とある姉サイヤ人の日記 《本編完結》   作:丸焼きどらごん

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34ページ目 バビディの宇宙船~ダーブラさんの唾吐き速度は世界一ィィィッ!!

Ё月■日続き

 

 

 

 謎の黒トランクスやタピオンの存在がまるで訳分からん。ちょっと待て、タピオン居るってことはもしかしてヒルデガーン……おい待て。あれってたしかZ戦士軒並みぶっ倒してなかったか。超強くなかったか。おい待て。

 

 とにかく事実を確かめないことにはどうしようもない。奴らの後をつけるという界王神様に渋々ながら私も一緒についていくことにした。他に後を追ったメンバーは悟空、ベジータ(悟空生きてるから後でいくらでも戦えるのに一緒に来るこいつは大概悟空大好きだよな)、ピッコロさん、クリリンくん、あと私が行くと言ったらラディッツもついてきてくれた。

 餃子師範と天津飯、ヤムチャくんもついてきてくれようとしていたのだが、クリリンくんが「嫌な予感がするから、万が一の時のためにヤムチャさんたちは会場に残ってくれませんか?」と言ったので残ることに。

 

 

 さっきまで余裕だったのに完全に後手にまわってしまった……最悪だ。マジで誰だあのトランクスブラック。

 

 

 いざとなったらゴッドを作る必要があるので、あまり連れて行きたくないけど空龍を一緒に連れて行くことにした。じゃないと悟飯ちゃんが後で合流しても6人に足りないからな……双子を連れて行くのは論外、トランクスと悟天ちゃんはもしかしたら勝手に来ちゃうかもだけど何をするか分からないし除外。ということで、チビたちの中でも年長で比較的臨機応変に行動できる空龍を抜擢したのだ。「何故空龍を連れて行くんだ?」とラディッツに聞かれたので「勘だけど、ゴッドが必要になるかもしれない」と言ったら一気に全員の緊張感が高まった。まあスーパーサイヤ人ゴッドは現時点で桁外れの切り札だから当然か。

 

 

 そしてスポポビッチたちを追った界王神様を私たちも追ったのだが、ここでまさかの向こう側からの接触があった。

 

 

 界王神様による魔人ブウの説明を聞き終えたところで、なんとモヒカン(小)が接触してきたのだ。「よかった! 追って来てくれてた!」と喜んだ彼は兄が誤魔化しているうちに戻らなければならないから時間がないと前置きして、自分たちの事情を説明してくれた。

 

・自分たちの恩人がバビディに操られてしまっている事。

・助けたいが、力が足りず仕方がなくバビディに従っている事。

・バビディが復活させようとしている魔人ブウに加え、自分たち兄弟の体に封印されている魔人ヒルデガーンがバビディに利用されたら地球がとんでもないことになる。だから何とか自分たちに協力してバビディを倒す手伝いをしてほしい、という事。(界王神様は「魔人ヒルデガーン!?」と青ざめていた。一応存在を知っていたらしい)

 

 ここでトランクスブラックが気になっていたのか、ベジータが「おい、あの黒髪の奴は誰だ」と聞いた。するとミノシアと名乗った少年は驚くべき名を口にしたのだ! 「彼が僕たちの恩人であるセルという人です。会場に紛れ込むために姿を変えていますが、もとは全身緑の昆虫のような種族の人で……彼もこの地球出身です。僕たち兄弟はナメック星という星で彼に大きな恩を受けました」と言ったミノシア少年に、当然ながら私達全員驚いた。そしてすぐさま私を睨みつけたベジータが「貴様! 神龍に死者の復活を願う時なんと言った!?」と聞いてきやがった。こ、コノヤロウ! どうしてこういう時ばかり鋭いんだ! 悟空も「姉ちゃん、悪人を除いてって言ったか?」とか追い打ちかけてくるんじゃない!

 ああ、そうだよ。今思えば言い忘れたよ! うんと悪人を除いてっていう死者蘇生時のテンプレ言い忘れたのは私だよ!!

 

 けど「今はそれどころじゃないだろ」と無理やり話題転換をした。だってミノシア少年は何があったか知らないけどセルの事を恩人と言ったのだ。ドラゴンボールの敵キャラは味方になるパターンも多いので、セルがその道をたどったとしても何ら不思議ではない。

 

 ともかく重要なのは現時点ではセルはバビディに操られているという事実。しかもミノシア少年と兄のタピオンの体には魔人ブウに匹敵する力をもった魔人ヒルデガーンが封印されている……正直初っ端からゴッド出さないとヤバいんじゃない? というくらいにはヤバい。つーか死ねる。なんだよその嫌なコラボレーション。

 

 

 

 とりあえず何を置いてもまずバビディが姿を見せた時点で殺そう。何が何でも殺そう。

 

 

 

 そう心に誓っていると、再度「お願いします! どうか僕たちに力を貸してください!」と頭を下げてから去っていったミノシア。それを見送りつつ私たちも少し遅れて彼の後を追った。

 とりあえず魔人ブウ復活には「汚れていない強大なエネルギー」が必要らしいので、現時点ではセルとヒルデガーンのエネルギーでブウが復活する心配はない。あいつらのエネルギーが汚れてないとか言われたら片腹痛いわ。かといってまったく安心できないけどな! しかも悟空が「セルの奴生きてたのか……どんくれぇ強くなってんのかな」とか言ってるし、ベジータはベジータで「フンッ、つまらん事に巻き込みやがってと思っていたが、なかなか面白くなってきたじゃないか」とか言ってるし不安しかない。悟飯ちゃん合流したら絶対にゴッド作るからな! 制限時間があるからタイミング難しいけど、絶対作るからな!! 最初から絶っKILLする勢いで行くからな!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 そう思ってたんですけどね。

 

 現在悠長に日記の続きを書いている私を、少し前の私はいかがお思いですか、かしこ。

 

 

 

 

 

 

 

 悟飯ちゃんが合流したので早速ゴッドを作ろうと提案したのだが、セルが居るとはいえ数年の修行によって自信をつけたベジータと悟空が「そこまでする相手か?」「その前にオラにも隠し玉あるんだ! セルとも戦ってみてぇし、それ試してからじゃダメかなぁ?」とか言い出した。馬鹿か死ぬぞと怒鳴ろうかと思ったら悟飯ちゃんまで「まず相手がどのくらい強いか見てからの方が良くないですか?」と言うし、果てはラディッツまで「最近は思い切り戦える場面が無かったからな。天下一武道会よりよほど力を解放できそうだ」とか言い出す始末。

 

 こ、このサイヤ人ども……! 下手にゴッドがチートなのがいけなかったのか。出せばゴッドになった1人で十分だから他の出番がないからな……。あと、よく考えたら誰がゴッドになるかでもめそうで超面倒くさいんだけど。絶対悟空とベジータが「オラが」「いや俺だ」とか言い出すだろ。数年勉強に没頭したせいでなまってる悟飯ちゃんに任せるとは思えないし。

 

 ピッコロさんはサイヤ人たちに呆れながらも敵の戦力を把握してからという悟飯ちゃんの意見には賛成のようだし、私の味方はクリリンくんしかいなかった。思わず涙目で無言で奴らを指さすと「お、お疲れ様」とねぎらわれた。違う、私が欲しいのは慰めでなく奴らを納得させる話術でありツッコミだ。頑張ってくれよ地球人最強!!

 唯一の癒しは「おじさん達だし、しょうがないよお母さん」と言って肩を叩いて慰めてくれた空龍である。だが子供にも諦められている叔父共、それでいいのか。

 

 界王神様とキビトさん? 普通に蚊帳の外で「ブウに加えてヒルデガーンだなんて……! か、勝てるのか?」「コナッツ星の勇者たちもいるようですし、彼らと協力して何とかするしかないでしょうな……」みたいな役に立たないシリアス展開してたのでガン無視ですよ。悩んでる暇があったら役に立つ意見の一つも出せや宇宙の神様よぉ!

 どうせ阻止すればいいからと余裕だったさっきと違って、みすみす悟飯ちゃんのエネルギーを奪わせた2人を許せるほど私の心は広くない。積極的に無視していこうと思う。

 

 

 その後バビディの宇宙船近くに到着し、様子を窺っていたらダーブラ強襲。しかし事前にすぐバリアを展開出来るよう準備しておいたので、最初に狙われたキビトさん爆散は回避できた。ちなみにこのバリアであるが、セルゲームでセルが使っていた技をここ数年の悟空との修行内で再現したものである。超能力由来のもう一つの新技と違ってやや不安定ではあるが、なかなか使い勝手の良い技だ。

 

 だが予想外のこともあった。ダーブラさん、唾を吐く速さが尋常じゃねぇ。

 

 知ってて阻止出来たはずなのにあまりの速度に対応が間に合わず、唾をうけて石化したピッコロさんとクリリンくんは正直すまんかった。でもこれも全部ダーブラの唾吐きが速すぎたのが悪い。実際に見て思わず汚なッて後ずさってしまった私が悪いんじゃないぞ断じて。

 

 そして宇宙船内に逃げたバビディ達を追って私達も船内へ。

 宇宙船へ入る前擬態を解いて元の姿に戻ったセルが、口の端をわずかに持ち上げた余裕の表情で「さっさと来たまえ」とでも言いたげにちょいちょいと指を動かして挑発していたのが印象的だった。操られてるとはいえ、自信家な性格に変わりはないようだ。この野郎……せっかく私が放ったバビディ死ね死ね光線も防ぎよってからに腹立つな!

 

 

 

 

 

 そして今現在、プイプイという哀れなベジータの生贄が爆発するのを横目で見ながら暇なので日記を書いている。空龍も同じく暇だったのか、キビトさんの髪の毛を三つ編みにして遊んでいた。おい、意外と似合ってるけど私とお揃いみたくするのはやめろ。

 

 

 

 どうしよう、情報は増えたけど何も問題が解決していない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(日記は続いている)

 

 

 

 

 


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