったか……。

 とりあえず現状把握できない限りは何の考えも浮かびそうにないから、デンデに地上の様子を見て教えてくれないかとお願いした。デンデは快く引き受けてくれたけど、本当に神様を顎で使ってるようで申し訳ないというか贅沢というか……。

 

 けどデンデは帰ってこず、代わりにネイルさんが水を持ってきてくれた。飲んだら何やら眠くなってきた。まだ回復しきれてないのかな……地上の様子は気になるけど、デンデが戻ってくるまで申し訳ないが寝かせてもらおう。睡眠をとった方がきっと頭も回るだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

+++++++++++++++

 

 

 

 

 

 

 

「眠りましたか?」

「ああ。これで1日は目を覚まさないだろう」

「そうですか……。申し訳ないですが、あれだけ弱っている状態でこんなこと伝えられませんからね……」

 

 申し訳なく思いながらも、僕には空梨さんに先ほど地上で起こった出来事を伝えることが出来なかった。

 

 空梨さんと操られたベジータさんが戦っていたころ、同時刻別の場所でも激しい戦闘が行われていた。

 バビディという魔導士の魔術によるものか遠く離れた2つの場所で戦闘が行われていたのだけど、一つは悟空さんとかつて倒されたはずの人造人間セル。もう一つは魔導士バビディと暗黒魔界の王だというダーブラという魔人対悟飯さん、空龍くん、ラディッツさん。しかしこちらに突如、強大な力を持つヒルデガーンという怪物が姿を現してから状況が一変した。

 悟飯さんたちはヒルデガーンの対処に追われ、そのすきをつかれてダーブラにラディッツさんが殺されてしまったんだ。

 

 そしてそこから状況は更に二転三転した。空梨さんの回復を終え、彼女に頼まれたこともあって再び下界の様子を覗き見たのだけれど……最初はわけがわからなかった。けど僕の代わりに下界を見てくれていたポポさんに聞いてようやく先ほど情報を整理できたところだ。そのあまりの内容に、回復したにも関わらず具合のすぐれない空梨さんには伝えられずやむをえず眠り薬を飲ませた。だって、これを聞いたら空梨さんがどんな気持ちになるか……。

 

 

 まずセルがバビディから離反した。

 どうやら彼はベジータさんのように操られていたようだが、懇意にしていたらしい兄弟がダーブラに石にされた事によって洗脳が解けたようだ。見ていただけの僕にセルの心境は分からないけど……あんなに恐ろしかったセルにも、傷つけられたら洗脳が解けるくらい怒るほどの友人が出来たのだと知って不思議な気分だった。

 僕が悟飯さんたちに出会ってそれが巡り巡って地球の神になる縁となったように、出会いとは人のありようをいくらでも変える可能性を秘めている。それはとても不思議な事だけど……神様として生きていくことを選択した今、それはとても大事なひとつの真理ではないかと感じられた。未熟な僕にとって、これから先こうして周りに気づかされることはまだまだ多いだろう。神でありながら何もできない自分を歯がゆく思いながらも、こうして気づいたことを心に刻むのだけは忘れないようにしたいと思った。

 

 ともかくそうして共通の敵がいるという理由ながら、セルが一時的に味方に付いた。

 悟空さんはスーパーサイヤ人3という新たな変身を身に着けていたし、これでなんとかなるのではないか……そう思われた時だ。復活したものの、それまで大人しくしていた魔人ブウが動いた。バビディの命令でダーブラに攻撃したセル目がけて不思議な光線を撃ち、それをセルがよけたことによってダーブラに直撃。するとなんと、ダーブラは巨大なクッキーへと変身してしまったんだ! それを美味しそうに頬張る魔人ブウに、ヒルデガーンに応戦していた者を含めた面々に緊張が走る。

 

 魔人ブウは素の力も恐ろしく強いながら、特筆すべきは見た技をすぐに真似る天才性と魔術じみた不思議な能力、それといくら破壊しても復活する不死性だった。奴は無差別攻撃するヒルデガーンの巨体を遊ぶように軽快にくぐりぬけ、悟空さんたちにとって嫌なタイミングで攻撃を仕掛ける。

 戦力的には悟空さんたちの方が多いのに、頑強な体、強大なパワー、煙のように回避する能力を持ったヒルデガーン。それとトリッキーな動きをしてお菓子に変身させる光線を放つブウ、姑息な魔術で邪魔をしてくるバビディと……場は混戦状態となり、一進一退を極めていた。

 ヒルデガーンに関してはダーブラの死によって石化から戻った兄弟が不思議な笛の音で動きを制限したことによって多少状況は良くなったけど、それでも厄介なことに変わりはなく……逆に笛の音を邪魔に思ったのか、兄弟を標的にしたヒルデガーンの攻撃を代わりに受けたセルが大きなダメージを負ってしまった。悟空さんのスーパーサイヤ人3も途中でエネルギー不足で解けてしまい、状況は徐々に悪い方へと変化していった。

 

 場が再び動いたのは、ラディッツさんが殺されたことによって戦意を喪失していた空龍くんにヒルデガーンの攻撃が迫った時。

 既の所で彼を助けたのは悟空さんの子供で悟飯さんの弟である悟天くんと、ベジータさんの子供であるトランクスくんだった。2人は泣きじゃくる空龍くんに「昔の泣き虫が戻ってるぞ空龍!」「あとでエシャロットと龍成に教えちゃうよ~」とからかうように言って励ますと、自分たちが魔人を倒してやると宣言しヒルデガーンに向かっていった。けどその思わぬ強さに、すぐに2人ともピンチに陥る。

 そこで現れたのは兄弟と同じくダーブラが死んだことによって復活したピッコロさんとクリリンさんで、それぞれ子供たちを抱えて離脱し、クリリンさんにいたってはその前に気円斬でヒルデガーンの尾を切り落とした。凄い!

 そこにベジータさんが合流し、彼が持っていた仙豆で全員が回復。仙豆はそれで終わってしまったものの、これでやっと勝てる……! そう思った時だ。なんと、ヒルデガーンが脱皮し更に強力な形態へと変化したんだ。

 

 このままではらちが明かないと、ベジータさんの指示で対ヒルデガーンと対魔人ブウに戦力が分かれた。ヒルデガーンには兄弟とセル、悟飯さん。魔人ブウにはベジータさんと悟空さんだ。

 ちなみに子供たちは思いのほかダメージが大きかったこと、精神的に委縮してしまったことからピッコロさんとクリリンさんに連れられて戦場から離された。人数的にはかつてセルを瞬殺したスーパーサイヤ人ゴッドを生み出せるだけ人がそろっていたけれど、子供たちにはパワーを注ぐだけの力が残っていなかったんだ。

 せめて僕があの場にいたなら回復してあげられたのに……! ポポさんに僕をあの場へ送ってくれないかと頼んだけど、回復させる前に巻き込まれて死んでしまうとポポさん、ネイルさん両名に止められた。自分の無力さが悔しい。

 界王神様の付き人の方がたしか僕と同じ力を使えたはずだけど、彼はバビディの作り出した結界に界王神様と共に捕らえられていたので無理だったようだ。つくづく運がこちらに向いているようで向いてこない。僕は地球の神だというのに……なんで、なんで何も出来ないんだ! 悔しい……!

 

 

 そういえば子供たちが離れる前、あのベジータさんがトランクスくんを抱き寄せ「トランクス、ブルマを……ママを大事にしろよ」と言っていたのが印象的だった。……味方を叱咤し鼓舞しながらも、彼にはこの後におこる事が分っていたのかもしれない。

 

 

 ヒルデガーンに立ち向かったセルと悟飯さんは、兄弟の笛の力を借りてヒルデガーン新形体に対しても何とか善戦していた。かつて敵同士として向かい合った2人が同時にかめはめ波をヒルデガーンに向かって撃った時は、思わず体が震えた。しかしヒルデガーンの新たな体は前身よりも頑強で、せっかく実体化したところに直撃させたのに必殺とはならず。そのまま戦闘を続けたものの、せっかくクリリンさんが切り落とした尾も脱皮の際に再生していたためリーチの長い攻撃が縦横無尽に迫る。これに最初にやられたのは笛でヒルデガーンの動きをけん制していた兄弟で、兄の方が地面に叩き付けられて頭から血を流し動かなくなってしまった。

 これがきっかけだったのだろう。セルは「私としたことが、甘くなったものだ。ベジータの事をもう馬鹿に出来んな。いや、これも彼の遺伝子のせいかな? まったく迷惑なサイヤ人だよ」と自嘲したように笑うと、なんとヒルデガーンの口内に自ら飛び込んだ! そして、そのまま自爆することによってヒルデガーンの頑丈な体を内側から破壊したんだ。

 これには全員が驚いたけどセルが口に飛び込む前に何か言われていた悟飯さんが、砕けたもののまだ生きていたヒルデガーンの体をかめはめ波で完全に吹き飛ばした。……無事に厄介な敵を倒したというのに、悟飯さんの表情は晴れなかった。

 

 

 

 

 

 そしてそのヒルデガーン戦の隣で魔人ブウに的を絞って戦っていた悟空さんとベジータさんだけど、こちらはヒルデガーンを気にしなくてよくなった結果かなりブウを圧倒していた。当然だろう、お二人ともこの地球で最強と言ってもいい人たちなんだもの。ベジータさんが悟空さんと共闘するのは凄く意外だったけど、この2人が組んで倒せない敵が居るはずがない! 僕はこの時、地球に平和が戻ってくるのを確信していた。

 

 けどここで邪魔をしてきたのがバビディだ。

 奴が凄腕の魔導士ということに偽りはないようで、戦う力はないのに強力なバリアを遠方から出現させてブウが危なそうになるたびに悟空さんたちを邪魔していた。奴も悟空さんたちのあまりの強さに焦ったんだろう。

 そしてブウだけど、こちらはこちらでやられるたびに学習し、悟空さんたちの動きを覚えていった。何度かバリアが間に合わずエネルギー波で吹き飛ばされたけど、そのたびに何でもないように再生する様子は悪夢のようだった。

 そうして決め手に欠けるまま戦いは続き、とうとう仙豆で取り戻していた悟空さんのスーパーサイヤ人3の力が途切れ普通のスーパーサイヤ人に戻ってしまう。どうやらあのスーパーサイヤ人3というのは、強力な分消費するエネルギーも大きいらしい。持久戦に持ち込まれたことによって、悟空さんの切り札が二度も使えなくなってしまったんだ。

 そしてベジータさんの方だけど、悟空さんのようにスーパーサイヤ人3になれない彼は真っ先にブウに狙われたためダメージが深い。ブウを押していた2人が、今度は逆に追い詰められ始めた。

 

 

 そして、ヒルデガーンがセルの自爆で吹き飛んだ時だった。

 

 

 ベジータさんはそれを見ると、大きく笑い始めた。「セルの野郎、俺のことを甘いなどと言っておいてこの様か! 自爆してまで守りたいものがあったとはお笑いだ!」と言うと、戦いながら悟空さんに話しかけた。

 

「カカロット、俺はキングベジータ。サイヤ人の王だ! 王は誰よりも強くなければいかん。それこそがサイヤ人としての誇りだからだ! だが、情けないことに俺は貴様のようにスーパーサイヤ人をさらに超えた存在になれなかった……まったく、追い付いたと思えば追い越していきやがる。本当にムカツク野郎だぜ! だがな、貴様が敵わない相手を俺が倒してやる。無様なやり方だと笑うがいい。だが、こいつを倒すのは俺だ!!」

「ベジータ、まさかおめぇ……!」

「…………。あとは頼んだぞ、カカロット」

 

 そう言うと、彼は魔人ブウを挑発してある程度離れた場所まで誘い出した。そして……。

 

 

 

「ラディッツさん、セル、ベジータさんまでも死んでしまって……悟空さんと悟飯さんの生死は不明。しかもブウはまだ生きているだなんて……この世はいったいどうなってしまうんだ」

 

 

 

 とにかく、今は地上に散らばっているドラゴンボールを集めよう。

 

 僕に出来る事は少ないけど、それでも僕は神なのだ。あの希望の球が、再び世界に光を取り戻してくれると信じて……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




主人公との戦いで3に覚醒しかけたベジータですが、無意識だったので変化に気づかず今回覚醒ならず。
今回も難産。戦況がごっちゃごちゃです。思わず主人公の日記をぶった切って神様視点(デンデ)に助けを求めました。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。