とある姉サイヤ人の日記 《本編完結》   作:丸焼きどらごん

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★27ページ目 セル編実況裏側24時その2~セルゲーム

◇月Ф日

 

 天界で修業するZ戦士たちの様子を窺っていたけど、空龍がベジータを転ばして精神と時の部屋に入った時は思わず膝を打って「よくやった!」と言ってしまった。流石私の息子である。

 セルには「あの年でおたんこなすという罵倒はどうなのだね」と言われたが、可愛いからいいだろ。マジレスすると、多分緊迫した未来では身近な誰かに気軽に怒る場面が無かったんだろうな……息子……。ともあれ、罵倒の語録が少ないのは親として喜ばしい事である。良い子に育ってくれて、未来ラディッツには感謝せざるを得ない。

 

 ちなみに以前サイバイマンたちとギニュー隊長、ジースくんが彼らに手紙を届けた時はセルに気づかれる前にチャンネルを変えて人造人間3人組を追っていた。それを見て思ったけど、この子たち本当に挑んでくる相手以外には危害加えないな……。セルさえ出てこなければ、案外話し合いで解決できたのかもしれない。

 

 

 

 

▼月д日

 

 

 空龍とラディッツが精神と時の部屋から出てきた。……ボロ雑巾になったラディッツを大泣きする空龍がお姫様抱っこで抱えた状態で。

 あれかな、伝説っちゃった息子にやられたのかな? し、死ぬなラディッツぅぅぅぅ!!!!

 

 すぐに地球の神様として着任したばかりのデンデにベホマってもらったラディッツだが、謝り倒す息子に「いや、弱い俺が悪いのだ。フッ、どうやら俺は親父のように格好いい背中をお前に見せてやれないようだ。格好悪い父ですまんな」と寂しそうに逆に謝っていた。それに対して息子は「お父さんは格好悪くなんかない! ラディッツお父さんは世界一格好いいんだ! この世界でも、未来でも!」と泣きながら熱弁していた。

 これには思わず私も胸が熱くなった。だがすぐに「このホームドラマはまだ続くのかね?」とセルに水を差された。黙れ貴様、お前未来の空龍を吸収してるくせにもうちょっとこう、思うことは無いのか。やはり所詮虫。こういった感情は理解できないか。

 

 

 そしてこの後驚きの展開。

 

 

 まさかのピッコロさんによるラディッツの潜在能力解放である!(ネイルさんが「これは最長老様の……! お前にその力も引き継がれていたのか!」と驚いていた)ラディッツは潜在能力が解放された自分に酷く驚いていたようだった。

 ピッコロさんは「少しでも戦力は多い方がいいからな」とぶっきらぼうに言っていたけど、これは少しどころか大幅な戦力アップとなるだろう。ピッコロさんは空龍と未来トランクスの潜在能力解放も行ってくれた。

 ちなみに空龍たちが出てくるなりそれに目もくれずさっさと精神と時の部屋に入っていったベジータは安定のぼっちである。いや、あいつは自力で限界突破するだろうしいいか……悟空も潜在能力解放してもらってないし……。

 

 ラディッツは私と違って戦闘訓練に真面目だし、これは追い越される日も近いかな。

 

 

 

 

 

 

 

5月26日

 

 

 セルゲーム当日である。

 

 数日前テレビ報道したこともあり、現格闘世界チャンピオンのミスターサタンとテレビ局もやって来ていた。テレビスタッフに何人か知ってる顔が居てちょっと驚く。巻き添え食らわなきゃいいけど……。

 せっかくなので、水晶玉の他にホテルに備え付けのテレビをつけてW中継にした。これを世界中の人間が固唾をのんで見ているのか。

 

 ちなみにサタンを見た時、水晶玉の向こうとこちらのダブルセルによる「「なんだ、あのゴミは」」というシンクロ発言に何とも言えない気分になった。いや、たしかに場違いだけどあの勇気は褒めてやれよ……。

 あとアナウンサーがベジータに話しかけた後に「ありゃただのちょっとイカレた奴ですな。ヘアースタイルも変だし……」と言っていたのにはウケた。おい、全世界ネットでディスられてんぞ愚弟。

 

 

 

 さて、実況の記録である。

 

 

 

《セルゲーム第一試合》

【挑戦者、現世界チャンピオンミスターサタン】

 

 いい具合にお茶の間を温めてくれる前座を見事務め上げる。

 瓦割りからのパンっっと羽虫をはらうがごとくセルに崖にぶっ飛ばされるまでの流れが美しい。一流のエンターテイナーである。

 生存。ベジータに「馬鹿の世界チャンピオン」とまで称されるが、その勇気と無敵の鈍感さには敬意を表する。

 

 

 

 

 

 

《セルゲーム第二試合》

【挑戦者 最強の地球育ちのサイヤ人、みんなの主人公孫悟空】

 

 

 我が弟ながら、流石主人公の風格である。最初から激しい攻防を繰り広げるも、セルともども準備運動だった様子。お互い好敵手とばかりに向き合う姿が印象的。

 お互いにフルパワーとなり、楽しむがごとく戦う。セルがパワーをかなり上げた状態でかめはめ波を撃とうとしたので、地球が危ないと判断した悟空が空に逃避した後で瞬間移動でかめはめ波を回避。そのままセルの背後にまわり蹴りを叩き込んだ。実に熱い戦いに、隣で観戦していたセルが心なしかうずうずしていた。空龍も手を叩いておおはしゃぎである。

 その後、戦いを長く楽しみたいセルが場外負けの概念を壊すためにリングを破壊。ルールを決めた本人によるまさかのルールブレイクである。

 地上全体がリングとなったことで、更に激戦の度合いが加速。

 

 悟空が瞬間移動とかめはめ波という鬼ち……必殺コンボを決め、一時はセルがやられたかにみえた。しかし上半身を吹き飛ばされたにもかかわらずピッコロさんの細胞のおかげで復活。

 つい気になったので、上半身と下半身が分かれたうえでそれぞれ復活したらプラナリアみたいに増えるのかと隣のセルに聞いたら「馬鹿か。核はひとつだ、核がある側が復活するに決まっている」と心底馬鹿を見る目で言われた。聞くんじゃなかった。

 

 再び戦いが始まるが、お互い体力を消耗した状態。途中セルが悟空の猛攻に耐えかねてバリアーなどという新技を使う。なにあれ羨ましい。どうやるんだとセルに聞いたら、放出した気を体外で流動させるとのこと。言うのは簡単そうだけどかなり難しそうだ。

 

 そして更に戦いは続くと思われたのだが、ここでまさかの悟空の「まいった」宣言。これには全員ポカンである。隣のセルまでガタッと席を立っていたぞ。まあ、気持ちは分かる。

 悟空は自分より強い者がいると言って、その者の名を呼んだ。俗にいう「おめえの出番だぞ、悟飯!!」宣言である。

 

 

 

 

 

 

《セルゲーム第3試合》

【挑戦者 未来からの戦士 孫空龍】

 

 悟飯ちゃんが呼ばれたものの、そこに空龍が割って入った。「僕だって修業して、やっとスーパーサイヤ人の力を制御したんだ! 悟空おじさんは僕の本当の実力を見ていないでしょ? 僕とトランクスは、これから未来での戦いも残ってる。ここで戦わないで未来に帰っちゃいけない……そう思ったんだ。だからお願いです、僕にも戦わせてください!」と男らしく悟空に直談判した息子の姿に目に熱いものがこみあげた。いかん……最近歳なのか、涙もろくて駄目だ。

 悟空の了承を得て、空龍がセルの前に立ちふさがった。私も息子の戦いを見るのは初めてだ。

 ちなみに戦う前にフェア精神を発揮してセルに仙豆を渡した悟空は絶許。本命の悟飯ちゃんに備えてと、セルが仙豆を食べなかったのは幸いだった。

 

 そして始まる戦いだったが、スーパーサイヤ人化した空龍は前みたいに理性を失うことは無かった。それどころか更に気を振り絞り全開パワーを出すと、その黄金の輝きが美しい若草色の輝きを帯びた。

 まさかのスーパーサイヤ人NEWカラーである。隣のセルが「ほう、これはなかなか美しいな。スーパーサイヤ人グリーンとでも命名してやろうか」と勝手に名づけていた。おいヤメロ勝手に増やすな。

 

 戦いの内容だが、空龍は小さなダメージは度外視で常に必殺を狙っていた。具体的に言うと無暗に気弾を撃ったり接近戦したりせず、主に回避に努めここぞという場面で最高威力の気弾を極限に圧縮したビー玉大の気弾技で急所を狙っていくスタイルだった。しかも神様の神殿でヤムチャくんに何か習っていたと思ったら、繰気弾でも教えてもらったのか追跡タイプの技のようだ。外れても他を破壊することなくセルを追いかけ、セルはそれを気弾でいちいち相殺するはめになっていた。必殺&敵の体力消耗を狙う、なかなかにいやらしい技である。

 ブロリっちゃってた以前とは比べようもない激変っぷりに、思わず唖然。武闘家というより名うてのヒットマンな風体だ。

 ためしに隣のセルに未来の空龍もあれが出来たのかと聞けば「スーパーサイヤ人は制御できていたが、あの状態も技も初めて見るな」とのこと。つまり、この時代で頑張ったからこその成果と言えよう。

 

 しかし時間が経つにつれて地力の差が出てしまった。ついにはセルに動きを捉えられると、そのまま逃れられず連続コンボを決められて気を失って敗退。おそらくあの形態が体力の消耗が激しいというのも理由だろう。最後の方は息切れしていたからな……。

 

 残念ではあったが善戦であった。

 

 それと、幸いなことに殺されなかったのには安心した。セルに聞いたところ「まだ成長の余地があると見て後の楽しみに生かしたか、それか吸収でもするつもりだろうな。その場合グリーンが好みだったんだろう」ということらしい。横にセル本人が解説役でいると楽である。

 

 

 

 

 

《セルゲーム第4試合》

【挑戦者 期待のサイヤ人と地球人のハーフ 孫悟飯】

 

 そしていよいよ悟飯ちゃんである。が、ここで実況が出来なくなった。

 隣のセルの奴が「そろそろ終盤かな? さて、私もスタンバイしておこう」と現場に向かうため腰をあげたのだ。

 

 空龍も置いていくようだし、いよいよ逃げるチャンス! とか思ってたらポッキーかうまい棒でもかち割るように私の四肢の骨が折られた。そして空を飛ぶ力も残さないようにか、そのままフルボッコのタコ殴りである。虫野郎許すまじ。現在音声入力中。「このまま転がってれば、全て終わった後に私の偉業を傍らで見て語り継ぐ語り部として生かしてやっても構わんよ。一人の退屈さには懲りたしな。そういうわけだから、せいぜい大人しくしていることだ」とか言い残して去っていきやがった。野郎! 途中興奮しすぎて疲れて寝入った空龍を寝かしつけてきたときは、気が利くとか思った私が馬鹿だったよ!! 若バーン様気取りか何が語り部だカスが!!

 

 

 

 どうしよう。助けて餃子師範orデンデ。

 

 

 

 




見た瞬間五体投地で拝みたくなった素晴らしい1枚絵を再びrenDKさんから頂いてしまいました!


【挿絵表示】
まさかの漫画の表紙風である。何これ超かっこいい目から汁が止まらない……!サイヤ人3姉弟、姉弟のスーパーサイヤ人バージョン、3人の息子という豪華な詰め合わせです。特に空龍に注目。主人公にそっくりな特徴を残したまま、めちゃくちゃ男前に描いていただきました。ありがとうございます!

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