とある姉サイヤ人の日記 《本編完結》   作:丸焼きどらごん

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28ページ目 セル編完!~疲れて死にそう。もう動きたくない。

◎月◇日

 

 

 生き残った。今度こそ死ぬかと思ったけど生き残った!!

 

 今日はラディッツと空龍とでのんびり過ごしただけだったし、昨日の記録をつけようと思う。

 

 

 

《VS アルティメットセルゴッド(笑)》

 

 後で聞いたセルの名乗りに全身怪我してるのに大笑いして死にかけた思い出。最後まで私を殺しにかかってくるとかなんてやつ……! 絶許。

 

 最終的にスーパーサイヤ人ゴッドになれた悟飯ちゃんだったが、これには情報源の私が一番驚いていた。だってまず私とベジータのサイヤ人枠が「正しい心」ってところで足引っ張るとばかり……。悟空にお願いされた時は思わず褒められた恥ずかしさもあってノリで来ちゃったけど、到着してからやっぱり子空龍連れてきてベジータ弾くべきだったのではと後悔していた。

 だってあいつたしかブウ編で悪の心が原因で操られるじゃん? もっと先の未来ならともかく、明らかに「正しい心」はアウトだろと思った。けど予想に反して成功したってことは、あいつも悟空の言う通り変わったのか……それとも、正しい心とやらがけして正義の心とかではなくて、もっと善悪関係なく純粋な何かであるか。まあ考えたところで答えなんて出ないのだけど。

 ゴッド化した悟飯ちゃんとセルの戦いだが、記述すべきことはただ一つ。

 

 

 つっよ。ゴッド強ッ!!

 

 

 これに限る。しかもゴッド化の影響か、悟飯ちゃんの精神は名前の字のごとく悟りを開いたかのように落ち着いていた。赤、というと高ぶりをしめす色に思えるのだが、ゴッドのオーラは見ている者の心にまで安寧をもたらし、清浄な気力を呼び覚まさせる力を秘めていたように思う。

 これが神かと、私たちは現状も何もかも忘れたようにただ魅入られた。

 

 セルもこれがただ事ではない、凡百のパワーアップとは次元が違うとようやく理解したのか焦り出した。しかしそれは遅すぎたのだ。

 

 気づいた時には、悟飯ちゃんはセルの体の中心を拳で突いていた。

 一見なんでもないただの突き。セルを吹っ飛ばすことも、体を貫くこともしなかった……だけど、恐らくそれがセルの核を破壊したのだ。

 

 セルは言葉もないまま、最後に血を吐いてこと切れた。あれだと多分、痛みを感じる間もなかっただろう。意図的かどうか知らないが、どこまでも……敵にすら優しい悟飯ちゃんの最後の情けだったのだと感じた私は伯母馬鹿だろうか。

 地上にセルの体が落ちた時、その体は核を失ったせいか崩れるように崩壊した。あれだけ強化を繰り返したセルの、あっけない幕引きである。

 

 

 

 

 

 

 その後神様の神殿に集まり、ドラゴンボールのおかげでセルに殺された存在は無事に全員生き返ることが出来た。「殺された存在」という枠でくくったのは、人間でないサイバイマンや妖怪枠のミイラ先輩達を生き返らせるためだ。

 

 嬉しいことに、このおかげで完全に機械であるはずの16号まで蘇った。彼が壊されたことでスーパーサイヤ人2に覚醒した悟飯ちゃんと仲が良かったクリリンくんが泣いて喜んでいたっけ。

 神殿にはホテルから運んだナッパの遺体も安置されていたので、生き返った時はみんなに喜ばれた。ギニュー隊長や仲間のサイバイマンたちは特に喜び、どこか見覚えのあるポージングをきめて再会を慶んでいた。胸を貫かれたトランクスも生き返り、喜びの波は収まるどころか広がるばかり。

 やはり、ドラゴンボールとは希望の球である。

 

 

 しかし一度生き返ったことのある人間は生き返れない……つまり、悟空はやはり駄目だった。

 悟空は笑って「オラが居ない方が地球は平和かもしんねぇ」とか「あの世には過去の達人とかもたくさん居んだ! 結構楽しめそうだし、チチや悟飯には悪ぃけど生き返らせなくていいや!」とか言ってたけど……漫画で読んだ時は「軽いなコイツ」くらいにしか思わなかったけど実際聞くとかなり腹立たしかった。残されたチチさんと悟飯ちゃんの気持ちはどうなるんだ、と。

 けど、私が怒る前に怒鳴ったのはラディッツだった。

 

「ナメック星のドラゴンボールを使えば生き返れないことは無いだろう! 妻と子供を置いて死んで、貴様はそれでいいのか!」

 

 しかも渾身のグーパンつきである。まさか悟空がラディッツに殴り飛ばされる場面を見るとは思わなかった。

 それにここぞとばかりに他のメンバーも加わって、悟空を説得しにかかった。これには流石の悟空もたじたじである。

 

 結局どうなったかというと、「でも、やっぱちょっぴりあの世の達人にも興味あるしよぉ……」という悟空の発言に全員ずっこけた。お前、自分が居ない方がうんぬんよりそっちが本命なんじゃないだろうなと総ツッコミを受けていたが自業自得である。悟空は良い意味でも悪い意味でもどこまでも悟空だった。

 

 妥協案として、だったらしばらくあの世で修業して満足したら生き返らせるという運びになった。もうぐだぐだである。

 

 あと、今回からデンデがパワーアップさせてくれたおかげでドラゴンボールで叶えられる願いが2つになっていた。そしてその2つ目の願いだが、これはクリリンくんが「17号と18号の身体の中にある爆破装置を取り除いてくれ」と願った。起きるなりさっさと神殿から去った18号だったが、戻ってきてそれを柱の陰で見ていたのを確認している。

 …………まだ先かもしれないけど、今から結婚祝いを考えておこうか。クリリンくんにもずいぶん世話になってるし。

 

 

 

 

 

 ともあれ、紆余曲折あったものの人造人間編とセル編は無事にハッピーエンドで終わることが出来た。

 めでたしめでたしである。

 

 死ぬかと思った。

 

 

 

 

 

 まだ未来トランクスと未来空龍には帰ってからの戦いが残っているが、さんざん強化された2人にとって人造人間や初期セルなど敵ではないだろう。

 

 懸念すべきはもっと先……新作アニメは全部見れなかったし記憶も危ういが、さらなる脅威が未来世界を襲うことは覚えている。その時に犠牲が少ないうちにこちらに救援を求められるよう、出来る限りの注意を促す。まだ起きてもいない出来事に対して私が出来るのはそれくらいだろう。

 それか、いっそこっちのブルマにタイムマシンを作ってもらって定期的に様子を見に行くとか……いや、駄目だ。本当かどうかわからないけど、セルに「特異点」と称された私が行ったら事態が悪化することしか考えられない。

 

 あんまりにも心配しすぎたのか、あのマザコンの気がある空龍にまで「心配しすぎですよ」と笑われた。くそう……歯がゆい。

 

 

 とにかく、疲れた! もーう疲れた!!!!

 

 

 今日からしばらくは家でダラダラする! 占いババ様もしばらく休むとええって言ってくれたし、畑もサイバイマンたちがさらに張り切ってるからしばらく任せても安心だろうし。

 ラディッツも夜仕事に行く以外はしばらく家に居てくれるって言ってくれた。よし、甘えるし甘えさせてやろうじゃないか。空龍ともいっぱい遊んでやる。あと、ちょっと休んだら南の島へバカンスだ! 贅沢するぞ! 今度こそ本当の贅沢だ! あの虫野郎はもう居ない!

 

 

 明日からの予定を書くと、疲れていた心が少しずつ元気になってくるのが分かった。やはりこの日記、心の安定剤である。

 でも今度ブルマに私が死んだら自爆する機能をつけてもらおうとは思った。

 

 もう日記のせいで振り回されるのは勘弁だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◆◇◆◇◆◆◇◆◇◆◆◇◆◇◆◆◇◆◇◆◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐ……ッ! な、何? 私はもう一人の私に吸収されたはず……」

 

 私は意識を取り戻すと、あたりを見回した。そこは紛れもなくセルゲームが行われていた場所だ。

 しばらく考えるが、おそらくドラゴンボールの影響だと結論付ける。そうか、たしか未来から来たという私は私の事を「プロトセル」と呼んでいたな。ドラゴンボールに「セルに殺されたものを生き返らせてくれ」とでも願った時、私はあのセルとは別個体と認識されて生き返った。そんなところか?

 

「まあいい……生き返ることが出来たのは幸いだ。フム、しかしあの私を吸収したセルが倒されたとなると孫悟空たちはもっと強くなったわけか。今のままでは勝てんな」

 

 どうやら、世界を恐怖に突き落すのはまだ先らしい。

 

 

 

 しばし、身をひそめよう。私が奴らに勝てるくらいに進化する、その時まで。

 

 

 

 

 


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